N分野 教育・人文科学 |
選奨セッション 教育・人文科学 |
9月6日(水) 9:30-12:00 1q会場
座長 橋本 雄太(国立歴史民俗博物館)
新村 正明(信州大学) |
CN-001 |
大学生の初年度教育におけるAI活用実践と探索的意識調査に関する報告
◎山口 恭正・橋本 智明・齋藤 長行・内野 秀哲(仙台大学)
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CN-001大学生の初年度教育におけるAI活用実践と探索的意識調査に関する報告
◎山口 恭正・橋本 智明・齋藤 長行・内野 秀哲(仙台大学)
近年、高等学校における情報教育の拡充や、科学技術教育の展開が行われ、世界的にSTEM・STEAM教育がもてはやされている。2022年11月30日に公開されたChat GPTは人々の知的活動や学習の価値観を大きく変え、教育における利活用ガイドライン作成は急務である。そこで、人々が当該問題に対してどのような意識を持っているのかを把握する必要がある。本研究では対話型AIの教育活用を検討すべく、大学初年度教育を踏まえ、人々のAIへの印象や考え方に関して検討することで今後のAIの教育における利活用に関わる視標としての一つの知見を明らかにする。 |
CN-002 |
性風俗情報サイトの分析による性接触ネットワークの可視化
○伊東 啓・重田 桂子・山本 太郎(長崎大学)・守田 智(静岡大学)
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CN-002性風俗情報サイトの分析による性接触ネットワークの可視化
○伊東 啓・重田 桂子・山本 太郎(長崎大学)・守田 智(静岡大学)
「誰と誰が性交渉をおこなったか」という性接触のネットワークは、ヒト社会における最も基本的なつながりである。しかし、技術面やプライバシーの問題から、現実の性接触ネットワークを把握することは難しい。そこで本研究では、全国の性風俗店情報を提供している国内最大級のウェブサイトが持つ口コミ・レビュー機能に着目した。同サイトに投稿された口コミ・レビューから顧客とセックスワーカーのつながりを網羅的に収集することで、性産業における性接触ネットワークを抽出し、可視化・分析した。得られたネットワークはスケールフリーとスモールワールドの特性を持ち、地域や店舗に依存して高いクラスタリング性を示すことがわかった。 |
CN-003 |
ブロックチェーン技術に基づく人文情報活用システムの試作
◎磨 有祐実・山田 憲嗣(大阪大学)・中山 文(神戸学院大学)・谷田 純(大阪大学)
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CN-003ブロックチェーン技術に基づく人文情報活用システムの試作
◎磨 有祐実・山田 憲嗣(大阪大学)・中山 文(神戸学院大学)・谷田 純(大阪大学)
本研究では、人文学分野における文献情報を有効活用する新たな手段として、ブロックチェーンに基づく人文情報活用システムを提案し、その有効性を明らかにする。具体的な実験システムとして、パブリックなテストネットにおいて動作する文献目録共有システムを開発し、実装上の課題を明らかにした。実験システムはWebフロントエンド、スマートコントラクト、The Graphにより実装し、動作確認と性能評価を行った。非集権管理、低コスト、ゼロダウンタイムなどの特徴を活かした人文情報活用手法として有効性を検討した。またブロックチェーン活用に伴う課題を明らかにし、実利用に向けた方策を整理した。 |
CN-004 |
外国語多読学習支援のための教材推薦と教材生成の融合
○江原 遥(東京学芸大学)
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CN-004外国語多読学習支援のための教材推薦と教材生成の融合
○江原 遥(東京学芸大学)
外国語多読学習支援のために,教材中のテキスト情報から教材内容を考慮して教材の難度等を推定し,学習者に合った個別最適な教材を推薦するタスクを考えたい.多読学習では学習者は各々の興味に合った好きなトピックの教材を選べるので,学習者を強く動機付けられる利点がある.しかし,難度調整済の人手教材は量が限定されており,学習者に合った難度で学習者が好むトピックの教材が存在するとは限らない問題がある.本研究では,教材の不足するトピック・難度の部分を,ChatGPTなどの大規模言語モデルを使って生成する事で,推薦と生成を組み合わせ融合させた学習支援システムを提案する.学習者の語彙テスト結果データを用いて,多読の学習者シミュレーションにより提案手法を評価する. |
学習システム・教材開発 |
9月6日(水) 13:10-15:10 2r会場
座長 長瀧 寛之(大阪大学) |
N-001 |
TCPのコネクション管理の仕組みを可視化する教育ツールの作成と評価
◎金井 佑太・成田 匡輝(岩手県立大学)
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N-001TCPのコネクション管理の仕組みを可視化する教育ツールの作成と評価
◎金井 佑太・成田 匡輝(岩手県立大学)
