A分野 モデル・アルゴリズム・プログラミング |
選奨セッション 数理モデル化と問題解決・アルゴリズム |
9月3日(水) 9:30-12:00 1a会場
座長 松田 健(阪南大学)
中島 祐人(九州大学) |
CA-001 |
経路問題における頂点の不要性判定の計算困難性とアルゴリズム
立花 真龍(九州工業大学)・◎塩田 拓海(兵庫県立大学)・斎藤 寿樹(九州工業大学)
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CA-001経路問題における頂点の不要性判定の計算困難性とアルゴリズム
立花 真龍(九州工業大学)・◎塩田 拓海(兵庫県立大学)・斎藤 寿樹(九州工業大学)
グラフ上の s-t パスの数え上げ問題は #P完全であり,指数時間アルゴリズムしか知られていない.それらのアルゴリズムの計算効率を向上させるには,不要な頂点や辺を事前に削除することが有効である.Block Cut Tree を用いることで,無向グラフでは不要な頂点を多項式時間で判定・削除できるが,有向グラフでは同様には削除できない不要な頂点が存在する.本研究では,有向グラフ上の頂点不要性判定問題を定式化し,その coNP 完全性を示す.さらに,カット点の性質とネットワークフローに基づく,O(|V| + |E|) の時間計算量で不要性判定を行うヒューリスティックを提案する.また,本稿では,計算機実験を通じてこの手法の有効性を確認する. |
CA-002 |
航空機LiDARを用いて取得した点群に基づいた樹木モデルの構築と検証
◎呉浦 優輝・曽我 真人(和歌山大学)
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CA-002航空機LiDARを用いて取得した点群に基づいた樹木モデルの構築と検証
◎呉浦 優輝・曽我 真人(和歌山大学)
近年,センサを用いて樹木の点群データを取得し,そのデータをパラメータ計測やVR剪定学習支援などに活用する機会が増加しつつある.しかし,航空機LiDARを用いて取得した点群データは,点群密度が低く,樹木内部の点群が取得困難であるために,枝構造を忠実に再現したモデル構築を行えないという問題点が存在した.そこで本研究では,樹木を切断面に分割してから,枝中心点の推定と接続を行うことで,点群密度の低い点群データから枝構造を再現できる3Dモデル構築手法を提案した.加えて,樹木モデルの枝構造が樹木点群の構造を再現できているか精度検証実験を行った. |
CA-003 |
メルセンヌ素数とピタゴラス数との関係について
○林 大雅・林 佐千男(長構造研究会)・田中 敏幸(慶応義塾大学)
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CA-003メルセンヌ素数とピタゴラス数との関係について
○林 大雅・林 佐千男(長構造研究会)・田中 敏幸(慶応義塾大学)
メルセンヌ素数(Mp)は,2 の p 乗 - 1 が,(素数)になる数で, 2024年10月19日の時点で53個数が報告されている。(インターネット:GIMPS) ピタゴラス数(Pn)は,自然数(a<b<c)が,(c^2=b^2+a^2)の関係にある。 この両者,(MpとPn)の 関係について論ずる。(FIT-2025) |
CA-004 |
不確実な顧客需要の予測を目的とした混合ガンマ分布を仮定した深層分位点回帰
◎北嶋 謙一(滋賀大学/ゴーシュー)・今井 貴史(滋賀大学)
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CA-004不確実な顧客需要の予測を目的とした混合ガンマ分布を仮定した深層分位点回帰
◎北嶋 謙一(滋賀大学/ゴーシュー)・今井 貴史(滋賀大学)
生産計画や在庫量を最適化するために、データに基づいて需要予測を行う仕組みが必要である。しかし、様々な未観測要因によって変動する不安定な顧客需要を精確に予測することは困難である。そこで、分位点回帰のアプローチを採用し、顧客需要の不確実性を表現できるようにする。特に、今後の研究の発展に向けて、発注量が混合ガンマ分布に従うと仮定した分位点回帰を試みる。モデルには、市場と需要の複雑な関係性を表現することが可能なニューラルネットワークを用いる。提案手法を使用することで、実際の発注量の傾向を捉えた予測区間が得られることを確認した。 |
CA-005 |
ゲノム編集と機械学習を融合したスマート育種技術の開発
○小谷野 仁・黒羽 剛・吉田 均(農業・食品産業技術総合研究機構)
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CA-005ゲノム編集と機械学習を融合したスマート育種技術の開発
○小谷野 仁・黒羽 剛・吉田 均(農業・食品産業技術総合研究機構)
人口増加と温暖化による農耕地の劣化の下で作物生産量増加は世界的な課題となっているが、選抜と交雑による育種は 10 年程度の長い時間を必要とする。一方、育種で強く期待されているゲノム編集により現在行われているのは、従来の遺伝子ノックアウトでも可能であった遺伝子の機能喪失による表現型の改良である。所望の表現型を実現するには、その形質に関与する遺伝子の発現調節領域のどこをどう編集すれば良いのか分からないことが、ゲノム編集がそのポテンシャルを発揮できない最大の理由となっている。本発表では、望む表現型を実現する発現調節領域の配列を予測する学習機械を設計、実装し、イネの TAW1 と SD1 遺伝子を用いて、その予測性能を評価した結果を報告する。 |
CA-006 |
探索空間の探索難易度を考慮したIMODE
◎西尾 樹人・穴田 一(東京都市大学)
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CA-006探索空間の探索難易度を考慮したIMODE
◎西尾 樹人・穴田 一(東京都市大学)
単一目的連続最適化問題を解くアルゴリズムとして3つの探索手法から構成されるIMODEが注目されている。しかし評価値の変動の激しい領域と変化の緩やかな領域が混在する問題において、探索が困難な変動の激しい領域を十分に探索することなく緩やかな領域の局所解に陥ってしまうケースがあり、変動が激しい箇所はより重点的に探索するように改良すべきであると考えられる。そこで本研究では、各個体の評価値の変動を記録し、変動の激しい個体へ向かう探索を新たに追加することで探索が困難な変動の激しい領域内の優良解を逃さない探索の実現を目指す。 |
CA-007 |
