連続セミナー2022「その先へ 情報技術が貢献できること」

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第11回【12月6日(火)13:30~16:25】

「富岳」が切り開く計算科学


スーパーコンピュータ「富岳」は、16万個の汎用メニーコアCPUチップ、総コア数760万コアから構成された超大規模並列システムである。2021年3月から共用が開始され、様々な分野の計算科学での成果が創出されている。本セミナーでは、ものづくり、社会シミュレーション、気象予測の各分野で顕著な成果を挙げている3名の講師を迎え、スーパーコンピュータ「富岳」による最先端の計算科学について紹介いただく。
  • [13:30-13:35]オープニング

    佐藤 三久(理化学研究所 計算科学研究センター 副センター長)

    【略歴】
    1982年東京大学理学部情報科学科卒業。1991年、通産省電子技術総合研究所入所。2001年度から2015年度まで、筑波大学 教授。2007年度より2013年度まで、同大学計算科学研究センター・センタ長。2010年より、理学研究所計算科学研究機構プログラミング環境研究チームリーダ。2014年度から2020年度まで、同機構フラッグシップ2020プロジェクト副プロジェクトリーダ。2018年度より、理化学研究所計算科学研究センター副センター長。筑波大学連携大学院教授、筑波大学名誉教授、理学博士。
  • [13:35-14:25]Session1「「富岳」で実現するSociety 5.0時代のものづくり」

    坪倉 誠
    坪倉 誠(神戸大学大学院 システム情報学研究科/国立研究開発法人 理化学研究所 計算科学研究センター)

    【略歴】
    1997年3月 東京大学大学院工学研究科機械工学専攻博士課程修了
    1997年4月 日本学術振興会特別研究員(東京大学、インペリアルカレッジロンドン)
    1999年4月 東京工業大学大学院総合理工学研究科 講師
    2003年4月 電気通信大学 助教授
    2007年10月 北海道大学大学院工学研究科 准教授
    2012年6月 理化学研究所計算科学研究機構 チームリーダー 兼務
    2015年4月 神戸大学大学院システム情報学研究科 教授
    2018年4月 理化学研究所計算科学研究センター チームリーダー(神戸大とのクロスアポイントメント)
    現在に至る
  • [14:25-14:35]休憩

  • [14:35-15:25]Session2「Society5.0とその先を目指したシミュレーション技術」

    伊藤 伸泰

    いわゆる"Society5.0"では、現実世界が情報通信技術と高度に融合された社会運営により、人々の幸福を増進させることを目指す。その実現に向けて実社会の現状をサイバー空間側に映すビッグデータ収集と解析、およびなんらかの目的に向けた最適策を立案するシミュレーションとが必要となる。これを支えるのが、通信ネットワークとスーパーコンピュータとである。本講演では「富岳」をはじめとするスーパーコンピュータを活用したデジタルツインとその課題とについて、これまでに試行したいくつかの実例とともに議論したい。具体的には、マクロ経済シミュレーションによる将来予測、自動車交通シミュレーションを通して社会現象の数理モデルの複雑さ、人流シミュレーションによる最適解探索、そして新型コロナパンデミック解析からビッグデータの活用について紹介しつつ、「富岳」の次のスーパーコンピュータに期待する性能とそれにより実現したい社会問題の解決とを展望するとともに、「人々の幸福」増進にむけての課題を考える。

    伊藤 伸泰(国立研究開発法人理化学研究所 計算科学研究センター 離散事象シミュレーション研究チームチームリーダー)

    【略歴】
    1991年3月東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了、理学博士。同4月日本原子力研究所東海研究所情報システムセンター研究員。ケルン大学理論物理学研究所・ユーリヒ研究センター計算センター客員研究員を併任後、1993年10月より東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻・講師、1996年10月より准教授。2012年10月より理化学研究所計算科学研究機構離散事象シミュレーション研究チーム・チームリーダー。
  • [15:25-15:30]休憩

  • [15:30-16:20]Session3「「富岳」を使ったリアルタイムゲリラ豪雨予測」

    東京オリンピック・パラリンピックの期間を含む2021年7月20日から8月8日までと8月24日から9月5日までの期間、「富岳」とマルチパラメータフェーズドアレイ気象レーダを使い、首都圏において30秒ごとに更新する30分後までのゲリラ豪雨予報をリアルタイムで実行し配信する実証実験に成功した(理化学研究所お知らせ:https://www.riken.jp/pr/news/2021/20210713_1/)。ゲリラ豪雨予測を可能にする「ビッグデータ同化」の技術革新を創出するため、2013年10月から研究に着手し、2016年8月には「『京』と最新鋭気象レーダを生かしたゲリラ豪雨予測」を発表した(理化学研究所プレスリリース:https://www.riken.jp/press/2016/20160809_1/)。この方法に基づき、リアルタイムで計算可能なシステムを開発し、2020年8月にOakforest-PACSを使って「30秒ごとに更新するゲリラ豪雨予報」に初めて成功した(理化学研究所お知らせ:https://www.riken.jp/pr/news/2020/20200821_1/)。これらの成果に基づき、新たに2021年3月から供用が開始となった「富岳」を使うことで、アンサンブル数を一桁増やしたリアルタイム予報実験に成功した。

    三好 建正(国立研究開発法人 理化学研究所 計算科学研究センター データ同化研究チーム チームリーダー)

    【略歴】
    2000年京都大学理学部卒業、気象庁入庁。2003年よりメリーランド大学に留学、2005年Ph.D.(気象学)。気象庁予報部数値予報課技術専門官、メリーランド大学助教授を経て、2013年1月より現職。現在、科学技術振興機構プログラムディレクター、京都大学大学院理学研究科客員教授など多数兼任。文部科学大臣表彰科学技術賞(2022)、防災功労者内閣総理大臣表彰(2020)、読売ゴールドメダル賞(2018)、日本気象学会賞(2016)など多数受賞。気象予報士。
  • [16:20-16:25]クロージング

    佐藤 三久(理化学研究所 計算科学研究センター 副センター長)

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