抄録
A-010
体の回転行動を考慮した群衆避難のセルオートマトンモデル
宮川大樹・一ノ瀬元喜・長谷 隆(静岡大)
パニック時における建物の安全性評価の目的の下,群衆避難についての研究は数理モデルと実験の双方から行われてきた.しかし, 従来の数理モデルの多くでは避難者を1個の点あるいはセルとみなしているため,本来人間が持つ肩幅の考慮ができておらず,横歩きや回転などの行動の多様性を持たなかった.本研究では隣接する2個のセルを避難者とみなして肩幅を表現し,前進,横歩き及び回転を行う避難者モデルを提案する.シミュレーションの結果,回転を加えることで避難時間が短くなることが明らかとなった.また,回転しやすさのパラメータである回転率を変化させたとき,避難時間は単調な変化をせず,最適な回転率が存在することが分かった.