GRPOを用いたスタッフスケジューリングにおける代替出勤依頼方策の獲得手法の提案
○横山 想一郎・山下 倫央・川村 秀憲(北海道大学)
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CA-007GRPOを用いたスタッフスケジューリングにおける代替出勤依頼方策の獲得手法の提案
○横山 想一郎・山下 倫央・川村 秀憲(北海道大学)
スタッフスケジューリングにおいては,シフト決定後に欠勤が発生することがあり,その対策として他の従業員への代替出勤依頼が行われる.本研究では,依頼の受諾確率や依頼の公平性を考慮しつつ,依頼回数と未充足勤務数を最小化する代替出勤依頼対象者の選定方策を獲得する手法を提案する.提案手法では,注意機構を備えたニューラルネットワークにより従業員間の関係性を捉え,依頼の優先度を出力することで方策を表現する.この方策の学習には,深層強化学習アルゴリズムであるGroup Relative Policy Optimization(GRPO)を用い、シミュレーション環境下で学習を行った.数値実験の結果,提案手法はルールベース手法と比較して,依頼回数および未充足勤務数の指標で優れた性能が確認された |
アルゴリズム |
9月3日(水) 13:10-15:10 2a会場
座長 正代 隆義(福岡工業大学) |
A-001 |
4連結ドーナツグラフの格子直線描画
五十風 輝・○三浦 一之(福島大学)
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A-0014連結ドーナツグラフの格子直線描画
五十風 輝・○三浦 一之(福島大学)
平面グラフGの描画で,Gの各点が整数格子の格子点上に配置され,Gの各辺が交差の無い直線分として描かれたものを格子直線描画という.nをGの点数としよう.n≧3なる平面グラフは,大きさ(n-2)×(n-2)の整数格子内に格子直線描画できる.グラフの制限をより厳しくすることによって得られた5連結p-k重ドーナツグラフおよび5連結p-5-k重ドーナツグラフは,O(n)の面積の整数格子内に格子直線描画できることが知られている
本論文では,5連結p-5-k重ドーナツグラフを拡張した4連結p-5-k重ドーナツグラフGの定義を与えるとともに,GをO(n)の面積の整数格子内に格子直線描画する線形時間アルゴリズムを与える. |
A-002 |
A*アルゴリズムによる3次元配線設計の効率化の検討
○廣岡 隆孝・増井 秀之(三菱電機)
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A-002A*アルゴリズムによる3次元配線設計の効率化の検討
○廣岡 隆孝・増井 秀之(三菱電機)
ものづくりの現場において、基板上のケーブル配線経路の検討には多大な時間を要し、納期遅延の一因となっている。この問題を解決するために、本研究では基板のCADデータおよび配線接続情報を基に、敷設作業性の良い配線経路を自動生成する手法を検討した。具体的には、第一段階としてCAD形状と配線制約を反映した制約付き3次元格子状グラフを作成し、第二段階としてA*アルゴリズムを用いた経路生成を行った。実際の製品を想定したCADデータで評価した結果、ケーブルの集約化や部品周辺領域の迂回などの配線制約を満たしつつ、最短経路を生成可能であることが確認され、現場の作業者から高い評価を得た。 |
A-003 |
二分決定グラフを用いた二次疑ブール関数の最小解列挙
◎松尾 毬花・川原 純・湊 真一(京都大学)
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A-003二分決定グラフを用いた二次疑ブール関数の最小解列挙
◎松尾 毬花・川原 純・湊 真一(京都大学)
二次疑ブール関数とは複数のブール変数が与えられた際に、2つの変数の積に重みを掛けた値の和の形で表される関数である。本研究では、二分決定グラフと呼ばれるデータ構造によって二次疑ブール関数の定義域が与えられる場合に、二次疑ブール関数の最小解を求め、二次関数の重みが最小となる集合をすべて含む二分決定グラフを構築する手法を提案する。さらにその性能を計算機実験により評価した。 |
A-004 |
巨大ナレッジグラフ向けの1メディアン問題に対する近似解法
◎植田 佳佑・呉 偉(静岡大学)
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A-004巨大ナレッジグラフ向けの1メディアン問題に対する近似解法
◎植田 佳佑・呉 偉(静岡大学)
本研究は,点と枝に重みを持つ無向グラフ上で,顧客点からの重み付き総距離を最小化する1メディアン問題を扱う.一部の応用では,巨大グラフにおいて顧客点が施設配置可能点(グラフ上の全ての点)に比べ極端に少なく密集し,顧客点から遠い点を調べる必要がないこともある. ダイクストラ法を用いた既存手法を示し,次に探索を途中で打ち切る3つの手法を提案する.提案手法1は近似率が2であることを示し,手法2, 3では1.618に改善できることを証明する.さらに顧客点が3以下の場合,全ての提案手法で最適解を保証することも示す.最後に,大規模な計算実験で計算効率を確認し,提案手法2, 3の近似率の上界を1.2に改善可能な点を議論する. |
A-005 |
危険度と混雑度を考慮した粘菌アルゴリズムによる分散避難経路の探索
◎水越 摂奈・伏見 卓恭・大野 由美子(東京工科大学)
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A-005危険度と混雑度を考慮した粘菌アルゴリズムによる分散避難経路の探索
◎水越 摂奈・伏見 卓恭・大野 由美子(東京工科大学)
災害の多発により事前の避難ルート策定の重要性が高まっている。しかし、従来の避難経路探索手法は、避難者の身体的条件や集団行動といった特性を十分に考慮していない。本研究では、避難経路ごとの危険度を反映した「安全確率」という指標を導入し、避難者が特定経路に集中しないよう分散を促す手法を提案する。粘菌アルゴリズムは複数経路を同時に導出でき、導電率を調整することで経路分散の重みづけが可能なため、これを基盤手法として採用する。本手法により、従来手法に比べ安全かつ柔軟な避難経路探索を実現することを目指す。技術的新規性として、粘菌アルゴリズムの分散制御特性を避難行動計画に応用する点が挙げられる。 |
A-006 |
CNNとPoint Transformerの融合による3次元物体検出の軽量化
◎坂井 優斗・嶋田 知泰(立命館大学)・孔 祥博(富山県立大学)・冨山 宏之(立命館大学)
