第12回
量子インターネットと量子サイバースペース

日時:2021年12月7日(火) 10:00~12:00
会場:オンライン開催

量子コンピュータや量子センサなど量子情報科学の研究の発展に伴い、量子ゲート操作や量子メモリの研究も飛躍的に進歩しています。この中で、量子情報をやり取りするインターネットである「量子インターネット」の研究開発が、世界的な盛り上がりを見せています。量子インターネットは量子ビットの伝送や量子もつれの共有を可能とし、量子鍵配送や量子認証といった量子通信アプリケーションに加えて、分散型量子計算や量子センサーネットワークなど量子技術どうしをつなぐ応用も期待されています。本セミナーでは量子インターネットの研究開発の先端動向と、現在のインターネットとの関係性、そして、量子サイバースペースの実現が拓く未来社会像について議論します。
  • [10:00-10:05]「趣旨説明」 嶋田 義皓(国立研究開発法人科学技術振興機構)
  • [10:05-10:35]「量子インターネットとは」 永山 翔太(株式会社メルカリ)
  • [10:35-11:05]「インターネットから量子インターネットへの展開」 村井 純(慶應義塾大学)
  • [11:05-12:00]「パネル討論:量子インターネットと量子サイバースペース」
  • オープニング[10:00-10:05]

    コーディネータ:嶋田 義皓

    国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー

    【略歴】JST 研究開発戦略センターフェロー。博士(工学、公共政策分析)。2008年東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了。2008年日本科学未来館科学コミュニケーター、2012年JST戦略研究推進部主査を経て、2017年4月より現職。2018年に政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策プログラム博士課程修了。専門分野は、物性物理、科学コミュニケーション、ICT、科学政策。著書に『量子コンピューティング 基本アルゴリズムから量子機械学習まで(情報処理学会出版委員会 監修)』(オーム社、2020)。

    セッション1[10:05-10:35]

    量子インターネットとは

    量子インターネットは、来る本格的な量子技術時代におけるコンピュータネットワーク基盤である。そのような時代には、量子コンピュータや量子センサーなどを搭載した量子デバイスのみならず、今我々が使っているコンピュータも、量子通信インタフェースを備えるなどして、量子インターネットを介して量子データをやり取りしたり、現行のデジタルデータ通信のセキュリティなどに役立てるであろう。量子コンピュータが計算力によって科学や産業、社会を革新すると期待されているように、量子インターネットも通信力によってこれらを革新すると期待できる。すなわち、量子インターネットは、量子コンピュータと共に、量子IT革命を引き起こすと目される。本講演では、量子インターネットの仕組みや研究開発の現状、世界の動向、見つかっているアプリケーション、現行インターネットとの統合などについて概説する。また、量子インターネットを実現するために情報技術分野が果たさなければならない研究開発について議論する。

    講師:永山 翔太

    株式会社メルカリ R4D(研究開発部) シニアリサーチャー

    【略歴】博士(政策・メディア)。専門は量子インターネット。特に、量子エラー訂正符号および量子インターネットアーキテクチャ・通信プロトコル。株式会社メルカリ研究開発部R4Dシニアリサーチャー/量子チームリーダー。2019年に量子インターネットタスクフォースを発足させ、代表を務める。IPSJ量子ソフトウェア研究会運営委員。過去には内閣サイバーセキュリティセンター研究・産学官連携戦略WG委員、IPA未踏ターゲット事業「分散量子計算プラットフォーム」、JSPS特別研究員、他。

    セッション2[10:35-11:05]

    インターネットから量子インターネットへの展開

    インターネットの技術は UNIXオペレーティングシステム と ARPAネットのパケット交換ネットワーク という1969年に開始された2つの独立した研究開発を起源としている。これらの両方の技術は 1970年代の後半 カリフォルニア大学バークレー校のBSDで融合され 結果として、現在のインターネットを前提とした社会がグローバルに形成された。更に、1989年から WWWが展開し、WWWの上に形成される公開鍵暗号系によってインターネットの本格的な社会応用が実現された。インターネット上の鍵配送問題を解決した公開鍵暗号技術は、安全性を担保したグローバル通信を実現し、インターネット利用者に安心を提供した。量子計算の速度やスケールなどの新しい計算技術に加えて、量子インターネットの技術は グローバルにつながったこれからのインターネット社会の基盤として 大きな役割を果たす使命がある。インターネット社会とそこに形成される新しい文明の担い手としての量子インターネットへの期待とこれからの戦略について議論する。

