G分野 生体情報科学 |
選奨セッション 生体情報科学 |
8月25日(水) 9:30-12:00 1f会場
座長 内部英治(ATR)
奥野竜平(摂南大) |
CG-001 |
作業現場におけるヒューマンエラーポテンシャルの推定手法の検討
○大橋洋輝・永吉洋登(日立)
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CG-001作業現場におけるヒューマンエラーポテンシャルの推定手法の検討
○大橋洋輝・永吉洋登(日立)
本研究では、作業現場におけるヒューマンエラーの低減を目指し、その発生リスクの大きさをカメラや生体センサのデータを用いて定量化することを目標としている。人の内面状態を推定する既往研究の多くは、大きく身体を動かさない状況を暗に仮定しており、これらを作業現場にそのまま適用することは難しい。本研究では、生体指標の計算過程を確率的にモデル化し、生体指標の性質に関する知見を事前情報として組み込むと共に、映像等から得られる動き情報を組み合わせることで、頑健な生体指標の推定を行う。研究室環境において10 名の被験者により評価実験を行ったところ、70% 超の精度でヒューマンエラーが発生しやすい状況を識別できた。 |
CG-002 |
P300応答を用いたBCIの検討
◎関口遼一・川勝真喜(電機大)
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CG-002P300応答を用いたBCIの検討
◎関口遼一・川勝真喜(電機大)
BCIにおけるインタフェースとしてP300を用いる方法がある.P300は,外部の視覚・聴覚刺激によって誘発される電位の一種であり,刺激後潜時300ms~500msの区間に表れる.選択対象に対するP300をとらえることで,対象の選択や文字入力が可能になる.P300-Spellerは,P300を利用して文字を綴るためのシステムである.マトリックス状に文字を配置し、各行・列を,限られた時間で同じ回数だけ光るように組まれた疑似ランダムで点灯する.その光刺激で誘発されるP300を検出することで,ユーザが綴りたい文字を特定する.本研究では,様々なアプリケーションで使用できるBCIを用いた汎用インタフェースの開発を目指す.脳波の計測は非侵襲型の装置を用いて行なう.今回はP300-Spellerの実験の結果とP300検出について報告する. |
CG-003 |
Hessian-Free法を用いたEcho State Networkの構造探索
◎濱地優輝・平川 翼・山下隆義・藤吉弘亘(中部大)・山口 裕(福岡工大)・津田一郎(中部大)
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CG-003Hessian-Free法を用いたEcho State Networkの構造探索
◎濱地優輝・平川 翼・山下隆義・藤吉弘亘(中部大)・山口 裕(福岡工大)・津田一郎(中部大)
Echo State Networkは,入力層,Reservoir層,出力層からなり, Reservoir層内でノード同士の結合を行い,出力層重みのみ学習するため, 脳の構造に近いモデルであると言われている. しかし,入力層とReservoir層の重みパラメータの決定法が ランダムであるため精度が低いという問題がある. これを解決する手法として,遺伝的アルゴリズムで Reservoir層のネットワーク構造と重みパラメータを探索する手法が提案されている. しかしながら, 本手法では連続値である十分な重みパラメータの探索は困難である. 本研究では,Hessian-Free法を用いてEcho State Networkの構造探索を行う手法を提案する. 評価実験では,提案手法による早い世代での識別精度の向上と,最終精度の向上が可能となる事を示す. |
ニューロコンピューティング |
8月25日(水) 13:10-15:10 2g会場
座長 内部英治(ATR)
座長補佐 栗川 知己(関西医科大) |
G-001 |
学習効果を考慮した神経細胞同期シミュレーション
◎池田 翔・伊藤利明(同志社大)
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G-001学習効果を考慮した神経細胞同期シミュレーション
◎池田 翔・伊藤利明(同志社大)
厳密な脳波シミュレーションには,学習効果を考慮する必要がある.本研究では,初めにミクロスケールでの脳波シミュレーションを目的とした.神経細胞数を100個,興奮性細胞数と抑制性細胞数の比率を4:1と仮定し,シナプス電流とSTDPを導入したIzhikevichモデルを作成した.結果として,興奮性細胞と抑制性細胞が混合した神経細胞群で同期現象が確認できた.さらに学習効果を高めることで同期周期が変化し,ヒトが学習することで顕著に現れる脳波の振る舞いが再現できた.以上より,学習効果を考慮したミクロスケールでの脳波シミュレーションができた. |
G-002 |
MEGにおける機械学習による機能的ネットワークに関する検討
◎前田泰希・塚原彰彦・田中慶太(電機大)
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G-002MEGにおける機械学習による機能的ネットワークに関する検討
