第5回
AI,創造性,SF,その先に(1)

日時:2021年9月6日(月) 13:00~15:00
会場:オンライン開催

政府にデジタル庁が新設されることに象徴されるように情報処理技術はポストコロナ社会の根幹を支えるものとなりました。AIが何を指すのかの厳密な定義はないものの、情報処理技術の中のフロンティアを指していると思われます。AIという一見よくわからない分野を中に抱えていることが情報処理技術の発展性を担保していると言えるかもしれません。最近のAIはこれまで扱わなかった創造性を研究対象と含むようになりました。SFはこれまでAIにさまざまな目標イメージを与えてくれましたが、これからは進歩しつつあるAIがSFを刺激してさらに奇抜な目標を提供してくれるでしょう。AIはそれ単独としてではなく情報処理技術の一部として社会を支えていくことが期待されます。ここでは創造性、SFで最前線の話題を取り上げます。いまの情報処理技術の「その先」を考える機会になればと考えています。
  • [13:00-13:40]「「AI,創造性,SF,その先に」何があるか」 松原 仁(東京大学)
  • [13:40-14:20]「ポスト身体社会: Society5.0のための新たな身体」 稲見 昌彦(東京大学)
  • [14:20-15:00]「人工知能と俳句~機械が知能を獲得するために~」 川村 秀憲(北海道大学)
  • セッション1[13:00-13:40]

    「AI,創造性,SF,その先に」何があるか

    AIの定義はいろいろありますが、人間にできてコンピュータにできないことを見つけてそれをコンピュータにできるようにするという説明がなされる場合があります。AIの歴史を振り返ると確かにそのように進んできたように見えます。SFはHAL9000であったり鉄腕アトムであったりといったまだコンピュータにできていない目標イメージを与えてくれました。創造性はコンピュータにできないことの典型でしたが、いまやそれがAIの最先端になっています。AIがさらに進歩した先には何があるのでしょうか。これからの社会を支える情報処理技術はどうあるべきなのでしょうか。ここでは筆者のこれまでの研究に基づいて、AIはどこから来てどこを目指すのかを考えます。

    講師:松原 仁

    東京大学 次世代知能科学研究センター 教授

    【略歴】1986年東大大学院情報工学専攻博士課程修了。工学博士。同年通産省工業技術院電子技術総合研究所(現産業技術総合研究所)入所。2000年公立はこだて未来大学教授。2020年東大AIセンター教授。人工知能、創造性、ゲーム情報学などに興味を持つ。著書「鉄腕アトムは実現できるか」、「先を読む頭脳」、「AIに心は宿るのか」など。元情報処理学会理事。元人工知能学会会長。

    セッション2[13:40-14:20]

    ポスト身体社会: Society5.0のための新たな身体

    現在我々はSociety4.0とも位置付けられる情報化社会に生きている。そして情報化とは脱物質化・脱身体化とも換言できる。情報化により様々なサービスやビジネスが生まれた。今回のコロナ禍であっても、大学や企業において講義や会議を辛うじて行うことができたのも情報化の貢献といえる。しかしながら、現状の遠隔会議システムをはじめとする情報ツールを介したコミュニケーションにおける身体性の喪失により、諸問題が顕在化しつつある。テレイグジスタンス技術やアバター技術、触覚技術などは情報化社会に身体性を取り戻す、いわばポスト身体社会を目指した試みともとらえることができる。本講演ではポスト身体社会にける多様な身体性を扱うための研究「自在化身体」について紹介するとともに、多様な身体性を包摂する社会としてのSociety5.0を展望する。

    講師:稲見 昌彦

    東京大学 先端科学技術研究センター 教授

    【略歴】東京大学先端科学技術研究センター教授。JST ERATO稲見自在化身体プロジェクト 研究総括。博士(工学)。電気通信大学、慶應義塾大学等を経て現職。自在化技術、Augmented Human、エンタテインメント工学に興味を持つ。米TIME誌Coolest Invention of the Year、文部科学大臣表彰若手科学者賞などを受賞。超人スポーツ協会共同代表。VRコンソーシアム理事。著書に『スーパーヒューマン誕生!人間はSFを超える』(NHK出版新書)、『自在化身体論』(NTS出版)他。

    セッション3[14:20-15:00]

    人工知能と俳句~機械が知能を獲得するために~

    強い人工知能を実現するためには何が必要なのか。ディープラーニングによる俳句生成の取り組みの紹介、そしてそこから見えてくる研究課題とそれを乗り越える方法論について講演する。

    講師:川村 秀憲

    北海道大学 大学院情報科学研究院 情報理工学部門 調和系工学研究 教授

    【略歴】2000年3月北海道大学大学院工学研究科システム情報工学専攻博士後期課程期間短縮修了。同年4月同大学助手。2006年同大学准教授、2016年同大学教授となり現在に至る。1999年~2000年、日本学術振興会DC特別研究員。2007年~2008年、日本学術振興会海外特別研究員、ミシガン大学客員研究員。