編集にあたって

水野 加寿代(ヤフー(株))
 
 情報処理学会誌では,学生の学位論文の成果を迅速に社会に紹介することを推進している.「研究会推薦博士論文速報」は,情報処理の各研究分野をカバーする約40研究会の主査の推薦により,優れた博士論文の成果を読者に紹介するものである.本特集では,2017年4月から2018年3月までの博士論文を対象として,各研究会の主査より推薦された合計49本の優れた博士論文について,その研究内容を紹介する.コンピュータサイエンス領域から15本,情報環境領域から21本,メディア知能情報領域から13本の論文がそれぞれ推薦された.

 会誌本体には,まず,本特集において推薦された論文を1ページにリストした表を示す.さらに各論文について,論文タイトル,著者の情報,研究会からの推薦文を掲載する.

 今回,各研究会から推薦された博士論文の著者について,その三分の一近くが社会人博士であったことが印象的であった.博士号取得後の在籍については,大学・研究機関と民間企業が半々となり,情報処理分野における博士号取得者のキャリアの広がりを感じる傾向となった.また,Web版では今回の初めての試みとして,博論のテーマに取り組んだきっかけや研究中の苦労など,研究生活について各著者に書いていただいた.知的好奇心の源を情熱的に語る人,仕事の両立の苦労を語る人,在学中の思い出のカレーについて語る人と,多様性に富んだ研究生活が垣間見える内容となっている.研究内容と合わせて読んでいただきたい.

 最後に,本特集の速報性を高めるため比較的短い時間での推薦のご支援をいただいた各研究会の主査の方々,またご執筆いただいた著者の方々に厚くお礼を申し上げたい.
 
(2018年7月2日)

情報環境領域