インターネット技術が進歩し情報の専門教育の中で,TCP/IPのプロトコルの教育が必要となっている.しかし,ネットワークを流れるパケットは目には見えないものである.ゆえに, 教科書のみでの学習では,パケットの流れを感じ取ることができずTCP/IPの知識が乏しい初学者が複雑なTCP/IPのプロトコルの仕組みを理解することは容易なことではない.本研究では,TCPのコネクション管理の仕組みを研究対象とし,アニメーションを用いてTCPのコネクション管理の仕組みを容易にする教材を作成した.また,本学部の2年生を対象とした評価実験を実施し,本提案教材の学習効果の評価を行った. |
N-002 |
オブジェクト指向プログラミング教育における講義環境の改善
○土肥 紳一・今野 紀子(東京電機大学)
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N-002オブジェクト指向プログラミング教育における講義環境の改善
○土肥 紳一・今野 紀子(東京電機大学)
システムデザイン工学部デザイン工学科のコンピュータプログラミングⅡの授業では,Processing言語を使ったオブジェクト指向の入門を学習する.この授業は,2018年から開始し,SIEMを使って受講者のモチベーションを継続的にモニタリングを行い,その向上を目指す教育を実践している.2020年にはCOVID-19の感染拡大が発生し,遠隔講義を強いられた.このような経験を通じて,対面講義が再開されるようになり,ニューノーマルな時代における講義環境が模索されている.筆者らは,対面講義をライブで実施し,なおかつ,オンライン講義を取り入れた方法で授業を行うと共に,講義の録画も公開している.このような授業スタイルが,受講者のモチベーションにどのような影響があったのかを述べる. |
N-003 |
プログラミング言語習得のための第二言語習得法の適用について
○梅澤 克之(湘南工科大学)・中澤 真(会津大学短期大学部)・中野 美知子・平澤 茂一(早稲田大学)
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N-003プログラミング言語習得のための第二言語習得法の適用について
○梅澤 克之(湘南工科大学)・中澤 真(会津大学短期大学部)・中野 美知子・平澤 茂一(早稲田大学)
プログラミング学習の戦略に関する研究は多くなされているが,我々は,プログラミング言語と英語をそれぞれ母国語以外の言語である「第二言語」という共通項で捉え,いずれの言語の学習においても多くの研究がなされている第二言語習得(SLA)のアプローチが適用できるのではないかと考えた.本研究では,従来研究で定義されたプログラミング言語学習のレベル分類法を使って,著者が担当した科目を分類する.この分類により,著者の担当科目はSLA-aBLeプロジェクトで定義されたすべての理解度(最小限の理解〜高度流暢まで)を網羅することを示す. |
N-004 |
micro:bit PC - 10キープログラミングによる無線通信の学習教材 -
○木室 義彦・瀧内 大史・家永 貴史(福岡工業大学)
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N-004micro:bit PC - 10キープログラミングによる無線通信の学習教材 -
○木室 義彦・瀧内 大史・家永 貴史(福岡工業大学)
我々は晴眼盲弱を区別しない初学者向けのmicro:bit教材:10キープログラミングロボットを開発してきた.このmicro:bitは,各種センサを搭載し,また,簡易な無線通信機能を有している.しかし,センシングと無線通信を同時に行うプログラムを作成することは,初学者には容易ではない.この問題に対し我々は,特別なプログラミングを行うことなく,10キーだけでセンシングや無線通信を行うプログラミング環境を設計した.この教材は,従来の教材が極力回避してきた無線通信の混信という失敗体験を積極的かつ楽しく経験し,混信を回避する方法を学習できるという特徴を有している. |
N-005 |
(講演取消) |
N-006 |
学習システムを用いたソースコーディングにおける「つまずき」原因推定の検討
◎橋本 浩規・納富 一宏(神奈川工科大学)
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N-006学習システムを用いたソースコーディングにおける「つまずき」原因推定の検討
◎橋本 浩規・納富 一宏(神奈川工科大学)
筆者らはCプログラミング学習者をエンジニアレベルへ引き上げることを目的に,プログラミング学習支援システムの研究を行っている.これまでに、フォームの仕組みを用いて学習者を補助する定型コーディングフォームの設計とシステムの各機能を検討した上で,プロトタイプ作成と中間評価などを行なってきた.プログラミング教育においては,与えられたヒントや解説が,学習者が本当に知りたい内容と一致しているとは限らない.そのため,各学習者の「つまずき」原因を推定した上で,それに基づいた内容を提供することが望ましい.そこで本稿では,コーディング時に収集できる情報をもとに、つまずき原因の推定について検討し,実験結果について報告する. |
