【セッション概要】コールセンターや介護などのサービスに従事しているスタッフは、高い顧客満足を目指し、膨大な業務量をこなしてきました。その結果、顧客満足は向上し、業務の生産性も高まってきています。しかし、サービススタッフの待遇の改善は遅々として進んでいません。これからは「サービスの価値を高める」ことにもっと注力し、社会にとってかけがえのないサービスに従事している人たちに、豊かになってもらわなければなりません。
本フォーラムでは、「サービスの価値を高める」ことの本質を議論したいと思います。
①サービスの価値を高める6つの要素を具体化する
②提供者と顧客が互いの文脈(コンテキスト)を共有し、価値を高める
③カスタマロイヤルティを向上させるカスタマージャーニーを紹介する
この3つの講演をベースにして、例年のように会場と一体になったパネルディスカッションを展開したいと思います。

[09:30-09:35]オープニング

柴崎 辰彦様司会:柴崎 辰彦(富士通株式会社グローバルサービスインテグレーション部門 戦略企画統括部 統括部長)
【略歴】富士通株式会社に入社後、国際ネットワーク、テレカンファレンス、CRMなど数々の新規ビジネスの立上げに従事。CRMビジネスでの経験を踏まえ、サービスサイエンスの研究と検証を実践中。コミュニケーション創発サイト「あしたのコミュニティーラボ」「Digital Innovation Lab」を立ち上げ、オープン・サービス・イノベーションを実 践中。サービス学会発起人。日本ナレッジマネジメント学会、大学等での講演多数。著書『勝負は、お客様が買う前に決める!』(ダイヤモンド社)。


[09:35-10:00]講演(1):サービスの価値を高めて豊かになる

【講演概要】2016年のサービスサイエンスフォーラムでは、「サービスの価値」を決めている4つの要素を議論しました。その後の研究により、⑤⑥の要素が加わり、6つの要素になりました。
①サービスの成果による価値
②サービスプロセスを磨くことによる価値
③共通的な事前期待に応えることによる価値
④個別的な事前期待に応えることによる価値
⑤お客様のリテラシーを高めることによる価値
⑥サービス提供者がリテラシーを高めることによる価値
すべてのサービスが上記のすべての要素を満たすべきではなく、当該サービスによって追求すべき要素が異なることも分かってきました。本講演では、サービスの実務についておられる方々に納得していただける解説をいたします。

諏訪 良武様諏訪 良武(ワクコンサルティング株式会社 エグゼクティブコンサルタント 常務執行役員)
【略歴】1971年オムロン入社。1985年通産省のΣプロジェクトに参加。1995年情報化推進センター長。97年オムロンフィールドエンジニアリングの常務取締役として保守サービス会社の変革を指揮。2006年ワクコンサルティング常務執行役員、国際大学グローバルコミュニケーションセンターの上席客員研究員、2010年多摩大学大学院客員教授。サービスや顧客満足を科学的に分析し、サービス企業の変革を支援するサービスサイエンスを提唱している。著書『顧客はサービスを買っている』(ダイヤモンド社)、『いちばんシンプルな問題解決の方法』(ダイヤモンド社)。


[10:00-10:25]講演(2):提供者と顧客が互いの文脈(コンテキスト)を共有することでサービスの価値を高める

【講演概要】多くのビジネスでは、提供者が顧客の要求に応える適切なサービスを提供することで価値を高めることが志向されてきた。しかし、このような提供者の個別的な努力だけでは限界がある。サービスの価値を高め、提供者と顧客が共に豊かになるためには、顧客もまた提供者の意図を理解し主体的に行動することが求められる。これまでの研究から、提供者と顧客が互いの文脈(コンテキスト)を共有することで、当該サービスにおける価値が合意され、結果として価値を高める適切なサービス提供と主体的な顧客行動が促されることが明らかになりつつある。本講演では、高等教育を題材として、価値を高めるコンテキストの共有方法とその実践例を紹介する。

木見田 康治様木見田 康治(首都大学東京大学院システムデザイン研究科システムデザイン学域 助教)
【略歴】首都大学東京大学院システムデザイン研究科システムデザイン学域助教。博士(工学)。2011年首都大学東京大学院システムデザイン研究科博士課程修了。東京理科大学工学部第二部経営工学科・助教を経て、2013年より現職。主としてサービス工学、Product-Service Systems、設計工学の研究に従事。日本機械学会、精密工学会、サービス学会各会員。2011年日本機械学会設計工学・システム部門奨励業績表彰、ICServ 2015 Best Practitioner Award受賞。


[10:25-10:50]講演(3):カスタマージャーニーの設計でサービスの価値を高め「明日の売上」を創る

【講演概要】企業はコア商品の機能や性能、価格といった基本価値を高めるだけでは「今日の売上」につながる不確定な顧客は獲得できるが、必ずしも永続的な収益向上、すなわち「明日の売上」にもつながるロイヤルティの高い顧客を獲得、維持するための十分条件にはならない。そのためには、顧客体験価値を高めること、すなわち顧客との接点上でのサービス品質の向上が欠かせない。本講演では、顧客接点、体験、感情、行動を見える化して、ロイヤルティ向上につなげる顧客体験施策立案手法として最近注目されている、カスタマージャーニーの解釈、描き方、有効な活用法に関して紹介する。

