1001 〇
家族との継続的な会話を促す認知症予防ビデオ通話アプリ「HearTalk」の開発
情報まさこ
玉懸 遼真(岩手県立盛岡第一高等学校 2年),兼平 堅太郎(岩手県立盛岡第一高等学校 2年),吉谷地 優大(岩手県立盛岡第一高等学校 2年),本間 大智(岩手県立盛岡第一高等学校 2年)
現代の日本では高齢化が進み、認知症の患者数が増加している。特に一人暮らしの高齢者は、他者との交流の機会が減少し、認知症の発症リスクが高まる傾向にあることが明らかになっている。そこで私たちは、家族と交流する機会を増やすための手段として、通話をより簡単かつ継続的に行えるビデオ通話アプリ「HearTalk(ハートーク)」を開発した。高齢者はAndroid使用率が高いためAndroidアプリとした。事前に通話を行う曜日と時間を設定すると、その時間に通知が届き、通知をタップすることで通話を開始できる。また、通話中に話題を自動で提示し、自然な会話のきっかけを提供することで、円滑な交流を促す。今後は高齢者に実際に利用してもらい、通話の習慣化による認知症リスク低減の効果の検証やアプリ内の操作性の改善を行っていきたい。
1002
未経験でも作れる情報発信サイト基盤の制作と提案
[東北公益文科大学]ジュニアドクター鳥海塾広瀬研究室 HTML/css js プログラミング班
太田 さくら(酒田市立第二中学校 3年)
一昨年、山形県酒田市中町の商店街(以下、中通り商店街)紹介のWebページを作るため商店街へ取材へ行った。取材を進めていくうちに高齢経営者が多く、またプログラミングなどを用いた情報発信について乏しく、店の発信について悩んでいる人が多いことがわかった。
これらのことから、今年度はプログラミングについての知識が乏しい人でも簡単にWebページ作りに挑戦できるフレームワークを作ろうと考えた。まず、基盤となるWebページを中通り商店街を舞台に作った。楽しみながら情報を知り誘客へつなげるため、店を知る・探すゲームや店の予定を知れるカレンダーを取り入れた。現在は、他のオープンソースとの比較を行い、利便性や独自性を高める研究を行っている。
もし、このフレームワークが完成したなら、中通り商店街の経営者だけでなく様々な商店街、店の高齢経営者や自分の店の発信についての悩みを持っている人の役に立つだろうと考える。
1003 ◎
予定優先度のワードクラウド表示による予定管理の効率化
[東北公益文科大学]ジュニアドクター鳥海塾広瀬研究室 ファンファーム班
村井 侑平(山形県立酒田東高等学校 2年)
現在における予定管理の主要手法としては、手帳やホワイトボードなどのアナログ手段と、タスク管理アプリやカレンダーアプリなどのデジタル手段が挙げられる。これらの手法においては、カレンダーやToDoリストを用いた予定の視覚的表現が一般的に行われている。
しかし、これらの手法では、隙間時間やタスクの開始前の短い時間で、予定の優先順位を把握したい場合には適さないと考える。
そこで、各予定の重要度やその時に使える時間の自由度などに応じて優先度を決める評価関数を用いて評価し、ワードクラウドという表現手法を応用して、優先度を視覚的に表すようなWebアプリケーションを作成する。
これにより、デジタル的なデータの管理と視覚的に分かりやすく予定を確認できるようにすることで、予定の確認にかかる時間や労力を減らすことを目指している。
1004 ◎
学習者の感情推定に基づく教育支援システムの設計と 感情可視化アバターを用いたオンライン授業における学習者支援の有効性
[東北公益文科大学]ジュニアドクター鳥海塾広瀬研究室 VR・メタバース班
西尾 奏人(山形県立東桜学館高等学校 2年)
本研究は、ZoomやGoogle Meetなどによる遠隔教育活動が発達した現代社会において、カメラやマイクを用いて感情や状態を表現することができない、あるいは難しい人に対し、自身の代わりとなる能面の考え方を応用した表情モデルを表示するシステムを提案するものである。また、マウス軌道やタイピング速度など学習者側のデータをインストラクションデータとして用い状態判断AIによる推定結果を、指導者側に送信することで、従来の遠隔教育活動に対してどの程度有効であるかを調査するためのシステムを作成した。本システムはThree.js、TensorFlow.js、Firebaseなどを用いて構築した。
1005 ◎
仮想空間を利用した地域コミュニティの構築
[東北公益文科大学]ジュニアドクター鳥海塾広瀬研究室 ゲーム大国班・VR,メタバース班
菅原 美優(遊佐町立遊佐中学校 3年)
一人暮らし高齢者や引きこもりの方など、周りとのコミュニケーションの機会が少なくなっている人は遊佐町に限らず多く見られる。
そのため時間や場所、身体的な制約などを気にせずに集まったり、相談できる 「居場所」 が必要であると考えた。そこで、「仮想空間を通してみんなが集えるような場」や「対象者の困りごとを気軽に書き込み、様々な人が解決に協力できるシステム」を提案する。学校を舞台にした事前研究にて基礎的なシステムの構築と検証を行い、本研究では対象者を広げたより使いやすい工夫したシステムの開発を目指す。
1006 〇
キャラクターの外見と動作が見る人の印象に与える影響の考察
[東北公益文科大学]ジュニアドクター鳥海塾広瀬研究室VR・メタバース班
後藤 美咲(山形県立山形東高等学校 1年)
ゆるキャラをはじめとする様々なキャラクターが情報発信や地域活性化に活用されているが、キャラクターの知名度が上がらないという課題を抱えている場合も多い。本研究では、キャラクターがどのような外見を持ち、動作をするのかによって見た人がどのような印象を受けるのかということを一般化し、キャラクターの設計や運用に役立つものとすることを目指している。現在は外見の異なる複数のキャラクターに同じ動作をさせた際にキャラクターの外見が印象に与える影響について、3Dモデルとアニメーションを活用して調査している。
2001 ◎
サブドメインテイクオーバー攻撃の脆弱性検知ツール「SDHJChecker」
Ko:Hack;
大庭 悠希(茨城県立IT未来高等学校 3年)
サブドメインテイクオーバーというDNSレコードの設定ミスを第三者が悪用し、サブドメインを乗っ取ることができる攻撃の脆弱性を未然に検知できるツールを開発している。
検知対象のサブドメインのCNAMEレコードからクラウドサービスを特定し、httpsリクエストを送信しステータスコードなどから脆弱性の有無を判定する。また、多くの人に利用できる汎用的なツールを目指し、効率的に検知対象のクラウドサービスを追加するため、ドメイン名の登録でリストに追加できる機能も実装している。
今回新たに開発したWeb版は、CLIの既存ツールとの違いを明確化し、より使い勝手の向上を目指したものである。
CloudflareのAPIからデータを取得し、Cloudflareで管理しているDNSレコードの一括検知機能を実装した。
検知機能自体は、既にJavaのオープンソースライブラリとして公開していて、Web版にも使用している。
今後の課題は、攻撃者側の悪意をもった利用という想定外の利用への対策も考える必要がある。
2002 ◎
LLM搭載判断支援型詐欺防止装置
打倒トクサギ
麻窪 晄生(茨城県立IT未来高等学校 2年)
本研究は、特殊詐欺による高齢者等の被害を未然に防ぐことを目的としたLLM搭載判断支援型詐欺防止装置の開発である。
従来の対策機器のように、危険な電話を遮断することだけを目的としたものではなく、LLMが危険な会話の文脈を読み解き、まず高齢者本人に気づきを与えることである。本デバイスの最大の特徴は、LLMが詐欺かどうか文脈で判断するため、少しでもATMなどに誘導する手口があると特殊詐欺と判定できる。特に、詐欺検知の精度を向上させるため、詐欺事例と非詐欺事例をqwen, gemma, llama,deepseek,phiの5つのLLMで比較した。さらに通話前にFSK信号を解析し、かかってきた電話番号を特定することで、詐欺電話データベースと照合し、詐欺の検知も行える。
最後に、詐欺の危険性が高いと判断した場合、高齢者本人だけでなく、登録された家族に警告通知と通話内容を共有する機能も実装した。
2003 〇
シームレスに繋がるWiFiアダプタの研究
頭にアルミホイル
額賀 涼(茨城県立IT未来高等学校 2年)
本研究は、ライブ配信や産業用IoTで課題となるWi-Fiローミング時の通信瞬断を解決するため、クライアント側の設定のみでシームレスなAP切り替え手法を提案する。一台の端末(Raspberry Pi)に搭載した2つのWi-Fi装置を、Linuxボンディング機能(Active-Backupモード)で論理的に束ねた。これにより、L3認証やDHCPといった遅延プロセスをバイパスし、L2(データリンク層)で経路を瞬時に切り替える。
評価実験では、強制的なAP切り替え操作を行った。その結果、Ping(ICMP)パケットではパケットロス率0%を達成した。しかし、UDPパケットを用いた高速な通信実験では、切り替え時に僅かなパケットロスが確認された。
本手法は、標準的なWi-Fiインフラで信頼性を劇的に向上させる一方、リアルタイム通信(UDP)での完全なゼロロスにはミリ秒単位の瞬断が課題として残ることを実証した。
2004 〇
四次元図形を“見る・聴く・操作する”リズムゲーム型可視化システムの試作と予備的評価
4D Harmonics - Rius
中里 龍誠(茨城県立IT未来高等学校 1年)
近年、四次元図形の体験的理解を支援する試みが進む一方、学習者が空間構造を直感把握することは容易でない。本研究は、二つの三次元キューブの投影・回転・変形を視覚化し、キー入力で音響反応が生じるリズムゲーム型プロトタイプを試作した。システムは二つの三次元キューブを時間軸上で回転・変形させ、音楽の拍に同期して操作する構成とした。高校生の音楽ゲーム歴の異なる経験者6名が体験し、体験後に簡易な半構造化インタビューを実施した。結果、線の伸縮が分かりやすくなり、奥行きをより感じた等、主観的理解・空間知覚の向上が共通して報告された。一方、ノーツ密度が高いと難易度・負荷が上がる指摘があり、経験水準の影響が示唆された。今後は被験者数を拡大し、密度・回転・音響(立体音響含む)を要因化して、主観指標とヒット率・タイミング誤差により効果検証し、最適設計と教材化を図る。
2006 〇
出欠管理システムの製作
宇工エンジニア
西宮 藤悟(栃木県立宇都宮工業高等学校 2年)
学校の先生方が、毎朝、毎時間、教室の座席を見て出欠確認をして、出席簿に記録している。時間もかかり、先生方には負担である。また出席簿の記入にミスがあり、出席している生徒が欠席扱いになってしまうこともある。それらの問題を情報技術で解決したいと思い、出席管理システムを製作した。カードリーダで生徒ごとのNFCタグを教室の入り口で読取り、教室に不在の生徒を把握できるようにした。名簿の記録もデータで残り、出欠確認が明確になるようになった。
2007
AIが学習者に対する関わり方について指導者をサポートするアプリ
ただの高校生
竹渕 遙希(群馬県立高崎高等学校 2年),森戸 士雄(群馬県立高崎高等学校 2年)
私たち高校生としての視点とAIプログラミング技術を、ウィルドアさんの高校生を支援してきた経験と「学びのナビゲートガイドブック」の知見を掛け合わせ、誰かを応援したい人を応援するアプリ「LISTENAVI」を作りました。このアプリは応援スキルを持つ人を全国に増やすためのトレーニングツールや、応援スキルの公認資格を作るための客観的な評価ツールとして活用します。開発を始めたきっかけは私が中学生の頃生徒会長を務めた経験にあります。たくさんの人と関わることがあり、いろいろな話し合いや会議にも参加しました。大事な場で感情的になる人、認識の違いがある人がおり、雰囲気が悪くなったり話し合いがうまく進まないことを数多く経験しました。高校に入学し行事で人との関わり方を解決するためのワークショップが開かれ、ここで学んだ内容が今までの悩みを解決できるのではないかと考え、「LISTENAVI」を開発しました。
2008 ◎
TakaChalink ~シェアサイクルのエリア外検出・運用効率化システム~
SSH竹内基礎
久保 晃市(群馬県立高崎高等学校 2年),竹内 桜介(群馬県立高崎高等学校 2年),山本 佑斗(群馬県立高崎高等学校 2年)
高崎市が運営するコミュニティサイクル「高チャリ」における不正利用防止を目的として、GPSおよび長距離無線のLoRaWANを活用した自転車管理システムを開発した。
高チャリとは、中心市街地活性化を目的とした、登録不要かつ無料のシェアサイクルである。その気軽さゆえ、多くの人に利用されている一方で、決められた利用エリア外での使用・放置・私有化などの不正利用が深刻な課題である。さらに、放置自転車の回収も目撃情報のみに頼っている。
そこで、管理者への聞き取り調査から分かった課題を踏まえ、範囲外等の通知機能を持つ後付け可能なデバイス、及び管理者が自転車の位置を把握できるアプリの開発に至った。
本製品は、GPSを用いて、エリア外に出たときに利用者に音声で通知する機能を持ち、範囲外利用の防止に寄与する。また、無線通信の手段としてLoRaWANを用いたことで、安価でありながら屋外でも安定した運用ができる。
2009
ヒヤリハットを収集して、事故を未然に防ぐアプリ開発
ヒヤリほっと
福田 崚太(群馬県立高崎高等学校 1年)
利用者から交通に関するヒヤリハットをAIとのチャット形式で収集し、それを日記として要約したり、集まったヒヤリハットをAIによる解析によって、利用者の危険な行動や傾向を伝えることを通して、日々の中に潜む事故になりうる危険を排除し、事故を未然に防ぐことを目的としたことを主軸としたアプリ開発を目指している。また、データベースにて収集した交通上のヒヤリハットを匿名個人情報として企業や道路を整備する国土交通省や地方公共団体に売り出すことで、経済的に持続可能なアプリを作ることを目標としている。
2010 〇
二か所に設置された端末による顔認証技術を使ったストーカー対策
sighte
横堀 旬(群馬県立前橋高等学校 1年),𠮷川 泰生(群馬県立前橋高等学校 1年),宇治野 雅高(群馬県立前橋高等学校 1年)
最近5年間のデータを見るとストーカーの相談件数は2万件に高どまりしている。加えて、証拠不十分などから、警察への相談で被害者が対応に困ってしまい適切に意思を汲み取れないことがある。
「対ストーカー sighte」は、背後や自宅前を通る人を写真で記録し、ストーカーの証拠を得る手助けをする2台のIoT機器である。利用者には、多数撮影された人物をFace-recognitionで要注意人物と指定し、出会う危険性のある場所を見える化する。また、要注意人物が自宅や背後に現れた時には利用者に通知し、近くのコンビニへのルートを示す。家族には、現在地と避難先のコンビニを地図で共有できる。証拠を得やすくなるため、警察に相談することも容易になるだろう。今後は、家の前と外出先での写真や近隣住民と不審人物の区別をする仕組みを作りたい。
2012
マルチモーダルAIを活用した撮影及び保存システム 「Past Shot」の開発
Find your past
中村 勇輝(群馬県立前橋高等学校 2年),武藤 拓実(群馬県立前橋高等学校 2年),阿久澤 慎一(群馬県立前橋高等学校 2年)
我々は、指定したアクションを自動で撮影・ラベルを付与して保存するIoTシステムPastShotを開発している。このシステムでは撮影する際に視野や時間が自分の行動によって依存するという従来の撮影時の制限を無くし、AIがユーザーの趣向に沿った画像を自動で記録する。また、写真分類等のアルバム作成時の従来の手動操作をPastShotでは事前に指定したラベルを元にアルバムを自動生成することも可能にした。PastShotの構成は主に対象判定・ラベル付け・表示の機構からなる。最初に撮影した画像から対象をChatGPTで判定し、認識された場合のみ写真の内容に適したラベルをCLIPが自動付与する。また、認識されない場合写真を破棄し、再度処理を開始する。クラウド上において付与したラベル毎に画像の分類・管理を行う。写真はNode-REDのUIに送信され、ユーザーは自動生成されたアルバムを閲覧することができる。
