2004年度(平成16年度)山下記念研究賞詳細

  山下記念研究賞は、これまでは研究賞として本学会の研究会および研究会主催シンポジウムにおける研究発表のうちから特に優秀な論文を選び、その発表者に贈られていたものですが、故山下英男先生のご遺族から学会にご寄贈いただいた資金を活用するため、平成6年度から研究賞を充実させ、山下記念研究賞としたものです。受賞者は該当論文の登壇発表者である本学会の会員で、年齢制限はありません。本賞の選考は、表彰規程、山下記念研究賞受賞候補者選定手続および山下記念研究賞推薦内規に基づき、各領域委員会が選定委員会となって行います。本年度は表彰対象の14研究会の主査から推薦された計19編の優れた論文に対し、慎重な審議を行い、決定されたうえで、第499回理事会(平成16年7月)および調査研究運営委員会に報告されたものです。本年度の受賞者は下記19君で、それぞれ研究発表会、またはシンポジウムにおいて表彰状、賞牌、賞金が授与されます。
 

コンピュータサイエンス領域

●SNPおよび臨床データベースを対象としたハプロタイプ解析による知識発見システムの実現方式
[2002-DBS-128(2002.7.19)](データベースシステム研究会)

吉田 尚史 君 (正会員)

1972年生。
1996年筑波大学第3学群情報学類卒業。
1998年筑波大学大学院修士課程理工学研究科修了。
2001年筑波大学大学院博士課程工学研究科修了。博士(工学)。
現在、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科専任講師。ACM,IEEE Computer Society、情報処理学会、および、日本データベース学会会員。
[推薦理由]
この論文は、個人差を規定する因子として着目されている遺伝子上の一塩基多型のデータベースと臨床データベースとの組み合わせを対象とし、ハプロタイプ解析を用いて、一塩基多型と臨床情報間の関連を効率的に抽出する方式について論じている。この研究は実用性が高く、提案方式の実現可能性および有効性を示す実験も行われている。また、緻密かつ系統立てた発表が行われた。よって受賞候補者として推薦する。
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●データストリーム処理のための効率良いXPath問合せ機構
[2003-DBS-131(2003.7.17)](データベースシステム研究会)
 

森川 裕章 君 (正会員)

2004年九州大学大学院システム情報科学府情報理学専攻修士課程修了。
同年富士通(株)入社。現在に至る。
現在、情報システムの構築に従事。
[推薦理由]
この論文はXMLストリーム処理において、イベント列の一方向逐次操作を用いたスタック有限状態機械を用いて効率良いXpathパターン照合を実現するアルゴリズムXmatchの提案およびそのアルゴリズムの性能評価を行っている。実験結果ではパフォーマンス改善の度合いが大きいことを示しており、非常に有用性の高い手法である。また、論文自体が論理的であり、信頼性も非常に高い。よって受賞候補者として推薦する。
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●静的解析に基づく侵入検知システムの最適化
[コンピュータシステムシンポジウム(2003.12.11)](システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会)

阿部 洋丈 君 (正会員)

1999年3月 筑波大学第三学群情報学類卒業。
2004年3月 筑波大学大学院博士課程工学研究科修了。
現在、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 CREST 研究員。
システムソフトウェア、特に分散システムとコンピュータセキュリティに興味を持つ。
博士(工学)。情報処理学会、日本ソフトウェア科学会、IEEE、ACM 各会員。
[推薦理由]
本発表は、バッファオーバフローなどの攻撃を高い精度で検知する侵入検知システムを提案している。提案システムはアプリケーションのバイナリコードから制御フロー情報を取り出し、スタックの動きが制御フローに従うことを検査しながらアプリケーションを実行する。制御フローに従わないスタックの動きが観測されたら侵入が発生したとみなす。本研究は、スタック情報を用いる点、バイナリコードから情報を取り出す点、過去の検査結果を再利用してオーバヘッドを削減する点などにおいて非常に興味深い内容を含んでいる。発想の新しさ、技術的貢献の大きさ、発表のわかりやすさにおいて高く評価される。山下記念研究賞を受賞するにふさわしい研究である。
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●UMLを用いたシステムレベル設計手法の提案
[DAシンポジウム2002(2002.7.22)](システムLSI設計技術研究会)
 

