連続セミナー2022「その先へ 情報技術が貢献できること」

【9月2日(金)15:00~17:30】

新しい情報通信インフラが実現する行動変容とモビリティ



情報技術がモビリティ分野に浸透することで、自家用車やタクシー、鉄道やバスなど個別の移動手段の高度化だけではなく、社会システムとしての交通全般で大きな変革が始まっている。MaaS (Mobility as a Service) と呼ばれる、ユーザの体験を軸足に複数の移動サービスを統合、最適化するアプローチがその典型である。伝統的な方法では年単位の時間軸で交通計画を考えるが、スマートフォンなどを利用することで、リアルタイムに移動需要を捉えたり人々の交通行動に直接働きかけ行動変容を促すことが実現する。これによって、個人が最適な交通サービスを利用出来るだけでなく、都市や社会全体にとって最適な交通を実現することが可能になる。一方で、モビリティは技術だけでなく産業構造や社会インフラ、法制度などの総体として成立しており、成熟社会の日本において新しい技術の導入や普及は容易ではない。本セミナーでは、交通や行動変容の先駆的なプロジェクトを実践している研究者や実務者を招き、最新の技術動向や日本における技術開発の可能性について議論する。
  • [15:00-15:15]Session1「ITが変えるモビリティとその課題」

    伊藤 昌毅

    情報技術とモビリティ分野の融合により、100年に一度の大変革とも言われる大きな技術革新が始まっている。それに伴って、基礎技術から社会制度など様々なレベルで新しい挑戦が求められている。モビリティは日本における基幹産業であり、産業としても地域のインフラとしても、その発展は重要である。ここでは、技術革新の全体像を見渡しながら、重要な課題について議論を深める。

    伊藤 昌毅(東京大学 大学院情報理工学系研究科附属ソーシャルICT研究センター 准教授)

    【略歴】2002年慶應義塾大学 環境情報学部 卒業、2009年同大学院にて博士(政策・メディア)取得。鳥取大学 大学院工学研究科 助教、東京大学 生産技術研究所 助教などを経て現職。専門は交通情報学。全国の公共交通のオープンデータ化支援などを実践。国土交通省バス情報の効率的な収集・共有に向けた検討会 座長、経済産業省 官⺠データの相互運用性実現に向けた検討会 座⻑、交通政策審議会臨時委員、日本バス情報協会代表理事などを務める。
  • [15:15-15:45]Session2「自動運転バスの実用化による行動変容」

    佐治 友基

    BOLDLYが茨城県境町で「地域住民の幸せ・課題解決」を目的として、自動運転バスの実用化を達成してから約1年半が経過しました。地域では自動運転バスを活用したり、自らの生活やビジネスを適応させたり、といった行動変容が生まれています。住民のお出かけの回数が増え、地元タクシーやバスの利用も増え、路上駐車は減り、観光客が増え、地域外からの寄付金が増え、雇用が増え…。そうした生きた事例をご紹介します。技術自体は手段にすぎませんので、いくらでも挑戦・進化させていく事が出来ます。しかし目的である「幸せや暮らし」は変化させてはいません。そうした変えられる事と変えられない事の見極めが、デジタル基盤を活用した社会システムの構築に際しては、より一層大事になってきます。

    佐治 友基(BOLDLY株式会社 代表取締役社長 兼 CEO)

    【略歴】2009年、上智大学経済学部卒業後、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)に入社。営業部門で施策推進などに従事する一方で、2010年、ソフトバンクグループ代表・孫正義による後継者発掘・育成プログラム「ソフトバンクアカデミア」の第1期生として参加して以来、新規事業の企画・提案などを手掛ける。2016年4月、SBドライブ株式会社(現BOLDLY株式会社)を設立し、同社代表取締役社長 兼 CEOに就任、現在に至る。
  • [15:45-16:15]Session3「熊本交通リノベーションプロジェクトから考える都市交通の未来(仮題)」

    太田 恒平(株式会社トラフィックブレイン 代表取締役社長)
  • [16:15-16:25]休憩

  • [16:25-16:55]Session4「自己認識の自在化による行動変容とモビリティ」

    米澤 拓郎

    情報技術、モビリティ技術の発展と融合により、地域課題の解決、自己実現の支援、QoLの向上、新たなコミュニティ創生など、様々なサービスに繋がりうる都市機能を有したスマートシティの実現が期待されている。一方で、ここで重要なのは都市機能のスマートさそのものではなく、それを通じてそこに暮らす人々がいかに幸せを感じられるかであり、そのためには短期的・長期的の両方において人々の内面状態をも対象とした行動変容をどう促すか、という観点であると考えられる。本講演では我々のこれまでの研究で得られた行動変容技術の例を示すとともに、行動変容を促すための移動を物理空間・情報空間の垣根を超えたメタな視点でのモビリティとしてどう捉え、今後の研究開発課題として位置づけるか、という議論を行いたい。

    米澤 拓郎(東海国立大学機構名古屋大学 大学院工学研究科 情報・通信工学専攻 准教授)

    【略歴】2010年慶應義塾大学博士号取得(政策・メディア) 。2012年カーネギーメロン大学客員研究員、慶應義塾大学特任准教授などを経て現職。システム・ネットワーク・ヒューマンコンピュータインタラクションの交点に興味。NICT日欧共同研究開発プロジェクト、内閣府SIP2スマートシティプラットフォーム事業等においてIoT・機械学習分析技術を活用したスマートシティに関する研究開発に従事。
  • [16:55-17:25]パネルディスカッション

  • [17:25-17:30]クロージング

    伊藤 昌毅
    伊藤 昌毅(東京大学 大学院情報理工学系研究科附属ソーシャルICT研究センター 准教授)