連続セミナー2023「人とAIが共生する社会に向けた情報技術」

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第10回【11月20日(月) 15:00~17:30】

教育とAIの共存・共生


コロナ期が契機となりGIGAスクール構想等で教育分野へのICT導入が広く普及した。今や教育、学習を行う際には当たり前のように様々な教育学習支援システムが利用されるようになり、これらのシステムに蓄積されるデータを活用して、現場の教育・学習を支援する取り組みも活発化している。また、直近ではChatGPTに代表される大規模言語モデルが注目を浴び、教育・学習への影響、期待、懸念など様々な意見が飛び交っている。このような社会背景のなかで、今回は「教育とAI」というテーマに焦点を当て、特に近年注目度の高いラーニングアナリティクスやAI自動採点、ChatGPTの教育への影響等について事例紹介をしつつ、今後の教育とAIの共存・共生について論じる。
  • [15:00-15:05]オープニング

    島田 敬士
    島田 敬士(九州大学 大学院システム情報科学研究院 教授)

    【略歴】2007年九州大学大学院システム情報科学府博士後期課程修了.博士(工学).2007年4月より九州大学大学院システム情報科学研究院助教.2013年10月より同大学基幹教育院准教授.2017年4月より同大学大学院システム情報科学研究院准教授,2019年10月より教授,現在に至る.その間,JSTさきがけ研究者兼任.ラーニングアナリティクス,パターン認識,メディア処理,画像処理に関する研究に従事.2019年IPSJ/IEEE-CS Young Computer Researcher Award,令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞などを受賞.
  • [15:05-15:45]Session1「今,ラーニングアナリティクスに求められる技術」

    島田 敬士

    ラーニングアナリティクス(学習分析)は,様々な教育・学習支援システムに蓄積されるデータを活用することで,教育や学習,それらを実践する環境の改善を目指した研究である.ラーニングアナリティクスのキーワードが認知され始めた十数年前は,データの収集方法やそのためのシステム開発研究が先行していたが,その後はデータの分析手法や結果のフィードバック手法,介入方法などへと軸足が移り,近年では,教育・学習に関するデータを効果的に活用したデータ駆動型教育の重要性が議論されるようになってきた.さらに最近では,生成系AIの教育分野での活用についても様々な議論が起こりつつある.そのような新しい時代の教育において,教育とAIが信頼関係を築き共存・共生していくためにラーニングアナリティクスに求められる技術について研究の動向や課題を紹介する.

    島田 敬士(九州大学 大学院システム情報科学研究院 教授)
  • [15:45-15:55]休憩

  • [15:55-16:35]Session2「AI 採点システムが変える大学入試」

    石岡 恒憲

    国内の大学入学者選抜でも自動採点は可能なのか,課題はないのか,個別入試で活用して大丈夫かについて論じる.そのために,自動採点システムの現状や海外での先行事例,国内の取り組み状況,自動採点導入時の課題について紹介する.特に自動採点の課題については,平成29年と30年の2度にわたって実施された計12万人による共通テスト試行調査データを用いた知見に基づくものである.またこのような大量のデータを用いることで,妥当な推定に必要な標本の大きさについても目安を得ることができた.自動採点利用の是非は,結局のところ利便とリスクの兼ね合いということであるが,1)公的な試験においては複数の人間の一方を機械が肩代わりし最終判断は人間に委ねること,2)短答記述採点では字句の指定が現実的な利用の妥協点であると思われる.

    石岡 恒憲(独立行政法人 大学入試センター 研究開発部 部長・教授)

    【略歴】1985〜1998年 株式会社リコー・研究員.1998年〜 文部省 大学入試センター 研究開発部 助教授, 省庁再編に伴い 2001年より独立行政法人 大学入試センター助教授.准教授に名称変更され,その後教授(〜現在).1992年博士(工学).2000年文部省 長期在外研究員(カーネギーメロン大).2012〜2016 年東京工業大・社会理工学研究科連携教授.2022年〜現在,東京農工大・客員教授(兼任).
  • [16:35-16:45]休憩

  • [16:45–17:25]Session3「ChatGPTが教育に与えたインパクト」

    吉田 塁

    本講演では、2022年11月に登場して社会的に大きな影響を与えているChatGPTが教育にもたらしたインパクトについて概説する。具体的には、ChatGPTをはじめとする生成系AIへの国内外の大学の対応状況、教育における活用に関する事例、関連研究、関連教育サービス、また活用する上での留意点などを紹介する。特に教育における活用については、レポート課題への活用、個別指導を行うチューターとしての活用、エッセイ評価に関する研究など具体的な事例も含めて解説する。また、注意点については、サービスにおけるデータ利用ポリシー、大規模言語モデルが持つバイアスや毒性、間違った情報を提示してしまう幻覚(Hallucination)などに触れながら教育現場で活用する際に留意するべき事項について説明する。なお、本概要は、2023年5月2日に作成されたものであり、生成系AIの進展が非常に早いため、当日の講演では、最新の内容をふまえた説明を行う予定である。

    吉田 塁(東京大学 大学院工学系研究科 准教授)

    【略歴】東京大学大学院工学系研究科准教授。博士(科学)。専門は教育工学(アクティブラーニング、オンライン学習、ファカルティ・ディベロップメント)。東京大学教養学部特任助教、東京大学大学総合教育研究センター特任講師を経て、2020年より現職。訳書・著書に『学習評価ハンドブック—アクティブラーニングを促す50の技法』(監訳)、『教師のための「なりたい教師」になれる本』(共著)などがある。
  • [17:25-17:30]クロージング

    島田 敬士
    島田 敬士(九州大学 大学院システム情報科学研究院 教授)

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