連続セミナー2025「AIが拓く次世代イノベーション」

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第6回【9月25日(木) 15:00-18:00】 ※オンライン開催(Zoomウェビナー)

実環境における知能システムの現状と今後


大規模言語モデルの登場により,言語と密接に関わる知的作業の支援システムは大きく進展し,現在も急速な発展を遂げている.しかし,現在の大規模言語モデルは物理世界を理解できず,言語野など脳機能の一部を再現しているに過ぎない.つまり,我々が持つ知能の一側面しか表現できておらず,実環境における多様なタスクをこなすロボットや知能システムは未だ実現されていない.このような背景から,刻々と変化する実世界で発生するさまざまな課題に対して,臨機応変かつロバストに対応可能な知能システムの実現が強く求められている.本セミナーでは,実環境における知能システムの現状と課題を概観し,今後の展望についても考察する.
  • [15:00-15:15]オープニング

    原田 達也

    ロボットに代表される,身体を持つ知能システムは,近年急速に進化を遂げている.本セミナーでは,「実環境における知能システムの現状と今後」と題し,現在のトレンドと今後の課題に焦点を当てる.オープニングでは,本トピックの背景を概説し,このあとに続く三件の講演へとつなげる.

    原田 達也(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)

    【略歴】2001年 東京大学 大学院工学系研究科 博士(工学),2001年 東京大学 大学院情報理工学系研究科 助手,2013年 東京大学大学院情報理工学系研究科 教授,2019年より現職.理化学研究所 革新知能統合研究センター チームディレクター・理事長特別補佐,国立情報学研究所医療ビッグデータ研究センター 副センター長,文部科学省 科学官なども兼務.
  • [15:15-16:00]Session1「ロボット基盤モデル研究の現状と今後」

    河原塚 健人

    近年の大規模モデル開発の進展に伴い、ロボットの視覚・言語・行動の統合を目指す汎用的なロボット基盤モデルの構築が注目を集めている。本セミナーでは、ロボットの行動に有用な視覚特徴量抽出モデルの構築、目標状態生成モデルの構築、ロボットに向けた大規模視覚-言語モデルの構築といったロボット基盤モデルに関する最新の研究潮流を紹介する。各アプローチがどのようなロボット・タスク・モデル・データに支えられているのかを俯瞰しつつ、それらの特徴と能力についてまとめる。ロボットと基盤モデルが今後どう結びついていくのか、現在の動向と将来の展望について議論する。

    河原塚 健人(東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属情報理工学教育研究センター 講師)

    【略歴】2017年東京大学工学部機械情報工学科卒業。2022年東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻博士課程修了(情報理工学博士)。2022年東京大学大学院情報理工学系研究科特任助教。2025年より、東京大学大学院情報理工学系研究科AIセンター講師。筋骨格ヒューマノイドの身体設計と制御、深層学習に基づく知能ロボットシステムの研究に従事。
  • [16:00-16:10]休憩

  • [16:10-16:55]Session2「スケーラブルSim-to-real強化学習 ~複雑タスク自動化への挑戦」

    松原 崇充

    近年、物理シミュレーション内で強化学習を適用し、実環境で機能する制御方策を獲得する「sim-to-real」と呼ばれるアプローチが注目されている。しかし、この手法はシミュレーション精度が高いことを前提とするため、剛体操作のような比較的単純なタスクに適用が限定される傾向にある。我々は、支配方程式が明確でない複雑なタスクへの適用を目指し、sim-to-realの可能性を探求してきた。具体的には、油圧ショベルによる掘削やワーク形状を整える研削といった複雑作業の自動化に向け、広範なドメインランダム化強化学習のサンプル効率化手法、シミュレーション表現粒度を段階的に向上させる計算効率化手法、拘束条件に基づくドメインギャップ低減手法を開発し、実験的検証を進めてきた。本講演では、これらの成果と今後の展望について紹介する。

    松原 崇充(奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 情報科学研究領域 教授)

    【略歴】2007年奈良先端科学技術大学院大学博士後期課程修了。2008年より同大助教、准教授、テニュアトラック特任准教授を経て、2022年教授。ATR脳情報研究所および産業技術総合研究所の客員研究員、ラドバウド大学訪問研究員などを兼任。IEEE、日本ロボット学会、計測自動制御学会、日本神経回路学会会員。強化学習や模倣学習によるロボット知能化研究に従事。
  • [16:55-17:05]休憩

  • [17:05-17:50]Session3「ソフトロボティクスと物理リザバー計算」

    中嶋 浩平

    シリコンやゴムなどやわらかいマテリアルでできたロボットをソフトロボットと呼ぶ。ソフトロボットは、その柔らかさから、多様に変形でき、人とのインタラクションも安全であることから注目を集めている。一方で、その身体は多様なダイナミクスを持つため、制御が難しいことが知られている。本講演では、こういった多様な身体のダイナミクスをむしろ計算資源として活用する手法、物理リザバー計算、について紹介する。物理リザバー計算の基礎からはじめ、最新の研究動向・応用例などを概観し、その可能性に関して議論する。

    中嶋 浩平(東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻 准教授)
    【略歴】2009年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。以降,チューリッヒ大学、スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)にてポスドク、JSPS海外特別研究員を経て、2014-17年まで京都大学白眉センターにて特定助教。また、2015-19年までJSTさきがけ研究員(兼任)。2020年より,東京大学大学院情報理工学系研究科にて准教授。専門は非線形力学系、(物理)リザバー計算、ソフトロボティクスなど。
  • [17:50-18:00]クロージング

    原田 達也
    原田 達也(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)

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