朱  強 君 (正会員)

1992年中国上海から来日、1998年大阪大学基礎工学部情報工学科卒業、2000年奈良先端科学大学院大学情報科学研究科情報システム専攻修士課程終了。同年、株式会社富士通研究所に入社、現在、同研究所のITメディア研究所CAD研究部に勤務。UMLを用いた大規模LSIの検証・設計手法の研究・開発に従事。
電子情報通信学会、情報処理学会各会員。
2000年第2回IPアワードIP賞受賞、2003年システムLSI設計技術研究会優秀論文賞受賞。
[推薦理由]
UML(Unified Modeling Language)を用いたシステムレベル開発プロセスを提案している。オブジェクト指向分析技術を用いた要求分析を行い,その結果に基づいて機能モデル,アーキテクチャモデルを構築する。さらに機能モデルからアーキテクチャモデルへのマッピングによって性能モデルを導き,SystemCで実行可能なモデルを構築して性能解析を行う。提案した開発プロセスによって,顧客の要求を正確に理解せずに設計する機能リスクと,詳細設計の結果が性能を満たさない性能リスクの早期解消を図ることが可能となった。本研究は極めて優秀であり、山下記念賞に推薦する。
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●CMOS論理ゲートにおけるセル内特性ばらつきを考慮した統計的遅延モデル化手法
[2002-SLDM-107(2002.11.28)](システムLSI設計技術研究会)

岡田 健一 君 (正会員)

平成10年3月 京都大学工学部電子工学科卒
平成12年3月 京都大学 大学院情報学研究科通信情報システム専攻修士課程了
平成15年3月 京都大学 大学院情報学研究科通信情報システム専攻博士課程了
平成12年4月 日本学術振興会 特別研究員DC1(平成15年3月31日まで)
平成15年4月 東京工業大学精密工学研究所助手
[推薦理由]
CMOSプロセスにおけるトランジスタ特性の変動要因となる製造ばらつきの見積もりに関して,論理ゲート内のトランジスタ間ばらつきを考慮したゲート遅延ばらつきモデルを提案している。提案モデルは,トランジスタ特性を共通成分と独立変動成分に分けて,それらの変動量から遅延時間を与える。ゲート内ばらつきを考慮することで,ベンチマーク回路に対する解析精度が31.8 % 改善されることを確認した。本研究は LSI の微細化に伴う重要な問題を扱っており、また良い成果を得ているので、評価できる。
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●地球シミュレータ上のハイブリッドプログラミングの性能評価
[2002-HPC-90(2002.5.27)](ハイパフォーマンスコンピューティング研究会)
 

板倉 憲一 君 (正会員)

平成11年同大学大学院工学研究科電子・情報工学専攻博士課程修了。
同年同大学計算物理学研究センターリサーチアソシエト。
平成13年、日本原子力研究所博士研究員。
平成14年、海洋科学技術センター(平成16年に独立行政法人海洋研究開発機構に改組)研究員、現在に至る。
[推薦理由]
本論文では、地球シミュレータ上においてさまざまな側面から性能評価を行うことで、プログラミング手法による性能相違を把握し、実アプリケーションプログラムに対する性能チューニングの指標を示している。その結果、地球シミュレータ上において、ハイブリッドプログラミングはフラットプログラミングとほぼ同程度の性能が出せることが明らかになった。本研究は今後のハイパフォーマンスコンピューティング研究への大きな貢献が期待できるものであり、山下記念研究賞に相応しい論文として推薦致します。
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●VLANを用いた複数パスを持つL2 Ethernetネットワーク
[2003-HPC-96(2003.10.16)](ハイパフォーマンスコンピューティング研究会)
 