学習成績データ分析 |
9月6日(水) 15:30-17:30 3r会場
座長 新村 正明(信州大学) |
N-007 |
質問の対応順序をTAに通知するMS Teams chat bot
◎鏡山 虹介・樋口 三郎(龍谷大学)
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N-007質問の対応順序をTAに通知するMS Teams chat bot
◎鏡山 虹介・樋口 三郎(龍谷大学)
chat botはユーザのリクエストに対してそれに沿った回答を自動的にレスポンスしてくれるプログラムである.LINEや slackといったコミュニケーションツールを用いたchat botが教育機関内で用いられ,学習者が行う質問の補助として機能している. 本研究はMicrosoft TeamsのWebhookを用いたchat botの開発である.学習者が行う質問をこのchat botに行うことで,その通知がTAに届くシステムである.コミュニケーションツールTeamsは個人別chatも備えており,各受講者個人の質問対応も可能である.また,Webhookを用いることで授業内での導入がしやすい. |
N-008 |
(講演取消) |
N-009 |
成績予測環境の構築と予測に有益な特徴量の検証
◎駒谷 優斗・望月 久稔(大阪教育大学)
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N-009成績予測環境の構築と予測に有益な特徴量の検証
◎駒谷 優斗・望月 久稔(大阪教育大学)
教育データを用いて学習分析を行うラーニングアナリティクスが盛んである.その中に成績予測があり,受講生の成績を予測できれば,教員が成績不良の学生を早期発見し指導することなどが可能となる.また,近年では機械学習を用いた予測が盛んである.そこで,本研究では機械学習による成績予測環境を構築する.Googleフォームで実施した小テストのログデータから特徴量を抽出し,Random Forestを用いて成績を予測する.予測環境をPyscriptなどを用いて構築する.予測精度向上のために平均点に点数の上がり幅を加算した特徴量を定義し,従来の平均点や学習時間などの特徴量を用いる場合と比較し評価する. |
N-010 |
入学前教育の学修記録の解析に基づく大学入学後のGPA予測
◎荒澤 孔明・松川 瞬・杉尾 信行・真田 博文(北海道科学大学)
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N-010入学前教育の学修記録の解析に基づく大学入学後のGPA予測
◎荒澤 孔明・松川 瞬・杉尾 信行・真田 博文(北海道科学大学)
大学が提供する高校生に対しての入学前教育は、生徒の大学で学ぶ事への期待感や意欲を高めるだけでなく、自身に足りない能力を自覚し、入学直後から学業に尽力するモチベーションを形成させるための重要な取り組みである。教員側にとっても、そこでの生徒らの学習態度を評価する事で、その学年の学力の把握や、ケアが必要な生徒の早期発見・支援に繋げる事ができるというメリットがある。そこで本発表では、北海道科学大学で入学前の高校生を対象に実施しているオンラインドリルの学修記録から、入学後の成績を予測する手法についての諸検討を行う。 |
N-011 |
累積自己情報量に基づくGPAの補正
◎吉永 悠人・山岸 祐己・谷川 邦・足立 智子(静岡理工科大学)
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N-011累積自己情報量に基づくGPAの補正
◎吉永 悠人・山岸 祐己・谷川 邦・足立 智子(静岡理工科大学)
GPAは基本的に段階評価から算出されるが,その評価プロセスは教員の主観的なものであることが多く,評価の分布も様々である.さらに,不可となった成績も計算に含まれるようなGPAは,余剰単位の履修が不利益に繋がる可能性が高く,学生の多様な分野への興味関心を抑制している恐れがある.よって,段階評価を客観的評価に変換し,余剰単位の履修が不利に働くことがないような新たな評価指標の提案は重要であると言える.提案評価手法は,各講義の成績を累積自己情報量に変換することによって,どのような評価分布であっても共通の情報量の形で扱えることを特徴とし,基本的に余剰単位は有利に働くように設計されている. |
人文科学と社会 |
9月7日(木) 9:30-12:00 4r会場
座長 後藤 真(国立歴史民俗博物館) |
N-012 |
西田と田辺における哲学の数学的な演繹
○和田 平司・林 郁枝・小幡 瞳・村上 美佐子・仲島 千江・惣門 美奈子・西宇 洋起・仲江 考司・下坂 薫・松岡 保江(情報処理学会)
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N-012西田と田辺における哲学の数学的な演繹
○和田 平司・林 郁枝・小幡 瞳・村上 美佐子・仲島 千江・惣門 美奈子・西宇 洋起・仲江 考司・下坂 薫・松岡 保江(情報処理学会)
西田は禅の体験の「純粋経験」から「個」の「絶対無」と「その自覚」を、田辺は「種の論理」の思想の「個」「種」の哲学を数学的に演繹したものである。 |
