連続セミナー2022「その先へ 情報技術が貢献できること」

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第12回【12月13日(火)13:30~16:25】

「富岳」とスパコン技術の展望


本セミナーでは、超大規模並列システムであるスーパーコンピュータ「富岳」を活用するためのソフトウエアとその課題について、取り上げる。「富岳」を活用するためのデータ処理技術や大規模な並列計算による数値計算技術は重要な技術となっている。さらに、「富岳」の次のスーパーコンピュータの計画の検討が開始されており、最近のスーパーコンピュータ技術の動向も交えて、その構想について紹介していただく。
  • [13:30-13:35]オープニング

    佐藤 三久(理化学研究所 計算科学研究センター 副センター長)

    【略歴】
    1982年東京大学理学部情報科学科卒業。1991年、通産省電子技術総合研究所入所。2001年度から2015年度まで、筑波大学 教授。2007年度より2013年度まで、同大学計算科学研究センター・センタ長。2010年より、理学研究所計算科学研究機構プログラミング環境研究チームリーダ。2014年度から2020年度まで、同機構フラッグシップ2020プロジェクト副プロジェクトリーダ。2018年度より、理化学研究所計算科学研究センター副センター長。筑波大学連携大学院教授、筑波大学名誉教授、理学博士。
  • [13:35-14:25]Session1「「富岳」を中心とした大規模データ処理システム」

    近年、深層学習のようにビッグデータを活用することにより様々な科学的課題を解決するための研究が盛んに行われている。これらのビッグデータ処理をより高速に行うには「富岳」のようなスーパーコンピュータの活用が不可欠である。スーパーコンピュータにおいて効率的にビッグデータ処理を行うためには、高速に必要なデータを外部からスーパーコンピュータへ転送し、その後、スーパーコンピュータの計算ノードへ効率的にデータ供給し処理するためのシステム開発が重要となる。本セミナーでは「富岳」において効率的に大規模データを処理するためのシステムに関する研究開発を紹介する。

    佐藤 賢斗(国立研究開発法人 理化学研究所 計算科学研究センター 高性能ビッグデータ研究チーム チームリーダー)

    【略歴】東京工業大学大学院 数理計算科学専攻卒業(理学博士、2014年)。東京工業大学学術国際情報基盤センターおよび米国ローレンスリバモア国立研究所ポスドク(2014年)。その後、米国ローレンスリバモア国立研究所研究員(2017年)を経て、2018年より現職。神戸大学大学院システム情報学研究科 客員准教授を兼務。専門は高性能計算機システム。これまでストレージ、耐障害技術、人工知能・ビッグデータ処理に関するシステムの研究開発に携わる。
  • [14:25-14:35]休憩

  • [14:35-15:25]Session2「「富岳」がもたらした数値計算環境、現状と課題」

    今村 俊幸

    「富岳」は「京」の100倍程度の速度向上を実現する計算プラットフォームとして、ハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションの相互協力いわゆるコデザインにより開発された。100倍という数値が示すインパクトは、「京」でなしえなかった問題が「富岳」では現実味を浴びてなされるようになったことを意味する。話者が担当する数値計算分野のアルゴリズムやソフトウェア技術がいかに「富岳」プラットフォームに貢献しているか、また、「京」から「富岳」更なる先への技術課題は何かなどを議論する。

    今村 俊幸(国立研究開発法人理化学研究所 計算科学研究センター チームリーダー)

    【略歴】1996年京都大学工学研究科応用システム科学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(工学)。1996年日本原子力研究所入所。2002年シュツッツガルト大学HLRS招聘研究員。2003年電気通信大学講師,准教授を経て、2012年より理化学研究所計算科学研究センター大規模並列数値計算技術研究チームチームリーダー。「京」や「富岳」における数値計算ライブラリや並列数値計算アルゴリズムの研究開発に従事。
  • [15:25-15:30]休憩

  • [15:30-16:20]Session3「次世代高性能計算基盤の開発と最近の動向」

    スーパーコンピュータ「富岳」は2021年に共用が開始され、既に多くの科学的・工学的な成果が創出されている。Society5.0社会の実現に向け、サイバー空間上に物理空間を高精度に再現するデジタルツインのプラットフォームとしても高性能計算基盤の利用が必須とされ、より高性能かつ応用範囲の広い次世代システム開発の要望も高まりつつある。一方、ムーアの法則の終焉など、その実現には多くの課題が待ち受けていることも事実である。そこで、次世代先端計算基盤のハードウェアおよびソフトウェアに関して技術的課題や研究開発要素を検討するため、我々は"NGACI (Next-Generation Advanced Computing Infrastructure)"を発足させ、これまでに議論を重ねつつWhite Paperの執筆等を行ってきた。本講演では、NGACIでの議論内容を紹介するとともに、ポスト「富岳」時代の次世代計算基盤開発に関する近年の動向などを述べる。

    近藤 正章(慶應義塾大学 理工学部情報工学科 教授)

    【略歴】2003年東京大学大学院工学系研究科先端学際工学専攻修了。博士(工学)。JST CREST研究員、東京大学先端科学技術研究センター特任助手、電気通信大学大学院情報システム学研究科准教授、東京大学大学大学院情報理工学系研究科准教授などを経て、2021年4月より慶應義塾大学理工学部教授。理化学研究所計算科学研究センターチームリーダーを兼務。計算機アーキテクチャ、ハイパフォーマンスコンピューティング、人工知能、量子コンピュータに関する研究などに従事。
  • [16:20-16:25]クロージング

    佐藤 三久(理化学研究所 計算科学研究センター 副センター長)

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