◎前田泰希・塚原彰彦・田中慶太(電機大)
脳の構造的・機能的ネットワークを解析するための、グラフ理論によるアプローチには、いくつかの問題点がある。関心領域や、クラスタリング係数に代表されるノード間を結ぶエッジを決定するパラメータの数が多いため、偽陰性率を大きくするようなパラメータが設定される可能性がある。また、クラスタリング係数の平均値は、これの分散と正の相関があるため、サンプル数が多いと、クラスタリング係数の平均値が大きくなる可能性がある。本研究では、脳領域間の機能的ネットワークを、グラフの構造特徴によって推定することを目的とする。また、本稿では、構造特徴を機械学習によって得た結果を報告する。 |
G-003 |
敵対的生成ネットワークを用いた脳波と絵画の関係性評価
◎高木隆ノ介・稲垣圭一郎(中部大)
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G-003敵対的生成ネットワークを用いた脳波と絵画の関係性評価
◎高木隆ノ介・稲垣圭一郎(中部大)
近年,ヒトの脳を模したニューラルネットワークの認識能力が注目されている.特にデータから特徴を学習し,学習データの特徴に沿った実在しないデータを生成する敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Networks: GAN)は,様々な分野で活用されている.本研究では,GAN学習による絵画の意匠や世界観の獲得ならびにヒトの情動との関係性評価を目的とし,快・不快など情動を反映する脳波と印象派や表現派の著名な絵画をCycleGANで学習した.脳波と絵画の関係性を,脳波の周波数成分を基準に評価したところ,画像変換に用いる脳波の周波数帯域によって異なる意匠や世界観をもつ絵画が出力されることが確認された. |
MEとバイオサイバネティックス |
8月25日(水) 15:30-17:30 3h会場
座長 奥野竜平(摂南大)
座長補佐 中村英夫(大阪電通大) |
G-004 |
脳波の複雑性解析を用いた概日リズムの推定
◎飯沼佑太・信川 創(千葉工大)
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G-004脳波の複雑性解析を用いた概日リズムの推定
◎飯沼佑太・信川 創(千葉工大)
人間は体温やホルモン分泌など体の基本的な機能において約24時間のリズム(概日リズム)を示し,気分障害などの精神疾患における睡眠障害に概日リズムの乱れが関連している.これらの治療法の一つとして時間生物学的治療(Chronotherapy)がある.この治療法の治療強度を最適化するために概日リズムの乱れを計測する事が求められる.本研究では,簡易脳波計を用いて被験者に対して昼と夜で脳波を測定し,脳波データの複雑性を解析し覚醒度に着目して概日リズムの推定を行なった.その結果,前頭部と中心部で夜より昼の脳波の複雑性が高いことが確認できた.これは,昼に覚醒度が高く夜に覚醒度が高いことが言え,概日リズムと同期していることが分かった. |
G-005 |
Emotiv EPOC脳波計におけるサンプリング周波数調査
◎安部賢二・川勝真喜(電機大)
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G-005Emotiv EPOC脳波計におけるサンプリング周波数調査
◎安部賢二・川勝真喜(電機大)
簡易脳波計を用いたBCIでは, Emotiv社製(EPOC)の脳波計を用いる事が多いと思われる. 我々は, この脳波計を用いてBCIの実験や開発を行っており, 解析に重要なサンプリング周波数の調査を行うため, GNSS受信機から出力される1PPS信号を基準クロックとして脳波計に入力した. そして, 脳波計から出力されるデータを解析したところ, サンプリング周波数が仕様と異なっていた事が判明した. |
G-006 |
呼吸・脈波信号の周期性にもとづく6次元正規分布における睡眠時無呼吸状態推定手法
◎小濱美咲・浜田百合(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大)
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G-006呼吸・脈波信号の周期性にもとづく6次元正規分布における睡眠時無呼吸状態推定手法
◎小濱美咲・浜田百合(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大)
近年、睡眠時無呼吸症候群が世界的に問題となっている。睡眠時の無呼吸状態は自覚が難しく受診率が低い。そのため、潜在患者が症状を自覚するための無呼吸検出手法が開発されている。しかし先行研究では患者の体格の違いによる無呼吸検出精度への影響が課題となっている。そこで本研究では、無拘束に取得された呼吸、脈波信号をもとに、自己相関で検出した呼吸、脈の基本周波数、高調波成分を求め6次元の正規分布を構築し、その分布にたいする尤度から無呼吸状態を推定する手法を提案する。8名の被験者での検証実験の結果、F値0.8となった。以上より、本提案手法により無呼吸状態を体格の違いによらず高精度に推定可能であることを示した。 |