N-013 |
近代公文書データセットと日本古典籍くずし字データセットを用いた手書き文字認識に関する比較
◎宮川 裕貴・山田 雅之・中 貴俊・兼松 篤子・宮崎 慎也・長谷川 純一(中京大学)
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N-013近代公文書データセットと日本古典籍くずし字データセットを用いた手書き文字認識に関する比較
◎宮川 裕貴・山田 雅之・中 貴俊・兼松 篤子・宮崎 慎也・長谷川 純一(中京大学)
我々の研究グループは近代公文書自動解読システムの開発を目指し,台湾総督府文書を題材に,約114万手書き文字のデータセットを作成した. 本研究では,近代公文書データセットの統計的分析を行うと共に,このデータセットと,一般に公開されている日本古典籍くずし字データセットを併用し,認識実験を行った. 統計的分析の結果,くずし字データセットと同様に字種毎のサンプル数に大きな偏りがあることが分かった.また,データセットの相互認識実験では,相手方のデータセットに対する認識率は高くないという結果が得られた. 本稿は統計的分析および,認識実験の詳細とその結果の考察について報告する. |
N-014 |
近代公文書OCRに向けた近代言語モデルの構築
◎亀山 京右・山田 雅之・中 貴俊・兼松 篤子・宮崎 慎也(中京大学)・長谷川 純一(中京大学人工知能高等研究所)
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N-014近代公文書OCRに向けた近代言語モデルの構築
◎亀山 京右・山田 雅之・中 貴俊・兼松 篤子・宮崎 慎也(中京大学)・長谷川 純一(中京大学人工知能高等研究所)
現在,我々の研究グループは近代公文書を対象とするOCRを構築している.これまでの行画像認識実験では,約93%の精度が得られている.しかしながら,画像情報だけに頼る認識には限界があり,さらなる精度向上を目指すためには,予測時に近代文書の特徴を考慮する必要があると考えている.そこで,本研究では,青空文庫で公開されている明治から昭和初期にかけての文書データを使用し,近代言語モデルを構築した.このモデルを基に,近代公文書のデータセットによるファインチューニングを行い,文字予測実験を行った.また,事前学習の有無によるモデルの精度の違いなどについても比較を行った.本稿では,これらの詳細について報告する. |
N-015 |
能楽の謡(うたい)の音響解析によるヨワ吟音階の流儀共通部分の特定
○田中 敏文(金剛流能楽師)・伊藤 克亘(法政大学)
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N-015能楽の謡(うたい)の音響解析によるヨワ吟音階の流儀共通部分の特定
○田中 敏文(金剛流能楽師)・伊藤 克亘(法政大学)
日本固有の伝統芸能で歌舞劇である能楽とその歌唱である謡は数百年前に成立し、複数の役と流儀に分かれて口頭を中心に伝承されてきた。謡は相対音高かつ音高幅の大きなビブラートで歌唱され、和音はない。謡の音階はヨワ吟とツヨ吟に大別され、特にヨワ吟は西洋の音階で近似された例もあり、完全4度の枠組みから成るテトラコルド音階であると指摘されてきた。また各流儀では謡の独自性を追求し、流儀間の交流は少なかったと考えられる。今回はヨワ吟を対象にシテ方五流の能楽師2名ずつにインタビューし、収録した謡のf0軌跡からビブラートを排除して音高を確認し、音階の共通部分を特定した。またその過程で健在化した流儀差について考察した。 |
N-016 |
深層学習モデルによる古琴譜の識別の試み
○呉本 尭・藤野 航馬・髙橋 洸雄(日本工業大学)・呉本 舜(山口大学/未来工学研究所)・小柴 満美子(山口大学)・稗田 浩雄(未来工学研究所)・間普 真吾(山口大学)
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N-016深層学習モデルによる古琴譜の識別の試み
○呉本 尭・藤野 航馬・髙橋 洸雄(日本工業大学)・呉本 舜(山口大学/未来工学研究所)・小柴 満美子(山口大学)・稗田 浩雄(未来工学研究所)・間普 真吾(山口大学)
3000年の歴史を持つ古琴(七絃琴)の楽譜は後唐(奈良)時代に文字譜から「減字譜」へ変貌し、弾く弦の番号と指の動き方を記録するものである。「減字譜」を解読し、琴曲の演奏の仕方を定めることは「打譜」と称され、現代において、打譜に詳しい専門家は数少ない。本研究では、VGG16, VGG16+SVM, YOLOv5などの深層学習モデルを用いて、減字譜の識別を行い、AIによる自動打譜システムの構築を試みる。簡易な琴曲である「仙翁操」の減字譜を用いたデータセット作成、深層学習モデルの識別性能比較、音声出力などの実験結果より、AI打譜の可能性及び問題点を明らかにした。 |
N-017 |
静岡方言「いいにする」の使用・理解:カテゴリカルデータ分析手法を用いて
◎峯尾 海成・門戸 巧・山岸 祐己・谷口 ジョイ(静岡理工科大学)
