「音声対話システムにおけるスケーラビリティ評価モデルの検討」 [論文誌Vol.46, No.9, pp. 2269-2278 (2005)]

平成17年度論文賞受賞者の紹介

「音声対話システムにおけるスケーラビリティ評価モデルの検討」 [論文誌Vol.46, No.9, pp. 2269-2278 (2005)]

[論文概要]
 モバイル環境において,情報検索など利用者の目的を達成するためのインタフェースとして音声対話システムが注目されている.本論文では,サーバ処理能力と完全重複ユーザ数を求めることで,サーバ認識型音声対話システムのシステムスケーラビリティを推定する手法を提案する.サーバ処理能力は応答間隔および遅延時間から算出され,完全重複ユーザ数は発話間隔および同時接続ユーザ数より算出される.これらの値を応答時間で補正してサービスに必要なサーバ台数であるスケーラビリティを推定する.そして,「レストラン検索」および「駐車場検索」をサービス例とした検証評価を行い,サービス要件に応じたシステムスケーラビリティ推定の可能性を示した.

[推薦理由]
 本論文は,クライアント・サーバ型カーナビゲーションシステムの音声対話システムを想定し,その音声認識処理をサーバ側で行うケースについて検討を行っている.ここでは,音声認識処理にかかるサーバ側の処理能力から,必要とするサーバ台数に関する定量的な評価を示している.さらに,具体的な例をあげて検証実験を行っており,これによって,サービス要件に応じたシステムスケーラビリティの推定可能性を示している.これは,今後,このようなサービスを実運用する際の指針となるべき結果であり,特にこれらを定量的に示したことは高く評価できる.よって,本論文を論文賞に推薦する.

荒金 陽助 君 平成7年東京工業大学工学部電気電子工学科卒業.平成9年同大学大学院総合理工学研究科博士前期課程修了.同年日本電信電話株式会社マルチメディアネットワーク研究所に入所.以来,ITSコミュニケーションおよび情報セキュリティの研究に従事.現在,同社情報流通プラットフォーム研究所研究主任.博士(工学).平成12年,平成16年情報処理学会高度交通システム研究会優秀論文賞,平成15年DICOMO2003ベストカンパーサント賞,平成16年 DICOMO2004優秀論文賞,平成17年DICOMO2005優秀プレゼンテーション賞,各賞受賞.電子情報通信学会,IEEE各会員.

下川 清志 君 昭和51年東北大学工学部電子工学科卒業.昭和53年同大学大学院工学研究科博士前期課程修了.同年日本電信電話公社(現NTT)電気通信研究所入所.以来,衛星通信システム,アクセス系無線システム,テレマティクス分野の研究実用化,技術企画等に従事.現在,NTTアドバンステクノロジ株式会社 アクセスネットワーク事業本部 部長.電子情報通信学会会員.

金井 敦 君 昭和55年東北大学工学部通信工学科卒業.昭和57年同大学院工学研究科情報工学教室博士前期課程修了.同年日本電信電話公社入社.以来,クロスコンパイラ,ソフトウエア開発プロセス,ソフトウェア設計技法,ソフトウエア開発環境,超高速Web検索技術,ネットワークコミュニティ,情報セキュリティの研究開発に従事.現在,NTT情報流通プラットフォーム研究所主席研究員.博士(情報科学).電子情報通信学会会員.