工藤 知宏 君 (正会員)

1991年慶大大学院理工学研究科電気工学専攻了。東京工科大学情報工学科助手/講師/助教授を経て1997年~2002年技術研究組合新情報処理開発機構並列分散システムアーキテクチャつくば研究室室長。2002年4月から独立行政法人産業技術総合研究所グリッド研究センタークラスタ技術チーム長。
クラスタおよびグリッドのためのネットワークの研究等に従事。博士(工学)。
[推薦理由]
本論文では、複数パスを持つLayer2 Ethernetネットワークを実現するVLANルーティング法を提案している。このVLANルーティング法により、従来MyrinetなどのSystem Area Networkで広く用いられてきたFat Treeのようなクラスタに適したトポロジを、安価なEthernetを用いて構成することが可能となった。また、VLANルーティング法を用いたクラスタ向きネットワークトポロジも提案している。本研究は今後のハイパフォーマンスコンピューティング研究への大きな貢献が期待できるものであり、山下記念研究賞に相応しい論文として推薦致します。
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●双対制限された列挙問題:離散分布に対する交差不等式とその応用
[2003-AL-92(2003.11.7)](アルゴリズム研究会)
 

牧野 和久 君 (正会員)

平成4年3月  京都大学工学部数理工学科卒業
平成6年3月  同大学院工学研究科修士課程 数理工学専攻修了
平成9年3月  同大学院工学研究科 博士後期課程数理工学専攻修了(学位修得)
同年4月    大阪大学大学院基礎工学研究科助手
平成12年4月 同講師
平成14年3月 同助教授
[推薦理由]
双対制限された整数計画問題の極大解の列挙問題は、単調CNF論理式の双対化問題を含み、計算機科学のあらゆる局面で現れる最重要問題の一つである。 牧野氏はこの問題に対して一般的なフレームワークを提出し、擬多項式時間アルゴリズムの設計法を与えた。 これにより、データマイニング、確率計画法、整数計画法などでの多くの問題で、指数時間から擬多項式時間への本質的な計算量の改良が与えられた。 解法のキーポイントには、離散分布に対する交差不等式というシンプルで美しい数学的事実の発見があり、それにより、本来の動機であった論理関数の分野のみならず、広い応用分野を持つ成果への発展を可能にしている。 計算理論分野では世界的なブレークスルーであり、山下記念賞にふさわしい。
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情報環境領域

●近傍関係を活用した情報検索
[2003-HI-104(2003.7.11)](ヒューマンインタフェース研究会)
 

増井 俊之 君 (正会員)

1982年東京大学工学部電子工学科卒業。
1984年同大学院工学系研究科電子工学専門課程修士課程修了。同年4月富士通(株)入社。
1986年4月シャープ(株)入社。
1989-91年カーネギーメロン大学客員研究員。
1996年1月(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所入社。
2003年4月(独)産業技術総合研究所入所。現在に至る。
工学博士。情報検索、情報視覚化、テキスト入力、実世界指向インタフェース、富豪的プログラミングなどに興味をもつ。
[推薦理由]
著者の提案する「近傍検索システム」は、様々な尺度にもとづいた「情報の近さ」を利用して計算機内やネットワーク上に散々する雑多な情報に自動的に関連づけを行なうことにより、効果的な情報検索を行なうことができるシステムである。多くのユーザに利用されている一般的なWebブラウザを利用しつつ、多量の情報を効果的に扱えるようにするための単純で実用的な手法を提案した本論文は山下記念賞にふさわしいと考える。
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●阪神・淡路大震災の経験を基にしたリスク対応型地域空間情報システムの開発
[2003-IS-86(2003.11.19)](情報システムと社会環境研究会)
  

畑山 満則 君 (正会員)

