第111回 人文科学とコンピュータ研究会発表会
主査: 松村敦
幹事: 亀田尭宙、鹿内菜穂、土山玄、山田太造
共催: 京都大学地域研究統合情報センター
会場情報
日時:2016年7月30日(土)31日(日)
会場:長崎県五島市福江文化会館
【参加費(聴講)】
研究会登録会員:無料
学会正会員:1500円
学会会員学生:500円
学会非会員学生:1000円
非会員:2500円
詳しい情報は下記URLをご覧ください.
【プログラム】
7月30日
10:30-10:35 オープニング
10:35-10:55 一般発表1
(01) 人文学研究情報の新たな発信
-総合情報発信センターの取り組みと展望
大内 英範(人間文化研究機構・本部)
人間文化研究機構に今年度設置された「総合情報発信センター」の担う機能や
取り組みについて。人文系研究に関する研究資源・研究者・研究成果をどのように
発信するか、現状の紹介と展望。
10:55-11:15 一般発表2
(02) 東アジアの古文書料紙の分析
〜簀の目と糸目模様の分析を中心として〜
坂本 昭二(龍谷大学) 小田 寛貴(名古屋大学宇宙地球環境研究所)
古文書の研究分野の一つにコディコロジーや写本学といった分野があるが、
これらは古文書の内容だけでなく古文書の形態や古文書が書かれている紙にまで
踏み込んだ研究が行われている。近年、古文書のデジタルアーカイブが盛んに行われ
ており研究が一段と進めやすくなってきているが、古文書料紙の詳細な情報まで扱った
アーカイブは少ない。そこで本研究では、東アジアの古文書の紙を対象として、紙が持つ
特徴の一つである簀の目や糸目模様のパターンの分析を中心として報告する。
11:15-11:35 一般発表3
(03) 国宝「一遍上人絵伝」に描かれる踊り念仏のCGによる復元
長澤 可也(湘南工科大学) 大島 康徳(湘南工科大学) 井上 道哉(湘南工科大学)
櫓の中で踊られている踊り念仏の場面に注目し、ほぼ全身が描かれている手前に描かれた
人物のポーズを3DCGに取り込みを行い、そのポーズをつなぎ合わせて踊り念仏の復元を
試みた。複数の踊り念仏の場面を分析した結果、手前に描かれている踊り手は、10〜12人
であり、これらのポーズを時計回りの順につなぐことで、自然な踊りのシーケンスが復元される
と考えられることが明らかになった。絵巻を描いた作者が、踊りのシーケンスを保存するために、
このような手法で絵を描可能性があることが明らかとなった。
11:35-12:00 一般発表4
(04) CHISE-wiki における HNG カード画像利用の試み
守岡 知彦(京都大学)
HNG の基になった「石塚漢字字体資料」のカード画像を CHISE-wiki 上で試験的に公開したので
その概要について報告する。また、京都大学人文科学研究所所蔵の開成石経の拓本画像と
「石塚漢字字体資料」のカード画像の統合についても検討したい。
12:00-13:45 昼休み
企画セッション「地域とその情報」
13:45-14:10 企画セッション講演1
(05) 史資料からの地理空間情報の収集と管理に関する考察
山田 太造(東京大学)
前近代における古文書・古記録や現代における対象地域の観察記録であるフィールドノートなどに
おいて,少なからず地理空間に関する情報が記載されている.本研究では,史資料に出現する
地理空間に関わる多様なデータを収集し,それらを蓄積するために構築している地理情報基盤
システムついて紹介する.また地理空間情報を用いた空間的特徴の検出手法および利活用のための
データベースシステムについて紹介する.
14:10-14:35 企画セッション講演2
(06) 地域における文化財情報データの活用の試み
—国立歴史民俗博物館の資料から—
後藤 真(国立歴史民俗博物館)
現在、国立歴史民俗博物館では「総合資料学の創成」というテーマにて基幹研究を行っている。
そのプロジェクトの中で、1970年代前半の日本全国の文化財情報を集積したカードがあり、そのカードの
デジタル化と活用を検討している。このカードは1970年代前半の(特に未指定の)文化財のスナップショットを
示すものであり、この情報そのものが重要な意味をもつ「資料」足りうる存在である。また、大災害時の文化財
のレスキューの間接的な情報源ともなりうるであろう。この資料を現在Linked Dataにて作成することを試みて
おり、メタデータと表示形式を検討している。本発表は、その作成状況についての中間報告とするものである。
14:35-15:00 企画セッション講演3
(07) 【招待講演】長崎県における地域デジタルアーカイブの可能性と課題
木村 直樹(長崎大学多文化社会学部)
現在、日本社会全体において、デジタルアーカイブの構築が進めれられている。デジタルアーカイブは、それを
通じて、研究基盤の共有化がなされ、また、遠隔地のアーカイブとの比較研究を可能にするなど、多くの成果を
上げてきたことは言を俟たない。しかし、一方で、デジタルアーカイブを推進する上で、地域社会にとって、
いくつかの問題点も顕在化してきている。特に、大量のアーカイブが生成されるようになる日本近世社会では、
その生成や伝来の在り方が、当時の社会の状況に規定されている。現在の長崎県下のように、複数のアーカイブ
作成機関が並立した状況が、近代になっても克服されずにいることは、今なお、大きな課題として残されている。
本報告では、現在の長崎県下のアーカイブの可能性について、報告をしたい。
15:00-15:10 休憩
15:10-15:35 企画セッション講演4
(08) Web上での時間情報システムHuTimeの利用
関野 樹(総合地球環境学研究所)
時間情報の可視化や解析を統合的に行うための時間情報システムHuTimeは、地域研究や歴史学などのさまざまな
研究分野で活用が進んでいる。現在、このHuTimeをWebブラウザ上で扱うための新たなバージョン(Web HuTime)の
開発が進行しており、Web上の多様な資源を時間情報に基づいて連携させる新たな役割が期待される。
本報告では、他の時間情報を扱うWebアプリケーションと比較しながら、Web HuTimeの特徴や利用事例
15:35-16:00 企画セッション講演5
(09) 【招待講演】フィラリア症をめぐる歴史疫学の世界
飯島 渉(青山学院大学)
長崎県におけるフィラリアの流行とその抑制をめぐる経緯を明らかにして、公衆衛生対策の過程で作成された研究
資料を、地域の歴史情報の視点から分析する。こうした方法を歴史疫学として確立し、歴史学と医学、公衆衛生の
共同作業の可能性を指摘したい。
16:00-16:25 企画セッション講演6
(10) 人文社会科学データベースの構築に関する考察
原 正一郎(京都大学地域研究統合情報センター)
人文社会科学研究史資料をデジタル化・公開・共有するための情報学的な支援機能について考察する。
16:25-16:40 休憩
16:40-17:50
(11) パネルディスカッション
司会:山田 太造(東京大学)
パネリスト:飯島 渉(青山学院大学),亀田 尭宙(京都大学地域研究統合情報センター),
木村 直樹(長崎大学多文化社会学部),後藤 真(国立歴史民俗博物館),
関野 樹(総合地球環境学研究所),原 正一郎(京都大学地域研究統合情報センター)
17:50-18:00 クロージング
7月31日 石田城跡等五島市遺跡,五島観光歴史資料館等巡検
*詳細は 7/30(土)のクロージングにてお知らせします。