2013 〇
法人情報の真偽を判別するプロダクト「PIRD」の開発
岡田 武
岡田 武(群馬県立前橋高等学校 2年)
近年、インターネットでは偽情報が多く存在し、法人に関する偽情報では法人や顧客が甚大な被害を被っている。そのような課題の解決策として、法人情報の真偽を判別するツール「PIRD」を開発した。PIRDは、ユーザーが入力した情報をローカルLLMによって情報の真偽を判定し、真偽を図表で視覚的に表示するプロダクトである。今回は前橋高校で検証した。判定部は既存の70億パラメータのローカルLLMを使用し、新たに法人に合わせたデータでファインチューニングさせる。現在、ホームページをスクレイピングして得た情報をデータベース用の形式に整える作業を手作業で行っているが、スクレイピング作業を自動化したい。また、PIRDの判定の正確性を向上させるためにRAGの実装を試みており、現在はローカル環境で検証を行っている。今後はRAGをサーバー上に実装するだけでなく、手動で行っているデータベース上の情報の更新を自動化したい。
2014 〇
マルチモーダルAIを用いた飲料ごみの分別促進および おすすめ商品の提案ツール「Lovox」
Lovox
渡邉 志音(群馬県立前橋高等学校 2年),須藤 真心(群馬県立前橋高等学校 2年),塚原 壮平(群馬県立前橋高等学校 2年)
前橋高校では、飲料ごみの分別が正しく行われていないことが課題である。これを解決するため、「無生物が人格を持つ」という理念のもと、AIが利用者に寄り添いながら行動変容を促す分別支援システム「Lovox」を開発した。Lovoxは、ごみ箱サイドと自販機サイドから構成され、ラズベリーパイ上での顔認証(DeepFace)と物体検知(YOLO)により利用者と廃棄物を特定し、サーバーにデータを保存する。ごみ箱側では、個人の行動履歴に基づいて応答文を生成し、利用者に「自分を理解してくれる存在」として認識されるよう設計されている。一方、自販機側はその履歴をもとに飲料を推薦し、利用者との継続的な関係を形成する。「人格を持つ」アプローチは、単なる注意喚起ではなく、心理的なつながりを介して行動意識を高めることができる。現在は、認識・推論処理をサーバーへ統合し、応答速度と表現の豊かさを両立させる改良を進めている。
2015
忙しい人でも読書に親しめる電子書籍システム開発
太女図書
伊藤 咲(群馬県立太田女子高等学校 2年)
中高校生の読書離れが深刻であるという報告がある。本研究では、学校配布のノートPCから
アクセスできる電子書籍システムの開発、運用し太女生の読書率向上に貢献することを目的と
する。具体的には、Raspberry Piで読書専用のウェブサイトを作成し、ハイスペックPCで書籍
データの管理とログ管理システムを開発する。このシステムを太女で運用し各個人の読書時
間などを記録、それを元にデータを可視化して電子書籍システムが太女生の読書率向上に効
果があったのかを確かめる。
2016
「声の高さ」のギャップ解消のために ~FFT/IFFTを用いた自身の声の客観的理解システムと話し方改善への応用~
太女探究音
小室 菜生(群馬県立太田女子高等学校 2年)
人前で話すことに対する苦手意識から、自身の声を客観的に理解したいと思い、この研究に取り組んだ。最終的な目標は、自身に聞こえている声と他人に聞こえている声の違いを把握し、そこから人前での話し方の工夫ができるようにすることだ。この研究ではその第一歩として、”声の高さ”の部分にのみ着目し、聴覚的なギャップを埋めるシステム開発に取り組んだ。具体的には、録音した音声データに対して高速フーリエ変換をし、このFFTデータをピッチが変わるように加工し、逆高速フーリエ変換により音として再度出力することで、変化前と後の音を聞き比べられるシステムをつくった。このシステムは自己理解を深め、話し方改善に大きく役立てられると考える。
2018 〇
知的作業効率を向上する音楽的特徴の研究と診断ソフトの開発
のん
芦田 舞香(さいたま市立大宮国際中等教育学校 5年)
知的作業を行う際、音楽がある環境と音楽がない環境ではどのように作業効率が異なるのか、どのような調・テンポが知的作業効率の向上に影響を与えるのかを探究した。「平均律クラヴィーア曲集第1巻プレリュード ハ長調」を用い、調やテンポの条件を変えた音楽の下で簡単な足し算の作業を行ってもらい、回答時間、誤答数を分析・検定した。
短調の音楽を聴くと誤答数が少なく安定するのに対し、長調では誤答数が多くばらつきが見られた。調の変化と回答時間の関係性は見られなかった。また、80BPM以下ではテンポを速くすることで回答時間が短縮されたが、80BPMを超えるとそれ以上の影響はなかった。また、遅いテンポでは誤答数の低減や安定につながった。
これらをもとに、調とテンポを入力すると知的作業の効率にどのように影響を与えるのか、条件を変更するとどのような影響が見込まれるかを表示するWeb診断ツールを作成した。
2019 〇
回答のパーソナライズを目的とする新たなLLMの推論様式の確立とヒアリング・記憶運用・Web 検索を統合的に行うフレームワークの構築
フローラル
髙橋 彰仁(早稲田大学高等学院 3年),楠山 大貴(早稲田大学高等学院 3年)
現在、ユーザーを生涯にわたって理解・支援するAIシステムの社会実装が目指されている。しかし、先行研究では、要望取得と対話メモリの運用、外部ツールの実行を別々に扱っており、人間同様の統合メカニズムが開発されていない。そこで、本研究では、新たなLLMの推論様式として、ユーザーとエージェントのプロファイルの分析や不足している情報や要望を収集するためのユーザーへのヒアリング文の生成、Web検索クエリの生成などをシームレスに行うChain of Cognition(CoC)を確立した。また、CoCを基盤として、ヒアリング・検索・メモリ運用を統合的に行うMellowを策定・実装した。加えて、評価の結果、MellowはGPT-5よりパーソナライズ度が30%高い回答を提供できることが示された。Mellowは、病気の早期発見や個別に最適化された学び、ミスマッチによる早期退職の防止などの実現に貢献する。
2020 〇
WebアプリケーションでWell beingを目指せ! ~メンタルヘルス×学習アプリ~
MOIS Informatics
渡部 葉南(さいたま市立大宮国際中等教育学校 5年)
Well being達成のためにメンタルヘルスと学習アプリを掛け合わせたwebアプリケーションの開発を行った。
私は、well beingのためには運動、睡眠、食事はもちろんそれに追加して心の安定が必要と考えた。
実際、調査を行ってみると日本にはストレスを抱える人が他国よりも多く、その中でも若者であるほど多くのストレスを感じていることが分かった。
このアプリケーションは勉強に集中できるような環境づくり、適度な睡眠や運動の推奨、落ち込んだ気持ちへの寄り添いを通して精神的負担を少しでも和らげて勉強できるようなコンテンツとなっている。また、UI/UXの面でも落ち着いた色を使ったり、ピクトグラムを使ったりなど、使いやすさにも気を付けている。
また、実際にコンテンツを使用した感想などを収集、分析し今後の探求に生かしていこうと思う。
2021
複数通知デバイスによる学習初動支援と学習継続効果の比較検証 -英作文学習支援システムの改良-
チーム大枝
大枝 瑛達(木更津市立岩根中学校 2年),大枝 舞(志学館高等部 1年)
多くの学習者にとって、学習を始める最初の一歩は大きな課題である。モチベーションがあっても行動へ移る心理的ハードルは高い。本研究はこの「学習初動」を促し、継続を支援する英作文学習システムを開発する。システムは(1)学習初動、(2)意欲維持、(3)進捗管理に焦点を当てる。昨年度はRaspberry Piで制御するマスコット装置による促進機構を実装した。強制力と楽しさを兼ね備えた仕組みにより、学習初動の促進とモチベーション維持に一定の効果が確認されたが、製作コストが高く被験者数が限られた点が課題として残った。そこで本年度は通知方法を、(a)市販デバイスの低コスト型、(b)自作マスコットの高効果型、(c)スマートフォン通知型の3種に拡張し、開始率・継続率への影響を定量評価する。学習開始率や継続率から効果を評価し、積極的に学習初動を促し、継続的な学習を支援する英作文学習支援システムの構築を目指す。
2022 ◎
AIチャットボットが高校生の思考変容に与える影響の考察
那須 航
那須 航(市川学園市川高等学校 3年)
"Common sense is the collection of prejudices we acquire by the age of eighteen." 「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションである」。この言葉が示すように、私たちは日々多様な情報に触れる中で思考を形成するが、その過程で一面的な価値観や偏見を抱くことも少なくない。特に異なる意見や価値観に出会ったとき、それを受け入れたり再考したりする力、すなわち価値観の寛容性やメタ認知能力の育成が重要である。本研究では、高校生を対象に、対立的・共感的応答を行うAIチャットボットとの短期的な対話が、価値観寛容性(VPTS)、メタ認知・認知的柔軟性(MAI, CFS)、および未来志向性にどのような変化をもたらすかを検証する。AIとの対話を通じて、若年層の自己理解と他者理解を促進し、教育的介入モデルの構築を目指す。
2023 ◎
待機時間短縮の為の学園祭予約システム構築
日出学園高等学校
片山 友貴(日出学園中学校・高等学校 5年)
本校の学園祭では毎年学生の飲食団体が非常に混み合い、列が長すぎて購入を諦める人も多かった。
私は長蛇の列ができる原因を「提供まで時間がかかる」ことであると考え、提供準備が完了したタイミングで呼び出すシステムを構築することとした。
さらに学校の「生徒は校内でスマートフォンを使ってはならない」という校則に合わせ、内部生には「TV表示による呼び出し」、外部の方には「LINE通知による呼び出し」という形で構築することとした。
当該システムの開発及び当日の動き、フィードバックとその後の展望を本ポスターで発表する。
2024 〇
データサイエンスによる令和の米騒動の要因分析
佐藤ちよ
佐藤 ちよ(渋谷教育学園幕張高等学校 2年)
2024年の夏、令和の米騒動とも呼ばれる米の品薄と価格高騰が発生した。不作や減反政策、需要の増加など、複数の要因が重なったことが原因とされるが、過去の米騒動と比較すると値上がりの幅は異常に大きく、どの要因がどの程度影響したのかは明確ではない。
本研究では、データサイエンスの手法、とりわけ重回帰分析を用いて、米の価格高騰に対する要因の寄与度を定量的に評価し、令和の米騒動の背景を明らかにすることを目的とする。
2026 ◎
オイラー関数の多重合成を計算するアルゴリズム
梶田 光
梶田 光(Crimson Global Academy 2年)
初等整数論では、関数の性質を研究するとき、想定した方程式の解のパターンを数値計算によって予測を立てることが重要である。
特に最近はオイラー関数の多重合成が重要なテーマであるが、この関数は乗法的でない(つまり扱いづらい)ため、オイラー関数の性質を利用したアルゴリズムは知られていなかった。
そこで、前回発表した素因数分解の記録方法の応用を含む3つのアイデアをもって新しいアルゴリズムを考案した。
Nを計算する引数の上限、kを合成する回数とすると、このアルゴリズムは時間計算量O(k N log N)、空間計算量O(sqrt(N)log N)、ディスクの容量O(kN)で動作する。
また、並列化やwheel sieveの考え方を用いた必要な容量の削減に関しても考察し、特に後者の最適化を利用するとlog log Nだけ空間計算量・ディスクの容量を落とすことができた。
2028 ◎
若者と地域ボランティアをつなぐマッチングアルゴリズムの最適化
田坂美麗亜
田坂 美麗亜(東京学芸大学附属国際中等教育学校 2年)
本研究は、若者(13-29歳)と地域ボランティアをつなぐ最適なマッチングアルゴリズムを設計することを目的とする。地域では高齢化や人手不足により担い手不足が深刻化している一方、若者の多くはボランティアに関心を持ちながらも、自分に合った活動を見つけられず参加に至らない現状がある。そこで、若者と地域団体双方へのインタビュー調査を通じて希望や条件を整理し、それをもとにGale-Shapley型アルゴリズムやスコアベースの方法を応用したマッチングモデルを設計・試作する。さらに、仮想データを用いたシミュレーションで有効性を検証し、改善を重ねて社会への実装可能性を探る。これにより、地域の担い手不足解消と若者の社会参加促進を同時に実現し、学術的にもマッチング理論の新たな応用を提示することが期待される。
2029 〇
自動車ナビの条件の可視化: 条件が変わるとルートはどう変わる?
田口グラヴォ透麻
田口グラヴォ 透麻(東京学芸大学附属国際中等教育学校 5年)
自動車のナどを使用しルートを決めるときに、それぞれのルートを決めるのはどの条件が強く影響しているのかを解明し、より効率的なルートを模索する条件を導き出すのと同時に条件によってルートがどのように変化したか、そしてなぜ変化するに至ったかを解明する。そのためには、条件の差によって、何%到着時間が早くなった等々を効率的と表し、条件の差によって生まれたルートの類似性が小さければなぜ小さいのか、類似性が大きければなぜ大きいのかを解明する。条件の例としては、単純な最短距離、渋滞を避ける、燃費をよくする(坂道を減らす)、安全性(道路の広さ、右折左折する回数、等々)等複数ある。
2030 ◎
~ 楽してテストで無双しろ ~ 撮った写真から自分専用の問題を作り出す学習アプリ「とるモン!」の開発研究と提案
SmartPage
髙橋 真央(芝浦工業大学附属高校 1年),竹重 颯真(芝浦工業大学附属高校 1年)
スマートフォンは中高生にとって身近な学習ツールですが、課金や煩雑な手入力が壁となり、継続できないケースが少なくありません。そこで私たちは、教科書や参考書のページを撮影し、AIに任せるだけで自分専用の問題集を自動生成できるアプリを提案しました。ユーザーは写真を送るだけで、オンデバイスOCRと文章処理AIによって問題を作成し、問題を解く際はオフラインでも活用できるというものです。アプリのシステムとして、問題より四択で答えを選択し学習していくため、片手作業で通学中やちょっとした待ち時間などのスキマ時間で手軽に勉強出来ることが強みとなっています。また、AI利用のため多少の広告は存在するものの完全無料であることから、主に学校の授業や定期テストの対策をしたい学生をターゲットとしています。
これらの実現に向けて正確性・利便性・経済性を軸に、このアプリを使っていきたい、いち学生として研究を進めました。
2031
実店舗へのDX導入と顧客体験の最適化
中田千智
中田 千智(東京学芸大学附属国際中等教育学校 2年)
新型コロナウイルスの流行を機に、さまざまな場面でDXの動きが見られるようになった。特に回転寿司チェーンなどは、衛生面などが考慮されデジタルサイネージなどによる省人化がますます進んでいる。これは、衛生的な観点での安心感を顧客に与えられるという面では顧客体験を良いものにしている一方で、店員とのコミュニケーションなどDXで「置きかえられたもの」で向上できた価値を逃してしまうことにもつながっている。そのため、この研究では、DX (デジタルトランスフォーメーション)により失われてしまう実店舗の価値に目を向け、顧客体験を数値として分析できる指標を用いることで「店側の負担軽減だけでなく、客側にとっても魅力的」なDXの方法を明らかにすることを試みた。
2032 〇
「いいね」するとタイムラインはどう変わる?
「いいね」するとタイムラインはどう変わる?