    講師:村井 純

    慶應義塾大学 教授

    【略歴】工学博士。1984年日本初のネットワーク間接続「JUNET」を設立。1988年WIDEプロジェクトを発足させ、インターネット網の整備、普及に尽力。初期インターネットを、日本語をはじめとする多言語対応へと導く。内閣官房参与、他各省庁委員会主査等を多数務め、国際学会等でも活動。2013年ISOCの選ぶ「インターネットの殿堂(パイオニア部門)」入りを果たす。「日本のインターネットの父」として知られる。

    パネル討論[11:05-12:00]

    量子インターネットと量子サイバースペース

    司会:嶋田 義皓

    国立研究開発法人科学技術振興機構 研究開発戦略センター フェロー

    【略歴】JST 研究開発戦略センターフェロー。博士(工学、公共政策分析)。2008年東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了。2008年日本科学未来館科学コミュニケーター、2012年JST戦略研究推進部主査を経て、2017年4月より現職。2018年に政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策プログラム博士課程修了。専門分野は、物性物理、科学コミュニケーション、ICT、科学政策。著書に『量子コンピューティング 基本アルゴリズムから量子機械学習まで(情報処理学会出版委員会 監修)』(オーム社、2020)。

    パネリスト:永山 翔太

    株式会社メルカリ R4D(研究開発部) シニアリサーチャー

    【略歴】博士(政策・メディア)。専門は量子インターネット。特に、量子エラー訂正符号および量子インターネットアーキテクチャ・通信プロトコル。株式会社メルカリ研究開発部R4Dシニアリサーチャー/量子チームリーダー。2019年に量子インターネットタスクフォースを発足させ、代表を務める。IPSJ量子ソフトウェア研究会運営委員。過去には内閣サイバーセキュリティセンター研究・産学官連携戦略WG委員、IPA未踏ターゲット事業「分散量子計算プラットフォーム」、JSPS特別研究員、他。


    パネリスト:村井 純

    慶應義塾大学 教授

    【略歴】工学博士。1984年日本初のネットワーク間接続「JUNET」を設立。1988年WIDEプロジェクトを発足させ、インターネット網の整備、普及に尽力。初期インターネットを、日本語をはじめとする多言語対応へと導く。内閣官房参与、他各省庁委員会主査等を多数務め、国際学会等でも活動。2013年ISOCの選ぶ「インターネットの殿堂(パイオニア部門)」入りを果たす。「日本のインターネットの父」として知られる。


    パネリスト:根本 香絵

    国立情報学研究所・教授

    【略歴】博士(理学) 専門は、量子コンピュータ、量子通信、量子計測など。量子の本質を活かした量子技術のデザインから、量子技術の発展と量子情報科学の深化を先導する。 国立情報学研究所量子情報国際研究センター長、総合研究大学院大学教授を兼任。量子技術高等教育拠点代表。米国物理学会及び英国物理学会フェロー。量子ICTフォーラム設立役員及び副代表理事。


    パネリスト:Rodney Van Meter

    慶應義塾大学 教授

    【略歴】1986年にカリフォルニア工科大学で工学および応用科学の学士課程、1991年に南カリフォルニア大学で計算機工学の修士課程を修了、2006年に慶應義塾大学で計算機科学の博士号を取得。近年の主な研究テーマは、量子コンピュータと量子ネットワークのアーキテクチャ。他に、ストレージシステムやネットワーク、ムーアの法則後のコンピュータアーキテクチャの研究にも従事している。現在、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス環境情報学部教授および慶應義塾大学量子コンピューティングセンター副センター長。 Quantum Internet Research Groupのco-chair、Quantum Internet Task Force のアドバイザリーボード、WIDE Projectのボードメンバーも務める。AAAS、ACM、APS、IEEE会員。


    パネリスト:高橋 優樹

    沖縄科学技術大学院大学 量子情報物理実験ユニット 准教授

    【略歴】2009年東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻博士課程修了。博士(工学)。2009年から2018年まで、サセックス大学にてポスドク研究員、さきがけ専任研究員、シニアリサーチアシスタントなどを務める。2018年東京大学先端科学技術研究センター特任助教。2019年大阪大学先導的学際研究機構特任准教授。2020年より現職。2019年から量子インタネットタスクフォースボードメンバーを務める。専門は量子光学、イオントラップ、実験物理学。現在は特に共振器量子力学に基づいた捕獲イオンと単一光子の量子インターフェースの実現に注力している。ムーショット目標6「イオントラップによる光接続型誤り耐性量子コンピュータ」プロジェクトマネージャー。