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A-006CNNとPoint Transformerの融合による3次元物体検出の軽量化
◎坂井 優斗・嶋田 知泰(立命館大学)・孔 祥博(富山県立大学)・冨山 宏之(立命館大学)
3次元物体検出は自動運転システムの安全性向上に欠かせない技術であり、周辺環境を正確に認識することを可能とする。本研究では、従来手法が抱える「精度と計算コスト削減の両立」という課題を解決するため、局所特徴抽出に優れる畳み込み処理と、全体的な相互関係を捉えるPoint Transformerを組み合わせた新たなモジュールを提案する。実験の結果、パラメータ数を従来比で約31%削減しつつ、検出精度を約0.44%向上させることに成功し、精度と計算コスト削減の両立を実証した。本手法は、リソース制約の厳しいエッジデバイス環境における実用的な自動運転システムの開発に貢献することが期待される。 |
アルゴリズムとコンピュテーション |
9月3日(水) 15:30-17:30 3a会場
座長 白髪 丈晴(中央大学) |
A-007 |
辞書の共有化を用いたRange Coder法の性能評価
◎安井 秀太・喜田 拓也(北海学園大学)
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A-007辞書の共有化を用いたRange Coder法の性能評価
◎安井 秀太・喜田 拓也(北海学園大学)
データの保存コストや通信コストを低減するために、データ圧縮技術が用いられている。 これまで様々なデータ圧縮手法が提案されているが、なかでも算術符号を改良したRange Coder法は優れた圧縮率を達成するデータ圧縮手法として知られている。しかしファイル群に対してRange Coder法を用いると、ファイルごとに辞書構造を保存する必要がある。同じ種類のファイルに対して辞書を共有化することができれば、全体的な圧縮率の向上が期待できる。 一方で、ファイルの性質と一致しない辞書を用いた場合には圧縮の効率が悪化する可能性もある。本稿では、Range Coder法において辞書を共有化した際の圧縮性能について予備的な実験を行い、その結果を考察する。 |
A-008 |
LDPC符号に対するDC最適化復号法
◎白鳥 春菜・高野 祐一(筑波大学)
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A-008LDPC符号に対するDC最適化復号法
◎白鳥 春菜・高野 祐一(筑波大学)
「誤り訂正」とは、ディジタルデータの通信や記録中に雑音で生じた誤りを受信側で訂正し、送信者の意図する情報を推定する技術である。誤り訂正符号の一種である低密度パリティ検査(LDPC)符号の最尤復号問題は、非凸最適化問題として定式化され、一般に計算が困難である。本研究では、この問題に対してDC最適化に基づく効率的な復号アルゴリズムを提案する。提案手法では、非凸性をDC表現で緩和し、凸最適化問題に近似して反復的に解くことで高速かつ高精度な復号を実現する。数値実験により、従来手法と比べて計算時間を大幅に短縮しつつ、信頼性の低い通信路でも高い誤り訂正性能を確認した。 |
A-009 |
定数葉数無順序木の列挙に対する再帰的アプローチについて
◎豊島 海羅・正代 隆義(福岡工業大学)
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A-009定数葉数無順序木の列挙に対する再帰的アプローチについて
◎豊島 海羅・正代 隆義(福岡工業大学)
本論文では,葉数が定数である無順序木を重複なく列挙する再帰的手法を対象とする.無順序木は,子の順序を持たない根付き木構造であり,同型性の扱いが重要となる.そのため,列挙には構造の表現と分類が不可欠である.本研究では,整数nをk個に分ける順序付き分割の数P(n,k)を再帰的に構成する方法を基に,その考え方を発展させて無順序木の部分構造を構成する手法を検討する.T(n,k)を,葉数k,頂点数nの無順序木の個数と定め,その構造的特徴に基づいて分類と生成を行う方法について考察する. |
A-010 |
イマージュ・メモリーの提案
福田 美和・林 郁枝・原田 喜代子・久持 佳織・平尾 由紀江・佐々木 麻衣(所属なし)・○和田 平司(情報処理学会)・池上 祐介・内等 裕士・大場 裕子(所属なし)
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A-010イマージュ・メモリーの提案
福田 美和・林 郁枝・原田 喜代子・久持 佳織・平尾 由紀江・佐々木 麻衣(所属なし)・○和田 平司(情報処理学会)・池上 祐介・内等 裕士・大場 裕子(所属なし)
和田らはCodon Codeの理論を導いた。その考え方を用いるとイマージュ・メモリーの概念が出来、その時の回路構成を行ったので報告する。 |
A-011 |
ラテン方陣のシンボル候補を含む漏洩
◎樋渡 サム(静岡理工科大学)・沢瀬 光(静岡情報処理センター)・足立 智子(静岡理工科大学)
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A-011ラテン方陣のシンボル候補を含む漏洩
◎樋渡 サム(静岡理工科大学)・沢瀬 光(静岡情報処理センター)・足立 智子(静岡理工科大学)
部分ラテン方陣(空白あり)は、ヒント(セルの場所とシンボル)から、空白セルのシンボルが一意に定まることや候補が絞られることがある。 Cooper等(1994)はラテン方陣を秘密情報とする秘密分散法を提案したが、復元されなくても秘密情報の一部が漏洩する。シンボルが一意に定まる場合は、八木等(2024) が情報漏洩率を調べた。 本研究では、シンボル候補が絞られた時点で漏洩したとみなし、情報漏洩率を調べる。 |
A-012 |
Minimum Hub Cover Set 問題の近似困難性
◎鎌尾 祐汰・下薗 真一(九州工業大学)
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A-012Minimum Hub Cover Set 問題の近似困難性
◎鎌尾 祐汰・下薗 真一(九州工業大学)
