連続セミナー2024「情報技術の新たな地平:AIと量子が導く社会変革」

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第8回【10月25日(金) 13:00~ 15:30】

メタバース② 〜仮想空間の価値を実空間に環流するインターバース〜


メタバースを活用した人間拡張の研究を中心に、それらがもたらす社会、産業変化を展望する。第1回はメタバースと人間拡張にフォーカスし、メタバース空間を活用して身体や認知を拡張する研究を紹介する。コーディネーターである持丸から概論を述べた上で、東京大学の前川和純先生から身体の拡張、東京大学の鳴海拓志先生から知覚と認知の拡張について最新の研究をご紹介いただく。第2回はインターバースとバーチャルエコノミーにフォーカスする。インターバースはメタバースと実空間(ユニバース)を相互に繋ぐ技術を指し、メタバースで拡張した価値を実空間に環流することで新しい市場(バーチャルエコノミー)の拡大を目指すものである。持丸から概論を述べた上で、琉球大学玉城絵美先生から身体固有感覚の共有、竹中工務店の安藤邦明さまから仮想の街を使った体験価値の向上に関する研究の取り組みを紹介いただく。
  • [13:00-13:20]オープニング、Session1「インターバースとバーチャルエコノミーの拡大」

    持丸 正明

    インターバースとは仮想空間(メタバース)と実空間(ユニバース)を相互に繋ぐ技術を指す造語である。人がメタバースに没入することで、その中で時空間制約がなくなることを利用して機能を拡張したり、メタバースでは得られない体験をすることが可能となる。インターバースは、そのようなメタバースで生み出された価値をユニバースに環流することを指向している。ユーザのユニバースでの健康状態を改善したり、業務を支援したり、街での暮らしの魅力度を高めるようなサービスを産み出すことを目指す。内閣府SIP第3期では、このようなインターバースの要素技術開発、ソフトウェア基盤整備、アプリケーションサービス開発を戦略的に推進することで、バーチャルエコノミー(メタバースを活用した新経済圏)を拡大するプログラムが選定された。このプログラムの全体構想と目指す社会像、そこでの日本産業の勝ち筋について述べる。

    持丸 正明(国立研究開発法人産業技術総合研究所 フェロー 兼 人間拡張研究センター 研究センター長 )

    【略歴】1993年、慶應義塾大学大学院博士課程 生体医工学専攻修了。博士(工学)。同年、工業技術院生命工学工業技術研究所 入所。2001年、改組により、産業技術総合研究所 デジタルヒューマン研究ラボ 副ラボ長。2018年より、人間拡張研究センター長。2023年にフェロー。専門は人間工学、バイオメカニクス、サービス工学。現在、ISO TC 324および PC329国際議長。消費者安全調査委員会・委員長代理。
  • [13:20-13:30]休憩

  • [13:30-14:10]Session2「インターバースで入出力される複数感覚」

    玉城 絵美

    人類はこれまで,様々な人生の体験を共有してきました.私たちの研究グループでは,視聴覚に加えて固有感覚をも共有するインターバースの一つであるBodySharingの実現により,臨場感溢れる体験共有を目指しています.
    BodySharingとは「身体に付随する感覚の相互共有によって身体の体験を複数人で共有すること,あるいはその技術とインタフェース」です.ここでの“身体“とは,人,ロボット,バーチャルの身体も含みます.
    複数の身体の感覚を共有する,すなわち,身体同士で情報を相互に共有し合うためには,ユーザ(人)の身体感覚を取得し,さらにはユーザに得られた身体感覚を再現する必要があります.BodySharingでは,位置覚や重量覚などの固有感覚を伝達することで,体験を共有します.身体情報をサイバー空間に持ち込み,フィジカル空間に還流させるBodySharingの技術は,インターバースの1つと言えます.
    インターバースは,スポーツ,医療,エンターテインメントなど,幅広い分野で応用され始めています.産官学連携による研究事例と併せて,各分野での応用事例をご紹介します.

    玉城 絵美(H2L株式会社 代表取締役/琉球大学 工学部 教授 /東京大学 大学院工学系研究科システム創成学専攻特定客員大講座 教授)

    【略歴】人間とコンピュータの間の情報交換を促進することによって、豊かな身体経験を共有するBodySharingとHCI研究とその普及を目指す研究者兼起業家.2011年に手の動作を制御する装置PossessedHandを発表しTime誌が選ぶ50の発明に選出,2012年にH2L,Inc.を創業し,UnlimitedHand, FirstVRなどの製品を発表しサービスへと展開. 2020年国際会議AugmentedHumanにて,近年で最も推奨される研究論文として表彰.
  • [14:10-14:20]休憩

  • [14:20-15:00]Session3「サイバー空間を活用したまちの魅力度とひとの体験価値に関する開発」

    安藤 邦明

    本開発では、フィジカル/サイバー空間の双方が影響し合うインターバースによって、ユーザーの体験価値向上を目指すフレームワークを整備し、個々人のウェルビーイング実現と企業やエリアの経済活性化・付加価値化を目的としています。具体的には、ひとの感情や行動・活動、まちの特徴を読み解き、関係性を把握した上で、まちに有効な仕掛けづくり(体験デザイン)を行い、行き交う人々の多様なニーズに対応した体験価値を生み出します。そのために、感情を起点としたフィジカル/サイバー空間を設計し、そこに集うひとの感情や行動・活動、まちの特徴を効果的に拾い上げることで、行動経済学などの知見を盛り込んださりげない体験デザイン手法を構築・実証し、サービス化へと繋げる予定です。当日は実証・活用事例等をご紹介します。

    安藤 邦明(株式会社竹中工務店 技術研究所 環境・社会研究部 人間行動科学グループ 主任研究員)

    【略歴】技術研究所の研究員として開発を進め、開発技術の社会実装を目的とした共創活動を推進するため、Inspired Labに設置されたCOT-Lab大手町に所属。建築やまちに新たな魅力を創出するフレームワーク「アーバンテック®」を建築設計者・都市計画者とともに立ち上げ、まちの魅力に関する評価ツールを開発・実証している。
  • [15:00-15:10]休憩

  • [15:10-15:30]Session4「ディスカッション」

    持丸 正明(国立研究開発法人産業技術総合研究所 フェロー 兼 人間拡張研究センター 研究センター長 )


  • 玉城 絵美(H2L株式会社 代表取締役/琉球大学 工学部 教授 /東京大学 大学院工学系研究科システム創成学専攻特定客員大講座 教授)


  • 安藤 邦明(株式会社竹中工務店 技術研究所 環境・社会研究部 人間行動科学グループ 主任研究員)



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