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N-017静岡方言「いいにする」の使用・理解:カテゴリカルデータ分析手法を用いて
◎峯尾 海成・門戸 巧・山岸 祐己・谷口 ジョイ(静岡理工科大学)
本研究は、静岡県全域で用いられる方言「いいにする」を対象とした大規模調査を行い、その使用・理解について明らかにすることを目的としている。また、得られた回答を多項分布として仮定し,カテゴリカルデータ分析手法を適応することで、方言使用にかかる要因を特定した上で、今後の変化傾向の予測を試みた。年代別に結果を可視化したところ、若年層においても使用・理解の割合が高かったことから、「いいにする」は今後も継続して使用されることが予測される。これは、多くの母方言話者が当該表現を方言だと認識せずに使用していること、また、共通語による置き換えが難しいことが要因だと考えられる。 |
N-018 |
ユーザー主権型放送サービスに向けてのシステム設計開発における支援方策の検討
○村崎 康博・山村 千草・松村 欣司(日本放送協会放送技術研究所)
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N-018ユーザー主権型放送サービスに向けてのシステム設計開発における支援方策の検討
○村崎 康博・山村 千草・松村 欣司(日本放送協会放送技術研究所)
ユーザーが見たい番組や動画をいつでもどこでも視聴できるサービスが一般に普及し、放送においてもこのようなサービスをユーザーに提供していくことが望ましいと考える。ユーザー個人に適応する番組コンテンツの制作と配信のためには、視聴データ収集が必要不可欠である一方、視聴データの管理や利用においてはユーザーからの明確な同意と利用目的への説明責任、およびデータ流通の透明性の確保が求められる。 この課題解決に我々はユーザー自ら視聴データを収集し利活用するユーザー主権型放送サービスを提案している。本稿では当該サービスを具現化するシステム設計・開発を、ユーザーをはじめ視聴データに関わる利害関係者の観点からの支援方策として提案する。 |
情報教育 |
9月7日(木) 15:30-17:30 5r会場
座長 辰己 丈夫(放送大学) |
N-019 |
画像認識技術を用いた学習時におけるタスクの遷移からの従事度の推定
○吉田 慎二朗・島川 博光(立命館大学)
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N-019画像認識技術を用いた学習時におけるタスクの遷移からの従事度の推定
○吉田 慎二朗・島川 博光(立命館大学)
近年、学習法として急速に拡大しているe-learningでは対面で学習するよりも講師とのコミュニケーションが取れないため、集中力の維持が難しいとされている。 本研究では、構成要素を論理的に組み立てる計算論的思考に着目する。知識を吸収している状態では画面を長く眺めているが、論理的に既得の知識を組み立て考えている状態では画面を見ていないと考えられる。 それらの状態間の遷移の時間間隔が短いと集中力が散漫であり計算論的思考に従事できていない状態だと考えられる。 本論文では、画像認識技術を用いて学習時における状態遷移から計算論的思考への従事度を評価する手法を提案する。 |
N-020 |
小学校でのNIE支援に向けた児童が意見を出しやすい新聞記事の特徴調査
◎小原 大和・安藤 一秋(香川大学)
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N-020小学校でのNIE支援に向けた児童が意見を出しやすい新聞記事の特徴調査
◎小原 大和・安藤 一秋(香川大学)
近年,小学校や中学校などの義務教育機関では,新聞を教材として活用する取り組み,NIE(News In Education)が実施されている.しかし,小学校でのNIEにおいては,既存の授業との時間調整や教材として利用する記事の選択,補足資料の準備などが必要となり,教師の負担が増加している.そこで本研究では,NIEを実践する教師を支援するため,児童が意見を出しやすい記事を推薦するシステムの構築を目的とする.本稿では,事前検討として,新聞社が提供するNIEワークシートの問題のうち,意見を問う問題に注目し,意見の出しやすさについて分析する.そして,分析結果をもとにデータセットを構築し,意見の出しやすい記事を判定する手法を検討する. |
N-021 |
高等学校の探究学習における推測統計に関する一考察
◎山口 恭正(仙台大学)
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N-021高等学校の探究学習における推測統計に関する一考察
◎山口 恭正(仙台大学)
高等学校における探究学習は科学技術教育の中でもとりわけ、大学での研究活動と結びつきが強い学習と言える。大学生の中には、高等学校での探究学習を一つの志望動機として進学するものも見受けられる。近年の科学技術と情報科学の発展に伴い、科学的妥当性と実証性が探究学習にも求められつつある。この二つの概念を支えている学問の一つに統計学が挙げられ、高等学校の探究学習でも近年、統計的検定を求められるケースが散見される。本研究では、有意検定をはじめとした複雑な統計的概念を高校生に教授することの難しさと、探求学習における統計学の活用について考察する。 |