横田 浩輔(東京学芸大学付属国際中等教育学校 2年)
SNSでは、「とある投稿にいいねしたら、似たような投稿が大量に流れてくるようになった」という体験が多く起こる。この特徴はユーザーの思想に大きな影響を与えうるものであり、場合によってはフィルターバブルの形成の一因になることもある。この研究では、複数のSNSについて、特定の投稿に「いいね」をするとその後のタイムラインに表示される投稿の傾向の変化を調査し、その変化の度合いを分析することを目的とする。
2033 ◎
意思疎通補助装置「バタフライ」
平沼樹里
平沼 樹里(東京都立調布北高等学校 2年)
病気や障害などが原因で言葉を話すことが困難な人のための意思疎通補助装置を開発した。あらかじめ入力された質問が音声で流れ、利用者は指先に装着したmicro:bitを上下に動かすことで直感的に意思表示を行う。動作を検知するとPCがシリアル通信で「YES/NO」を受信し、次の質問へと自動遷移する。多数の既存技術がある中で、本装置は誰でも練習不要で使用でき利用者と周囲の人の負担が少ないことを重視した。また質問内容はGoogleスプレッドシートで管理され、利用者の状況に応じて容易にカスタマイズでき、回答結果も自動記録される。これにより医療スタッフや家族もリアルタイムに編集・共有が可能となる。対象は人工呼吸器装着患者や高齢者など幅広く、コミュニケーションを改善し、利用者のQOL向上に寄与することを目指す。
2034 〇
Pythonを用いた深層学習による魚の鮮度判別システムの開発
Fresh Fish Checker FFC
政田 和奏(芝浦工業大学付属高等学校 2年),新 奈朋(芝浦工業大学附属高等学校 2年)
スーパーマーケットで魚を購入する際、多くの消費者は賞味期限や消費期限を基準にして新鮮さを判断している。
しかし、ネットスーパーでは実際に魚を手に取って確認できないため、期限表示だけでは鮮度に不安を感じる場合が多い。本システムでは、Pythonを使用し、深層学習による画像認識技術を活用して魚の目・エラ・体表の色素の状態から鮮度を判別する。それを元に自動でスコア判定を行い、生食可否や推奨調理法を表示する機能を搭載することを目標にし、ECサイトでの汎用及び、食品ロスに貢献したシステムを開発する。
2035 〇
画像認識を用いた電動キックボード等の運転補助デバイスの開発
TKG電動キックボード班
福西 啓人(東京都立多摩科学技術 3年),小松 柊生(東京都立多摩科学技術 3年),宇佐美 満啓(東京都立多摩科学技術 3年),五十嵐 周作(東京都立多摩科学技術 3年)
2023年7月に道路交通法が改正され、電動キックボードが特定小型原動機付自転車へと区分が引き下げられた。そのため、16歳以上であれば無免許での電動キックボードの走行が認められるようになった。しかし、これに伴って交通事故件数および交通違反の発生件数も大幅に増加しているのが現状である. これは複雑な交通ルールが利用者に浸透していないことに起因すると考えた。このような背景を踏まえ、本研究では電動キックボードにおける危険運転行動に対し、画像認識技術を用いて警告を行い、さらに走行後に事後評価を行うシステムの開発を目的とする。また、本システムは自転車などの対象にも応用が可能であるため、シェアサイクル事業や運転講習などの場面に導入することで、利用者に対する運転補助機能として活用され、交通安全に対する意識の向上を促す効果が期待される。
2036 〇
A²Mix: Attention を用いた CutMix-Based な DA 手法の提案
光本周一郎
光本 周一郎(東京都立小石川中等教育学校 5年)
画像分類器の学習では、学習データの不足や過学習が深刻な問題である。
既存手法である CutMix は、画像の一部を他画像に貼り付ける軽量なデータ拡張手法として広く利用されているが、特に検出対象が画像内で小さい場合、 CutMix では貼り付け位置をランダムに決定するため、重要領域が隠れることで情報損失が生じやすい。
本研究で提案する A²Mix では、学習済みモデルの注目度マップを利用し、非重要領域を優先的に置換する様に貼り付け位置を制御することでで情報保持と汎化性能の両立を目指す。
2037
純正律から生まれるより良い音律
tune
大久保 幸太(東京都立小石川中等教育学校 2年)
本研究は、純正律(Cmajor)を基準にして、主要な和音(Cmaj,Em,Fmaj,Gmaj,Am)の良好さを保ちながら、DmとBdimの和音の不協さを改善する新しい律を求めることを目的とする。各和音の汚さを評価する関数を作成し、その関数に基づき最適化した。その結果、純正律に少し手を加えただけではより良い音律を作ることは不可能なことが分かった。
2038
学内ネットワーク上で自由に利用できる仮想サーバー環境の設計と実証
情報メディアチーム
藤川 真優(広尾学園高等学校 1年)
本研究では、学内で生徒が主体的に研究・実験を行える、安全かつ自由な情報教育環境を構築し、その運用方法の再現性を確立することで、教育、現場における情報教育の質の向上に貢献することを目的とする。教育現場では生徒が自由に利用できる計算資源が不足しており、クラウド利用にはコストやデータ管理上の課題がある。そこで仮想化基盤を用いた学内サーバー環境を設計し、教育現場で導入・運用可能な構成モデルを検討した。実験では、M5Stackに心電図センサーを接続し、データの取得からサーバー上での処理・可視化まで一貫して実証した。学内の閉域ネットワーク内で複数学生が同時に利用できることを確認し、教育用研究基盤としての有効性と汎用性を示した。今後は、Docker ComposeやKubernetesによる自動展開の導入や、運用マニュアル・テンプレートの整備を進め、他校への容易な導入や長期運用の再現性の確保を目指す。
2039 ◎
ゴミの野外焼却行為による延焼、煤煙被害を軽減するシステムの開発
多摩科学技術高校 14期 IT領域 野焼き班
柴田 直弥(東京都立多摩科学技術高校 3年),平井 凛汰朗(東京都立多摩科学技術高校 3年)
廃棄物の野外焼却行為は一般的に野焼きと呼ばれる。なお、ここでいう野焼きは森林や草地を焼き
払う焼き畑とは異なり、あくまでも廃棄物の焼却行為である。見た目や規模はたき火に近い。本研究では
特に農業において野焼きを行う場合を対象とする。
現在、様々な目的から農家の間で野焼きが行われている。一方、その野焼きにより延焼火災・煤煙被害
が発生している。これらの課題に対して、多くの地域では対策が取られていない。そのため、本研究では
延焼火災、煤煙被害の少ない安全な野焼きを支援するシステムを開発し、上述の被害を軽減することを目
的とした。
1. 農家が野焼きを実施する前に現在位置の気象、延焼危険性の情報を提供するシステム
2. 野焼き実施中にカメラを利用し延焼被害が発生しないように監視するシステム
以上 2 つの開発を行った。このシステムの活用により、従来と比べ安全に野焼きが行われることが期待さ
れる。
2041 ◎
階段構造の仮想避難検証
玉川学園サイエンス部避難シミュレーションチーム
岡 航生(玉川学園中学部 2年)
本研究では避難時において重要な経路である階段に注目し、その形状の違いが安全性に与える影響を明らかにすることを目的とした。基礎実験では、移動速度や使用モデルの実用性について詳しく調べ、結果の信頼性を確認した。本実験では中学校を想定して、Unityを用いて直線・折り返し・螺旋階段の三種類を比較するシミュレーションを行い、人口密度や衝突回数の時間推移を詳細に分析した。データはすべて1分間記録した。実験の結果、直線階段・螺旋階段・折り返し階段の順に危険度が増し、折り返し階段は密度や衝突回数の数値が高いことが分かった。直線階段はすべての数値が低かった。また、折り返し階段の安全性を向上をさせるために、階段の横幅や踊り場の広さを半分と1/4に変更したが、大きな改善は見られなかった。この3つのサイズの内では、半分が最も安全であった。今後は更なる構造的工夫によって安全性を高め、避難経路設計への応用を目指す。
2042 〇
【学園祭DX】Next.js×Elasticsearch×Cloudflareを用いた大規模学園祭システムの設計と運用
広尾学園生徒会広報部門技術班
脇坂 一輝(広尾学園高等学校 2年),荒木 悠翔(広尾学園高等学校 2年)
本発表では、学園祭運営のために構築した統合プラットフォームの設計と運用を紹介する。生徒が家族・友人向けに発行する入場チケット、PTA支給の600円トークンで決済できる「HirooPay」、生徒が行うプレゼンテーション概要を事前登録し外部から検索可能にするElasticsearch基盤を、Next.js+PostgreSQL+Prismaで一貫管理。VPS2台へデプロイし、Cloudflareのキャッシュ最適化によりオリジンアクセスを大幅削減 (キャッシュ率約94%) して、フォールバック不要の安定運用を実現した。
2043
カーペットクリーナーを使った自動掃除機
いんこちゃん
中川 瑞月(東京電機大学中学校 2年)
粘着クリーナーを引きずって、カーペットなどを掃除するロボットです。EV3というセットを使って作り、プログラミングしました。カーペットなどの掃除に粘着クリーナーが使われてると知り、⾃動にできるのではないかと思い、作ってみました。カーペットから離れたときや、壁に近づいたりしたのを検知して、引き返して、カーペットの全⾯を掃除します。プログラミングだけでなく、ロボットの外側にも苦労しました。引き返すときによくひっくり返ってしまって、苦労しました。ですが、タイヤをかこっていた大きめのごみを押し出すものを外したらバランスが良くなり、ひっくり返ることがなくなりました。今後は、ソファや毛の長いカーペットも掃除できるようにしたいです。
2044 ◎
リハビリテーション・トレーニングにおいて活用可能なVRコンテンツの開発
シュレディンガーのてるんてって
𠮷田 大航(立教池袋高等学校 2年),西本 大晟(立教池袋高等学校 3年),中村 太凱(立教池袋高等学校 3年),久保 壮太郎(立教池袋高等学校 3年)
聖路加国際病院からの相談を契機に、我々はリハビリテーションが抱える「実施空間の制限」と「単調さによるモチベーション維持の困難」という二大課題に着目した。これらを解決するため、リハビリ・トレーニング現場で活用できるVRコンテンツの開発に取り組んでいる。
本研究の強みは、そのコンテンツ面への徹底的な作り込みと技術力である。まず、歩行・走行・ジャンプといった多様な動作を広い空間不要で可能にする装置を一から自作し、実用性を確保した。さらに、VR映像のコンテンツの質を最大限に高めるためBlenderを用いてすべての小物やキャラクターに至るまで没入感を与えるモデルを自作した。これらをUnityで統合することで、単なる動作の再現に留まらず、利用者が飽きずに楽しめるエンターテインメント性と動きのあるリハビリ体験をVR空間内で実現した。情報技術とデザインの力で、リハビリへの意欲向上と効果最大化を目指す。
2045 ◎
未知迷路探索ロボットにおける動的経路計画アルゴリズムの設計と評価
五十嵐柊司
五十嵐 柊司(都立小石川中等教育学校 5年)
本研究では、有限範囲の未知の迷路環境を自律的に探索するロボットにおける、迷路を全探索するための動的経路計画アルゴリズムの設計とその評価を行った。従来の右手法などの迷路探索アルゴリズムでは未踏領域への効率的な到達や経路の最適化が困難である。本研究では、探索済みの地点とその移動コストを記録し、未到達タイルへの最短経路を計算しながら経路を構築するアルゴリズムを実装した。さらに、ランダムに生成した迷路を用いてシミュレーション上で既存手法との比較実験を行うことにより探索効率を評価した。
また、実機環境ではLiDARセンサによる壁検出の誤差などによってマッピングにずれが生じる可能性がある。そこで、マッピングにずれが生じた際に既存の地図情報を動的に修正し、探索を再開する手法についての研究も行っている。今後は、実機ロボット上での動作検証を進めながら、実機環境における全探索の精度向上を目指す。
2046
日本における男女の賃金格差の是正を目指す
谷川友梨
谷川 友梨(東京学芸大学附属国際中等教育学校 5年)
世界経済フォーラムが毎年発表するジェンダー•ギャップ指数やニュースなどを見ていると、現在の日本は世界の中でも男女格差がまだ大きいと感じた。そのため、男女格差の中でもよく耳にする賃金格差に焦点を当て、格差の是正に繋げたいと考えた。OECDなどで公開されている賃金のデータと他のデータを、先行研究では日本国内のみにおいて比較が行われていたため様々な国同士のデータを比較しすることで賃金格差の原因を新たに見つけることができるのではないかと考え研究を進めた。
2047 ◎
HDT-AD: 超高次元変換による頑健かつ適応的な時系列異常検知
海城中学高等学校生物部
走出 慧太(海城高等学校 1年)
小脳の情報処理に着想を得たHyperdimensional Computing(HDC)の派生手法、HDT(Hyperdimensional Transform)を応用し、軽量・頑健・適応を同時に満たす次世代エッジAI「HDT-AD」を提案する。現場のAIは、資源制約・ノイズ・環境変化という複合的な課題に直面しており、従来手法では性能と実用性の両立が困難であった。HDT-ADは高次元ベクトルによる分散表現を用いることで、特徴量選択に依存せず高いノイズ耐性と環境適応性を示した。3種の実験により、その有効性を確認している。本研究は、HDTの実用性を時系列処理タスクにおいて実証することで、IoT、医療、災害対応など多様な分野におけるAIモデルの新たな選択肢を提示するものである。
2048
環境による文脈変化を組み込んだかな漢字変換
お茶の水女子大附
友寄 美尋(お茶の水女子大学附属高等学校 3年)
本研究では、アプリや送信相手など、文章を入力する環境に応じて複数のかな漢字変換システム(IME)を切り替える方式の有効性を検証した。「BCCWJ(現代日本語書き言葉均衡コーパス)」短単位語彙表 から同音異義語を抽出し、変換実験によって語彙分布の正規化エントロピーと変換精度の関係を分析した。その後、得られた関係式を用いてBCCWJのジャンル別に変換した場合と全体をまとめて変換した場合の変換精度を予測・比較した。その結果、ジャンルごとに学習させた変換の方が全体でまとめて学習させた場合よりも変換精度が高くなることが分かったが、変換精度の有意差は確認できなかった。今後は、より適切なジャンル分けの考察や、処理時間・メモリ使用量への影響を含めた実装評価、より長い単位での変換が課題となる。本研究は、IMEの構造を改良するのではなく、使い方や文脈のとらえ方を工夫することで変換精度向上を目指すという新たな視点を提示している。
2049
テンパズルはパターン化することで速く解くことができるのか
赤尾柚香
赤尾 柚香(東京都立富士高等学校 2年)
現在、スーパーコンピュータの消費電力が問題視されている。そこで、テンパズルを題材とし、実行時間の短いアルゴリズムとはどのようなものなのか検証することを本研究の目的とする。方法として、アルゴリズムの異なるプログラム2つを比較する。①全探索、②動的計画法を元に独自に編み出した、10の作れるパターンをリストアップし、リストアップされた2つの数字が作れるか判断するプログラムである。①の実行時間は121ms、②は32msとなった。①に対する②の全ての式の個数を百分率で表したもの(正答率1)は79.7%となった。また、①に対する②の式が出た、4つの数字の組み合わせの個数を百分率で表したもの(正答率2)は97.5%となった。これらは②が高い精度で答えを導き出していることを示している。このことから、②は式を導く精度が高く、実行時間が大幅に短縮できるプログラムであるといえる。今後は②とは異なるアルゴリズムも比較していきたいと考えている。
2050
気候データを用いたカップ麺支出額予測
石川響
石川 響(東京都立小石川中等教育学校)
SSDSE(教育用標準データセット)の各県のカップ麺の1世帯当たりの消費金額の平均と、気候データ(気温や雪日数)の関係性から、気候データを入れることでカップ麺の1世帯当たりの消費金額の平均の予測値を出してくれるプログラムを作りました。
2051
1日の歩数からBMIを推測する
福沢富
福沢 富(都立小石川中等教育学校 5年)
歩数とBMIのデータを分析する上で得られた相関関係を用いて、歩数を入力すると予想されるBMIを表示するプログラムを制作しました。
2052 ◎
来場者の分散と情報の連携による円滑な文化祭運営
都立国立高校エンジニア班
石田 康治(東京都立国立高等学校 2年),杉本 佑樹(東京都立国立高等学校 2年),中島 大河(東京都立国立高等学校 2年),北島 櫻晟(東京都立国立高等学校 1年)
データを収集し活用するシステムの開発で文化祭の安全確保・効率化・来場者と在校生双方の満足度向上に貢献した。第一に、来場者が事前申し込みフォームに入力した第1〜5希望の来場時間帯を、独自に開発したプログラムで自動最適化したことで、2日間で約9千人の来場者を特定時間帯に偏らせず受け入れられた。第二に、昨年度作成したコード読み取りによる入場受付の効率化システムを改良し、今年度は、個別の二次元コードを配布し幅広く活用した。各教室でコードを読み取ると「滞在時間」「入室したクラスの数」が規定を超えていないか確認できるシステムを開発し、展示・演劇の入場時に活用したことで、規定を超えている来場者には生徒が退場を促せるようになり、過度な長時間滞在による混雑防止を実現した。第三に各教室の入室者数を生徒にリアルタイム公開したことで、生徒が数値を参考にして、待ち時間の低減策や集客を逐次改善できるようにした。
2053 ◎
見分けられないクラゲを見分ける:YOLOおよびCNNを用いたサカサクラゲの個体識別とトラッキングの自動化
杉本拓哉
杉本 拓哉(東京都立新宿山吹高等学校)
水槽内で飼育したサカサクラゲ (Cassiopea sp.) の行動を解析するため、ウェブカメラの映像から複数個体を自動識別・追跡するシステムを開発した。クラゲ類は形状や動きが類似しており、個体識別が困難で、このような試みはほとんど行われてこなかった。本研究では、YOLOを用いてサカサクラゲを検出し、切り抜いた画像からCNNで特徴量を抽出して個体識別を行った。さらに、検出位置の時系列的不連続を自動修正する仕組みを加え、誤識別を削減した。これにより、従来手動で行っていた識別・解析を自動化し、複数個体の行動データを長時間・効率的に取得することに成功した。得られたデータの解析から、個体ごとの活動量や環境応答の違いを定量的に把握できることが示された。本情報学的手法は、生物行動の定量解析を可能にし、クラゲ類をはじめとする生物研究の新たな発展につながることが期待される。
2054
音声アラート付きライブカメラ
Project Eidos
川添 琥太郎(都立小石川中等教育学校 3年)
自動車の右左折時には、運転者が歩行者や自転車を目視で確認する必要がある。しかし、視野の死角や確認ミスによる事故が後を絶たない。本研究では、こうした人的ミスを補助するために、物体検出AIであるYOLO(You Only Look Once)を用いて歩行者や自転車を自動的に検知し、運転者に注意を促すシステムを試作した。使用ソフトウェアとしてPython 3とYOLOv8、PyTorchを採用し、開発環境にはWindows 11およびVisual Studio Codeを用いた。ハードウェアとしては、Raspberry PiカメラモジュールおよびUSB接続Webカメラを用い、実際にAIによる物体認識が可能かを確認した。少ないデータ数ながら、基本的な検出機能を確認できた点を成果とし、今後の発展可能性について考察した。
2055
芥川龍之介の作風を知る!単語感情極性対応表を用いて行うテキストマイニング分析
Akumo
遲澤 茉埜(文京学院大学女子高等学校 2年)
「文章とは人柄を表す」という言葉を聞いたことはないだろうか。本研究では、日本を代表する文豪・芥川龍之介の作品を対象に、テキストマイニングを用いて各作品の感情値を分析した。彼はいつから死を意識していたのか、また生や死への思いが作品にどのように表れているのかを探るためである。単語感情極性対応表を用い、作品中の言葉の感情値(ポジティブ1〜ネガティブ-1)の平均を算出し、時期ごとの変化を比較した。私は後期の作品ほど感情値が低くなると考える。将来はこの分析を応用し、感情に合わせて本を紹介するマッチングアプリを開発したい。読書離れが進む今、人々が心を揺さぶる本と出会うきっかけを作りたい。
2056
名無しプリント提出者識別アプリの精度検証
抹茶ソーダ
小池 珠未(東京都立葛飾総合高等学校 2年),菊地 凜空(東京都立葛飾総合高等学校 2年),戸村 明日香(東京都立葛飾総合高等学校 2年)
学校で課題や提出物に氏名がない場合、教員が提出者を特定できず評価や管理に支障が生じる。氏名の記載忘れは人為的ミスで根本解決には至っていないため、筆跡という個人固有の特徴を用いた本人特定技術への関心が高まっている。筆跡認識は文字認識とは異なり、筆圧や筆運びなど多様な特徴を活用し、画像処理や機械学習の進展により実用的な照合システムの構築が可能となった。これにより氏名なしでも提出者の特定が期待されるが、教育現場での活用には照合精度や処理速度の向上が課題である。
2057
情報技術を活用した新たな部活動の形
山口遥大
山口 遥大(東京都立小石川中等教育学校 5年)
近頃、新入生の部活離れが深刻になっている。
部活では今でもプリントを使って基礎の内容を行うなどして、かなりアナログな状態が続いている。
この問題を解決するため、私は部活動のさまざまなシステムをデジタル化するべく、ウェブサイトの構築に取り組んだ。
現段階ではオリジナリティの創出に課題があり、はっきりとまだ研究とはなっていないものの、これからデータや今の段階であるシステムを活用し、将来的には一般向けにも公開できるウェブサイトにしていきたいと思う。
2059
効率的に予定を組みたい!!