G-007 |
周波数ピーク推定手法に基づくいびき様肺雑音の検出
◎青柳裕介(東理大)・鈴木美穂子・外崎明子(看護大)・田畑耕治・桂田浩一・大村英史・澤田 隼(東理大)
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G-007周波数ピーク推定手法に基づくいびき様肺雑音の検出
◎青柳裕介(東理大)・鈴木美穂子・外崎明子(看護大)・田畑耕治・桂田浩一・大村英史・澤田 隼(東理大)
肺疾患に罹患している患者の肺の機能は健常者に比べて低いため,感染症に罹患したときの重症化リスクが高い. また、感染症の患者の呼吸音にはロンカイといういびき様の音が聴取できることが知られている. そこで,本研究では感染症の早期発見のためのロンカイ検出手法を提案する. 提案手法は,短時間フーリエ変換及び周波数ピークの検出処理後,その他の肺雑音と音響的特徴の差異からロンカイを特定する. 検証実験として,提案手法でロンカイとその他の連続性雑音の分類を行った結果,周波数ピークの時間変化の大きさの有効性が認められた. |
G-008 |
外傾インソールの装着が下肢動作に及ぼす影響
◎高橋栄一・伊藤昭久・鹿嶋祥太・嶌田 聡(日大)
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G-008外傾インソールの装着が下肢動作に及ぼす影響
◎高橋栄一・伊藤昭久・鹿嶋祥太・嶌田 聡(日大)
歩行や走行、および各種スポーツでの重心移動を伴う動作において、足底や下肢の機能の活用を向上させたり、負荷を低減させたりすることは運動のパフォーマンス向上や怪我の予防の点から重要なテーマである。本稿では、外傾インソールを靴に装着することがポジティブに作用するという仮説を設定し、それを検証するための実験を行った。第一報として、男子大学生の自由歩行を対象として足底の圧力分布や下肢の姿勢変化に関する計測結果を報告する。 |
バイオ情報学と医用画像 |
8月26日(木) 9:30-12:00 4h会場
座長 佐藤健吾(慶大)
座長補佐 伊藤康一(東北大) |
G-009 |
サロベツ湿原泥炭採集地環境再生のための微生物叢メタゲノム解析
◎三田稜一朗・小川 仁・齊藤玉緒・矢入郁子(上智大)
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G-009サロベツ湿原泥炭採集地環境再生のための微生物叢メタゲノム解析
◎三田稜一朗・小川 仁・齊藤玉緒・矢入郁子(上智大)
ラムサール条約に代表されるように、世界的に湿地帯の環境保全・再生の重要性が認識されるなか,日本でも環境省主導によって各種取り組みが行われている.その一つの手段として、近年の微生物叢メタゲノム解析手法の発達を背景に、水や土壌を生物学的に分析することが環境保全・再生に有効であると期待されている.本研究はサロベツ湿原の泥炭採掘地を対象に、微生物叢のサンプル収集・メタゲノム解析を通して、湿原再生に向けた提言を行うことを目的とする.本稿は、数十年に渡って植生が再生しない2地点の土壌3箇所を,2018年から2019年の間に6回採取した約50サンプルについて,サンプル間のβ多様性を分析して報告する. |
G-010 |
ADHDにおける瞳孔制御モデルの構築
◎熊野 開・信川 創(千葉工大)・白間 綾(国立精神・神経医療研究センター)・高橋哲也・戸田重誠(金沢大)
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G-010ADHDにおける瞳孔制御モデルの構築
◎熊野 開・信川 創(千葉工大)・白間 綾(国立精神・神経医療研究センター)・高橋哲也・戸田重誠(金沢大)
多動性症候群(ADHD)の病態は,青斑核(LC)の過活性と左右の活動の非対称性にあることが知られている.LCは交感神経と副交感神経の起点になっており,瞳孔径に影響を与えていることが分かっている.また,LCから副交感神経への投射では,エディンガー・ウェストファル核(EWN)への左右の同側部分と対側部分の両方に働くことが明らかになっている.このような複雑な制御機構のもとで瞳孔径が制御されているので,LCの過活性や活動の非対称性がどのように瞳孔径に現れるかはわかっていない.そこで,制御モデルを作成してLCの過活性と活動の非対称性が,どのような瞳孔径の挙動になるかをシミュレーションした.シミュレーションしたモデルの瞳孔径はADHDの特徴が表れたものになった. |
G-011 |
ハッシュ関数を用いた色付きde BruijnグラフによるDNAシーケンスリードのインデックス
◎長谷川望・清水佳奈(早大)
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G-011ハッシュ関数を用いた色付きde BruijnグラフによるDNAシーケンスリードのインデックス
◎長谷川望・清水佳奈(早大)
