連続セミナー2025「AIが拓く次世代イノベーション」
第7回【10月2日(水) 13:00~ 16:00】 ※オンライン開催(Zoomウェビナー)
AIロボット駆動科学
AIと実験ロボットを活用して科学研究の方法論を再構築する「AIロボット駆動科学」が注目を集めています。光触媒探索やiPS細胞分化、機械学習研究の全自動化、さらにはドラッグリポジショニングや材料探索などより実用に近い領域での仮説生成など、様々な事例が現れて来ています。この背景には、近年の大規模言語モデルの進展により文献理解、研究計画の自動立案、実験の自律実行といった革新が進んでいることがあります。本ワークショップでは、こうした新潮流の背景や意義、社会への波及可能性を多角的に考察し、科学の未来像とその発展に向けた課題について議論を深めます。AIロボット駆動科学は、実験科学の加速にとどまらず、知の再統合と新たな価値創造を導く可能性を秘めており、日本の科学技術力と社会の持続的発展に不可欠な戦略領域となりつつあります。
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[13:00-13:05]オープニング
高橋 恒一(国立研究開発法人理化学研究所 科学研究基盤モデル開発プログラム(AGIS)共通基盤開発・整備プロジェクト プロジェクトディレクター)
【略歴】2004年慶應義塾大学で学位取得。2009年より理化学研究所で研究室を主宰。大阪大学大学院医学系研究科システム生物学講座連携教授、同生命機能研究科招聘教授などを併任。RBI株式会社最高情報責任者(CIO)、エピストラ株式会社共同創業者、株式会社MOLCURE経営顧問などを歴任。一般社団法人AIアライメント・ネットワーク代表理事。 -
[13:05-13:30]Session1「AIロボット駆動科学と生命科学の将来」
情報技術やロボティクスなどの工学の導入によるいわゆる研究DXの先には、新たな科学研究のパラダイムの萌芽がある。特に、AIとロボットによって実験、理論、計算、データという4つの主要な科学的方法論を融合し、その進展を飛躍的に加速するいわゆるAIロボット駆動型科学は、「第5の科学領域」として有望視されている。我々は、生命科学分野を起点としてデータ駆動とモデル駆動の融合による実験科学の新しいパラダイムを切り開くことを目標としている。国内の主要プロジェクトが結集したAIロボット駆動科学イニシアティブの始動状況に加え、国際動向なども含めたAIロボット駆動型科学の最新の状況などをご紹介する。
高橋 恒一(国立研究開発法人理化学研究所 科学研究基盤モデル開発プログラム(AGIS)共通基盤開発・整備プロジェクト プロジェクトディレクター) -
[13:30-14:00]Session2「AIロボット駆動ものづくり 〜材料・生産プロセスの自動実験・自律探索〜」
日本のものづくりは物理モデルにしきれないマルチスケール・マルチフィジックスに基づいた材料およびプロセスを掌握してきた強みがある。一方、自動化・自律化の方法論を取り入れることでより一層製造業を強くするための産学で協創すべきAIロボット駆動ものづくりについて議論する。
長藤 圭介(東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻 教授)
【略歴】2009年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。2025年3月より同研究科機械工学専攻教授。燃料電池の電極の生産技術やレーザ金属積層造形をはじめとする粉体プロセス統合工学に従事。
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[14:00-14:05]休憩
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[14:05-14:35]Session3「人とAIロボットの創造的共進化によるサイエンス開拓」
AIとロボット技術の急速な発展に伴い、従来のオートメーション用途のロボットは自律性を獲得しつつある。一方で、科学探究の現場で求められる多様で柔軟な動作への対応は、現在のロボットが直面する大きな課題である。本講演では、科学AIとフィジカルAI、ロボット身体を総合知によって統合し、人とロボットが創造的に共進化しながら科学を切り拓く道筋を示す。
原田 香奈子(東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター 教授)
【略歴】2001年東京大学院修士課程修了、日立製作所などの勤務を経て2007年早稲田大学大学院博士課程修了。イタリア・聖アンナ大学院大学を経て、2010年より東京大学大学院、2024年より医学系研究科附属疾患生命工学センター教授、ムーンショット型研究開発事業PM。 -
[14:35-14:40]休憩
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[14:40-15:10]Session4「人と融和して知の創造・越境をする AI ロボット」
基盤モデルによるAIエージェントやエンボディドAIなど、サイバーとフィジカル両方の空間でAIが活躍し、より複雑なタスク遂行とアウトプットを可能にする研究が勢いを増しており、こうしたAIを活用して研究開発そのものを自律化・加速する試みも盛んである。本講演では、まずAIロボット駆動科学の状況についてAIにウェイトを置きながら概観し、講演者自身の取り組みを紹介した上で今後の展開について論じる。
牛久 祥孝(株式会社NexaScience 代表取締役/オムロン サイニックエックス株式会社 Research Administrative Division Vice President for Research)
【略歴】2014年、東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了。現在、株式会社NexaScience 代表取締役、オムロンサイニックエックス株式会社 リサーチバイスプレジデントなど。 主としてコンピュータビジョンや自然言語処理を対象として、機械学習によるクロスメディア理解やAIロボット駆動科学の研究に従事。 2021年ヤマト科学賞受賞、2023年NISTEPナイスステップな研究者選出。 -
[15:10-15:15]休憩
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[15:15-15:45]Session5「科学技術におけるAI・機械学習活用と人材育成における現状」
AIを用いたデータ駆動的なアプローチが科学技術の様々な分野で革新を起こしている.本講演では、JSTさきがけ領域「研究開発プロセス革新」におけるAIロボット駆動科学の現状を中心に、講演者のグループのとりくみも踏まえ、今後の展開を論じる.
竹内 一郎(名古屋大学 大学院工学研究科 教授/国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センター チームディレクター)
【略歴】2000年名古屋大学工学研究科博士後期課程修了.現在,名古屋大学工学研究科教授,ならびに,理化学研究所革新知能統合研究センター・チームディレクター,科学技術振興機構・さきがけ研究総括を兼任.主として,機械学習の理論・アルゴリズム,ならびに,その科学技術分野における活用の研究に従事. -
[15:45-16:00]クロージング
高橋 恒一(国立研究開発法人理化学研究所 科学研究基盤モデル開発プログラム(AGIS)共通基盤開発・整備プロジェクト プロジェクトディレクター)