Minimum hub cover set問題とは与えられた単純無向グラフG = (V, E)に対して, すべての辺について, その端点のうち少なくとも1つを含むか, 両端点に隣接する頂点を少なくとも1つ含む頂点の部分集合で, 要素数が最小のものを見つける問題である. この問題に, Minimum hitting set問題からの近似率保存還元を与えることで, NPがDTIME(nloglogn)に含まれない限り, 任意のεに対して近似率(1-ε)log|E|/|V|以内で解ける多項式時間アルゴリズムは存在しないことを示す. |
数理モデル化と問題解決(1) |
9月4日(木) 9:30-12:00 4a会場
座長 高野 祐一(筑波大学) |
A-013 |
金融ネットワークにおけるコロナショックのリスク定量化
◎鈴木 琉之介・足立 智子(静岡理工科大学)
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A-013金融ネットワークにおけるコロナショックのリスク定量化
◎鈴木 琉之介・足立 智子(静岡理工科大学)
金融ネットワークは、株価リターンをノード(頂点)とし、相関係数をリンク(辺)としたグラフで表すことができる。ある時刻tにおいて過去N日分(主にN=5, 20)のリターンからPearson相関係数を求め、重み付きグラフを作り、金融ネットワークを構成する。先行研究により、リッチ曲率は、金融ネットワークを特徴付ける量であり、金融危機などのイベントに反応できていることがわかっている。
本研究では、赤松・中川(2023)と赤松・中川・山田(2024)をもとに、金融ネットワークを、重み付き完全グラフで表す。先行研究では、N=20としてイベント前後15日間や前後20日間の計30~40日間におけるリッチ曲率の時間変化を観測していた。本研究では、長期間の変化を見るために、期間Nを一か月間の株式市場の取引日数とする。月ごとの時間変化を観測することで、コロナショック前後の12ヶ月間の変化を調べる。さらに、N=20として計40日間における時間変化と比較する。 |
A-014 |
サイズの異なる時系列カテゴリカルデータにおける組み合わせ最適問題の解法の比較
◎武石 悠希・山崎 綾一郎(静岡理工科大学)・髙井 健人(ジーニー)・山岸 祐己(静岡理工科大学/浜松医科大学/良品計画)・周 律旋・君島 真沙実・高林 貴仁(良品計画)
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A-014サイズの異なる時系列カテゴリカルデータにおける組み合わせ最適問題の解法の比較
◎武石 悠希・山崎 綾一郎(静岡理工科大学)・髙井 健人(ジーニー)・山岸 祐己(静岡理工科大学/浜松医科大学/良品計画)・周 律旋・君島 真沙実・高林 貴仁(良品計画)
ECサイトでは,消費者の評価が時間と共に動的に変わるため,その変動を正確かつ迅速に捉える手法の構築が重要である.本研究では,評価傾向の変化をモデル化する手法としてレジームスイッチングモデルに注目し,異なるサンプルサイズを持つジャンル別レビューデータに適用した.特に,分割数の推定において,様々な大きさのデータに対し適切な分割数を設定することを目的に,近似解と厳密解とで精度や実行速度に差が存在するか,また候補を複数持つことで極端な解を排除できるかということを,近似解と厳密解における複数の情報量基準を用いた分割数とその結果の違いについて比較・検討を行った. |
A-015 |
ネットワーク上の感染症拡散コンパートメントモデルにおけるマルコフ連鎖を用いた基本再生産数の定式化
○守田 智(静岡大学)
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A-015ネットワーク上の感染症拡散コンパートメントモデルにおけるマルコフ連鎖を用いた基本再生産数の定式化
○守田 智(静岡大学)
感染症の拡散過程を理解・予測する上で、数理モデルは極めて重要な役割を果たしている。中でもSEIRSモデルは、潜伏期や再感染の要素を考慮した現実的な枠組みとして広く用いられているが、その多くは個体間の接触が均一であるという前提に立脚している。しかし実際の人間社会における接触は、空間的・社会的な制約に基づく複雑なネットワーク構造を持つ。本発表では、ネットワーク上のSEIRSモデルに拡張された平均場近似を適用し、感染状態の遷移をマルコフ連鎖として定式化することで、基本再生産数の解析的導出を行う。これにより、ネットワーク構造の不均一性が感染拡大の臨界条件に与える影響を明らかにする。 |
A-016 |
EfficientNetとLSTMの統合モデルによる異なるデータへの汎化能力の検証
◎友光 祐輔・望月 久稔(大阪教育大学)
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A-016EfficientNetとLSTMの統合モデルによる異なるデータへの汎化能力の検証
◎友光 祐輔・望月 久稔(大阪教育大学)
近年では,大容量のデータを扱うことで深層学習による予測が可能となった.先の研究では特徴抽出にEfficientNetを,時系列学習にLSTMを用いた統合モデルにより為替予測において高い精度を示した.加えて構造面では,EfficientNetの畳み込み層に長方形カーネルを導入することで,時系列的な特徴抽出性能の向上が示唆された.一方で,モデルの汎用性は,画像や非時系列データを含む広範なデータ領域では十分に検証されていない.そこで,モデルの汎化能力を検証することを目的とし,為替以外のデータに対し同手法を適用し,決定係数やMAEなどの指標を用いてモデルの適応性を評価する. |
A-017 |
オープンデータを活用したアタックサーフェスマネジメント支援
◎松田 健(阪南大学/情報通信研究機構)・木村 良太・王 芸(阪南大学)・園田 道夫(情報通信研究機構)
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A-017オープンデータを活用したアタックサーフェスマネジメント支援
◎松田 健(阪南大学/情報通信研究機構)・木村 良太・王 芸(阪南大学)・園田 道夫(情報通信研究機構)
近年のサイバー攻撃の目的は多くは金銭の搾取であり,その標的は国家や企業だけでなく,個人にも広がっており,個人情報やシステムのログイン情報など,攻撃の被害から防御すべき情報も多岐に渡っている.本研究では,ネットワークからアクセス可能なIT資産を守るためのアタックサーフェスマネジメントの考え方を支援する仕組みを,ネット上から収集可能なオープンデータを用いて構築し,セキュリティ対策の評価を実現するモデリングの手法について検討する. |
A-018 |
介護士スケジューリングにおける過去の勤務表からの制約条件の抽出に関する研究
◎末永 康貴・小野 智司(鹿児島大学)
