連続セミナー2023「人とAIが共生する社会に向けた情報技術」

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第12回【12月19日(火)15:00~18:05】

社会課題解決に向けたヒューマンインタフェース


様々な社会課題が存在する現代において、それらの課題を解決するために非常に多くの取り組みがなされている。その中で、「人間中心社会」における課題解決にはヒューマンインタフェース研究が重要である。本セミナーでは、幅広いヒューマンインタフェース研究領域の中で、社会課題解決に必要と考えられる、近年特に重要な人工知能と人とのインタラクション、人とコンピュータとの共生、顧客志向でのシステムの要件化、について紹介する。
  • [15:00-15:10]オープニング

    福住 伸一
    福住 伸一(国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センター 副チームリーダー)

    【略歴】1986年慶應義塾大学修士了。同年 NEC入社。 2018 年 より、(国研)理化学研究所革新知能統合研究センター。東京都立大学客員教授、工学博士、認定人間工学専門家、HCD-Net認定人間中心設計専門家。日本人間工学会理事、人間工学専門家認定機構長。ヒューマンインタフェース学会理事及び監事を歴任。 ISO TC159 (人間工学)/SC4(HCI)国内委員会主査。Common Industry Format for usability国際会議共同議長。
  • [15:10-15:45]Session1「コグニティブ・インタラクション研究を通した他者認知」

    竹内 勇剛

    chatGPTは、自分が知りたいことや文章作成など、やってほしいと思う仕事(情報処理)を普段使っている言葉で伝えれば、即座にその要望に応じた応答を高い知的水準の「会話(chat)」の一環として返してきてくれる。さすがAIだと感心していながらもふと思う。それは卑近な言葉で言えば、「こいつは機転がきかない」。当然である。ユーザである「自分」をchatGPTが理解するための手がかりは、プロンプトと呼ばれる自分が書いたテキストによる質問や命令、意向、条件などからだけである。しかし実際に人が他者を理解しようとするときに使う手掛かりは、相手が示す字面だけではない。非言語的な情報や身体的な情報など多くのモダリティを手がかりにしているだけでなく、他者モデルに基づいて推定された認知状態や予測された行動とのずれなど、多元的な情報を統合して他者を認知しているのである。コグニティブ・インタラクション研究とは、このような他者認知の過程をインタラクションを通して理解することを目的とした研究である。本講演ではこの研究の一端を事例を示しながら紹介する。

    竹内 勇剛(静岡大学 情報学部 情報科学科 教授)

    【略歴】1996〜1999年名古屋大学大学院人間情報学研究科社会情報学専攻博士後期課程在学と並行してATR知能映像通信研究所・研修研究員。博士(学術)。1999〜2001年同研究所・客員研究員(ポスドク)。2001年より静岡大学情報学部情報科学科着任、現在に至る。2002〜2004年ATRメディア情報科学研究所非常勤客員研究員。認知科学、HAI (Human-Agent Interaction)、インタラクション分析、対話モデルなどを専門とする。
  • [15:45-15:55]休憩

  • [15:55-16:30]Session2「人の理解に基づくコミュニケーションシステムの開発」

    葛岡 英明

    人と人のコミュニケーションを支援するためには、調査・分析に基づいてコミュニケーションにおける人の特性を理解し、その理解に基づいてシステムを開発することが重要である。本講演では、人と人あるいは人とロボットのコミュニケーションを支援するシステムの研究において、量的な手法や質的な手法を用いて人の特性を明らかにしたり、開発したシステムの評価をおこなったりした研究事例を紹介することによって、人間中心のコミュニケーションシステム開発の有効性を示す。特に質的な調査・分析は、なぜ人はそのように行動するのかという理由や、人がどのような課題を抱えているのかということを明らかにすることが可能であり、システム開発の有効な手法であることを主張する。

    葛岡 英明(東京大学 大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻 教授)

    【略歴】1992年東京大学大学院情報工学専攻修了、博士(工学)取得。同年筑波大学構造工学系講師。2019年、東京大学大学院情報理工学系研究科教授。物理的な共同作業を支援する遠隔コミュニケーションシステムの開発、人とロボットのインタラクション、バーチャルリアリティによる人間拡張の研究に従事。情報処理学会、ヒューマンインタフェース学会、日本バーチャルリアリティ学会、日本ロボット学会、電子情報通信学会、ACM会員。
  • [16:30-16:40]休憩

  • [16:40-17:15]Session3「UXとヒューマンインタフェース」

    平沢 尚毅

    製品、システム及びサービスを構想するにあたり、UX(User Experience)の重要性が認識されるようになっている。同様に、マーケティング領域では、CX(Customer Experience)の重要性が議論され、消費行動、ブランディング、小売、サービスマネジメントなどの領域で応用が試みられている。一方、製品、システム及びサービスのヒューマンインタフェースを考える上で、ユーザビリティは不可避の概念である。2つの体験価値とユーザビリティは、どちらも人間に関わる概念であるが、これらの関係性は曖昧なまま利用されていると思われる。まず、この関係性を明らかにし、どのように応用すべきかを、国際標準規格を審議している立場から明らかにしてゆきたい。
     次に、UXの構想を踏まえて、製品、システム及びサービスを開発するためのプロセスが標準化されている。このプロセス標準である、ISO9241-220の概要と、応用について解説したい。

    平沢 尚毅(国立大学法人北海道国立大学機構小樽商科大学 商学部 教授)

    【略歴】
    1990年 小樽商科大学助手として赴任。
    1996-97年に英国Loughborough工科大学(現Loughborough大学)HUSAT研究所にて客員研究員として、EUのユーザビリティ関連プロジェクトを研究。
    帰国後、ISO/TC159/SC4/WG6国内委員会委員に就任。2005年に設立した特定非営利法人「人間中心設計推進機構」の創設メンバー。
    2009年 電子政府のユーザビリティガイドライン策定に協力。電子政府推進委員北海道地区会長。小樽商科大学商学部教授、情報処理センター長就任。
    2018年度から2021年度まで日本人間工学会理事。
  • [17:15-17:25]休憩

  • [17:25-18:00]Session4「企業としての取り組み(1)」

    鈴木 浩之

    メーカーにおいて、ヒトが操作を行う製品を提供する上で、その安全性やUX(user experience 、顧客体験 )へ大きな影響を与えるヒューマンインタフェース開発は重要である。それまでの開発におけるヒューマンインタフェースの評価は主観評価による使いがってのユーザビリティ評価が一般的であった。社内評価で問題ないとされた製品においても上市後、ユーザより使いにくいなどのクレームが入ることがあった。
    そこで、本講演では、UI(User Interface)の開発において、より客観的なユーザビリティ評価を取り入れた事例を中心に、最新のトピックも交えながら紹介・解説する。

    鈴木 浩之(富士フイルムヘルスケア株式会社 経営管理部 ブランド・コミュニケーションセンタ デザインチーム 主任)

    【略歴】1989年アロカ株式会社(現:富士フイルムヘルスケア株式会社)入社。デザインチームにおいて、製品のユーザビリティ改善研究開発に従事。また、長年医療従事者の筋骨格系障害予防に取り組む。日本人間工学会医療労働関連MSDs研究部会副部会長などを務める。博士(工学)、技術士(機械部門)。
  • [18:00-18:05]クロージング

    福住 伸一
    福住 伸一(国立研究開発法人理化学研究所 革新知能統合研究センター 副チームリーダー)

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