CITP個人認定を継続 社外で自分の力を発揮できる場を得る

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CITP個人認定を継続 社外で自分の力を発揮できる場を得る

浜本拓

株式会社ラック(本社・東京都千代田区)経営管理部長の浜本拓氏は、2014年からCITP個人認定の資格を更新し続けている。積極的にCITPコミュニティ活動にも参加しており、2019年から2年間はCITPコミュニティの幹事代表、その後も幹事に名を連ねて、教育や講演などの対外的な活動も重ねている。

日本のIT業界を変えたいと意見を交換

ラックは主にセキュリティ関連サービスを行うIT企業である。浜本氏は経済産業省の高度情報処理技術者試験(プロジェクトマネージャ)に合格している。2014年のCITP制度創設を機にラック社内で人事部が受験を呼びかけた際、浜本氏を含めて8人が個人認定を取得した。それ以外にも浜本氏は、米国PMIが主宰するプロジェクトマネジメント試験であるPMP(Project Management Professional)を始め、いくつかの資格を持っていたが、IT技術者の資格制度に一石を投じるCITP制度の趣旨に賛同したという。「身元がしっかりしていて国際的にも通用する資格で、是非合格したいと思った」と振り返る。

浜本氏がCITPに合格すると、直後にコミュニティへの参加を促すメールが届いた。誘われるままに会合に参加すると、日本のIT業界を変えたいとの志を抱くメンバーが、建設的に意見を交換していた。参加者はいわゆる大企業に所属しているメンバーが中心であったため、コミュニティ活動の裾野を広げるためにも、自分が参加し続けることに意味があると感じた。会を重ねるごとにメンバーの所属先も広がり、多様性が生まれてきた。

浜本氏は、以前は残業で仕事量をこなすような「いわゆるブラックな働き方だった」と言う。IT業界と会社の成長と共に歩んできた経験から、これからは社会を支える高度な技術者の質を求めるべきとの思いは、人一倍強い。

コロナ禍がコミュニティの拡大を後押し

大学でのシンポジウム風景

CITPコミュニティ活動は、メンバーの交流と社会貢献が両輪である。当初、コミュニティのフォーラム活動は東京で開催することが多く、参加者は限られていたが、コロナ禍でオンラインでの開催が多くなると、参加者が一気に倍増した。現在は3カ月に1回、定期的な会合を持っている。オンラインでの会合には全国どこからでも参加できる利点があるが、会食しながら、各人が考え方や働き方をフランクに語る機会がなくなったことは、少し残念でもあった。コロナ禍が明けた後は、対面とオンライン、双方の良さを生かしたハイブリッドでの開催となっている。

CITPコミュニティでは、大学での情報倫理などの教育にも協力している。日常業務で積み上げた知識と経験の発露の場として、独自の教材を作って講義を行うことは、「会社の仕事では得られない貴重な経験だ」と語る。受講者の中からIT業界を目指したいという学生が現れれば、望むところだ。

浜本氏は、コミュニティ活動を、他者に価値を認められる場で、自己の「承認欲求」が満たされると感じている。同時に、企業が社会的責任(CSR)を発揮するように、個人が蓄えた能力を社会に還元する場でもあるという。「IT技術者の社会的価値を高めるためにも、CITP有資格者である我々がコミュニティを盛り上げたい」と決意を語る。そして、CITPの資格を検討している人、有資格者でコミュニティに参加していない人に、「会社の外で自分の力を発揮できる場を得て、可能性を広げて自信としてほしい」と呼びかける。

そんな浜本氏の悩みは、開発や社員教育の現場を離れて経営部門に回ったことで、CITPの資格を維持するためのハードルが上がった点だ。「高度IT技術者として現役であることを保証する資格である以上、それも仕方ないが、できる限り維持していきたい」と語る。

(2023年5月20日)

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