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A-018介護士スケジューリングにおける過去の勤務表からの制約条件の抽出に関する研究
◎末永 康貴・小野 智司(鹿児島大学)
介護施設における職員の勤務表は,多くの時間と労力をかけて手動で作成されることが多く,自動化が求められている.勤務表を自動作成する技術は広く研究されているが,介護施設は施設ごとに条件が異なるため,シフト表を作成する管理者にヒアリングを行い制約条件の設計をする必要がある.この作業は施設にとって大きな負担であり,勤務表作成システムの導入を妨げている.本研究は,制約テンプレートを用いて過去の勤務表から制約条件を自動抽出し,抽出した制約条件を用いて勤務表を生成する手法を提案する.また,勤務表生成時,制約条件を段階的に緩和することで強い制約条件を満たせない場合でも現実的な勤務表の生成が可能となる. |
A-019 |
Graph Attention Networkを用いた複数交通手段の動的均衡配分
◎小川 大智・羽藤 英二(東京大学)
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A-019Graph Attention Networkを用いた複数交通手段の動的均衡配分
◎小川 大智・羽藤 英二(東京大学)
交通拠点空間を設計する上で,結節される複数の交通手段の容量を評価することは重要である.通常の交通量配分アルゴリズムでは道路利用者間の均衡状態が仮定されるが,複数種類の利用者が存在する場合,均衡状態は必ずしも一つとは限らず,またある均衡状態が常に安定であるとは限らない.本研究では,複数交通手段の交通量配分問題において,day-to-dayの交通量の揺らぎを機械学習モデルの一つであるGraph Attention Network(GAT)を用いてモデル化する.ナッシュ均衡を緩和した相関均衡の概念を援用することで,交通手段間の選択の相関を柔軟に表現可能となる.また,GATを用いた実装により,実データに対して精度良く推定,シミュレーションが可能であることを示す. |
数理モデル化と問題解決(2) |
9月4日(木) 15:30-17:30 5a会場
座長 西川 広記(大阪大学) |
A-020 |
災害現場での分散協調による被災者捜索・救助手法の検討
◎田邊 隼士・尾崎 敦夫(大阪工業大学)
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A-020災害現場での分散協調による被災者捜索・救助手法の検討
◎田邊 隼士・尾崎 敦夫(大阪工業大学)
地震大国である日本において、大規模イベント時の効率的な救助体制構築は喫緊の課題であり、「72時間の壁」を踏まえた迅速な活動が求められる。我々は、大阪府・枚方市で開催される大規模市を対象に、マルチエージェントシミュレーション技術を用いて、地震発生後の救助隊員の連携による被災者捜索および救助方式の有用性を評価した。救助隊5部隊・被災者50人の条件下で、①情報共有なしランダム探索、②情報共有ありランダム探索、③分散協調探索の3パターンを比較した結果、制限時間内の救助人数は①25人、②32人、③46人となり、③が最多で救助者の生存確率も最も高かった。これにより、情報共有、特に分散協調探索が救助効率と生存率向上に有効であることを確認した。 |
A-021 |
分散協調型移動ロボットによる避難誘導手法:~障害物を考慮した評価検討~
◎岩本 健汰・尾崎 敦夫(大阪工業大学)
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A-021分散協調型移動ロボットによる避難誘導手法:~障害物を考慮した評価検討~
◎岩本 健汰・尾崎 敦夫(大阪工業大学)
大規模災害では、被災者を迅速に避難誘導する必要があるが、災害現場では、倒壊した建物などの障害物が多く、人手による避難誘導は危険が多い。このため、我々は、災害現場において、複数のロボットが、各々、目的地からの引力と、他のロボットとの斥力に基づいて協調することによる効率的な避難誘導方法を検討してきた。本稿では、これらの力に加えて、障害物からの反発力を合成し移動方向を決定する手法に関してシミュレーション評価を行った結果について報告する。結果として、50×50のグリッドマップ上で、避難者は100人とした場合、提案手法は、ランダム移動に対して、避難時間で平均225step、避難未完了者数で平均39人の削減を図ることが確認できた。 |
A-022 |
踏切の開閉を考慮した道路信号制御方式の検討
◎松本 仁誠・尾崎 敦夫(大阪工業大学)
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A-022踏切の開閉を考慮した道路信号制御方式の検討
◎松本 仁誠・尾崎 敦夫(大阪工業大学)
駅周辺では車が渋滞する傾向にあるが,その要因の一つに踏切での交通遮断が挙げられる.我々は,踏切での交通遮断による影響を緩和するため,踏切の開閉状況に応じて,その周辺にある信号を動的に制御する手法を検討した.具体的には,朝の通勤時には踏切が開く前に信号を順に青に切り替え,夕方の帰宅時には踏切が開いた後に同様の制御を行うことで,車両の滞留を抑制する仕組みである.大阪府枚方市の長尾駅周辺を対象にマルチエージェントシミュレーションによる評価を行った結果,従来の固定サイクル方式と比べて平均旅行時間が約16%,渋滞の長さが約40%短縮されるなど,提案方式による効果を示すことができた. |
A-023 |
正方形詰込み問題の数理最適化ソルバーによる解法と比較実験
○越村 三幸・信岡 大輝(九州大学)・岡本 和也(豊田自動織機)・木村 慧・横尾 真(九州大学)
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A-023正方形詰込み問題の数理最適化ソルバーによる解法と比較実験
○越村 三幸・信岡 大輝(九州大学)・岡本 和也(豊田自動織機)・木村 慧・横尾 真(九州大学)
正方形詰込み問題は、一辺が1,2,…,Nの連続したN個の正方形をより大きな正方形の枠内に重なりなく配置する問題である。本研究では、基本制約と対称性除去制約の二つの制約を数理最適化ソルバーZ3とGurobiに与えて解法実験を行った。52問を用いた比較では、Z3がGurobiに比べて6割ほど多くの問題を解くことができた。 |
A-024 |
河川氾濫リスク評価に対するLSTMと物理モデルの比較
◎ZHANG JIAXIN・岡崎 威生(琉球大学)
