船井業績賞記念講演

船井業績賞記念講演

喜連川優

講演タイトル:データベースシステムとの40年の悪戦苦闘

喜連川 優
情報・システム研究機構 機構長/東京大学 特別教授、総長特別参与
講演概要:大学生時代、主たる研究テーマは通信が王道で、計算機の講座は極めてわずかであった。更に、計算機の講座においては、計算の高速化が中心で、データの研究はマイノリティであった。小生の研究者人生を約40年とすると30年以上を経て、ようやくビッグデータという言葉が生まれた。最近はデータ駆動が広く利用されるようになり、隔世の感がある。昨今のLLMも学習データが肝との見方が主流であろう。振り返ると、人生は短いものである。他を気にせず、自身の信じるテーマに没頭されることをおすすめしたい。小生は若いころ、計算の重要性もさることながら、コンテンツ(データ)の重要性が主流になる時代がくるはずと考えたことが思い出される。集中・没頭する研究から得られる経験知は圧倒的に大きかったと感ずる。
 この歳になると、学会に育てて頂いた時代が懐かしく思い出される。出来る限り学会に尽くしたつもりではあるが、更にお役に立てることがあれば、何なりとお申し付けください。
略歴: 1983年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了。データ工学の研究に従事。東京大学地球観測データ統融合連携研究機構長、2013年より国立情報学研究所所長などを経て、2023年より情報・システム研究機構機構長。情報処理学会会長(2013-2015年)、日本学術会議情報学委員長(2014-2016年)などを務める。ACM SIGMODエドガー・F・コッド革新賞、電子情報通信学会功績賞、情報処理学会功績賞、全国発明表彰「21世紀発明賞」、C&C賞、IEEE Innovation in Societal Infrastructure Award、日本学士院賞などを受賞。2013年に紫綬褒章、2016年にはレジオン・ドヌール勲章を受章。ACMフェロー、電子情報通信学会名誉員、情報処理学会名誉会員。中国コンピュータ学会栄誉会員、IEEEライフフェロー。