FIT2023委員長挨拶

FIT2023委員長挨拶

 FIT2023実行委員長 湊 真一 (京都大学)
 FIT2023プログラム委員長 荒瀬 由紀 (大阪大学)
第22回情報科学技術フォーラム、FIT (Forum on Information Technology) 2023は、電子情報通信学会の情報・システムソサイエティ(ISS)とヒューマンコミュニケーショングループ (HCG)、及び情報処理学会とが協力して開催する大会です。

FIT2023は現地会場を主体としたハイブリッド形式での開催を予定しております。約3年にわたるコロナ禍による分断を経験した今、参加者が一堂に会し活発な議論を行う学会の素晴らしさを改めて実感できる機会となるよう、大阪公立大学(中百舌鳥キャンパス)の全面的なご協力のもと準備を進めています。一方で、地理的制約のない参加が可能となるオンラインでの発表・聴講も継続し、できるだけ多くの方にご参加・ご議論頂ける場を提供いたします。この機会にぜひ、ひとりでも多くの皆様にFIT2023にご参加いただき、最新の情報科学技術の動向をご覧になって頂ければと存じます。

FIT2023では3日間に渡って、船井業績賞受賞記念講演、特別講演といった数多くの企画イベント、研究者らによる研究発表、トップコンファレンスセッションといった多彩なセッションが繰り広げられます。さらには、両学会の研究会と連携した、12個の併設研究会 が開催されます。FIT2023の参加者は、無料でこれらの併設研究会にもご参加頂けます。

船井業績賞受賞記念講演では、データベース工学分野で世界的に顕著な業績を上げられ、長きにわたり幅広く日本の情報処理分野を牽引してこられた喜連川 優先生(情報・システム研究機構 機構長/東京大学 特別教授)にご講演いただきます。

特別講演では、現在社会的に大きな話題となっている大規模言語モデルについて、研究の最前線に立つ鈴木 潤先生(東北大学)にご登壇いただきます。ChatGPTに代表される大規模言語モデルの登場は情報処理分野に技術的ブレイクスルーをもたらしただけでなく、これまでにない新たなビジネスやサービスを多数創出し、社会的にも大きなインパクトを与えています。大規模言語モデルには大きな期待が寄せられる反面、教育や創作活動への影響や、新たな社会的リスクなど、負の側面を懸念する声も多く聞かれるようになってきました。さらには大規模言語モデルに関する多種多様な情報が錯綜する中、不正確な情報や過度な期待・不安をあおるような情報も散見されます。特別講演では大規模言語モデルの仕組みおよびリスクの正しい理解、今後の展開についてご講演いただきます。

研究の成果をご発表いただく一般講演においては、今年は567件(選奨論文104件、一般論文463件)の論文が集まりました。合計15分野に分かれて、 分野ごとの最新研究動向を集中してご覧頂ける機会となると思います。

トップコンファレンスセッションは、各研究分野におけるトップレベルの国際会議や海外の学術誌に採録された論文の著者ご自身にその内容をご紹介頂く、という大変魅力的なセッションです。初回の2018年から回を増すごとに盛況となっており、FIT2023ではトップコンファレンスやトップジャーナル論文として採録された計98本の研究を、関連分野ごとに17個のセッションでご講演頂きます。

FITは今回で22回目を迎えますが、2019年に定めた以下の3つのコンセプト、(1)情報科学技術の最新動向が一度にわかる、(2)視野が広がり新しい気づきが得られる、(3)学生や若手の研究者が夢と勇気を得られる、を柱として、ここ数年の運営を進めて参りました。5年目となるFIT2023もこのコンセプトを踏襲し、参加者の方々にとってこの3つが可能な場となるように様々な企画を用意しております。

実行委員およびプログラム委員一同、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。