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A-024河川氾濫リスク評価に対するLSTMと物理モデルの比較
◎ZHANG JIAXIN・岡崎 威生(琉球大学)
降雨量を基にした河川氾濫リスク評価において、LSTMモデルと従来型の物理モデルとの性能比較を行った。防災対策の有効性向上に極めて重要である。本研究では、過去の降雨量および河川水位の時系列データを用いて、両手法の予測精度や安定性、データ不足時の予測可能性を検証し、それぞれの手法の適用条件および実務上の有効性を明確化した。 |
A-025 |
空間的エリア構造を考慮したLDAによる顧客分類モデルの提案
◎石原 光竜・岡崎 威生(琉球大学)
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A-025空間的エリア構造を考慮したLDAによる顧客分類モデルの提案
◎石原 光竜・岡崎 威生(琉球大学)
代行配車アプリに蓄積された顧客データを用いて、空間的エリア構造を特徴量として取り入れたLDA(Latent Dirichlet Allocation)による顧客分類手法を提案する。具体的には、DBSCANおよびGMMを用いて注文地点の密集地域をゾーニングし、顧客の行動パターンを柔軟に反映する特徴量を生成する。さらに、顧客の年代や利用時間帯などの基本情報を組み合わせたデータセットを設計し、LDAによる潜在的な顧客グループを抽出する。 |
コンピュテーションとプログラミング |
9月5日(金) 9:30-12:00 6a会場
座長 中村 和幸(明治大学) |
A-026 |
消失通信路における数独とModular Magic Sudokuの特徴
◎酒井 佳彦・野澤 友希・足立 智子(静岡理工科大学)
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A-026消失通信路における数独とModular Magic Sudokuの特徴
◎酒井 佳彦・野澤 友希・足立 智子(静岡理工科大学)
Modular Magic Sudoku(以下MMSuと略す)は、数独にある条件を追加したものである。追加された条件により、数独より少ないヒントで解を求めることができる。Nishiara等(2017)は、数独を符号語とみなし、消失通信路における数独符号語の復号誤り特性を調べた。本研究では、MMSuを数独符号語に用いることで、数独符号語の復号誤り特性の向上を図る。パズルから数独解を求める条件を追加したことにより、どの程度の変化があるかを調べた。 |
A-027 |
ランポートタイムスタンプを使ったピュアP2P型分散チェックポイントアルゴリズムにおける自発的な取得法
谷本 豊・○守屋 宣(近畿大学)
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A-027ランポートタイムスタンプを使ったピュアP2P型分散チェックポイントアルゴリズムにおける自発的な取得法
谷本 豊・○守屋 宣(近畿大学)
複数のプロセスが相互に通信を行う分散システムにおいて,あるプロセスが故障をおこしたときにロールバックするためのチェックポイントを取得する手法の1つとして,ランポートタイムスタンプにより同期してチェックポイントを取得する方法がある.この方法でチェックポイントを取得する際,事前に他のプロセスに問い合わせをすることで,チェックポイント取得の取得時間を短くすることができる.しかし,アプリケーションから自発的にチェックポイント取得を求められる場合,他プロセスへの事前の問い合わせが困難である.本発表では,そのような場合でもチェックポイント取得時間を短縮させる手法について考察する. |
A-028 |
一般化ZIXZAの計算複雑性について
◎成澤 宏知・元木 光雄(金沢工業大学)
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A-028一般化ZIXZAの計算複雑性について
◎成澤 宏知・元木 光雄(金沢工業大学)
ZIXZAは6面ダイスを駒として使用し,プレーヤが交互に行動し勝利を目指す二人用ゲームである.本ゲームの特徴として、天面の値を比べての駒の除去する仕組みや,複数の勝利条件を持つことがあげらる.勝利条件には,特定のマスへ駒を移動させるもの,相手の駒を一定数除去するものがある.ZIXZAのルールを基に盤面n×nへ一般化した場合,与えられた局面の必勝判定問題はEXPTIME完全に属すると考えられる.本研究では,回転行動を持たない一般化ZIXZAを,制約論理の一種である2CLからの多項式時間での還元を行うことで,EXPTIME困難であることを示す. |
A-029 |
集合差分進化における設定変数に関する考察
◎國永 優人・前田 道治(福岡工業大学)
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A-029集合差分進化における設定変数に関する考察
◎國永 優人・前田 道治(福岡工業大学)
アルゴリズムにおいて,パラメータは解の探索性能に大きな影響を与えるため,どのような値を設定するかが問題となる.特に差分進化法はスケール因子や交叉率など比較的少ないパラメータで構成されているため,それぞれの設定がアルゴリズムの収束速度や解精度に直接的な影響を及ぼす.本研究では,集合差分進化を対象に,スケール因子および交叉率の2つのパラメータが解の探索過程および最終的な解精度に与える影響を実験的に検証した.巡回セールスマン問題を用いた評価を行った結果,パラメータ設定が性能に大きく関わることが示され,今後のアルゴリズム設計に向けた有益な知見が得られた. |
A-030 |
8k次格子グラフモデルによる物体の解像度最大化
○夜久 竹夫(日本大学)・安斎 公士(関東学園大学)・岡田 直之・横山 隆介(応用オートマトン研究会)
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A-0308k次格子グラフモデルによる物体の解像度最大化
○夜久 竹夫(日本大学)・安斎 公士(関東学園大学)・岡田 直之・横山 隆介(応用オートマトン研究会)
(疑似)格子グラフモデルにおいて解像度低減図形の効果的な重なり検知と変形のために解像度復元図形が利用される。本論文は複数の2D, 3D, 4D 図形の解像度復元をそれぞれ16次、40次、96次(疑似)格子グラフにより定式化する.次に、それらを用いて、解像度復元アルゴリズムを示す.さらに、解像度復元アルゴリズムの重なり検知への応用を示す。 |
