連続セミナー2025「AIが拓く次世代イノベーション」
第2回【6月30日(月) 13:00~16:20】 ※オンライン開催(Zoomウェビナー)
AI、生成AIの急速な進展と保険ビジネスとアクチュアリー業務へのインパクト、AIガバナンス
本セミナーでは、近年急速に進化する人工知能(AI)技術と生成AIが保険業界に与える影響を深掘りします。具体的には、リスク評価、カスタマーサービスの向上、そしてアクチュアリー業務におけるAIの役割について議論します。例えば、リスク評価では、AIが大量のデータを迅速かつ正確に分析することで、より精度の高い保険料設定が可能になります。カスタマーサービスの向上においては、チャットボットや仮想アシスタントの導入により、顧客対応の効率化と満足度向上が期待されます。アクチュアリー業務では、複雑な数理モデルの構築やシミュレーションがAIによって迅速かつ正確に行われるようになります。また、AIの進化に伴う倫理的・法的課題やガバナンスの重要性にも触れ、業界全体がどのようにこれらの技術を責任を持って導入・運用すべきかを考察します。専門家による講演を通じて、参加者は最新の知見と保険業界に与える影響を学ぶ機会を得られます。
※本セミナーは、配布資料とアーカイブ配信をご提供いたします。
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[13:00-13:05]オープニング
藤澤 陽介(住友生命保険相互会社 データサイエンスオフィサー)
【略歴】ウォータールー大学アクチュアリアル・サイエンス修士課程修了。2020 年より、住友生命に入社し、データ分析関連のプロジェクトを統括。2024年から国際アクチュアリー会のAIタスクフォースのメンバーとして、アクチュアリー領域での AI活用の議論にも参画。厚生労働省 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会委員、早稲田大学 大学院会計研究科 客員教授、日本保険・年金リスク学会理事・評議員、日本アクチュアリー会 AI関連調査WG座長など。 -
[13:05-13:45]Session1「AI、生成AIが保険ビジネスに与えるインパクト」
生成AIの登場によって、AI技術の活用領域は飛躍的に広がっています。AIの進化は、保険ビジネスに革新的な変化をもたらす可能性があります。保険ビジネスは古くから存在するデータに基づくビジネスでした。AIの進化により、ビッグデータを解析し、それをビジネスに活かすことで新たな価値を生み出すことができるデータ駆動型のビジネスが再注目されています。また、保険業界には多種多様なデータが存在し、保険会社が利用可能なデータの質と量も増えています。
本講演では、これらの技術がどのように業界に影響を与えているかを、国際アクチュアリー会での議論も踏まえて紹介します。国際アクチュアリー会のAIタスクフォースでは、教育、ガバナンス、プロフェッショナリズム、アクチュアリーの役割の変化、イノベーションの5つのワークストリームで議論を行ってきました。アクチュアリーの視点からの、保険ビジネスの展望について紹介します。藤澤 陽介(住友生命保険相互会社 データサイエンスオフィサー) -
[13:45-13:55]休憩
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[13:55-14:35]Session2「保険分野における生成AI活用・ビッグデータ解析と、保険業界特有の制約について」
昨今のAI技術やビッグデータ解析の進歩は目を見張るものがあり、様々な業界で活用されています。特に保険業界には「アクチュアリー(=保険数理の専門家)」という名称の職業もあり、データ分析との親和性が高い業界であると一般的は考えられています。しかしながら、保険業界のデータを取り扱って分析を行ったり、あるいは分析結果を実際の保険会社の業務に活用したりする上では、気を付けなければならない様々な制約があります。
今回の講演では、ご視聴される皆様が保険領域のデータを扱ったり、あるいは産学連携案件に関わられる際の、何らかのヒントになることを意識しながら、上記の様な留意点や制約事項を整理した上で、保険業界の制約下におけるデータ活用に関する直近のホット・トピック等をご紹介します。
山田剛(タワーズワトソン株式会社 保険コンサルティング&テクノロジー アソシエイト・ディレクター)
【略歴】2006年東京大学卒業、2008年東京大学大学院修了(航空宇宙工学専攻)。東京海上日動火災保険に入社後、商品開発部にて約15年間にわたり様々な保険商品のプライシングを約担当(うち4年間はシンガポール勤務にて海外商品の分析を担当)。2023年より、現職のアクチュアリー・ファームから国内外の保険会社に対してデータ分析や商品開発等の支援を提供する、保険商品数理に関する実務専門家。日本アクチュアリー会正会員。 -
[14:35-14:45]休憩
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[14:45-15:25]Session3「Protosureの生成AIへの取り組み」
Protosureは、複雑な保険申込フォームを含む保険商品をノーコードで実装できる保険商品開発・販売プラットフォーム(SaaS)です。これまで日本および米国の保険会社においてProtosureが採用され、保険商品の迅速な開発と開発コストの大幅削減という実績を残してきました。さらに近年の生成AI技術の急速な進展に伴い、ノーコード開発はさらに効率化され、エンドユーザーの保険申込み手続きや本社のアンダーライティング業務において、劇的な改善が期待されています。本講演では、保険商品開発者、エンドユーザー、アンダーライターといった各層の多様なニーズに応えるために現在開発中のAI支援ツールを具体例を交えながらご紹介いたします。
浅川太貴(株式会社Protosure Japan 代表取締役)
【略歴】2008年早稲田大学理工学部数理科学科卒業。同年ソニー生命保険株式会社入社、数理部で保険商品開発に従事。2012年Bayes Business School (City, University of London) にてMSc in Actuarial Science(保険数理学)修士号取得。2021年から株式会社Protosure Japanの代表取締役としてノーコードプラットフォームProtosureの開発・普及に取り組む。 -
[15:25-15:35]休憩
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[15:35-16:15]Session4「アクチュアリアル・データサイエンスの理論的研究と実務への適用」
本講演では、アクチュアリアル・データサイエンスの理論的研究とその実務への適用について、講演者自身の研究成果を交えてご紹介します。アクチュアリアル・データサイエンスは、通常のデータサイエンスとはひと味異なり、特に不確実性(リスク)を扱う点において独自の分析視点やアプローチを持ちます。今回 Accurate GLM (AGLM) を中心に取り上げ、米国において規制当局のホワイトペーパーにも取り上げられた最新の動向などを含めて解説します。AGLMは従来のGLMに比べて柔軟性と精度に優れ、保険料率算定やリスク管理など、実務での幅広い応用が期待されています。さらに、講演者のそのほかの研究にも触れながら、数理的観点と実務上の有効性のバランスをどう取るか、そして理論と実務を橋渡しするアクチュアリーの今後期待されている役割についても考察します。
藤田卓(AKUR8 Japan 株式会社 アクチュアリアル・データサイエンティスト)
【略歴】日本アクチュアリー会正会員、米国アクチュアリー会準会員、CSPA、CERA資格を保有。2013年に大手生命保険会社でアクチュアリーとしてのキャリアをスタートし、損害保険業関連組織、再保険ブローカーを経て、2023年より現職。AKUR8ではアクチュアリアル・データサイエンティストとして、透明性の高い機械学習技術によって意思決定をより迅速かつ円滑にするため、アクチュアリーチームをサポート。 -
[16:15-16:20]クロージング
藤澤陽介(住友生命保険相互会社 データサイエンスオフィサー)