由良優貴
由良 優貴(順天高等学校 2年)
私は日々の生活の中で、同じような予定を繰り返し入力する手間に不便さを感じていました。特に学校生活では、毎年繰り返される行事の企画において、あらかじめ決まった予定の流れが存在します。
そこで、これらの予定を一から作り直すことなく再利用できるカレンダーを作成し、行事の準備や計画をより簡単に立てられるようにすることを目標に探究を進めています。
また、前年度の活動記録をそのまま使うだけでなく、必要に応じて編集することで、昨年度の取り組みを参考にしながら今年度の予定を効率的に作成できるようにしています。
このシステムは、「データ記録ページ」と「カレンダー」の2つのページで構成されており、簡単なボタン操作で切り替えることができます。
2060
スペースデブリの効果的な排除方法についての可視化
都立小石川 スペースデブリ班
皆川 壮輔(都立小石川中等教育学校 3年)
近年は宇宙開発が活発化してきており、多くの人工衛星が宇宙に打ち上げられている。しかし、それと同時にスペースデブリと呼ばれる制御不能な故障した衛星も多く発生している。本研究では、スペースデブリの軌道を3次元的に可視化するとともに、日本の打ち上げ場から打ち上げることを想定し、回収衛星の軌道を計算し、可視化することを目標とした。計算には複雑な計算式が必要であり、完成には至っていないが3次元的な可視化を通じ、衛星を可視化する技術を確立することや、よりスペースデブリの危険性についての認識を深めてもらいと考えている。
2061
小麦とコメの生産コスト最小化の作付け面積についての比較
都立小石川_数学情報ゼミ_生産コストの最小化
上市 怜(都立小石川中等教育学校 3年)
近年、主食であるコメや、パン・麺の原材料である小麦も値上がりしている。この問題に対して、小麦やコメの生産コストを少なくすれば値段も安くなるのではないかと考えた。工場などでは、生産量が増えるほど一商品当たりの生産コストが安くなるが、生産量が増えすぎると一商品当たりにかかるコストが増えてしまう。そこで、生産量をどこまで増やせば生産コストが最小になるかについて研究し、小麦とコメを比較した。研究方法としては、最初に小麦とコメの価格や平均収穫量を調べて農家の10a当たりの収入を計算し、次に作付面積別の10a当たりの生産コストを調べた。これらの結果から、コストと利益のグラフの近似式を作成し、その式を微分してどの地点で最も生産コストが低く、最も利益が高くなるかを求めた。これらの結果から、小麦とコメについて生産コストが最小になる作付面積を比較し考察した。
2062 〇
micro:bitを用いた2段階認証オートロックの作成
Skeptical Cat
山﨑 宗一郎(東京都立調布北高等学校 2年)
市販のオートロックは認証要素が1つであることが多く、それが盗難や紛失時の脆弱性につながっています。その解決策として、micro:bitを用い、認証の「種類」が異なる2つの要素、すなわち利用者の「動作」を認識するAIジェスチャー認証と、利用者の「知識」および「所有物」(スマホ)を必要とするワンタイムパスコード認証を組み合わせたシステムを開発しました。本研究から、このように性質の異なる認証を多層化することの重要性が確認できました。例えば、スマートフォンが盗まれても本人特有の「動作」が防壁となり、逆にジェスチャーが模倣されても「知識」としてのパスコードがなければ開錠できません。このように、片方だけが突破されてももう一方が安全性を維持するため、強固なセキュリティが実現できることを実証しました。
2063 ◎
micro:bitを用いたデータによる植物栽培システム
DataBloom
鈴木 陽太(筑波大学附属高等学校 1年),前田 匠翔(筑波大学附属高等学校 1年),原田 壮真(筑波大学附属中学校 1年),張ヶ谷 諒(筑波大学附属中学校 3年)
誰もが、一度は植物を育てようとした経験があっても、知識がない・管理を忘れるといった理由で植物を最後まで育て上げることが出来なかったという人も多い。この課題を解決することを目的とし、ハード面での再現性の高いmicro:bitを用いて、灌水や気温の管理及びデータ収集を行い、チューリップ栽培に適切な環境を保てるようにするシステム、そして、水中生物の飼育と植物の水耕栽培を組み合わせた循環型の農業形態である、アクアポニックスの環境の管理を行えるシステムを作った。
2064
渋滞減少の数理表現
Fluxus Solus
江口 佳甫(都立小石川中等教育学校 3年)
本研究は、Nagel–Schreckenberg(NaSch)セルオートマトンモデルを用いて、交通渋滞の発生要因を数理的に解析したものである。シミュレーションの結果、車両密度が低い場合には自由流状態が維持されるが、密度が増加すると車両の停止と加速が繰り返される「渋滞波(stop-and-go 波)」が後方に伝わることが確認された。さらに、ランダム減速確率を高く設定すると平均速度が低下し、渋滞が起きやすくなることが明らかとなった。これは、ドライバーの反応のばらつきが交通流の不安定化を引き起こすことを示している。また、車線数を増やすことで平均速度が向上し、渋滞の発生が抑制されることも確認された。これらの結果から、交通流の安定性は「車両密度」「運転挙動のばらつき」「道路構造」の三要素に大きく左右されることが分かった。本研究は、渋滞の発生メカニズム解明や効果的な交通設計の基礎的知見を提供するものである。
2065
pythonを用いた猫背判定プログラム
Team Spine
野本 快(都立小石川中等教育学校 3年)
本研究では、パソコンのカメラを用いて猫背を自動検知するシステムを開発した。悪い姿勢は健康を損ねたり集中力の低下につながったりするため、リアルタイムで姿勢を判定し、知らせてくれるようにした。pythonからMediaPipeのPose推定モデルを用いて鼻と左右の肩の位置を自動で取得し、横から見たとき、鼻が肩よりどれだけ前にあるか、両肩が傾きすぎてないかを基準に猫背を判定した。正確なシステムを作るために、肩と鼻の検出の閾値を変化させて実験を行った結果、0.65のときに最も高い正検知率が得られた。また、音声警告機能を実装することで、姿勢の改善を即座に促す仕組みも上手く実現した。このことから本研究は、日常生活における姿勢改善支援や学習環境の最適化に応用できる。
2066
ごきげんななめの作問を補助するツールの作成について
都立小石川_数学情報ゼミ_ごきげんななめ
花田 穣(都立小石川中等教育学校 3年)
HTML、CSS、JavaScriptを用いて作問を自動で行うシステムを開発した。またエラーチェックや自動回答機能も組み込むツールとした。コード量は約600行に及んだが、可読性や保守性を意識してコーディングすることができた。
2067
Vit Poseを用いたバドミントンのスマッシュ比較について
千葉クローバーランド
千葉 隼玄(東京都立小岩高等学校 3年),笠原 四葉(東京都立小岩高等学校 3年),宮代 陸(東京都立小岩高等学校 3年)
バドミントンのプロとアマチュアのスマッシュフォームを比較し、スマッシュの速さに違いがあるか調べようと思った。速さの差を明らかにするため、関節や骨格の動きを可視化できるVitPoseを用いて解析を試みた。VitPose環境を構築し、スマッシュ動画を入力して正常に動作することを確認。様々な人の動画を解析したが、中間発表で「身体的条件が異なり前提が揃っていないのでは」と指摘を受けた。筋肉の付き方などの違いが影響すると気づき、比較の公平性向上が必要と判断。そこで、元プロの方にアマチュアのフォームを真似て打っていただく方針に変更した。これにより身体条件を一定に保ち、フォームの違いによる速さの差をより正確に評価できると考えている。
2068
アプリによる勉強習慣の改善
理数探求情報班
原 彩音(順天高等学校 2年)
何事も、習慣化することは非常に大変である。特に、自分が好き好んで行うものでなければ、それを習慣化させることはより一層難しくなる。そこで、この研究では勉強習慣に焦点を当て、プログラミングで問題が解決できないかと考えた。また、勉強時間を記録して可視化するだけでなく、勉強を習慣化させることをより楽にするための工夫も加え、アプリ化することを試みた。
2069
傘の濡れない差し方
チームかき揚げ
田中 哲大(東京都立立川高等学校 2年),前田 琥太郎(東京都立立川高等学校 2年)
雨の日、傘を差しているのに体が濡れてしまうという経験を何度もした。この問題を解決するため、傘の適切な差し方を探る。
2070
人の動きの流れを用いた距離センサーによる信号の青検知
都立小石川_数学情報ゼミ_信号
中村 凛太郎(都立小石川中等教育学校 3年)
歩行者が信号待ちをしているとき、信号が赤から青に変わったことを歩行者自身が持つ電子機器で自動的に認識できるようにすることは、歩行者の安全性の向上や、今後さらに進む社会の自動化に向けて非常に重要である。そこで本研究では、「信号が青に変わると人が動き出す」という特性に着目し、距離センサーのみを用いて歩行者信号の変化を検知できるアルゴリズムを、歩行者の待機位置ごとにパターン分けして考察し、青信号を検知できる装置の開発を行う。
2072 〇
物理的音声モデルによるAI非依存型音声合成の試み
古木勇輝
古木 勇輝(都立科学技術高等学校 1年)
近年、AIの発達によって波形接合型音声合成や大規模言語モデルを利用した多言語音声生成が進化しているが、これらの手法は膨大な学習コストと高い計算資源を必要とするため、誰もが容易に利用できるとは言い難い。
そこで本研究では、AIを使わずにフォルマント(声道共鳴)を用いた物理的な音声再現により、軽量・低コストで効率的な音声合成を実現することを目的としている。
実験では、まず母音についてフーリエ変換で音声スペクトルを分析し、得られた周波数成分をサイン波として再構成することで自然な母音音声を再現した。次に子音の再現では、発音の時間的変化を表すためにガウス関数による包絡制御を導入し、摩擦音や破裂音などの特徴的な音を生成した。
さらに、発音記号(IPA)を最小の音声合成単位とするプログラムを構築し、従来のローマ字ベースにはない滑らかで連続的な発話を実現した。また、ガウス関数による子音の時間変化に加えて、母音の音量変化に三角関数を導入することで声の震えを再現し、より聞き取りやすい発話を生成した。
その結果、母音や子音を少数のサイン波のみで再現できることを確認し、フォルマント合成の有効性を示した。
2073 〇
AI時代を見据えたクローム拡張の研究開発
Nanjo
南條 泰宏(早稲田大学高等学院 1年)
2025年、生成AIの競争は画像・動画生成から「AIブラウザ」へと移り、検索に代わり対話で情報収集する仕組みが広がっています。しかしその便利さの裏で、個人情報流出の危険性や、プロンプト設計による利用スキルの格差などの新たな課題も生まれています。これらの課題を解決する糸口としてChrome拡張の可能性を探り、研究開発を行いました。
本拡張は、①入力情報の安全性を自動チェック/マスキング、②AIブラウザの一部機能をローカルで代替する仕組み、③GUI操作による直感的なプロンプトエンジニアリング支援、④プロンプトを保存する機能を備えています。
これらの機能は従来の生成AI利用にシームレスに組み込まれ、操作性を損なわず効率的なAI活用を実現します。本ポスターでは、その設計図や開発過程、活用例、今後の展望を紹介し、生成AI時代に必要な「安全と効率」を両立する新しい設計・構想を提案します。
2074
手書き文字からフォントを作成する
' OR '1'='1
服部 慧人(東京都立小石川中等教育学校 3年)
グローバル化が進む中で、手紙を用いたやり取りの機会が減少している。
手書き文字にはその人個人の個性や感情を反映させる魅力がある。
そこで、ユーザーの手書き文字から、その筆跡に沿った新しいフォントを作成する方法を研究した。
2075
条件の比較から考える検索精度を利用したマインドマップの作成
若松奏良
若松 奏良(文京学院大学女子高等学校 2年)
本研究では、少ない条件下での検索精度の向上を目指し、その仕組みを活用したマインドマップの半自動生成に取り組んでいる。
一般的な検索エンジンでは、検索の仕組みは詳細に公開されていなかったり個人では再現が難しい技術が用いられていたりする。そのため、本研究では単純な条件の組み合わせを比較し、より高精度な検索結果を得られる条件の組み合わせを探った。この研究の利用例としては、検索エンジン構築における無駄の削減や、必要以上の精度を求めない簡易的な検索エンジンの作成などが考えられる。
本研究での検索対象は日本語の短文とし、構築した検索モデルを用いてマインドマップを自動的に生成する仕組みを試作している。
2076 ◎
VR技術を用いたロコモティブシンドローム体験プログラムの開発・実践・評価
ロコプロ
江畑 遼祐(広尾学園高等学校 3年)
ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)とは運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態である。対策には若年からの運動習慣の確立が効果的であるが、実に180万人もの高校生が厚生労働省が設定する運動習慣の基準を満たしていない。健康意識を確立する一つのアプローチとしてHealth Belief Modelに則った危機感へのアプローチがある。そこで、本研究では、ロコモによる移動機能低下を疑似体験できるVRプログラムを作成し、アンケート調査をもとに中高生間への危機感喚起による運動意識促進効果を検証する。
Unity上で10mの横断歩道を模したVR空間を作成し、ロコモ患者の平均的な移動速度である健常時の0.7〜0.8倍の歩幅で歩行を行うロコモーションプログラムを開発した。本手法を用い、ロコモ患者の歩幅縮小による歩行能力低下を再現するVRコンテンツを提案する。
2077 ◎
機械学習を用いたスプライトの自動検出と発生地点の特定
東京都立立川高等学校地学ゼミ
北村 隆樹(東京都立立川高等学校 2年),大石 雄稀(東京都立立川高等学校 2年),根本 美優(東京都立立川高等学校 2年)
スプライトとは、落雷に起因する中間圏~熱圏の発光現象のことである。平均的な現象継続時間が10ms以下と極めて短いため、録画した映像にスプライトが写っているかを手動で確認する従来の観測方法は莫大な労力を要した。より効率的に観測を行うため、Pythonと機械学習ライブラリを用いて、本校地学ゼミ流星班(2024)の先行研究により作成された全天映像観測システムの観測データ内のスプライトをリアルタイムで自動検出するシステムを構築した。
これに外部から取得した雷レーダーのデータと照合することで、スプライトを引き起こした可能性の高い落雷を特定できるようになった。
また、より鮮明なスプライトの画像を得るため、高フレームレートのビデオカメラを自動で雷雲の方向に向ける架台に固定した観測機器を自作した。スプライトの多発が予想される冬季に向けて実運用を開始する。