N-022 |
医療事務職の情報セキュリティ教育に関する研究
◎廣田 凪(情報セキュリティ大学院大学)・小野山 隼人(横浜医療情報専門学校)・藤本 正代(情報セキュリティ大学院大学)
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N-022医療事務職の情報セキュリティ教育に関する研究
◎廣田 凪(情報セキュリティ大学院大学)・小野山 隼人(横浜医療情報専門学校)・藤本 正代(情報セキュリティ大学院大学)
サイバー攻撃や人の不注意等により医療機関における情報セキュリティ事故が継続的に発生している。 本研究では、カルテやレセプトを取り扱う医療事務職にフォーカスし、まず全国の医療事務科のカリキュラムを調査した。その結果、医学科や看護学科に比べて医療事務科では情報セキュリティ教育を行っている割合が低い現状が判明した。そこで実際に医療事務科の学生58名を対象に、動画、小テスト、ディスカッションを用いた教育実験を行い、教育効果を検証した。 |
N-023 |
PBL型実習による地域課題解決の試み:防災用アプリ開発を通じて
○工藤 智子(山形県立産業技術短期大学校庄内校)
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N-023PBL型実習による地域課題解決の試み:防災用アプリ開発を通じて
○工藤 智子(山形県立産業技術短期大学校庄内校)
2011年の東日本大震災や近年の豪雨災害の増加から、津波や洪水のハザードマップや避難場所の見直しが進んでいる。本校が位置する山形県酒田市は日本海沿岸部に位置しており、その特有の問題として、断層の位置する場所が陸地から近く、地震発生から津波到来までの時間が非常に短時間となる可能性が高いことである。また、市街地が最上川の河口にあり、海抜の低い平野部に位置することから、洪水の危険性もある。 これら地域の諸課題をPBL(Project Based Learning)実習のテーマとして設定し、オープンデータを活用した防災アプリ開発に取り組んだ内容を報告する。 |
コンピュータと社会基盤 |
9月8日(金) 9:30-12:00 6r会場
座長 青木 秀一(NHK放送技術研究所) |
N-024 |
博物館における3D仮想試着システムの体験行動分析とインタフェース改良
◎中池 天音(龍谷大学)・小林 京平(所属なし)・曽我 麻佐子(龍谷大学)
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N-024博物館における3D仮想試着システムの体験行動分析とインタフェース改良
◎中池 天音(龍谷大学)・小林 京平(所属なし)・曽我 麻佐子(龍谷大学)
文化財の理解支援および博物館における体験型展示を目的とし,舎利容器に描かれた舞人の衣装を試着できる3D仮想試着システムを開発した.本システムは,Azure Kinectを用いてユーザの全身の動作をCGアバタに反映し,ジェスチャによって衣装パーツの着せ替えや楽器・道具の試着を行う.本システムを博物館において無人運用し,来館者の体験の様子を観察したところ,コンテンツが最後まで体験されない,想定とは異なるジェスチャが入力されるといった課題が明らかになった.本稿では,これらの課題を解決するために行った操作手順および画面に表示する解説の改良と,改良前後の評価結果について報告する. |
N-025 |
オンライン社会関係資本の結束型と橋渡し型のバランスに影響を与える要素に関する研究
○大橋 盛徳(NTT社会情報研究所)・前田 至剛(追手門学院大学)・岸上 順一(室蘭工業大学)
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N-025オンライン社会関係資本の結束型と橋渡し型のバランスに影響を与える要素に関する研究
○大橋 盛徳(NTT社会情報研究所)・前田 至剛(追手門学院大学)・岸上 順一(室蘭工業大学)
我々は,オンラインコミュニティが良好に成長し維持される仕組みを社会関係資本の概念から研究している. 社会関係資本には結束型と橋渡し型のタイプが存在する. 一般に橋渡し型の性質が社会にとって有益とする議論が多いが,択一的に選択できるものではなく,各個人それぞれが結束と橋渡しの両方の性質を持つ. 我々は,この結束型と橋渡し型のバランスに影響を与える要素がコミュニティを良好に保つキーになると考え,調査を行った. 調査の結果,オンラインの社会関係資本でありながら,SNSの種類や利用頻度は影響を与えていないことがわかった. 一方で,相互協調性自己観や直感性態度といった個人の持つ性質に影響を受けることが示唆された. |
N-026 |
受験向けSNSにおける男女別意識差分析
○丸山 亜希子・寺口 敏生・上田 真由美(流通科学大学)
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N-026受験向けSNSにおける男女別意識差分析
○丸山 亜希子・寺口 敏生・上田 真由美(流通科学大学)