色付きde Bruijnグラフは,特定の入力配列に割り当てた色を対応するノードやエッジに記録する.例えば,リードごとに異なる色を割り当ててノードに記録すれば,リードに準じたノード遷移が可能となるため,ゲノムアセンブリに基づく様々な解析の精度向上が望める.一般的にノード遷移などの操作は索引を用いて高速化する.しかし従来の索引法では,複数の後継ノードが同じ色をもつ場合があり,多くの入力配列の復元に失敗する問題があった.そこで本研究では,ハッシュ関数を用いて入力配列の途中で色を変化させることで,辿るべき後継ノードを一意に定める索引法を提案する.シミュレーションによる実験では,従来法と比較してより多くのリードをグラフから復元できた.提案手法は,従来復元が難しかった領域の解析に寄与することが期待される. |
G-012 |
Attenuation Correction Factors Generation of a Dedicated Brain PET System with Time-of-Flight Information Using a High-resolution Compact Network
◎Tuo Yin・Takashi Obi(東工大)
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G-012Attenuation Correction Factors Generation of a Dedicated Brain PET System with Time-of-Flight Information Using a High-resolution Compact Network
◎Tuo Yin・Takashi Obi(東工大)
Attenuation correction of annihilation photons is essential in PET image reconstruction process for providing accurate quantitative information on the activity maps. In the absence of an aligned CT device to obtain attenuation information in a dedicated brain PET system, we extract attenuation correction factors (ACF) directly from Time-of-Flight (TOF) PET emission data using a High-resolution Compact Network (HC-Net). HC-Net utilizes 2-D small kernels, dilated convolution and modified residual connections to reduce parameters and enlarge the receptive field. HC-Net generates more accurate ACF in comparison to MLACF algorithm with a lower NRMSE and higher SSIM and PSNR. |
G-013 |
4次元超曲面曲率に基づくFDG-PET画像上のがん陰影の特徴解析
◎朝戸天翔・戸崎哲也(神戸市立高専)・千田道雄(先端医療センター)
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G-0134次元超曲面曲率に基づくFDG-PET画像上のがん陰影の特徴解析
◎朝戸天翔・戸崎哲也(神戸市立高専)・千田道雄(先端医療センター)
FDGは悪性腫瘍だけでなく、脳などのグルコース代謝の盛んな器官に生理的に集積する傾向がある。そのため、FDG-PET像によるがんの診断は腫瘍への集積とそれ以外の集積を判別することが難しいという問題がある。我々は4次元超曲面曲率に対応する曲率ベクトルに注目し、各器官や病変組織周囲の曲率ベクトルの方向や大きさから、腫瘍集積と生理的な集積を判別できるかを調査した。結果、病変組織と考えられる部位では、周辺の陰影から集積している傾向があることが確認できた。生理的な集積が見られる器官では、ベクトルの方向が臓器の生理的特徴と一致しており、各器官の機能がベクトルの方向や大きさによって表現できる可能性を示した。 |
G-014 |
心臓核医学における心筋抽出のためのU-Netの拡張に関する一検討
○和田直史・菊池明泰・鈴木昭弘・川上 敬(北海道科学大)
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G-014心臓核医学における心筋抽出のためのU-Netの拡張に関する一検討
○和田直史・菊池明泰・鈴木昭弘・川上 敬(北海道科学大)
本研究は,心臓核医学検査における核医学画像から心筋領域を自動で抽出し,診療放射線技師の読影支援および医師の診断支援を行うことを目的としている.医用画像における臓器領域の検出は既に多くの研究がなされており,近年は深層学習を用いて高精度な検出が可能となっている.しかしながら,これまでの研究の多くはCTやMRIを対象としたものであり,核医学を対象とした研究は未だ多くない.本稿では,深層学習を用いたSemantic Segmentationの一手法であるU-Netをベースとし,心臓核医学画像における高精度かつ低コストな心筋領域抽出の実現に向けて種々の拡張手法について検討を行う. |