2078
深層学習の原理探究へ向けたRust製フレームワークの構築 ~最適化および機能的拡張へ~
ズシAIフラスコ
臼井 千裕(逗子開成高等学校 2年),鈴木 翔天(逗子開成高等学校 2年)
Rust言語はC/C++と同等の処理速度を持ちながら、メモリ安全性を確保しているという特徴を持つが、pythonなどといった言語に比べて機械学習の分野において遅れている。教育的な観点で本研究では従来のC++製のフレームワークと比べても実用的な処理速度をもつフレームワークのフルRust実装を目標とした。
ユーザー自らが一からフレームワークを実装してもらい、深層学習の原理を探究してもらうこと、日本語のコミュニティを構築しやすい国産のフレームワークを機械学習で開発途上のRustで実装することで、さらなる日本でのRustにおける深層学習のコミュニティを活発にし、開発を促すことを本研究のコンセプトとした。
また動的、静的な関数を効率的に組み合わせて実装することで、フレームワークの最適化を改良した。
さらに私たちはCNNなどといった拡張的な機能を実装して、さらなる実践的なフレームワークへの発展を目指した。
2079
揚力を使用した運動、またそれを利用した軽量化人型ロボットの歩行技術の研究
アップルπ
財田 清良(横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校 2年)
人型ロボットの動作において、以下の点を問題だと考えている。
現時点でのロボットの動きは力学的観点で不自然さがある。モーターにも重量があるので他角度で自由な運動をさせると重さがある、それを支えて早く動かすと当然モータの消耗も激しい、限界が存在する。一般的なモータは基本一軸なので数が必要。
また、軽量化にこだわるのには理由がある。現在メジャーなロボットは人間に近い形状だが、そうでないもの、例えば着ぐるみのようなアンバランスな体(またそれをさらに強調したもの)を動かせるようにするためには、軽量化が必要だと考えたからだ。
そのほかに、揚力を使用して歩行する研究事例の少なさや、浮いている状態で身体運動をするロボットの論文の少なさから、本実験を立ち上げた。
流体力学シミュレーションによる解析とRaspberry Piによるモータとセンサの制御で軽量化等について研究する。
2080 ◎
「行けるかな?」の不安をなくす、段差のレベル表示付きバリアフリーマップの設計と評価
[慶應義塾大学] KEIO WIZARD "GLOCAL"
大塩 真帆(フェリス女学院中学校 3年)
近年バリアフリーマップといったものを見かけることが増えてきているが、車いすやベビーカーの利用者に対する段差の具体的な高さなど細かい情報まで分かる地図はまだ少ないように感じる。
そこで本研究では、道路上の段差を5段階にレベル分けしたバリアフリーマップを新たに作成し、評価を行う。対象ルートを一つに絞り、実際に段差をあらかじめ測定し、Google マイマップに写真付きでまとめたバリアフリーマップを作成した。
その後、キャリーケースを持った被験者にルートを歩いてもらい、バリアフリーマップの有無がキャリーケースを持ち上げる回数の変化に与える影響を調べる。また、マップのアイコンのわかりやすさなどに関するアンケートを行い評価する。
結果として段差をレベルで示すと、参加者が道の状態を理解しやすくなる傾向が見られると予想できる。今後は、使いやすいマップのガイドライン作成を行いたい。
2081 〇
教室環境における照明使用実態の分析と省エネの提案
植田智也
植田 智也(横浜創英高等学校 1年)
地球温暖化の進行により、二酸化炭素排出削減は世界的な課題となっている。そのため、学校や日常生活などの身近な場面でも、エネルギー使用の見直しが求められている。本研究では、二酸化炭素排出削減を目的に、学校における教室の照明と空調の使用実態を調査し、省エネ化の可能性を検討した。
micro:bitに各種センサーを接続して教室に設置し、約1週間、明るさ・温度・湿度を1分間隔で測定した。得られたデータをPythonで可視化し、時間割と照らし合わせて分析した。その結果、移動教室など生徒が一斉に教室からいなくなる時、照明がつけっぱなしの時間があることがわかった。一方で、測定が秋季であったため空調の使用は少なく、在室状況との関連ははっきりしなかった。今後は、夏季や冬季など空調の使用が多い時期にも観測を行い、季節による傾向を比較することでより実態に近い分析をし、学校における効果的な省エネ対策につなげたい。
3001
ノーコード開発と統計で目指す食堂経営の向上
情報2班
関原 賢樹(富山県立高岡高等学校 2年),田島 光留(富山県立高岡高等学校 2年),西嶋 祐人(富山県立高岡高等学校 2年)
昼休みの食堂は激戦区そのものだ。4時間目が終わって即行かないと確実に長蛇の列に巻き込まれる。高岡高校の探究科学科の生徒は2年生になると、課題研究といって興味を持ったものをグループになって研究する。そこで私たちはこの問題をITを使って解決したいと思ったが、私たちはプログラミング初心者だった。そこで、できる限り自分たちの手を使わず、AIに指示を出してweb予約システムを開発してもらい、デジタルという特性を用いた経営の向上を図ることにした。
3002
シフトレジスタを利用した4*4*4LEDの立体表示に関する制作と制御プログラムの取り組み
チーム LGC
関野 遥斗(富山県立大門高等学校 2年),加藤 立暉(富山県立大門高等学校 2年),尾田 雄飛(富山県立大門高等学校 2年),梶谷 倖太郎(富山県立大門高等学校 2年)
本研究では、立体的に配置したLEDを多様なパターンで制御・点灯させるプログラムの開発に挑戦する。まず、LEDを安定して組み立てられる独自の治具を設計・製作し、立体構造の中で光の表現を最大限に引き出す工夫を行う。制御プログラムの開発では、プログラミングに強いリーダーを中心に、複数のメンバーが機能を分担しながら協力してコードを制作する。最終的には、それぞれの成果を統合し、一つのLED制御パッケージとして完成させることを目指す。創造力とチームワークを活かし、見る人を驚かせる光の世界を実現する研究である。
3003
ババ抜き無双
情報1班
東 壮馬(富山県立高岡高等学校 2年),中尾 麟太郞(富山県立高岡高等学校 2年),五十嵐 寛人(富山県立高岡高等学校 2年),武部 翔太(富山県立高岡高等学校 2年)
私たちは、運に左右されるババ抜きで確実に勝つ方法を科学的に探ろうとした。具体的には、ARゴーグルを使って相手の視線を解析し、どのカードをどの程度注視しているかを把握することで、ジョーカーや他のカードの位置を推測できるのではないかと考えた。Unityを用いて、相手の視線がどのトランプに向けられているかを検知するプログラムを作成し、そのデータを基に「視線の動き」と「ジョーカーの位置」との相関関係を分析することで、ババ抜きの隠れた法則や必勝法の可能性を探った。
3004 〇
最適な観光ルート
情報初心者🔰
鍋嶋 隆仁(富山県立大門高等学校 2年),新谷 翼(富山県立大門高等学校 2年),森﨑 一都(富山県立大門高等学校 2年)
本研究では、観光地の魅力度を定量的に評価し、魅力度の高い観光を効率的に行うためのルートを算出することを目的とする。従来の観光モデルは画一的であり、ユーザーによる手動検索に依存していたため、非効率的な移動や目的地の偏りが生じていた。これに対し、本研究ではデータ駆動型のアプローチを採用し、個々の観光地の魅力度を客観的に算出することで、より最適な観光ルートを自動的に提案することを目指した。まず、各観光地についてSNS投稿数、レビュー評価、最寄り駅からのアクセス性などのデータを収集した。さらに、画像分析を用いて景観を数値化し、これらの指標を基に観光地ごとの魅力度スコアを算出した。次に、観光地間の距離情報を基に移動コストを求め、魅力度と距離の双方を考慮した最適ルート探索を行った。これにより、限られた時間内でより多くの魅力的な観光地を効率的に巡ることが可能となる。本手法は観光計画支援システムや地域活性化への応用が期待できる。
3005 〇
校門前の車列解消に向けた挑戦-データ分析から地域課題解決へ-
大門高校DX可視化グループ
馬淵 蒼大(富山県立大門高等学校 2年),池田 遥翔(富山県立大門高等学校 2年),鳴海 祐里(富山県立大門高等学校 2年),飯野 智嗣(富山県立大門高等学校 2年)
大門高校では、校門前道路を送迎車による渋滞が地域課題となっている。本研究では、課題解決に向けてデータ収集に取り組んだ。校門前に設置したカメラ映像をYOLOで解析し、車の通行量や停車時間を定量的に可視化した。その結果、特定の曜日や天候により滞留時間が増加する傾向を明らかにした。さらに、混雑のピークが下校直前に集中するだけでなく、校地に入ってくる車やバスと、下校の自転車の接触事故の恐れが見つかった。これらのデータを基に、停車位置の分散化や下校時刻の調整など、地域と連携した改善策を提案している。身近な通学環境を題材に、データサイエンスの力で社会課題の解決を目指す。
3006 ◎
円周率が任意の進数で正規数であることのプログラミングを用いた検証
正規数
岩波 理咲(長野県松本県ケ丘高等学校 2年)
この研究では、円周率が正規数であるかどうかについて調べた。正規数とは、無限小数表示において数字列が一様に分布しており、各桁の数字が現れる頻度に偏りがないという性質を持つ実数のことである。しかし、人工的に作られていない数が正規数であることの証明は非常に難しく、現在も円周率が正規数であるという証明はなされていない。
そこで、この研究では証明を目指すのではなく、実験的な手法で円周率が正規数であるという仮説を検証しようと考えた。プログラミングを用い、10 進法についてだけでなく、2進法や3進法など、他の進数でも円周率を表し、150000桁までの数字の出現頻度を調べた。
その結果、各数字が一様に出現し、円周率が正規数であることを裏付ける結果を得た。
3007 ◎
3DゲームエンジンとPyTorchを使用したRLによる恐竜の歩行学習
静岡県立浜松北高等学校物理化学部
田中 宏征(静岡県立浜松北高等学校 2年)
先行研究では、ティラノサウルスの歩行動作をCPG、ANN、GAを使用することで再現を試みている。しかし、CPGは脳からの指令や感覚フィードバックを無視したパターン生成が可能であるため、歩行パターンの分析が不可能な恐竜にCPGを利用したシミュレーションを汎用的手法として使用することは不適切であると考えた。そこで、本研究ではRLを使用し限られたパラメータのみで足を交互に出す歩行形態を復元することを試みた。UnityとML-Agentsを使用しenv内でPyTorchライブラリにアクセスした環境で、各種コンポーネントとC#、yamlスクリプトでパラメータ設定やAgentの目標と報酬設計等を行い、学習を行った。結果、学習において足を交互に出す二足歩行パターンが観察された。この手法のさらなる高精度化と正確性の検証のため、報酬設計や生体パラメータの見直し、現生動物での比較実験が必要である。
3008 ◎
Webカメラによる異物検知と回避行動の自律走行センサロボットへの実装と検証
ふぉんと
中村 結鷹(浜松学芸高等学校 探究創造科 科学情報コース 2年),高山 楓樹(浜松学芸高等学校 探究創造科 科学情報コース 2年),大隅 瑛良(浜松学芸高等学校 探究創造科 科学情報コース 2年),古橋 瑞稀(浜松学芸高等学校 探究創造科 科学情報コース 2年)
本チームでは,ロボットコンテストでの入賞を目指したセンサによる自律走行ロボットの開発に取り組んでいる.昨年度は自己位置推定技術による走行安定化・高速度化を実現したが,コンテスト当日,試走の際になかったスポンサーボードが突然コース上に設置されたため,遺憾な結果に終わった.そこで本年度は,Webカメラによる異物検知と回避行動の実現を目的とした技術開発を行った.簡単のため,異物形状はスポンサーボードに,表面情報は機械学習済みライブラリが広く公開されているロシアのナンバープレートにそれぞれ固定した.映像のリアルタイム取得および画像解析を行うプログラムと,機体制御を行うプログラムがテキストファイルを通してやり取りし,視覚情報をもとに回避行動を取りながら機体動作を行うようなシステムを開発・実装の上,機体がモデルコースを走破可能か検証した.今後は本システムの汎用化と自己位置推定走行との連携が課題である.
3009 ◎
金属Ti表面における酸素原子の吸着と拡散:シミュレーションソフトウェアの開発と実行
サイエンス部 チタン班
関本 蒼大(浜松学芸高等学校 サイエンス部 1年),洲﨑 幸弥(浜松学芸高等学校 サイエンス部 1年),大石 晴登(浜松学芸高等学校 サイエンス部 1年)
本チームでは,金属チタン表面の不導体膜により発色するカラーチタンの不思議な色彩の発生メカニズムと,その色彩の時系列的な変化について理解することを目的として,表面酸化チタンの結晶表面における酸素原子の吸着および拡散の特性をQuantum espressoを用いた量子化学シミュレーションによって研究している.これまでの研究の結果から,金属チタンの最も典型的な結晶面は{11-20}面であることが示されている.本研究では,この結晶面上の酸素原子吸着位置と,その酸素原子が拡散する際のエネルギー障壁を計算することに加えて,これらの結果を用いた酸素原子拡散のシミュレーションソフトウェアの設計・実装について検討を行った.今後の展望としては,酸素原子の分布によりカラーチタン表面に生成する色のシミュレーションと,その結果を用いたカラーチタンの色彩の説明,およびその色彩変化の予測を行いたいと考えている.
3010 ◎
加法混色の減算を行うシミュレーションソフトウェアの開発と検証
サイエンス部 ビスマス班
山田 耕平(浜松学芸高等学校 サイエンス部 1年),山内 希一(浜松学芸高等学校 サイエンス部 1年),宮野 智矢(浜松学芸高等学校 サイエンス部 1年)
本研究では,加法混色の減算を行うシミュレーションソフトウェアの開発および検証を行った.物質の色は,太陽から降り注ぐ白色光から物質が吸収する光の波長に対応する色を除いたものであり,物質が吸収する光の波長は,物質のバンドギャップを計算することにより求めることができる.昨年度,我々のチームではこの手法を用いて,表面酸化ビスマス人工結晶の表面色を理論的に説明することに成功した.しかし,白色光から特定の色の光を除いたときの色を求めるためのパッケージ化された手段がなく,研究を発展させる上での障壁となっていた.このような背景のもとで,我々は色のRGB値を元にした減算によってこの色を提案するソフトウェアを作成し,その結果の妥当性をフィルターを用いた実験により検証した.検証結果を本研究のために作成した三角形のダイアグラムにまとめたところ,計測結果とソフトウェアの出力結果とは確かに近い値を取ることが分かった.