A-031 |
音声判定法によるプライバシー保護と発話区間認識の高精度化
◎河合 夏美・田崎 誠人・三木 良雄(工学院大学)
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A-031音声判定法によるプライバシー保護と発話区間認識の高精度化
◎河合 夏美・田崎 誠人・三木 良雄(工学院大学)
ビル街の公開空地における賑わいを定量化するために会話の測定が不可欠であるが,音声の録音はプライバシー侵害の問題がある.その点に関し,音を短い区間で分け、局部時間反転音声の技術を使用して音声の秘匿化が提案されているが,隣接する区間の音声が元の隣接関係と異なるために音源分離後の音声区間検出精度に限界があった.そこで本研究ではセキュリティとのトレードオフによる音声反転区間の拡大を図り,音声区間検出精度向上方法を提案する. |
A-032 |
グラフ書き換え言語LMNtalプログラムのトークンに基づく書き換え制御
◎岡村 朋佳・山本 直輝・上田 和紀(早稲田大学)
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A-032グラフ書き換え言語LMNtalプログラムのトークンに基づく書き換え制御
◎岡村 朋佳・山本 直輝・上田 和紀(早稲田大学)
本研究は,グラフ書換え言語LMNtalにおける書換え制御手法としてトークンを導入し,効率的な実行を実現することを目的とする.グラフ書換えは動的な構造変化を扱える柔軟なモデリング手法であるが,書換え対象の制御が容易でない.LMNtalは非決定性や並列性を許容するモデルである一方,複数の書換え候補からの選択制御を持たないため,特定経路のシミュレーションが再現しにくく,全経路探索では状態爆発の問題が発生する.本研究では,トークンがグラフ構造を巡回して書換え位置を制御することで,実行戦略の可視化や動的な構造制御を目指す. |
数理モデル化と問題解決(3) |
9月5日(金) 9:30-12:00 6b会場
座長 加藤 毅(群馬大学) |
A-033 |
心理学理論にもとづくエージェントシミュレーションによるポイ捨て行動および防止施策の分析
○富樫 智章(エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ)・立川 雄一(エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ/九州大学)・櫻木 俊輔(エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ)・谷本 潤(九州大学)
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A-033心理学理論にもとづくエージェントシミュレーションによるポイ捨て行動および防止施策の分析
○富樫 智章(エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ)・立川 雄一(エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ/九州大学)・櫻木 俊輔(エム・アール・アイ リサーチアソシエイツ)・谷本 潤(九州大学)
観光需要の増加に伴うオーバーツーリズムにより、観光地でのごみのポイ捨てに対する対策が求められている。集団としての人々の行動の理解は、社会課題の対策を考える上で重要であるが、社会実験は費用や労力、倫理的な制約から実現が難しいため、私たちはシミュレーションによる施策検討を探求している。心理学理論による場の影響として、自分の視界に入るごみの量がポイ捨て行動に影響を与える。この場の影響を行動確率に取り入れたエージェントモデルが既存研究で検討されている。私たちは、定期的な路上の清掃をモデルに組み込み、路上のごみの量のコントロールによるポイ捨て行動の抑制効果を定量化する枠組みを、新規の視点として構築した。 |
A-034 |
ジョブショップスケジューリング問題に対する反復局所探索法の近傍構造について
◎青山 優希・片山 謙吾(岡山理科大学)
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A-034ジョブショップスケジューリング問題に対する反復局所探索法の近傍構造について
◎青山 優希・片山 謙吾(岡山理科大学)
ジョブショップスケジューリング問題(JSSP)はNP困難であるため,高品質な近似解を実用時間内に算出するメタ戦略の研究が進められている.JSSPに対するメタ戦略の多くでは,集中化処理として局所探索が導入されており,改善が見込まれる近傍解の効率的な探索を必要とすることから,近傍構造の研究が極めて重要である.JSSPにおける近傍構造として,N5近傍,N6近傍,N7近傍がよく知られており,2023年に,より大きな近傍としてN8近傍が提案された.N8近傍は発表から日が浅いため,N8近傍を導入したメタ戦略の検証は十分でない.本研究は,メタ戦略の一種である反復局所探索法にN8近傍を導入し,その性能を評価する. |
A-035 |
目的セルへの誘導制約によるMEDAバイオチップ液滴ルーティングの高速化
◎濱千代 裕太・城 千春(立命館大学)・西川 広記(大阪大学)・冨山 宏之・山下 茂(立命館大学)
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A-035目的セルへの誘導制約によるMEDAバイオチップ液滴ルーティングの高速化
◎濱千代 裕太・城 千春(立命館大学)・西川 広記(大阪大学)・冨山 宏之・山下 茂(立命館大学)
近年、Micro Electrode Dot Array(MEDA)バイオチップと呼ばれる小型の実験装置が生化学や医療分野で注目されている。バイオチップ上での実験は、微量の液滴を目的のセルに向けて繰り返しルーティングして行われる。従来の手法では液滴の形状やサイズに依存する速度を考慮したものは少なく、また整数計画法に基づくため計算時間が長いという課題があった。本研究では、目的セルに導く制約を導入することで、サイズ2の液滴ルーティングを高速化する手法を提案する。実験により、既存手法と比較して、解の品質を維持しつつ平均約75%の計算時間短縮を達成した。 |
A-036 |
逐次重点サンプリングを用いたデータ同化による室内空気流動の推定手法とその有効性評価
◎細川 香音・中村 和幸(明治大学)