1968年生。2000年東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻博士後期課程修了。博士(工学)。2002年より京都大学防災研究所助手、現在に至る。GISの防災応用に関心を持ち、時空間地理情報システム、レスキュー活動支援システムに関する研究に従事。1997年度消防防災科学論文賞(消防庁長官表彰)、2001年度地理情報システム学会研究奨励賞、FIT2003論文賞受賞。情報処理学会、土木学会、地理情報システム学会、日本ロボット学会などの会員。
[推薦理由]
阪神・淡路大震災時における情報処理技術を用いた神戸市長田区倒壊家屋解体撤去業務支援活動を通して得た経験をもとに、災害時に情報処理システム自体の持つリスク要因を技術面だけでなく、人間系をも含めた運用面からも考察することを特徴とするリスク対応型地域空間情報システムのコンセプトを提唱している。
本研究では、このコンセプトを満たし、災害直後から利用が可能な地方自治体情報管理システムのプロトタイプを基盤となる時空間GISから具体的なアプリケーションまで開発し、さらに数年にわたる総合防災訓練への適用実験を実施し高い評価が得られている。
以上の理由からIS研究論文とし推薦する。
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●素性論理に基づくXML文書ルール記述言語DRDL
[2004-FI-74(2004.3.26)](情報学基礎研究会)
 

今村 誠 君 (正会員)

昭和61年京都大学大学院工学研究科数理工学専攻修士課程修了。同年三菱電機(株)入社。
現在、同社情報技術総合研究所画像・言語処理技術部にて、自然言語処理と文書処理の研究開発に従事。
情報処理学会第63回全国大会(平成13年度後期) 大会優秀賞、平成13年度(社)日本電機工業会 電機工業技術功績者発達賞。
[推薦理由]
XML文書の要素内容間の整合性等の制約は、一般的なプログラム言語で手続き的に表現すると、複雑で直観的理解が困難な記述になりやすく、半定型的な業務帳票等のもつ多様性・変易性への対応が難しくなる点に課題がある。本研究は、素性論理をベースに、実システムにおいて必要となる範囲の制約を簡明に記述できる言語を提案し、実際の適用事例に基づき、開発・保守効率等に関する有効性を報告している。その実用性、および、情報モデルの記述において素性論理の簡明さを生かすというアプローチが示唆的である点が高く評価できる。
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●大学におけるインシデント対応の一事例
[2003-DSM-30(2003.9.26)](分散システム/インターネット運用技術研究会)
 

鳩野 逸生 君 (正会員)

1986年3月大阪大学大学院工学研究科修士課程修了。
同年4月~1988年7月日本電気(株)C&Cシステム研究所勤務。同年8月大阪大学工学部助手。
1993年10月基礎工学部助手、1996年4月同講師、
1997年4月大学院基礎工学研究科講師、神戸大学総合情報処理センター助教授を経て、
2003年より同大学学術情報基盤センター教授、現在に至る。離散事象システム、生産スケジューリングに関する研究に従事。博士(工学)。
情報処理学会, 計測自動制御学会などの会員。
[推薦理由]
本論文は,著者らが所属する大学で実際に発生した大規模インシデントに対して,3週間にわたる対応の経緯を紹介した事例報告である.内容の性格上,口頭発表で述べられた全ての経緯が必ずしも本論文に記述されているわけではないが,このような大規模インシデントへの対応は,たとえセキュリティポリシーを策定していたとしても実際に経験した者でなければわからないことが多く,また実際に発生した場合には冷静な判断を行うのが困難であることから,本論文は大規模組織のネットワーク管理者にとって非常に価値の高いものであると思われる.このような点から,本論文は山下記念研究賞に相応しい論文として推薦する。
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●変換結果スキーマ指向のXML変換
[2003-DD-39(2003.5.23)](デジタル・ドキュメント研究会)

鬼塚 真 君 (正会員)