渡部 弘毅様渡部 弘毅(ISラボ代表)
【略歴】1985年日本ユニシス入社以降、2000年日本IBM、2005年日本テレネット入社を経て、2012年にISラボ設立。一貫してCRM分野に関わり、法人営業担当、ITの商品企画、戦略および業務改革コンサルタント、アウトソース事業での経営企画、事業企画を経験。現在は顧客経験価値の向上を切り口に、経営戦略立案、業務改革支援コンサルティング活動中。著書『営業変革しくみを変えるとこんなに売れる』(メディアセレクト)


[10:55-12:00]パネル討論:サービスの価値を高めて豊かになる

【講演概要】これまで、多くの日本のサービスは「顧客満足の向上」と「コストダウンによる生産性向上」に力を注ぎ成果も出ているのに、サービススタッフの待遇の改善は進んでいません。これからは「サービスの価値を高める」ことにもっと注力し、社会にとってかけがえのないサービスに従事している人たちに、豊かになってもらわなければなりません。本パネルディスカッションでは、3人の講演者にプロフェショナルサービスをマネジメントされている柴崎さんと学習塾のサービス改革を実践しておられる井上さんに参加していただき、会場の皆さんと一緒に「サービスの価値を高める」について議論を進めます。

柴崎 辰彦様司会:柴崎 辰彦(富士通株式会社グローバルサービスインテグレーション部門 戦略企画統括部 統括部長)
【略歴】富士通株式会社に入社後、国際ネットワーク、テレカンファレンス、CRMなど数々の新規ビジネスの立上げに従事。CRMビジネスでの経験を踏まえ、サービスサイエンスの研究と検証を実践中。コミュニケーション創発サイト「あしたのコミュニティーラボ」「Digital Innovation Lab」を立ち上げ、オープン・サービス・イノベーションを実 践中。サービス学会発起人。日本ナレッジマネジメント学会、大学等での講演多数。著書『勝負は、お客様が買う前に決める!』(ダイヤモンド社)。

渡部 弘毅様パネリスト:渡部 弘毅(ISラボ代表)
【略歴】1985年日本ユニシス入社以降、2000年日本IBM、2005年日本テレネット入社を経て、2012年にISラボ設立。一貫してCRM分野に関わり、法人営業担当、ITの商品企画、戦略および業務改革コンサルタント、アウトソース事業での経営企画、事業企画を経験。現在は顧客経験価値の向上を切り口に、経営戦略立案、業務改革支援コンサルティング活動中。著書「営業変革しくみを変えるとこんなに売れる」(メディアセレクト)

木見田 康治様パネリスト:木見田 康治(首都大学東京大学院システムデザイン研究科システムデザイン学域 助教)
【略歴】首都大学東京大学院システムデザイン研究科システムデザイン学域助教。博士(工学)。2011年首都大学東京大学院システムデザイン研究科博士課程修了。東京理科大学工学部第二部経営工学科・助教を経て、2013年より現職。主としてサービス工学、Product-Service Systems、設計工学の研究に従事。日本機械学会、精密工学会、サービス学会各会員。2011年日本機械学会設計工学・システム部門奨励業績表彰、ICServ 2015 Best Practitioner Award受賞。

諏訪 良武様パネリスト:諏訪 良武(ワクコンサルティング株式会社 エグゼクティブコンサルタント 常務執行役員)
【略歴】1971年オムロン入社。1985年通産省のΣプロジェクトに参加。1995年情報化推進センター長。97年オムロンフィールドエンジニアリングの常務取締役として保守サービス会社の変革を指揮。2006年ワクコンサルティング常務執行役員、国際大学グローバルコミュニケーションセンターの上席客員研究員、2010年多摩大学大学院客員教授。サービスや顧客満足を科学的に分析し、サービス企業の変革を支援するサービスサイエンスを提唱している。著書『顧客はサービスを買っている』(ダイヤモンド社)、『いちばんシンプルな問題解決の方法』(ダイヤモンド社)。

井上 友紀様パネリスト:井上 友紀(株式会社城南進学研究社マーケティング本部カスタマーサポート室お客様センター マネジャー)
【略歴】1997年城南進学研究社に入社。「城南予備校」受付業務などを経て、新校舎立ち上げ、女性職員の働き方改善推進に従事。その後も新規事業における入学手続き業務を中心に、コンプライアンスに添った学費規程の策定・構築などを行う。2014年「お客様センター」を新設。現在は「城南コベッツ」「くぼたのうけん」等のコールセンターを運営しつつ社員研修や顧客満足度調査を実施し、サービスサイエンス導入を実践。社内表彰受賞多数。