第7回
AI×ロボティクス(1)深層学習によるロボットの知能化

日時:2021年10月5日(火) 10:00~12:00
会場:オンライン開催

これまでの産業ロボットの多くは、剛体である部品を把持対象とし、ティーチングプレイバックにて動作していた。この産業ロボットに深層学習などの機械学習を組み合わせ、次世代スマート産業ロボットを実現する取り組みが数多く行われている。本セミナーでは、産業ロボットの知能化として、深層学習等によるロボットの知能化技術とその事例を紹介する。
  • [10:00-10:30]「深層学習によるロボットグラスピング」 藤吉 弘亘(中部大学)
  • [10:30-11:00]「深層学習による機能属性認識とロボットへの応用」 橋本 学(中京大学)
  • [11:00-11:30]「深層強化学習による実世界ロボット制御」 松原 崇充(国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学)
  • [11:30-12:00]「深層学習を適用した不定形物ピッキングロボットの開発」 川西 亮輔(東京ロボティクス株式会社)
  • セッション1[10:00-10:30]

    深層学習によるロボットグラスピング

    産業ロボットに深層学習を組み合わせて、日用品から食品などの多品種・柔軟物体を把持対象として扱う次世代スマート産業ロボットを実現する取り組みが数多く行われている。本講演では、次世代スマート産業ロボットを実現するための各処理である物体認識、把持位置検出、経路計画の処理について解説する。また、深層学習を用いた把持位置検出並びに把持動作の獲得に関する研究の最新動向について紹介する。

    講師:藤吉 弘亘

    中部大学 工学部ロボット理工学科 教授

    【略歴】1997年 中部大学大学院博士後期課程修了、1997年 米カーネギーメロン大学ロボット工学研究所Postdoctoral Fellow、2000年 中部大学工学部情報工学科講師、2004年 中部大学准教授、2005年より1年間 米カーネギーメロン大学ロボット工学研究所客員研究員、2010年 中部大学教授、産業技術総合研究所客員研究員を併任.博士(工学)。ロボカップ研究賞(2005年)、情報処理学会論文誌CVIM優秀論文賞(2009年)、電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ論文賞(2013年)、MIRU長尾賞(2019年、 2020年)などを受賞。

    セッション2[10:30-11:00]

    深層学習による機能属性認識とロボットへの応用

    より高度な知能ロボットの実現のためには、人間のように状況を理解し、柔軟で臨機応変な行動を生成する必要がある。本講演では、深層学習を利用してロボットが日用品の「機能」を認識し、その情報を利用して自ら動作を生成するなど、一連の応用事例を紹介する。機能属性としては、たとえばスプーンがもつ「すくう」という機能、コップがもつ「蓄える」という機能がある。これらを認識することによって、ロボットはその道具のどの部分をどのように把持し、どのように動かせばよいかを自分自身で判断し、動作を作り出すことができる。さらに、対象物の部分的な機能属性がわかると、その対象物の種類を推定することもできる。我々は、組立てロボットにおける機能属性利用した動作転移の研究もスタートさせており、現場でのロボットティーチングを省力化できた事例についても紹介する。

    講師:橋本 学

    中京大学 大学院 工学研究科 副学長・工学研究科長(兼務)

    【略歴】1987年、大阪大学大学院工学研究科修士課程修了後、三菱電機(株)生産技術研究所、先端技術総合研究所にて、ロボットビジョン、3Dセンシング、ヒューマン認識などの研究に従事。2008年、中京大学教授。2017年より同・工学部長、2021年より副学長・工学研究科長・ヒューマン・ロボティクス研究センター長を兼務、産業技術総合研究所客員研究員を併任。博士(工学)。

    セッション3[11:00-11:30]

    深層強化学習による実世界ロボット制御

    試行錯誤を通じて収集したデータから行動ルールを学習する強化学習は、ビデオゲームや囲碁などで人間以上の性能を実現したことで脚光を浴びている。しかし、膨大な数のサンプルデータを必要とするため、サンプルコスト(サンプル収集に要する時間と費用,故障のリスク)が高い現実のロボットシステムに適用することは容易ではない。本講演では、実世界のロボット制御への応用に向けて、近年我々が開発したサンプル効率の高い深層強化学習法やガウス過程に基づくモデルベース強化学習法を紹介する。さらに、不定形物を操作するロボット、化学プラント、小型船舶、ごみクレーンなどへの応用事例を紹介する。また、強化学習の実世界ロボット制御への適用性を高めるための様々な可能性についても議論する。

    講師:松原 崇充

    国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 研究推進機構 特任准教授(テニュア・トラック教員)

    【略歴】2007年12月奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士課程修了(博士(工学))。2008年1月より同大同研究科助教、2016年1月准教授。2019年1月より現職。2008年4月よりATR脳情報研究所客員研究員、2016年10月より産業技術総合研究所客員研究員兼任。2013年1月から1年間、オランダ・ラドバウド大学ナイメーヘン校訪問研究員。平成24年度および平成30年度日本神経回路学会論文賞、IEEE RO-MAN2015 RSJ/KROS Distinguished Interdisciplinary Research Award、IEEE-RAS Humanoids2016 Best Oral Paper Awardなどを受賞。

    セッション4[11:30-12:00]

    深層学習を適用した不定形物ピッキングロボットの開発

    ロボットアームに3Dセンサを組み合わせて自律的に物体をピッキングさせる技術は、ロボティクス分野においてホットな研究分野である。その中でも不定形物を正確に把持することはいまだにチャレンジングな課題である。本講演では、東京ロボティクスが2021年1月にリリースした3次元カメラ「Torobo Eye SL40」を用い、不定形物を認識する深層学習を適用したピッキングロボットについて紹介する。対象物が不定形物であるにもかかわらず、高速かつ高精度なピッキングを実現している背景技術として、不定形物を認識する深層学習に用いる学習データセットの生成方法などについても紹介する。

    講師:川西 亮輔

    東京ロボティクス株式会社 ソフトウェア開発マネージャー

    【略歴】2012年、静岡大学創造科学技術大学院博士後期課程修了(博士(工学))。同年、三菱電機株式会社に入社。先端技術総合研究所にてロボットビジョン、3Dセンシングなどの研究開発に従事。2020年より東京ロボティクス株式会社に入社し、3次元カメラを用いたロボット知能化に関する研究開発の企画と実務を担当。IEEE Robotics and Automation Society Japan Chapter Young Award(IROS2009)、R&D100Awards(2014年)、FA財団論文賞(2014年)などを受賞。