3011 〇
マルチエージェント・シミュレーションを用いた街の独自性の維持に向けた政策提案
オースの法則
宮﨑 光理(愛知県立旭丘高等学校 2年)
名古屋の大須という繁華街は地元民以外の観光客が多く訪れるが、近年老舗の閉店や大手の進出が目立ち、「大須らしさ」が消失しているように感じた。そこで本研究では、この現象はコミュニティ外からの観光客によって店の傾向がニッチな客層向けから大衆向けにシフトしていることが要因であると仮説を立て、マルチエージェント・シミュレーションを用いて検証した。その結果、「税収を各店舗に再分配する観光税」を導入することが店舗全体の平均的なニッチ度を強めるのに有効であることが明らかとなった。
3012 〇
マルチエージェント・シミュレーションを用いた名古屋市エスカレーター条例が人の輸送効率に与える影響の検証
階段派
鈴木 陽仁(愛知県立旭丘高等学校 2年)
愛知県名古屋市では2023年10月から「名古屋市エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」が施行され、エスカレーターには右側左側を問わず立ち止まって利用することが定められた。この条例の効果を人の輸送効率という観点から確かめるため、名古屋市におけるエスカレーター利用時の歩行の有無や右側利用・左側利用に関するアンケート結果(2022年~2024年)に基づき、マルチエージェント・シミュレーションを用いてモデル化して検証を行った。その結果、条例施行前の2022年と施行後の2024年におけるエスカレーターの利用状況を比較すると、エスカレーターの利用者が多い状況では2024年の方が人の輸送効率が有意に低いが、エスカレーターの利用者が少ない状況では、エスカレーターを歩く人の割合や右側利用・左側利用の割合の差異が人の輸送効率に影響を与えにくいことが明らかとなった。
4001 ◎
物体検出とバイオロギングを用いたオオミズナギドリの生態調査 〜天然記念物「冠島」のモニタリングと保全に向けて〜
京都府立西舞鶴高等学校冠島調査グループ
今川 一葉(京都府立西舞鶴高等学校 2年),片山 幸大(京都府立西舞鶴高等学校 2年),辻野 卓(京都府立西舞鶴高等学校 2年)
京都府舞鶴市冠島はオオミズナギドリ(以下、本種)の繁殖地として天然記念物に指定されており、豊かな自然を有する一方で、自由な調査活動ができず、本種の詳しい生態は不明な点が多い。そこで私達は、物体検出技術とバイオロギングによる本種の研究を行った。まず、物体検出アルゴリズム「YOLO」を用いて、帰島前に旋回する本種の自動カウントシステムを開発した。この技術は今後長期モニタリングへの応用が期待できる。続いてこれらの解析に使用するアプリケーションをHTML、CSS、Java Scriptを用いて開発した。そして本種への発信機装着を行い、帰島前の特異的な行動である「鳥まわり」の軌跡を捉えることに成功し、目視の調査と組み合わせて帰島個体数の推定を行った。さらに育雛期における本種の行動時刻と日本海における索餌海域を特定した。以上より、「京都府の鳥」である本種の生態解明の一端を担うと同時に今後のモニタリングへの基礎開発を行うことができた。
4002
図形・関数の苦手を克服する〜ゲームの活用・問題の見た目に注目する方法〜
植田
植田 航大(京都産業大学附属高等学校 3年)
これは数学が苦手な人に向けたゲーム(アプリ)の提案。ここでは数学が苦手な理由を問題の見た目だと考え、問題の見た目に注目するアプリを考えている。先行研究では数学が苦手だという人は7割を超えており、文字が多いことなどが原因になっているとわかった。また自分の頑張りを見えるようにすることでやる気に繋がるとの結果もある。このことからゲーム形式で見た目に注目したアプリを考えた。独自で行った実験では、見慣れた物の形で作られた問題では普通の問題に比べ点数が高く、苦手の克服が期待できる。今後の展望として、問題を解く人数をさらに増やしていくことでよりこの方法の効果を分析することを考えている。
4003 〇
UbuntuとROS2を用いた安価な支援ロボットの開発
Team rihit
上田 理仁(同志社国際中学校 3年)
UbuntuとROS2を活用し、安価で直感的に操作できる支援ロボットを自作した。ノートPCとRaspberry Piを連携させ、カメラ映像のリアルタイム配信や遠隔操作を実現した。操作やメンテナンス性、不具合解消が容易になるような設計になっている。ハードはルンバをベースに3Dプリンタで自作パーツを使用した。ソフトはROS2とPythonで制御・通信を行い、誰でも使いやすい設計を目指した。将来的には自動運転や音声通信機能も搭載予定である。
4004 ◎
Patch-Level Training for Continual Pre-Training
情報3班
松本 和真(高槻高等学校 2年),山下 櫂璃(高槻高等学校 2年)
大規模言語モデル(LLM)のスケーリングやドメイン特化において、学習コストは主要なボトルネックとなっている。Patch-Level Training(PLT)は、圧縮されたパッチに対する次のKトークン予測と通常のトークン学習を組み合わせることで、事前学習のコストを削減する手法として提案されている。我々は、この手法の利点が日本語と英語を混在させたデータでの継続的事前学習(CPT)や、その後の指示調整済みモデル利用においても一般化するかを検証した。その結果、データ量や計算量をそれぞれ揃えた比較において、PLTは品質向上を示さず、むしろ日本語の性能を低下させた。主な原因としては、系列情報の喪失や分布変化への脆弱性が考えられる。したがって、我々はCPTにおいてPLTを推奨しない。
4005
物体認識システムのスポーツへの応用
高槻高校情報4班
島津 豪(高槻高等学校 2年)
物体認識システムのyoloを用いてバスケットボールの画像認識を行い追跡をさせる。
4006 ◎
Theta-CS:コーシー=シュワルツ不等式による前段スクリーニング
宮崎俊輔
宮崎 俊輔(高槻高等学校 2年)
Top-θ注意の枠組み(各ヘッド・行長ごとに分位点で事前校正した閾値で要素を刈り、SDC/VMCで補償しつつ精度を保つ)に、QK内積計算前の安全な前段ふるいTheta-CSを加える。コーシー=シュワルツ不等式 |❬x,y❭|≤||x||₂||y||₂ より、 ||Q||₂||K||₂≤θならば||QᵀK||₂≤θが保障されるため、学習不要で誤除外がない。閾値はTop-θで校正した値を流用する。本設定では先行除外率は数%にとどまった。要因の一つはL²ノルムの高次元集中で上界が緩いことだろう。今後の展望として、一般化された式であるヘルダー不等式 |❬x,y❭|≤||x||ₛ||y||ₜ (1/s+1/t=1) に基づく上界 (特にs=1, t=∞)を適用し、コーシー=シュワルツ不等式に比べてより鋭い先行ふるいが得られるかを理論・実験の両面から検証する。
4007
テニスボール自動回収機におけるAIの必要性の検討
高槻高校情報5班
村田 博亮(高槻高等学校 2年),福澤 周拓(高槻高等学校 2年),辰巳 陽紀(高槻高等学校 2年)
テニス部の活動では、練習後のボール集めが毎回手間のかかる作業となっており、特にシニア層にとっては負担となっていると考える。この問題を解決するため、ボールを自動で回収する装置が開発されているが、既存の装置はカメラやAIを用いてボールを認識する仕組みが多い。しかし、実際に効率的にボールを集めるうえで、AIのような高度な技術が本当に必要なのかという疑問が生じた。そこで本研究では、AIを使わずにボールを回収する方法でも十分な効率が得られるのかを検証し、回収機に求められる本質的な仕組みを明らかにすることを目的とする。より簡単で実用的な自動回収機の可能性を探る。
4008 〇
日々の負担を減らすWebアプリ「Base」の開発
情報ゼミⅠ班
寺嶋 佑萌(大阪府立富田林高等学校 2年),松下 龍已(大阪府立富田林高等学校 2年)
富田林高校では課題の提出や授業に関する連絡の多くが Google Classroom で行われている。しかし、教科ごとに別のクラスに入る必要がある、連絡の表示が投稿順のみであるなどの課題が見受けられ改善の余地がある。そこで、時間割に直接連絡を書き込めれば便利でないかと考えて時間割と年間予定を軸に本アプリを設計した。その他に、単語帳・成績管理機能も実装した。その際課題となったのが成績データの保護であったが、「守る」から「意味を読み取らせない」に視点を変えてユーザ名生成機能を開発し、対処した。現在は富田林高校へ本アプリを導入することを念頭に、まず学校のHP が保存されているサーバの利用についての許可を取ることを目標としている。許可を得られ次第、β版を開発して実験とアンケートによる機能の改善を行いより完成度の高い作品に仕上げていく。
4009 〇
Raspberry Piによる鳩の糞害減少に向けたシステム開発と検証
鳩の心
森田 ほたる(大阪府立桜和高等学校 3年),池田 悠人(大阪府立桜和高等学校 3年),松下 航汰(大阪府立桜和高等学校 3年),和合 優真(大阪府立桜和高等学校 3年)
本研究は、学校施設内における鳩の糞害を軽減し、持続可能な鳥害対策の実現を目的として、音響的および嗅覚的な忌避手法の有効性を検証した。まず、高周波音を用いた忌避システムとして、Raspberry Pi、カメラ、スピーカーを組み合わせた装置を体育館前および渡り廊下に設置し、その効果を検証した。観察期間中、渡り廊下では効果判定ができなかったが、体育館前では高周波モスキート音の有無にかかわらず糞害が認められ、現状の条件下では十分な忌避効果が得られなかった。要因として、スピーカー音量の不足や鳩の順応が考えられる。次に、匂いによる忌避効果を検証するため、体育館外の小さな空間に対象箇所を設定し、Raspberry Pi、カメラ、ポンプを組み込んだ装置を作製した。この装置で匂いの噴射を行い、鳩の忌避行動を映像で記録した結果、ポンプ噴射時に鳩が逃げる映像の撮影に成功した。今後は、音源・出力の最適化や視覚的要素との併用による音響実験の改良と、匂いについて濃度や時間的観測で鳩が寄りにくい空間となっているかを検証していく。
4010
課題を簡単に把握・管理するための提案と検証
トドチ
古川 七海(大阪府立桜和高等学校 3年),佐藤 優光(大阪府立桜和高等学校 3年),小倉 弘幸(大阪府立桜和高等学校 3年)
本研究は、高等学校の生徒が、Google Classroomで配信される課題の管理を簡単に行えるようにするための提案と検証を行ったものである。アンケート結果から、生徒の約半数が課題を「見落とした・忘れた」経験があり、通知の埋没や配信場所の分散に不便を感じていることが判明した。そこで、全課題を一覧で確認できる「ToDo」機能に注目し、教師による課題配信を通じて生徒がToDoを活用できる仕組みを提案した。5月から教師36名、全生徒に対して説明と試用を実施し、期末テスト期間を中心に運用した。テスト後には、生徒と教師にアンケートを行い、認知度や使いやすさ、提出率の変化を検証した。事後アンケートをまとめた結果、課題を「見落とした・忘れた」理由の一つとして、課題の締め切り日のみの設定では、通知が前日の午前0時00分にきてしまうという問題が明らかになった。この問題を解決するため、教員に対して課題締め切り日時までの設定を強くお願いしたい。また、課題配信についてのルールをできる限り統一することが、生徒の混乱を少なくするために効果的であることも分かった。これらの事後アンケートからの提案と対応を依頼するため、9月にはICT活用委員長の教員に報告し、対応していただきたい旨を伝えた。今後はこの提案をもとに改善案をまとめ、再提案を行うことで、ToDo機能の理解・使用率の向上と、課題管理の効率化を目指している。
4011 〇
四次元図形の可視化
四次元図形可視化班
岡田 優羽(大阪府立四條畷高等学校 2年),井伊 勇翔(大阪府立四條畷高等学校 2年),宇野 智樹(大阪府立四條畷高等学校 2年)
Unityを使って四次元図形を三次元にサーフェスモデルとして投影し、回転させたり、図形の内部を見たり、あるいはVR上で観察するなどの行為をできるようにすることをめざして研究しています。特に四次元空間内での回転をクォータニオンを用いて表現する方法について研究を進めてきました。既にクォータニオンを用いて四次元図形の各頂点を四次元空間内で回転させたのちに三次元に投影するプログラムが実装できており、正五胞体のようなシンプルな図形をサーフェスモデルとしてUnity上で描画することに成功しています。次の段階として、三角形以外の面をもつ凸な四次元多胞体の描画やVR上での表現方法について研究を進めています。
4013 〇
色弱の人の学びをサポートするシステムの開発
Otemon ReCode Future
坂田 知瞭(追手門学院大手前中・高等学校 高校2年),前田 喜宇(追手門学院大手前中・高等学校 中学2年)
色弱の人の代表的な課題で、「赤文字で書かれた板書が何も書いていないように見える」「試験管内にある液体の色が見分けにくい」「グラフや地図の色分けが分かりにくい」といったものがあります。そこで、 色弱の人が質の高い教育を得やすくするシステムを考えました。
4014
共有によるスマートフォン使用時間の変化
豊中高校情報8班
栄 龍司(大阪府立豊中高等学校 2年),中島 慧人(大阪府立豊中高等学校 2年),香田 理愛(大阪府立豊中高等学校 2年),栗山 智羽(大阪府立豊中高等学校 2年)
文部科学省によると、高校生や中学生のスマートフォンを使用する時間は年々増加していることが示されている。また、一般的にスマートフォンの使用時間が多くなると、成績も低くなる傾向にあることが明らかになっている。本研究では、ホーソン効果や宣言効果などの行動心理学を活用したスマートフォン使用時間共有アプリを開発することで、学生のスマートフォン使用時間の改善に繋がると考えられる。このアプリケーションを開発する前に、使用時間を共有することによる心理的影響を検証するために予備実験を行う。この実験では、共有される人数と共有される人との関係性の2つの観点で評価する。匿名のグループでは、非匿名のグループに比べてスマホ使用時間を共有することに抵抗が少なくなり、また、共有される人数に関しては、一人一人に対する注目度が低くなりスマホ使用時間を共有することへの抵抗が小さくなるとも考えられる。
4015
災害時の新たな移動モビリティ 蜘蛛型歩行システム
OTEMON_Freedo worker
岡崎 貴也(追手門学院大手前中高等学校 H2年),秋山 奨(追手門学院大手前中高等学校 J2年),寺本 純(追手門学院大手前中高等学校 J2年)
災害現場では瓦礫や段差により通常の車両が侵入困難な場合が多く、従来の4WD車や六輪車、キャタピラ車両でも約1mの段差を超えることが限界である。そこで私たちは交通工学や二足歩行ロボットの研究に携わる3人の力を結集し、あらゆる悪路に対応可能な災害用移動モビリティを提案した。何億年もの進化を経て多様な地形に適応してきた昆虫の運動機構に着目し、多脚による安定性と高い段差乗り越え能力を持つ蜘蛛型ロボットを開発している。教育用プログラミングツール「レゴ® マインドストーム® EV3」を用いて関節や重心を制御するプログラムを作成し、実際の蜘蛛の動きを再現した複数の物理モデルを製作した。本研究の成果により、人や車両が立ち入れない場所での被災者救助や物資搬送が可能になることを目指している。
4016
昼食時における学生食堂の待機列のモデル化と改善策の検討
チームシュミレーション
小田 秀一(関西創価高等学校 3年),榎本 明(関西創価高等学校 3年),川村 悠翔(関西創価高等学校 3年),吉兼 正孝(関西創価高等学校 3年)
本校では昼休みの昼食時に学生食堂を利用している生徒が多い。本校の食堂にはAランチ、Bランチ、Cランチの3種類が存在するが、食堂を利用する多くの生徒はBランチを選択している。そのため、Bランチを食べる生徒で食堂の周りに待機列が発生してしまい、昼休みの時間が減ってしまうという問題が発生している。それに加え、昼休みを短くしたくない、列に並びたくないという考えのもと、4限目の授業終了時に教室から食堂まで走るという安全面での問題も発生している。我々は、プログラミングを用いた食堂の待機列のシミュレーションを行い、本問題の解決策案を思索し、出てきた案をシミュレーションに落とし込み、解決策の精査を行った。プログラムはChatGPTを活用し、pythonで作成した。今後は、今回の調査で精査し、待機列の改善がシミュレーション上で確認できた解決策案を実際に導入するため、1度試験運用したい。
4017
淀川河口における漂流物の分析
flow chair
堀内 翔太(大阪国際中学校高等学校 2年)
大阪湾に接する淀川河口においての漂流物の種類や数などを分析し傾向などを考察しました。
4018
学校図書が無断持ち出しされるのを防ぐマークのデザインと運用
KKSN
長村 優一(大阪国際中学校高等学校 1年),山箇 利宜(大阪国際中学校高等学校 1年),家間 望(大阪国際中学校高等学校 1年),草ノ瀬 準大(大阪国際中学校高等学校 1年)
私達が通っている学校は廊下すべてに本棚があり、そこに並べられている様々な本をその場ですぐに見ることができるのが学校の魅力の一つです。しかし、学校の廊下という広域な範囲に本があるため、行方不明になる本も多く年間20万円の損害が出ています。その原因の一つに生徒がその場で手に取った本の貸出処理を忘れてしまい、そのまま持ち帰ってしまうということが挙げられます。それを防ぐために本を持ち帰る、持ち出すときは貸出処理をすることを忘れないということを伝えるためのマークをデザインし、実際に掲示することで効果はあるのかなどを調べました。
4020 ◎
人流シミュレーションによる二次災害リスクの可視化 — 教育現場の危機管理能力向上を目指して —
やってみなはれ
村上 幸太(雲雀丘学園高等学校 2年)
学校における避難行動では、構造的ボトルネックと心理的混乱が二次災害を招く危険がある。本研究では、実測データに基づく校舎の3Dモデルを構築し、Unityによる人流シミュレーション手法を確立した。生徒289名へのアンケート調査により、主要避難経路の把握度が約6割にとどまり、封鎖時の代替ルート理解が不足している実態を明らかにした。避難速度とパニック率を変化させた複数条件でシミュレーションを実施し、階段・玄関などボトルネック箇所における混雑発生メカニズムと、パニック時の経路逸脱による二次災害リスクを定量的に解析する。本研究は、構造的要因と行動的要因を統合的に分析することで、単純な避難速度向上では不十分であり、経路分散化や時間差誘導など科学的根拠に基づく避難計画の改善指針を提示する。今後は火災・煙を含む複合災害シナリオへ発展させ、より実践的な避難行動モデルを構築する。
4021 〇
おこおこメーター
kagikagi
安藤 大智(神戸市立科学技術高等学校 2年),白石 真白(神戸市立科学技術高等学校 2年)
日常生活において、相手の口調や声のトーンから感情を読み取り、適切に対応することは、円滑なコミュニケーションを行う上で重要である。特に「怒り」の感情を察知することは、トラブルの回避や対話の調整において非常に重要である。そこで本研究では、生成AIモデル「Gemini」のマルチモーダル機能を活用し、音声から怒りの感情を分析する。その分析結果が円滑なコミュニケーションに活用できるかを検討する。本発表では、現在開発中の、AIによる怒りの強度に応じて出力を変化させるデバイス「おこおこメータ」の概要と、今後の感情分析の応用可能性について紹介する。
4022 ◎
エレメンタリーセルオートマトンの振る舞いの複雑さについての考察
オートマトン班
浅井 優作(兵庫県立宝塚北高等学校 3年),鎌田 咲冬(兵庫県立宝塚北高等学校 3年),川畑 陽(兵庫県立宝塚北高等学校 3年),田中 美智子(兵庫県立宝塚北高等学校 3年)
エレメンタリーセルオートマトン(ECA)はセル空間の上で定義される最も基本的な力学系である。ECAのシステムは、局所ルールと呼ばれる写像に時空間の構造を与えることによりECAの振る舞いを定める。ECAの分類はWolframによるものが基本的であり、これは(大域的な)ECAの振る舞いの観察に基づく。一方、局所ルールの振る舞いに基づく分類は知られていない。本研究では、ECAの局所ルールを最小二乗法によって近似したときの誤差を、その局所的な振る舞いの複雑さとみなすことで新たなECAの分類を与えた。この分類とWolframの分類の比較により、大域的なECAの振る舞いの複雑さは、その局所的な振る舞いの複雑さにある程度依存していることが推察された。また、近似誤差はあるグラフ上に定義されたIsing模型のハミルトニアンとして解釈されることがわかった。この結果は、近似誤差の構造の幾何的な考察を可能にした。
4023 〇
低コスト超音波風速計の試作と性能評価
西宮市立西宮高等学校GS科
多谷 歩武(西宮市立西宮高等学校 2年)
近年、再生可能エネルギーである風力発電への投資拡大や気象観測技術の高度化に伴い、超音波風速計への関心が一層高まっている。超音波風速計は高度な信号処理技術により高精度な計測を実現しているが、市販製品は高価で構造が複雑なため、学習や基礎研究での利用は容易でない。そこで本研究では、比較的安価な電子部品を用いて構築可能な超音波風速計の開発を試みた。本システムは、超音波の到達を検知してパルスを発生させる簡易な回路を基盤としており、GPIO割り込みを使用することにより一般的なマイコンでも超音波の往復時間を数μs単位の高い精度で測定できる。さらに、パルスの立ち上がりを複数回検出することで一度の発射から多くのデータを取得可能とした。このシステムを実装し、無風下での走行実験により、提案システムによる風速計測の有効性を検証した。
4024
初心者向け安全性評価の開発
情報班
福田 愛莉(兵庫県立宝塚北高等学校 2年),下村 安芽里(兵庫県立宝塚北高等学校 2年),松田 優太(兵庫県立宝塚北高等学校 2年),森田 恵悟(兵庫県立宝塚北高等学校 2年)
昨今のIoT化、Society5.0により、我々の社会は暗号なしに成り立たないものとなってきている。しかし、専門家でない一般の人は、暗号技術やその安全性をなかなか身近に感じられていないのが現状である。そこで我々は、暗号の安全性を高校生でも簡易に比較できるウェブサイトの開発を目標に研究を行っている。
我々の研究では、情報の授業でプログラミングなどに用いられるPython moduleを用いて、HTTPSによるインターネット通信の暗号化に使われるRSA暗号や、Wi-Fiや無線LANの暗号化に使われるAES暗号を作成し、その暗号化・復号に成功した。 また、暗号化と復号にかかる時間を測定し、グラフを作成した。
この研究が暗号技術を身近に感じ興味を持つ人を増やし、セキュリティー意識の醸成やデジタルイノベーションの促進に寄与することを期待している。
4025 ◎
姿勢推定AIによる卓球ドライブ動作の可視化と分析
米田直弘
米田 直弘(帝塚山高等学校 2年)
本研究は,卓球におけるドライブ技術をボールの挙動から評価するとともに,ドライブ動作およびその前後における右膝の動きの推移との関係性を明らかにすることを目的とする.
