抄録
G-001
量子科学的手法を用いた非イオン性ヨード造影剤のタンパク結合特性に関する検討
長谷川智也・今井國治・佐藤佳希・藤井啓輔・川浦稚代(名大)・西本卓也・森 政樹(名大附属病院)・池田 充(名大)
近年、脳血管内治療の普及に伴い、造影剤の使用量は以前よりも増加する傾向にある。そのため、造影剤による副作用の発症リスクが高くなり、その症状も重篤化する可能性を秘めている。一般に、造影剤分子が血漿蛋白質と何らかの相互作用を引き起こすと、副作用が発現すると考えられており、この詳細を明らかにすることは臨床的に有益である。そこで本研究では、造影剤の分子物性が血漿蛋白質との相互作用においてどのような影響を及ぼすかを量子化学的に検討した。その結果、非イオン性ヨード造影剤のヨード原子付近に形成される水クラスタや造影剤分子間の疎水結合は、血漿蛋白質との結合を妨げるように関与することが明らかとなった。