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A-036逐次重点サンプリングを用いたデータ同化による室内空気流動の推定手法とその有効性評価
◎細川 香音・中村 和幸(明治大学)
適切な空調による快適な室内環境の実現には,室内流速場の正確な推定とそれにもとづく流動設計・制御が必要である.しかし実際に家具などの障害物の配置を変えながら観測を繰り返して推定するのは,コストが高く現実的でない場合がある. 本研究では,観測データとシミュレーションを融合するデータ同化により,少数の観測データから効率的かつ高精度に室内流動場を推定する手法の適用可能性を検討した.特に,シミュレーション結果に擾乱を加えた複製サンプルに対し,逐次重点サンプリングを適用することで効率性と有効性を確保した.手法の有効性を検証するため双子実験を実施したところ,一定の条件において本手法が有効であることを見出した. |
A-037 |
処方的価格最適化における価格範囲の推定
◎猪熊 柾人・池田 春之介・高野 裕一(筑波大学)
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A-037処方的価格最適化における価格範囲の推定
◎猪熊 柾人・池田 春之介・高野 裕一(筑波大学)
売上を最大化するための価格最適化の手法として需要の予測モデルを学習し,予測モデルを用いて価格を最適化する処方的価格最適化が注目されている.しかし,この手法には予測誤差の影響で売上を過大評価してしまい,最適価格による将来的な売上が大きく減少してしまうという課題がある.本研究では交差検証による売上の推定量を用いて処方的価格最適化における合理的な価格範囲を推定する.価格範囲を適切に設定することで予測誤差による価格設定の誤りを防止し,価格を設定する際の負担を減らす効果が期待される.人工データを用いた数値実験により,提案手法で推定した価格範囲を適用すると,将来的な売上の減少を軽減できることを検証した. |
数理モデル化と問題解決(4) |
9月5日(金) 13:10-15:40 7a会場
座長 吉本 潤一郎(藤田医科大学) |
A-038 |
事前意向調査が出願に与える影響:埼玉県公立高校入試の事例と東京都立高校入試との比較
◎後藤 歩夢・矢﨑 敬人(工学院大学)
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A-038事前意向調査が出願に与える影響:埼玉県公立高校入試の事例と東京都立高校入試との比較
◎後藤 歩夢・矢﨑 敬人(工学院大学)
他人と自分が同時に意思決定を行う状況では、他人の意向を知らない場合が多いが、最終的な意思決定の前に、事前意向調査が行われているケースも存在する。都立高校入試の出願はそのような状況の一例であり、事前意向調査での倍率と相場となる倍率の差を埋めるようにして最終倍率が決定する傾向があることが明らかになっている。本研究では新たに埼玉県公立高校入試のデータを分析し、都立高校入試と比較する。大枠の結果は東京都と同様のものとなっているが、埼玉県の1年間における志望校調査の回数は東京都より1回分多いこともあり、一部異なる分析結果も得られている。本研究ではこの背景も検討する。 |
A-039 |
エッジコンピューティングのための自己組織化ニューラル木立
◎橋本 依樹・井上 浩孝(呉工業高等専門学校)
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A-039エッジコンピューティングのための自己組織化ニューラル木立
◎橋本 依樹・井上 浩孝(呉工業高等専門学校)
近年, 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの深層学習モデルが分類精度を向上させるために実用化されているが, 層数に比例して学習時間が増加する問題がある. 一方, 自己生成型ニューラルツリーに基づく多重分類器システム(MCS)の学習時間は短い. 我々は以前の論文で, ニューラルネットワークアンサンブルを効率的に分類する新たな剪定手法を提案し, このモデルを自己組織化ニューラル木立(SONG)と呼んだ. 本論文では, エッジコンピュータであるRaspberry Pi 3上で, MCS (剪定あり/なし), C4.5に基づくMCS, k近傍法を比較し, SONGの性能を調査した. その結果, SONGはおもちゃ問題に限らず, 分類精度を向上させ, 計算コストを削減できることが示された. |
A-040 |
無順序木パターンクラスに対する変分グラフオートエンコーダの設計と構造解析
◎稗田 桃子・正代 隆義(福岡工業大学)・松本 哲志(東海大学)・内田 智之(広島市立大学)
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A-040無順序木パターンクラスに対する変分グラフオートエンコーダの設計と構造解析
◎稗田 桃子・正代 隆義(福岡工業大学)・松本 哲志(東海大学)・内田 智之(広島市立大学)
本論文では,無順序木パターンに基づくグラフ生成手法として,変分オートエンコーダを応用した新たなモデルを提案する.無順序木パターンとは,葉に接続する辺の一部を変数とし,共通構造を表現するパターンである.提案モデルでは,こうしたパターンにマッチする無順序木集合を入力とし,新たな無順序木を生成する.生成モデルには変分オートエンコーダを用い,その設計と実装について述べる.さらに,生成結果が元のパターンにどの程度マッチするかにより,本手法の有効性を評価する. |
A-041 |
天災発生時における医薬品の最適配送計画
◎尾﨑 俊哉・野中 洋一・高橋 由泰(京都大学)
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A-041天災発生時における医薬品の最適配送計画
◎尾﨑 俊哉・野中 洋一・高橋 由泰(京都大学)
国土の約半分が豪雪地帯である日本では、積雪時の配送がライフラインである物流の重要課題である。特に医薬品のように特定時間内に配送が必要な喫緊性が高い物資では、当日の状況を踏まえた着実な配送計画が求められている。本研究では、刻刻と変化する積雪状況に対応した配送計画を対象として、気象予報を配送計画の数理モデルに組み込むことで特定時間内に配送可能な経路を導出する方法を提案する。配送手段としてはトラックとドローンの連携配送を対象とし、積雪によりトラックで通行不可な道路やドローンを飛翔させることができない状況を勘案した連携配送方法を編み出し、従来のトラック配送と比較したときの有効性を数値実験で評価した。 |