1991年東京工業大学工学部情報工学科卒業。
同年、日本電信電話(株)入社。
2000~2001年ワシントン州立大学客員研究員。
現在、日本電信電話(株)サイバースペース研究所主任研究員。データベース管理システム、XML データ処理の研究に従事。ACM会員。
[推薦理由]
XMLはINTERNET を介して多様なデータを交換するための表現形式として広く普及しており、データの交換の際に受け手側のデータ構造(スキーマ)にデータを変換するため XSLT が広く用いられるが、XSLT の言語仕様が複雑で理解しにくいという問題はよく知られている。本論文は、変換結果のデータ構造と変換規則の呼び出しの構造を一元的に表現する XML 変換言語 XTLとその XSLT への翻訳方法について提案しており、XML変換の生産性の高い改善(XSLTの5~10倍)と高い表現能力(W3C query use cases の例において 97.1%)を実現している。以上のように本研究は極めて優秀であり、山下記念研究賞に推薦する。
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●PKIでの証明書失効に必要な通信量の確率論的評価
[2003-CSEC-22(2003.7.18)](コンピュータセキュリティ研究会)
 

田中 直樹 君 (正会員)

平成11年3月 横浜国立大学工学部電子情報工学科卒業。
平成13年3月 横浜国立大学大学院工学研究科人工環境システム学専攻卒業。
平成13年4月 ソニー株式会社入社。
現在株式会社ソニーコンピュータエンタテインメントに勤務。
[推薦理由]
本論文では、PKIでの主な証明書の失効方式である完全CRL方式とデルタCRL方式について、CRL取得に必要な通信量の理論式を確率論的に導出している。同様の評価として米国NISTによる評価があるが、同一のCAに属するentityを複数回認証する場合に、同一のCRLの取得は高々1回で済むにも関わらず複数回取得していた。PKI運用に必要なシステム全体の通信量を評価することは、安全な電子社会を支えるPKIを設計する上で大変重要であり、この課題に対して実情に即した理論的アプローチを行った点、さらに得られたデータに対して優れた理論的考察を行っている点がとくに評価できるので、本論文を推薦する。
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●一方向性ハッシュ関数を用いた階層構造を持つアクセス制御方式
[コンピュータセキュリティシンポジウム2003(CSS2003)(2003.10.30)](コンピュータセキュリティ研究会)
 

須賀 祐治 君 (正会員)

昭和47年生。平成7年九州大学理学部数学科卒業。平成9年同大学院数理学研究科数理学専攻修士課程修了。同年財団法人九州システム情報技術研究所第2研究室研究員として出向。平成11年キヤノン株式会社入社、情報セキュリティの研究開発に従事。現在に至る。
平成16年度2学期 北九州市立大学国際環境工学部「情報メディア技術概論」特別講師。
Java&XML第2版(オライリー・ジャパン,平成14年)監訳。コンピュータセキュリティシンポジウム2003優秀論文賞。
[推薦理由]
この論文では、2つの階層軸を持つ階層的なアクセスコントロール方式において、一方向性関数を用いて各要素の鍵を定める場合に、システムで用いられる一方向性関数の初期値の最小数と各階層軸の階層数の最小値が一致することを示し、これを満たす構成法を与えている。アクセスコントロールの分野における新規性が高く、論旨も明確で完成度も高いので、本論文を推薦する。
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●デフォルメマップ生成のための道路変形モデルとそのシステム評価
[2003-ITS-12(2003.3.7)](高度交通システム研究会)
 

丸山 貴志子 君 (正会員)

昭和63年お茶の水女子大学大学院・理学研究科・物理学専攻修士課程修了、
平成4年総合研究大学院大学・数物科学研究科・統計科学専攻博士課程修了。博士(学術)。
同年(株)日立製作所入所。以来、中央研究所にて、空間情報システムの研究に従事。
現在、同研究所・主任研究員。電子情報通信学会会員。
[推薦理由]
本論文では、携帯電話機などへのデフォルメ地図表示の視認性において、問題点を明確化し、理想形であるデザイナ作成のデフォルメ地図を分析し、新たな道路変形モデルを提案している。また、結果として、他の手法に比べよりデザイナ作成のデフォルメ 地図に近いものを生成できること、道路数の多いエリアに対しても有効であるなど、良好な結果が得られていることを実証したものである。
今後、利用が増えていくことが予想される携帯電話機などへの地図情報配信において、その研究開発者、サービス提供者に極めて有益な知見を与えるものとして評価できる。
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フロンティア領域