これまでの卓球指導においては,指導者によって重視するポイントや技術に対する考え方が異なり,統一的な基準が確立されていなかった.
そこで本研究では,右膝の角度変化とドライブ動作との関係を姿勢推定を行うディープラーニングモデルであるHoTを用いて分析する.その結果を通じて卓球技術の発展および指導方法の改善に寄与することを目指す.
5001
ドローン・AIを活用することによって海水浴場の安全管理の強化は可能か
青翔開智高2探究
吉田 祥和(青翔開智 2年)
本研究は、AI技術と無人機を活用し、海上における状況把握能力の強化と安全管理の効率化を目指すものです。近年、海水浴場では認定ライフセーバーの不足が深刻化しており、監視体制の維持が困難となっています。既存のAI監視システムは離岸流や救助要請動作の検知が可能であるが、遊泳者全体の所在を把握することができない。そこで本研究では、AIによる物体認識とドローン映像を組み合わせた監視システム「海水浴場みまもるくん」を提案します。本システムは遊泳者を自動検出・追跡し、位置情報をリアルタイムに可視化することで、監視員の視界外でも危険を早期に把握できると考えています。救助対応の迅速化、監視員の負担軽減を目指した研究です。
5002 〇
弱視者のためのピクトグラムの開発とその応用
曽根川嘉美
曽根川 嘉美(広島なぎさ高等学校 2年)
本研究は、弱視者を含む誰もが正しくピクトグラムを認識できる社会の実現を目的に、視認性の高いピクトグラムの開発を行ったものである。今回はその中でも「非常口」に焦点をあて検証を行った。方法として、様々なデザイン案の作成及び色彩検討をし、弱視疑似体験メガネを用いた視認性テストを実施した。その結果、扉の図をなくし、人物と矢印のみを示すシンプルなデザインが最も認識されやすいことがわかった。また、背景を暗くし人物を明るくする高コントラスト配色が効果的であり、特に黒背景に黄色人物の組み合わせが最も有効であった。今後は、点字ブロックに加えて弱視者向けピクトグラムを設置することで、避難時の安全性を高めるとともに、誰にとっても分かりやすいユニバーサルな社会環境づくりに貢献したいと考えている。
5003
みんなにデジタル工房でものづくりをしてもらいたい! ~効率的な体験会運営の研究~
烏龍茶
竹内 颯汰(広島工業大学高等学校 2年),島村 太基(広島工業大学高等学校 2年),久留原 千遥(広島工業大学高等学校 2年)
本校にはデジタル工房があり、本校生徒が主体となってオープンスクールなどで体験会を行っている。この体験会をより多くの方に参加していただきたいと考え、2つの問題の解決に取り組んだ。
1つ目は体験会で体験者がデータ作成後は、スタッフが手作業でデータ変換を行う必要があり、ミスの発生と時間、労力がかかる点である。
2つ目は、PCを操作できない幼児や簡単に体験したい方向けの工夫が必要な点である。
1つ目の問題点は、スクリプトを用いることによって最終的には最短3秒で全台のデータ変換が完了し、作業量が減ったほかミスもほとんどなくなった。
2つ目の問題点は、スクリプトを組み込み、パーツを選択するだけでデザインが完成するツールを作ることができた。これらを実際の体験会で実施することでその効果を確認することでき、より幅広い人にデジタルものづくりを体験をしてもらえるツールができたのではないかと考えた。
5004 ◎
「転調可能な純正律」を目指して
友安俊貴
友安 俊貴(徳島県立城ノ内中等教育学校 5年)
音律に関する研究です。
かつて和音の美しさをもとに純正律が定められましたが、転調しづらいというデメリットがありました。
現代の音楽は平均律にすることで、ある程度の美しさを犠牲に転調や臨時記号などの利便性を獲得しました。
1音楽で使われる調は限られているため、「調を限定することでより純正律に近づけられるのではないか?」と思い研究しました。
プログラミングを用いた最適化により音律を作成し、様々な個所への応用を図ります。
5005
Scratchで作る問題解答型アドバイス支援ツール
城ノ内LAB愛好会
古谷 蒼真(城ノ内中等教育学校 1年),中村 優也(城ノ内中等教育学校 1年),原田 侑和(城ノ内中等教育学校 1年),佐藤 隆斗(城ノ内中等教育学校 1年)
近年、学習の個別最適化が注目されていますが、学習者が自分の理解度を客観的に把握し、適切なアドバイスを得ることは容易ではありません。私たちは、学習者が自分の解答に応じて助言を受けられる仕組みを作ることで、主体的な学びを支援できるのではないかと考えました。そこで、Scratchを用いて、出題された問題に対する回答内容に応じて異なるコメントやアドバイスを返すシステムを制作しました。このシステムでは、正誤だけでなく傾向を分析し、どの数学分野が得意でどの分野が苦手かを確かめられます。時間があれば数学以外の教科にも対応する予定でしたが、今回は数学分野に限定して開発しました。本研究を通して、学習支援の新たな可能性を探りました。
5007
m n kゲームの勝敗分類の解析
m n k
瀧川 泰史(徳島県立城ノ内中等教育学校 5年)
m n kゲームの勝敗をプログラミングで解析しました。m n kゲームとは、m×nの長方形のマス目に先手と後手が交互に自分の石を置いていき、先に縦横斜めいずれかでkコ並べることを勝利条件とする、マルバツゲームや五目並べの拡張版です。m n kゲームはゲーム理論において二人零和有限確定完全情報ゲームに分類され、理論上完全な先読みが可能です。先読みをすると勝敗は(m,n,k)の組によって、先手必勝・後手必勝・引き分けに分類されます。プログラムで全パターンを探索し、(m,n,k)の組と勝敗の関係を明らかにすることが今回の研究の目的です。
5008
最後まで使い切れるディスペンサーの開発
pumpkin
下地 和希(徳島県立城ノ内中等教育学校 4年),辻岡 真人(徳島県立城ノ内中等教育学校 4年),伊藤 晴人(徳島県立城ノ内中等教育学校 4年),米倉 忠良(徳島県立城ノ内中等教育学校 4年)
シャンプーの容器などに使われているディスペンサーを使う際、容器の底に少し液が残っているにもかかわらず、押してもそれが出てこないということがよくある。それを改善するべく、本研究では、底の形を工夫した容器をOpenSCADを用いてデザインした。さらに、それを3Dプリンターによって出力して実際に使用してみることで、液を最後まで使い切れるかどうかの検証を行った。
5009
拡張子を変えれば世界が変わる
データ量を減らし隊
川上 太一郎(徳島県立城ノ内中等教育学校 4年),喜井 駿介(徳島県立城ノ内中等教育学校 4年),田中 賀子(徳島県立城ノ内中等教育学校 4年)
インターネットサイトにおける情報量の増加は、アクセス時間の増加や、消費するデータ量の増加など、問題を多く生み出す。サイトにおける画像、その中でも画像の拡張子に注目し、画像の拡張子を変えることによって生まれる情報量の変化を確認し、どの拡張子がより多く情報量を減らすことが出来るのか、またその拡張子の特徴は何か、現在のインターネット社会において実際に使用することは出来るのかについて調べる。
5010 〇
無駄を減らすスティックのりの構造について
チーム城ノ内
益岡 夏希(徳島県立城ノ内中等教育学校 4年),宮尾 郁咲(徳島県立城ノ内中等教育学校 4年),坂東 里咲(徳島県立城ノ内中等教育学校 4年)
最近ののりは、「ペンタイプのり」や「テープのり」など様々な種類のものがある中で、「スティックのり」は持ち運びやすく、扱いも簡単であるため、多くの人にとって便利です。しかし、スティックのりは完全に使い切ることは難しく、固定している部分に残ったものが無駄になっているというのが現状です。
本研究ではこの無駄をなくすために、スティックのりの新たな構造を考え、3Dプリンタでモデリングを行いました。また、中身ののりを粘土で代用して実験を行い、一番無駄が減る構造を見つけました。
5013 ◎
私だけのキーボード:最適配列への道
かわたま
近藤 優人(徳島県立城ノ内中等教育学校 2年),川口 里海(徳島県立城ノ内中等教育学校 2年)
私たちは、より多くの人にキーボード独自配列の魅力と可能性を知ってもらうことを目的に、入力データをもとに最適なキーボード配列を自動生成するぷろぐらむを制作しました。利用者が自分の打鍵データを入力すると、文字の出現頻度や指の移動距離を分析し、効率的な配列を提案します。また、配列を自分で設計・調整しやすいよう、レイアウトを直感的に編集できるWebサイトも作りました。このサイトを通じて、使いやすいキーボードを自ら設計する楽しさと、入力効率を科学的に探求するおもしろさを広めることを目指しています。
5014 〇
サイコロの出る目の確率と削った角の数の関係
Harry's Life
谷岡 拓弥(徳島県立城南高等学校 1年)
本研究では、市販のサイコロを用い、角を削る加工が出る目の確率分布に与える影響を検証した。時間短縮のため、画像認識AIを搭載した自動出目判定装置を開発し、各条件下(削った角の数が0箇所、1箇所、2箇所)で1200回ずつの転がし実験を行った。無加工のサイコロと比較して、角を1箇所・2箇所削った場合には出る目の分布に有意差を確認した(X2乗検定、p<0.05)。また、角を2箇所削った場合、削った角に接していない面が出やすくなる傾向も確認された。今後は、削る角の数を多くしたり、角の削り具合を変えたりして比較したい。
5015
迷惑メール判別と人の誤認要因の分析
坂出商業Aチーム
住田 礼響(坂出商業高等学校 2年),松本 遥空(坂出商業高等学校 2年)
本研究では、利用者自身がフィッシングメールと正規のメールを正しく判別できる方法を研究しました。
近年、電子メールは主要なコミュニケーション手段として利用されていますが、それに伴い、電子メールを悪用したフィッシング詐欺等の手段は年々巧妙化し被害が増加傾向にあることから被害を減らすためにフィッシングメールの傾向を明らかにし正しく判断できる方法を研究しました。そこで、実際に学校に所属している生徒に協力してもらいアンケートを取り、送られてきたメールが正しいメールかの真偽を問い、その際に着目した要素を集めたものをグラフにすることでどのような点で判断されているかを明らかにしました。この研究から注意喚起や自動で判別してくれるツールを作成する必要があると考えています。
5016
M5Stackを使用した死活監視システム
坂出商業Bチーム
天雲 琉聖(坂出商業高校 2年),前川 太輝(坂出商業高校 2年)
昨今の世の中では、アプリケーションの問題や大きな負荷によるサーバーなどのダウンが大きな損失をもたらしている。原因の一つであるメモリリークやプロセスの暴走などによるシステムのフリーズによって安全にシャットダウンを行えないことを防ぐ必要がある。そのような予期せぬ問題に対応するために私たちは、人の負担を減らし、なおかつどんなシステムにも取り入れることができるものが必要だと考えた。この問題を解決するためにIoT機器を用いる。私たちは、特に安価であるマイコンを用いて、リソース状況の表示、マイコンでのPC外からの再起動を行えるようにし、少しでもサーバーダウンやPCの予期せぬ、安全でないシャットダウンの被害を減らすことを目指す。
5017 〇
四国遍路世界遺産登録推進計画 ~HENRO DX~
うどんくうかい
久保 匠(香川県立高松商業高等学校 2年),平戸 晴也(香川県立高松商業高等学校 2年),海野 遙人(香川県立高松商業高等学校 2年)
四国八十八箇所霊場は、弘法大使(空海)が修行を行ったと伝えられる寺院であり、大師の足跡を訪ねて八十八箇所を巡ることを「四国遍路」と呼ぶ。その文化的価値を未来に継承していくため、世界遺産登録への活動が進んでいる。現在、四国遍路は我が国の世界遺産暫定一覧表において文化資産のカテゴリーIaに分類されている。そして登録に向けての課題が文化庁より3つ挙げられており、我々はそのうちの1つである「地域コミュニティの積極的な参画」という課題を解決する手段として、お遍路DX化アプリを提案する。このアプリには、世界遺産登録に向けての活動発信や資産保護を目的としたボランティア活動の告知、さらには外国人観光客に対応した遍路道や最短ルートがわかるマップを表示する機能がある。また、若年層にもカジュアルに楽しんでもらうために自分が巡った寺院数を達成度でわかるようにして四国遍路の活性化を目指す。
5018 〇
募金の流れを”見える化”信頼できるアプリを世界に
ソロバイトちゃん、つのるんずで募金中
水谷 更紗(済美高等学校 1年)
近年、災害支援や貧困地域の支援など、社会課題の解決を目的とした募金活動が数多く行われている。しかし、「寄付金が本当に目的通りに使われているのか」という不信感を抱く人も少なくない。現状の募金箱では、寄付金の流れや使途が不透明であり、寄付者が安心して募金できる仕組みが十分でない。そこで本研究では、募金の流れや使用状況をデジタル技術によって可視化し、寄付者が自らの支援の成果を確認できるウェブページを開発する。これにより、募金活動の透明性と信頼性を高め、寄付者の参加意欲を向上させることを目指す。
5019 ◎
校舎3Dモデルを用いた煙シミュレーションVR防災教育システムの開発
ばーちゃるず
藤原 遙馬(愛媛県立松山南高等学校 2年),小林 桂輔(愛媛県立松山南高等学校 1年),高松 胡桃(愛媛県立松山南高等学校 1年)
本研究は、火災時の煙の挙動を再現し、避難判断力を養うための「校舎3Dモデルを用いた煙シミュレーションVR防災教育システム」を開発したものである。火災による死亡原因の多くを占める煙の吸引に着目し、視界不良下での避難行動を安全に学べる仕組みを構築した。校舎を3Dスキャンし、Blenderで物理法則に基づく煙の動きを再現。得られたデータをnanoVDB形式に変換し、UnityとMetaQuest上で没入的なVR体験を実現した。実証では記憶定着率、避難判断速度の向上が確認され、防災教育の新たな可能性を示している。
5020 ◎
GLOBAL G.A.Pの書類管理をDX ~煩雑な作業からの解放を目指して~
西農DXデベロッパーズ
源代 夏己(愛媛県立西条農業高等学校 3年),白石 和士(愛媛県立西条農業高等学校 2年),猪森 海智(愛媛県立西条農業高等学校 2年),小石 蓮人(愛媛県立西条農業高等学校 2年)
現在、本校では農業生産工程管理の国際基準であるGLOBAL G.A.P.を取得している。その取得には膨大な書類管理が必要であり、認定初年度は紙媒体で行っていた。しかし、紙媒体だと整理が煩雑になり、対応する項目に複数係る書類も多いため、リレーショナルデータベースを用いて管理することが効率的だと考えた。そこで、FileMaker Proを活用してカスタムアプリケーションの作成を実施した。
この方法であれば、審査に必要なファイルは瞬時に検索でき、印刷作業も不要になることから環境負荷軽減に大きく貢献するだけでなく、ファイルの整理整頓作業が完全に不要になり、書類の物理的保管場所を設ける必要もなくなる。
将来的には、施肥指示書や収量データ等も完全電子化し、農場管理の包括的デジタル化を実現して、Webアプリとして広く一般公開することを目指している。
5021
プログラミングの知識ゼロからアプリ制作
Toon Ladies
清水 美羽(愛媛県立東温高等学校 2年),伊東 舞子(愛媛県立東温高等学校 2年),青野 結桜(愛媛県立東温高等学校 2年)
現在、スマートフォンは私たちの生活に欠かせない必須のツールとなりました。特に、アプリは便利なものが多く、活用することで生活を豊かなものにしてくれています。
また、生成AIの飛躍的な進化は、誰もがアプリ制作のクリエイターになれる時代を到来させました。さらに、制作したアプリを気軽に世界へ発信できるようになりました。私たちのチームは、このスマートフォンアプリに注目し、生成AIを最大限に活用し、「プログラミング知識は不要」をコンセプトにアプリ開発をしています。
活動していく中で、自分のイメージを具現化していくためには生成AIにどのような質問を投げかければいいかという「プロンプト工学」を学習しながら、「こんな機能が欲しい」「もっと自分に合ったアプリが欲しい」を専門的な知識の壁を越えて実現させていきます。
将来的には、自身が開発したアプリを発信し、第3者に利用してもらいたいと考えています。
5022 〇
プログラミング教育の地域格差解消の取組
宇和高等学校
山西 あんな(愛媛県立宇和高等学校 1年),井関 結衣(愛媛県立宇和高等学校 1年),井上 玲(愛媛県立宇和高等学校 1年),矢野 早記(愛媛県立宇和高等学校 1年)
2020年から日本の小学校ではプログラミング教育が必修化された。プログラミング教室も都市部を中心に増加している。しかし、都市と地方のプログラミング教室の数には、格差がある。宇和高校のある愛媛県西予市には、子供向けのプログラミング教室は0教室であり、幼少期からプログラミングに関わる機会はなく地域が抱えている問題である。
