スペシャルでゼネラル T型人材であるCITPである自負

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スペシャルでゼネラル T型人材であるCITPである自負

赤根大吾

2023年現在は、娯楽系企業に勤務している赤根大吾氏が、ITスペシャリスト(セキュリティ)の分野でCITPを取得したのは、制度創設初年度の2014年のこと。それから2回の更新を経て、スペシャリストでありながらゼネラリストでもある資格のメリットを享受している。

情報初等教育を支援しアニュアルレポート作成

当時の赤根氏はソフトウェア会社に勤務しており、当初はプログラマーからスタートして仕事の幅を広げ、役員となって管理業務もこなすようになっていた。CITP取得を目指したきっかけは、取引先である大手企業から、調達要件としてエンジニアにITスキル標準(ITSS)レベル4の条件を課すことを検討中だと示唆されたことだ。赤根氏は情報処理学会の正会員であり、その直後に手にした学会誌に偶然、学会が認定資格となるCITPを新たに立ち上げ、応募を開始すると告知されていた。

当時の勤務先で、情報処理技術者試験の合格者に対して報奨金(一時金)を出すなど、社員の資格取得を奨励していた。先の調達要件をクリアするにはCITP取得が有用ではないかと、社内で何名かがチャレンジした。実際に合格したのは赤根氏だけで、「初年度のため手探りで、記述内容の多い申請書を書くのに苦戦したが、会社が後押ししてくれ勤務時間中に取り組めた」と振り返る。実は、この申請書を書き上げる作業も貴重な経験となった。「実績やスキルを、言わば“棚卸し”し、抽象的に言語化して説得力を高める訓練になった」と語る。

CITPを取得すると、コミュニティ活動への参加呼びかけがあった。会合には初回からほぼ欠かさずに参加しているが、それも得難い経験の場となっている。CITPコミュニティは、有資格者同士の親睦やスキルアップ、社会貢献などを目指した、自由参加の“クラブ活動”のような集まりだ。CITPの更新には、3年間に規定のプロフェッショナル活動実績を表すポイントを積み上げていかないとならないが、コミュニティにおける活動はポイントとして加算されることも誘い文句となっている。

コミュニティ懇親会

赤根氏はコミュニティの幹事となり、定期・非定期の会合の企画・運営に携わることになった。例えば、セキュリティを専門とする会社や大手通信会社のセキュリティセンターを見学する機会を設けた。また、会合は、東京だけでなく名古屋や関西でも開催しており、時には合宿して温泉宿などで様々な情報を共有し合うこともある。会合後の懇親会では、色々な会社の人たちと腹を割って意見の交換ができ、非常に有意義な場だという。

当初、CITPコミュニティには、3つの専門部会(SIG)があった。「シビックテック」「『知』の発信」「プログラミング教育支援」で、赤根氏は、後者の2つでサブリーダーを務めた。

まず、「プログラミング教育支援」の活動では、プログラミング教育が小学校で必修化されるのに際し、実際に小学校を訪ねた。どのように現場で取り組まれ、どのような課題があるのかを調査し、それに対して技術者集団として何が支援できるかを検討した。また、中学校で職業講話が行われていると知り、システムエンジニアやプログラマーがどのような仕事かを話す機会もあった。こうした学校との接点は、コミュニティでネットワークに長けた人が開拓していった。ヒト型ロボット「ペッパーくん」が導入されている学校現場の見学に行ったこともある。

また、「知の発信」では、コミュニティやSIGの活動や個人の考えをまとめた年次の「アニュアルレポート」を編集、発行した。制作過程では、様々な人に原稿を依頼して回収後、印刷に回すなど、メンバー同士が役割分担したことで、他の人の仕事の進め方を学ぶことができた。

多様な知識をバランス良く活用する

40代になって、赤根氏は娯楽系企業に転職した。「CITPが資格として直接アピールしたと言うわけではないが、精力的に活動していることで認知してもらいやすかったもしれない」。

CITPコミュニティ活動から日々の業務にフィードバックできることもある。自分が「T型人材」だと自認できるようになった。T型人材とは、「T」の字の縦棒を専門性、横の広がりを視野の広さに見立て、特定の分野を極めて専門的な知識や経験とスキルを蓄積した上に、それを軸として幅広い知見を有する人材である。スペシャリストでありながら、ゼネラリストであると言ってもよい。IT技術は専門性が高まり、分業化が進んでいる。ITシステムを有機的に稼働させるには、サーバーの管理、ネットワーキング、データベース構築、セキュリティ……など、多彩な知識がバランス良く要求される。赤根氏は全体に目配りし、それぞれの分野で意見を交わすことができる。

さらに、CITPの価値を高めたいと思っている。例えば、コロナ禍には、各分野のプロフェッショナルからなる専門家集団が、日本が取るべき対策を考えた。理想とするのは、それと同じように、「ITの専門家集団と言えば、CITP」と認識してもらえる存在になることだ。

CITPの大きな特徴の1つが、情報処理国際連合のIT人材資格制度の推進組織であるIP3(International Professional Practice Partnership)認定を受けた国際的な資格であることだ。「海外ではIP3の認定資格は昇級や転職に際しプラス要素になる。CITPもそうしたことが取得のモチベーションとなるようになればいい」と語る。

CITPから得ているのは、無形の財産だ。「CITPコミュニティを通じ、日常業務を離れた別の引き出しを持っていると、役に立つことがある。専門家が切磋琢磨し合えるまたとない場が持てる」と、CITP取得とその先のコミュニティ活動への参加を呼びかける。

(2023年5月10日)

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