●パラ言語の理解能力を有する対話ロボット
[2003-SLP-48(2003.10.17)](音声言語情報処理研究会)
 

藤江 真也 君 (正会員)

平成11年早稲田大学理工学部電気電子情報工学科卒業。
平成13年同大大学院理工学研究科修士課程修了。
同年同大大学院理工学研究科後期博士課程入学。平成16年同単位取得退学。
平成15年早稲田大学理工学部助手。
音声対話ロボットの研究に従事。
人工知能学会、日本音響学会各会員。
[推薦理由]
韻律からの発話者態度の認識機能、頭部動作の認識機能など、新たな技術を開発するとともに、それらを用いてパラ言語の理解機能を持ったこれまでにない新しいタイプの対話システム(対話ロボット)を実現した。言語情報には現れないが、声の調子や頭部動作には明瞭に現れる発話者の意図を、韻律処理・動画像処理によって的確に捉えた上で、それらを用いて円滑な対話進行を実現した点が優れており、評価に値する。また、大規模なマルチモーダル対話システムを個々の問題の特殊性(ロボット動作に伴う入力画像の揺れへの対処など)を解決しながら全て独自技術で実装している点も評価できる。
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●ユーザモデルを導入したバス運行情報案内システムの実験的評価
[2003-SLP47(2003.7.19)](音声言語情報処理研究会)

 

駒谷 和範 君 (正会員)

昭和50年生。
平成10年 京都大学工学部情報工学科卒業。
平成12年 同大学院情報学研究科知能情報学専攻修士課程修了。
平成14年 同大学院博士後期課程修了。同年より 京都大学情報学研究科助手。
京都大学博士(情報学)。FIT2002ヤングリサーチャー賞受賞。電子情報通信学会、言語処理学会、人工知能学会各会員。
[推薦理由]
ユーザモデルの判別に言語的な情報だけではなく音響的な情報も用いていること、性急度などを含めた多様な観点でのユーザモデルを提案していることなど、新規性が非常に高い。さらに、ユーザモデルがユーザの習熟度向上に大きく寄与することを実験的に示しており、京都市バスの運行情報の提供という実際のフィールドを対象にした評価を継続的に行っていることからも、その有効性を高く評価できる。
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●コンテンツ流通ビジネスのモデル化と評価に関する検討
[2004-EIP-23(2004.3.8)](電子化知的財産・社会基盤研究会)
 

関 亜紀子 君 (学生会員)

2003年、早稲田大学大学院国際情報通信研究科修士課程修了。
現在、同大学院博士後期課程在学中、2004年より同大学国際情報通信研究センター助手。
コンテンツ流通におけるDigital Rights Managementに関する研究に従事。
IEEE、情報処理学会、画像電子学会、映像情報メディア学会各会員。
[推薦理由]
関亜紀子氏は、デジタルコンテンツ流通における権利保護の問題について、地道に研究を続けてきた。関氏のアプローチで、高く評価するべき点は、下記のようなものである。まず、デジタルコンテンツの流通に関して、技術と社会の両面から詳細に分析し、汎用性の高いモデルの構築に成功していることである。そのため、社会ですでに提唱されてきたDRM(Digital Rights Management)の技術について、詳細にサーベイし、一方、社会におけるコンテンツ流通の実態もしっかりと把握し、モデルとの対応を明示している。本論文は、その研究の1つの到達点をわかりやすく示したもので、完成度の高いものである。
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