2022年に発表された世界フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数によると,主要先進7か国で日本の指数は最下位であり,日本の男女格差は大きいと指摘されている.この原因の1つに,女性は結婚や出産で仕事をやめやすいと企業が予想し,男性社員よりも女性社員への企業内訓練を控える「統計的差別」が存在するといわれている.本稿では,同様の統計的差別が保護者による子育ての段階でも生じているのを調査するため,受験向けSNS に投稿されたデータを用いて,子どもの性別による親の意識差を分析する。 |
N-027 |
自治体公式noteの運用状況に関する一考察
○上野 亮(実践女子大学)
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N-027自治体公式noteの運用状況に関する一考察
○上野 亮(実践女子大学)
近年、地方自治体がnoteを利用する事例が見られる。本研究ではそうした事例に着目し、noteサイト上にて、地方自治体公式アカウントとされている89アカウントを対象にフォロワー数等について、2022年11月と2023年4月に行った調査の結果を分析した。その結果、8割近くのアカウントは約半年のフォロワー増加数が150未満に留まっていること等が分かった。また、関東エリアのアカウントを対象に投稿内容も分析した。その結果、多くのアカウントは利用開始時にはスキ(評価)を集めるものの、その後、瞬間的にスキを集める投稿はあっても、利用開始時並みのスキの数を維持できていないこと等が分かった。 |
N-028 |
2011年原発事故による健康情報の信憑性について - ツイート数による検証
○大月 英明(南山大学)
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N-0282011年原発事故による健康情報の信憑性について - ツイート数による検証
○大月 英明(南山大学)
SNSに流れる情報は必ずしも事実であるとは限らず、一般に玉石混合である。近年、特定の世論操作や誘導を目的としたフェイクニュースや陰謀論が問題になることが多い。そのため、SNSにおけるフェイクニュースや陰謀論に関する研究が盛んに行われている。フェイクニュースや陰謀論と分類される情報の中には、明らかに荒唐無稽なものも多い。しかしフェイクニュースや誤った情報とされる事柄の中には、単に根拠が不十分なだけで、誤りであると即断できない事柄も存在する。ここでは「2011年3月に起きた原発事故による放射能漏れによる放射線被曝によって鼻血が出た」という情報について、Twitterユーザの2011年から2022年までのツイート数を元に検証する。 |
N-029 |
データ分析手法の原理の理解に対する自信の分析
◎安田 健人・島川 博光(立命館大学)
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N-029データ分析手法の原理の理解に対する自信の分析
◎安田 健人・島川 博光(立命館大学)
本研究は、データ分析手法の理解度を推定する。データサイエンスの技術取得には、確率統計、最適化、プログラミングなど多様な知識、スキルが求められ、くじける者が多い。その要因として、理解に自信がないことが考えられる。本研究では、くじける人の多くが、知識の整理、順序立てた説明ができないことに着目する。データを分析する課題において、学習者に、なぜその分析手法が、眼前の結果を示すのかを記述してもらう。この記述を、皮膚電位活動センサなどから取得した学習者の自信を示す生理反応と合わせて分析し、学習者が分析手法の原理を教えられるほどに理解しているかを調べる。本研究は、データサイエンス教育のくじけを防止する。 |
N-030 |
ベイズ推定を利用した対応分析による提案型オンラインデーティングサービスの分析
○北原 洋一(リブセンス)
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N-030ベイズ推定を利用した対応分析による提案型オンラインデーティングサービスの分析
○北原 洋一(リブセンス)
ベイズ推定を利用した対応分析を使った、提案型オンラインデーティングサービス「knew」の分析結果について報告する。「knew」は、ユーザーの登録情報や過去の評価に基づいて、サービス提供者が交際候補を選定・提案するサービスである。サービスの改善にはデータ分析が活用されており、カテゴリカルデータが多いことから対応分析も利用されている。しかし、従来の対応分析では、データ量に応じた信頼性を定量化しにくいことから解釈がしにくいことがあった。本研究では、ベイズ推定を利用して信頼性を定量化することで対応分析の解釈しやすくした結果を示す。 |
プログラミング教育 |
9月8日(金) 13:10-15:40 7q会場
座長 本多 佑希(四天王寺大学) |
N-031 |
誤りから学ぶプログラミング学習コンテンツの試作
◎石川 悠真・土肥 紳一(東京電機大学)
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N-031誤りから学ぶプログラミング学習コンテンツの試作