地域の問題解決のため、DXハイスクールの「地域のデジタルものづくり」の拠点として地域に高校の施設設備を開放した。保育園に施設を開放し、スクラッチによるロボットプログラミング教育を実施した。本研究では、地域課題の解決を持続可能にしていくための方策を目的とする。
5023
AIのゲーム制作限界に挑む
愛媛県立東温高等学校
家久 遥成(愛媛県立東温高等学校 3年),西 龍心(愛媛県立東温高等学校 3年),白石 翔(愛媛県立東温高等学校 3年),板橋 珀太(愛媛県立東温高等学校 3年)
本研究は、AIが持つ創造性や論理構築能力、さらにプログラミングやグラフィック作成といった技術スキルを具体的に把握し、現状の性能を評価することを目的としている。特に、AIがどの程度複雑で高品質なゲームを制作できるのかを明らかにするため、ジャンルの異なるゲームを5つAIで制作し、各5回の修正を行った。ゲームのうち2つは高性能AIを使用させ、1世代前のAIとの比較を実施した。結果として、アクションやリズムゲーム、お絵描きなどは指示通り制作可能で、修正を重ねることで完成度がさらに高まった。一方、RPGでは指示が反映されにくく、しりとりでは存在しない言葉が続くなどの課題が確認された。また、高性能AIは既存プログラムを活かしながら改良できたが、1世代前のAIでは機能追加時に他機能が失われる現象が発生した。これにより、ジャンルごとの適性とAI性能が制作効率や完成度に大きく影響することが明らかとなった。
5024
生成AIが描いた絵と人間の描いた絵を比較する研究
阿田高
田安 律(愛媛県立八幡浜高等学校 2年),高橋 唯音(愛媛県立八幡浜高等学校 2年),阿部 隼也(愛媛県立八幡浜高等学校 2年)
僕たちは「AIの創造性」をテーマに、AIと人間の創造の違いや価値観について研究した。近年、AIが描いた絵や音楽が注目され、芸術分野でAIの可能性が広がっている。AIが生成する絵は人間の作品と見分けがつかないほどの完成度を持つものもある。しかし、AIの描く絵には「感情」や「意図」が存在するのかという疑問が残る。そこで、僕たちは、同じテーマでAIと人間がそれぞれ絵を制作し、表現の違いや見る人の印象を比べた。この活動を通して、AIが人間の指示を受けながら独自に表現を広げていく様子を体験し、AIの創造の可能性を実感した。AIの描く絵は人の描く絵と区別がつかない程の物もある。しかし、人が長い時間をかけ生み出す表現と、AIが一瞬で生み出す作品は同じ絵として扱えるのか。また、人はそこに感動や価値を見出せるのか、考えた。
5025
格差を解消するためのデジタル化に向けて
りっくーず
清家 佳織(愛媛県立八幡浜高等学校 2年),小枝 稜空(愛媛県立八幡浜高等学校 2年),金地 結海(愛媛県立八幡浜高等学校 2年),村市 倫太郎(愛媛県立八幡浜高等学校 2年)
「親ガチャ」とは、生まれ持った環境や能力によって人生が左右されることを指す言葉です。私たちは愛媛県佐田岬半島という僻地で育ちました。塾やスポーツクラブもなく、同級生は5人という限られた環境でした。高校進学を機に外の世界を知り、「井の中の蛙大海を知らず」を痛感しました。義務教育時代は、ALTの先生と話したり、授業の仕組みを工夫してもらったりして、中学で英検二級を取得しました。しかし、社会ではデジタル化が進む中で、地域の機器や指導環境の遅れを強く感じました。今や「教育格差」は「経験格差」へと変化しています。好奇心から学ぶ力こそが現代に求められる教育ではないでしょうか。一方で、興味を持つきっかけが得られない地域もあります。私たちはこうした格差の解消に向け、教育のデジタル化が鍵になると考えました。
5026 ◎
遺伝的アルゴリズムによる多脚ロボット制御プログラムの改良
甲殻類型ロボット開発班
忽那 将臣(済美平成中等教育学校 5年),越智 勇晴(済美平成中等教育学校 5年),藤川 薫(済美平成中等教育学校 5年),山下 宗一郎(済美平成中等教育学校 4年)
これまでカニを模倣して開発してきたプログラムは甲殻類型ロボットを砂利の道など複雑な道を歩行させることができたが、階段や上り坂、下り坂、進行方向右上に傾いた坂では歩行性能に大きな課題があることがわかった。
そこでロボットの歩き方をよりカニに類似させることで歩行性能向上させるため、遺伝的アルゴリズムの導入によりプログラムの最適化を試み、ロボットの性能向上を目指した。
選択方式はランダムな2個体におけるトーナメント選択を用い学習を行った。個体数は1世代16個体とした。
複数のプログラムを作製して歩行プログラムの性能を比較する実験を行った。
作製したプログラムは脚を上げる角度が小さくなり、よりカニに近づいた歩行が観察された。
また、いくつかのプログラムにおいて、速度や旋回性能などが向上した。
関節が多く共同動作が必要な多脚ロボットの歩行性能の改良に遺伝的アルゴリズムは有用である可能性が示唆された。
5027
東京ゲームショウ出展に向けた、体験版ノベルゲームの制作
T3(Tobebun Technical Team)
伊藤 泰智(愛媛県立松山南高等学校砥部分校 1年),岡本 菜月(愛媛県立松山南高等学校砥部分校 2年),石丸 純(愛媛県立松山南高等学校砥部分校 2年)
砥部分校は本年度よりゲームクリエーションコースが新設され、ゲーム制作に関わる全ての内容を現役のゲームクリエイターから直接学ぶことができるようになった。また、コース新設に先駆けて、昨年度からゲームクリエーション部を設立し、学生主体でゲームの開発に取り組んでいる。
昨年度よりゲームクリエーションコースの広報を目的として東京ゲームショウへの出展に取り組んでいる。本年度の出展にあたって、同部員が活動の中で開発に取り組んでいたノベルゲームを来場者が試遊できるよう、体験版として作り直して発表した。
本研究では、東京ゲームショウ出展に向けた体験版ゲームの開発過程と、実際に出展した時の来場者のゲームへの反応などから、成果と課題を振り返り、本校が次年度以降取り組むこととしているシリアスゲーム(社会課題の解決を主目的とするゲーム)の開発に向け、今後の展望を考察する。
5028
「めんどくさい」の壁を乗り越える!AR体験までの「道のり」再設計
タナマチーム
野田 知世(福岡県立福岡講倫館高等学校 3年),工野 鈴音(福岡県立福岡講倫館高等学校 3年),澁谷 くるみ(福岡県立福岡講倫館高等学校 3年)
本研究は、情報実習の授業で制作し、文化祭で展示した100周年記念ARの利用率が期待よりも低かった要因を、情報デザインの視点から分析し、その改善策を提案するものである。
AR体験までのユーザー行動をKJ法で課題分析し、環境設計の不備と、操作負荷を乗り越えられない動機付けの不足が、ユーザー離脱の主要因であると考えた。
この分析に基づき、操作負荷を上回る魅力として、AR体験にゲーミフィケーション戦略を導入することを提案する。また、環境を転換することで、体験に必要な時間を確保するユーザー動線の再設計を提示する。
本研究は、情報コンテンツを「作る」だけでなく、利用してもらうための「行動」を設計する情報デザインの重要性を実践事例を通して示すことを目的としている。
5029
テキストから感情を読み取るAIの開発
浦川遥斗
浦川 遥斗(東福岡高等学校 2年)
テキストコミュニケーション(チャット、SNSなど)が日常化した現代において、声のトーンや表情といった非言語情報が失われ、相手に感情や真意が伝わりにくくなるという問題が顕在化しています。
この「感情ギャップ」を埋めるため、本研究では文章から感情をリアルタイムで判定し、視覚的にフィードバックするAIシステムの開発を目的とします。
5030 〇
盗まれても復元できないだと!~分散型セキュアストレージの試作と比較検証~
HGの情報漏洩対策Team
柴原 光希(福岡県立東筑高等学校 2年),村崎 玄昇(福岡県立東筑高等学校 2年)
この研究は、近年多発しているランサムウェア被害の対策として、ファイルを分割しLAN内の複数ノードに配布し、保存する仕組みを試作し、NASと比較検証する。サーバのOSはLinux、クライアントはWindowsという一般的な構成で行う。各分割ファイルをAES-GCMで保存時に暗号化し、盗難や復旧性、利便性、サイズ別に性能を評価する。FastAPIによるサーバ、Windows GUIクライアントを構築し、分割・配布・結合・削除を実装。2アカウントを用いて同時接続や権限動作を検証し、配置管理や分割ダウンロードも確認する。将来的な展望として、クライアント側暗号化と鍵管理の強化、自動配布機能や仮想ドライブ統合による運用性向上を視野に入れた研究を行う。
5031
購買部の混雑を減らすために
致遠館高等学校1
山口 怜奈(致遠館高等学校 2年),塚元 志季(致遠館高等学校 2年),川原 颯馬(致遠館高等学校 2年),白水 小町(致遠館高等学校 2年)
学校購買部は休み時間帯に生徒が集中し、長い待ち時間や手間で不便を感じることが多い。そこで、混雑緩和だけでなく会計の効率化も期待し、バーコードシステムを導入した。バーコードを読み取ると価格が自動でExcelに表示されるシステムを作成し、購買部で4日間試験運用した。その後、利用者を対象にアンケートを実施し、操作の使いやすさや改善希望を確認した。操作は過半数が「使いやすい」と回答した。しかしリーダーは1台のみのため新たに列が発生し、複数台設置も現実的に不可能だった。利用者からは「後払いがあると便利」「1人ごとの合計金額が出せるとよい」といった具体的な改善意見も得られた。本来は商品名も集計して売れ行き把握などにも活かしたかったが、入荷商品が日ごとに不規則なため実現は困難だった。この経験から、小規模で不安定な市場では導入に制約があるとわかり、今後は意見を反映したより実用的な改良を進める予定である。
5032 〇
教員の負担軽減を目的とした生徒情報管理システムの開発
科学部情報校務システム班
佐藤 葉緒(大分舞鶴高等学校 2年),奈良 伊織(大分舞鶴高等学校 2年),濵永 真仁(大分舞鶴高等学校 2年),田北 海翔(大分舞鶴高等学校 2年)
文部科学省の施策により校務支援システムの導入が進められ、教員の業務負担軽減と教育の質の向上が期待されている。宮田らの研究でもその有効性が示されており、情報化による校務改善の必要性が高まっている。本研究は、大分舞鶴高校における校務支援システムのアンケートを用いた実態調査とWebAppの開発、校務支援システムの開発を通じて、教員の校務負担軽減を図ることを目的とする。4件法を用いたアンケートの結果(n=307),入室許可証の使いやすさや、保健室の情報共有の現状には評価が低いことが示されていた。そこでアンケート結果をもとに、PowerAutomate,MicrosoftTeams,Raspberry Pi,WebApp等を活用し、出欠遅刻管理、保健室の情報共有の校務支援システムを開発した。一部機能については限定的な環境下で試験的な運用を行い、実用性の検証を進めている。
5033 ◎
五度圏を用いたインタラクティブな楽器インターフェースの開発
今日も元気な挨拶をありがとう
木崎 公亮(大分県立大分舞鶴高等学校 2年)
本研究では、従来は理論理解のために用いられてきた五度圏を操作可能なインターフェースへ転換した電子楽器CycleToneを開発し、初心者の作曲支援と音楽理論学習の容易化を目的とした。Raspberry Piと円形ディスプレイ、五度圏順に配置したキーを備え、コード情報表示や筐体回転による転調を可能とした。ソフトウェアはコード進行予測、和音の視覚化、進行編集、転調機能を実装した。評価実験では高校生11名がCycleToneとMIDIキーボードでコード進行を作成し評価を行った。その結果CycleToneの使用は「直観的操作」「理論学習」に有意に優れ、理論に基づいたコード作成にも効果が見られた。一方、リスナー評価では表現意図の伝達に有意差は見られなかった。以上より、CycleToneは初心者の理論理解と進行作成を支援する有効な手段であるが、今後はリズムやメロディも統合的に扱える機能拡張が課題である。
5034 〇
日田市の観光や防災に活用できるコンシェルジュマップの開発
Sc!TicS_79回生SS情報班
井上 優花(大分県立日田高等学校 2年),横尾 大志(大分県立日田高等学校 2年),五島 遼星(大分県立日田高等学校 2年),土屋 漣(大分県立日田高等学校 2年)
本研究の目的は、日田市における観光や防災に関する問題を解決するために、総合的に利用することのできる「コンシェルジュマップ」を作成することである。アンケート調査をもとに必要な機能を整理し、最適化経路の算出に独自のヒューリスティック等の工夫を行うことで、実用に向けたプロトタイプを開発することができた。今後は、さらなる改善を重ね、日田市役所に提案することが目標である。
5035 ◎
メンズメイクにおける阻害要因及び対策の検討
Sc!TicS_チームごきげんよう
藤原 輝星(大分県立日田高等学校 2年),吉冨 桜々(大分県立日田高等学校 1年),江藤 郁奈(大分県立日田高等学校 1年)
本研究の目的は、「メンズメイクの受容性」を高めるために、その阻害要因を統計的な視点から検討することである。高校生を対象にアンケート調査を行った結果、メンズメイクの受容性は、「肯定的態度」「文化的多様性認識」「社会的スティグマ認識」で構成されることを明らかにし、メンズメイクを阻害する要因として、「男性の役割の認識の固定概念」が大きく、性別・学年・考え方も影響していることが明らかになった。調査・分析を通して、定期的な研修や啓発による普及が必要である可能性が示唆された。
5036 ◎
不快指数を用いて熱中症ゼロをめざす 警告システム「涼メ~ル」の開発
Sc!TicS_成長点
木村 みと(大分県立日田高等学校 1年),合谷 萌唯(大分県立日田高等学校 1年),白井 煌大(大分県立日田高等学校 1年),清瀧 暢之(大分県立日田高等学校 1年)
近年、日本は最高気温や猛暑日の記録を毎年更新している(1)。それにともなって熱中症になる人も増加するため、具体的な対策が必要であると考えた。人によって気温が何度だったら暑いのかの感覚が異なることから、気付かないうちに熱中症になってしまうことや、作業の最中などは気温を気にする暇もないことなどが懸念される。そこで、それらの問題に対応したシステムを開発することにした。
5037
生成AIを用いたフィッシング詐欺対策アプリの開発
Sc!TicS_セキュリティ班
山田 龍太(大分県立日田高等学校 1年),羽田 政宗(大分県立日田高等学校 1年),西村 玲唯(大分県立日田高等学校 1年)
フィッシング詐欺は年々巧妙化しており、2024年において、その被害額は541億円にも上っている。すでにフィッシング詐欺対策アプリは実用化されているが、すべての詐欺を防げるわけではなく、日々変化するフィッシング詐欺の手法に対応することは難しい。そこで、生成AIを搭載し、あらゆる詐欺の手法に臨機応変に対応できるようなフィッシング詐欺対策学習アプリケーションの開発を目的とし、研究を行った。
5038
冷蔵庫内の食材管理を効率化するWebアプリケーションの開発
Sc!TicS_LLM家電班
井手 優介(大分県立日田高等学校 3年)
本研究の目的は、様々な世代の方に馴染みやすい食材管理システムを開発することである。高齢者の記憶力について調査し、賞味期限が切れそうな食品を通知してくれる機能を実装することで、様々な世代の方に便利で、記憶力の低下に対応した管理システムを開発することが出来た。今後は、方言を用いた対話機能の実装が課題である。
5039 ◎
色覚タイプや個人差に合わせた色調整WEBアプリケーションの開発
ひた学_色覚支援班
髙橋 碧稀(大分県立日田高等学校 3年)
本研究の目的は、色覚タイプや個人差に対応した色調整システムを開発することである。色覚異常の種類について調査し、色を分離させる程度を変更することのできるスライダー機能を実装することで、個人差に合わせた色の調整ができるWebアプリケーションを開発することができた。今後は、リアルタイムで色を調整するシステムや、ARグラスへの実装が課題である。
5040 ◎
TalkBoost:日常の吃音を「可視化」し、「話したい」を支えるアプリの開発
後藤 潤樹
後藤 潤樹(沖縄工業高等専門学校 3年)
吃音は「言葉の出にくさ」だけでなく、発話そのものを避けてしまう回避行動が、話したいのに話せない体験を繰り返し、自信や人とのつながりを失いやすい。既存の吃音支援アプリは練習や録音に偏り、日常の吃音の出方や変動を客観的に理解する仕組みは少ない。本研究では、日常会話を受動的に記録し、吃音の頻度や特徴をAIで解析・可視化するシステム「TalkBoost」を開発した。利用者は、録音動作を行わず日常生活の音声データを収集・解析でき、後から時間帯ごとの吃音の傾向や変化を確認できる。これにより、自身の発話状況を具体的に把握し、話すことへの抵抗感を軽減することを目的とする。吃音のある複数名による1週間の使用テストを行い、吃音の特徴の可視化による自己理解・発話意欲の変化を検証した。本研究は、吃音を「克服」ではなく「理解」する視点から支援する新しいアプローチを提案する。