抄録
J-015
歯科診療室における情報提示の不備が引き起こす患者への影響
安原啓太(岡山大)・杉原太郎(東工大)・柳 文修・高柴正悟(岡山大病院)
日本において進行する高齢化は,歯科診療現場でも課題を顕在化させている.歯科診療室では人工物が多く,治療器具がむき出しのままであり,もし高齢患者が転倒して器具に触れてしまうと怪我や感染に直結する.近年では,健常な成人や子供や障碍者を対象とした人間工学的な診療室や歯科用チェアが開発されているが,高齢者は中心的なケア対象者となってはいない.本研究では,歯科診療においてヒヤリハット発生要因を明らかにすることを目的とし,高齢者の歯科診療の実態を観察調査した.ヒヤリハットおよびその予兆的行動をピックアップし,診療室内に不足している環境要因について検討したところ,患者に情報提示が十分でない可能性が示された.