◎石川 悠真・土肥 紳一(東京電機大学)
東京電機大学システムデザイン工学部デザイン工学科では1年次後期に初めてプログラミング講義として「コンピュータプログラミングI」を受講する.この科目は必修科目となっている.毎年受講生の6割以上が初回授業アンケートにてプログラミングが初めてと回答している.そして,最終回授業アンケートでは受講生の半数以上がプログラミング学習の努力をしたいと思うと回答している.本研究では,初学者が陥る誤りを調査,分類し,そのサンプルコードと改良後のサンプルコードをコンテンツとして提供する.ユーザがその誤りを知ることで,プログラミング学習に対するモチベーションへどう影響するかを調査する. |
N-032 |
情報処理能力分野のクラスタリングによるプログラミング学習計画支援システムの提案
◎北村 利夫・土肥 紳一(東京電機大学)
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N-032情報処理能力分野のクラスタリングによるプログラミング学習計画支援システムの提案
◎北村 利夫・土肥 紳一(東京電機大学)
学習プロセスを重視した学習計画は知識分野の同定や目標の明示,将来の学習設計への転用といった効果があり,プログラミング教育に採用することで学習者の学習効率や意欲の向上が期待できる.本研究ではプログラミング学習者の学習計画支援を目的に,プログラミング学習において取り扱われる情報処理能力分野を同定し,取り扱われる知識分野を自然言語でクラスタリングする.クラスタリングされた内容を活用することで,学習者は自身の学習進捗状況や学びたい内容に応じた情報処理分野からその分野に属する授業を知ることができる.本発表では提案したシステムの情報処理分野の同定とクラスタリングの結果について述べる. |
N-033 |
プログラミング演習における模範解答プログラムを用いた演習問題の自動生成
◎戸谷 剛士(南山大学)・小川 愛弥(ビーネックスソリューションズ)・蜂巣 吉成・吉田 敦・桑原 寛明(南山大学)
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N-033プログラミング演習における模範解答プログラムを用いた演習問題の自動生成
◎戸谷 剛士(南山大学)・小川 愛弥(ビーネックスソリューションズ)・蜂巣 吉成・吉田 敦・桑原 寛明(南山大学)
プログラミング学習者は複数の演習問題を解きながら,様々なプログラムに触れてプログラミング言語の概念や文法,典型的な記述などを学んでいく.一般にプログラミング演習問題は学習者に提示する問題文や制約,実行例と模範解答プログラムで構成されるが,教育者が問題を作成する際に,問題文や制約と模範解答プログラムの整合性を取ることが手間である.本研究では,コンパイル・実行できる模範解答プログラムから,問題文に必要となる入出力や計算の内容,制約を抽出して問題文を自動生成する方法を提案する. |
N-034 |
プログラミング初心者向けのWeb学習支援システム
◎藤坂 直輝・星野 祐子・山田 光穗(東海大学)・石井 英里子(鹿児島県立短期大学)
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N-034プログラミング初心者向けのWeb学習支援システム
◎藤坂 直輝・星野 祐子・山田 光穗(東海大学)・石井 英里子(鹿児島県立短期大学)
初心者がプログラミング学習でつまずきやすいのが,コンパイルエラーによる記述誤りの特定である.複数のプログラミング言語の文法を混同する場合や.全角括弧や空白を使用する場合にはエラーメッセージから正確な問題を特定するのが難しい.プログラミング初心者が理解しにくいコンパイルエラーを特定して,記述誤りをわかりやすく表示し,正規の文法を提示することで学習効率が上がる可能性がある.本研究では,初心者が誤りの内容を理解でき、学習効率を上げるWebシステムの開発を目指し,プログラムを解析して,記述誤り及び正規の文法を提示する機能の構築を行った. |
N-035 |
実習の要件の差異の吸収に着目したプログラミングの実習システムの提案と試作
◎竹山 祐太郎・横井 翔太・杉田 基樹・早川 智一(明治大学)
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N-035実習の要件の差異の吸収に着目したプログラミングの実習システムの提案と試作
◎竹山 祐太郎・横井 翔太・杉田 基樹・早川 智一(明治大学)
プログラミングの実習(以下,実習)では,学生の学習効果の向上のため,プログラムの動作確認に加えて,静的解析や単体テストなどでの評価が求められることがある.しかし,実習ごとに必要な要件(評価の種類や数など)は異なるため,個別にシステムを用意する必要があり,工数が増大する.これらの要件の差異の吸収に着目した研究は我々の調査の限り存在しない.我々は,静的解析や単体テストなどの実習の要件に沿ったモジュール化を可能にするシステムを提案することで,要件の差異の吸収を図る.我々は提案システムを試作し,要件の異なる本学の実習に対して,提案システムが適用可能であることを確認した. |