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平成16年度論文賞受賞者の紹介

「スレッド局所性を利用したJavaロックの高速化」(Vol.44、No.SIG15(PRO19))

[論文概要]
 Javaではロック操作が頻繁に行われるため,これを高速化することは,システム全体の性能向上に非常に重要である.オブジェクトがそれぞれどのスレッドにロックされているかに着目した調査を行ったところ,特定のスレッドにのみ頻繁にロックされているという「スレッド局所性」が見られることがわかった.この性質に着目し本論文では,各オブジェクトごとに特定のスレッドに「ロック予約」を与え,ロック処理を高速化する手法について述べる.実装した予約ロック機構を用い,いくつかのベンチマークを走らせたところ,従来のロック手法に比べて最大で53%の性能向上が確認された.

[推薦理由]
 Java言語は,言語自体にスレッド機能を備えており,標準クラスライブラリ全体がロック操作を多用するように記述されている.このため,Javaプログラムの性能向上のためには,頻繁なロック操作による性能低下を防ぐことが極めて重要である.本論文は,オブジェクトが1つのスレッドによってのみロック操作されることが多いことに着目し,そのスレッドに「ロック予約」を与えて,高速にロック操作をさせる手法を提案/実装/評価している.その着目点,提案手法とも高く評価でき,論文の記述も厳密かつ明快であり,実験的評価も綿密に行われている.実験の結果,高い性能向上が得られており,実世界におけるインパクトも極めて大きいと考えられる.よって,本論文を論文賞に推薦する.
河内谷 清久仁君  1963年生.1987年東京大学大学院理学系研究科情報科学専門課程修士課程修了.同年日本アイ・ビー・エム(株)入社.以来,同社東京基礎研究所にて,オペレーティングシステムやマルチメディア処理システム,携帯情報システム,Java処理系ランタイムなどの研究に従事.現在,同研究所専任研究員.1994年情報処理学会全国大会奨励賞受賞.ACM会員.
古関 聰君  1969年生.1998年早稲田大学大学院理工学研究科電気工学専攻博士課程修了.同年日本アイ・ビー・エム(株)入社.以来,同社東京基礎研究所において,Java Just-In-Timeコンパイラの開発に従事.工学博士.ACM会員.
小野寺 民也君  1959年生.1988年東京大学大学院理学系研究科情報科学専門課程博士課程修了.同年日本アイ・ビー・エム(株)入社.以来,同社東京基礎研究所にて,オブジェクト指向言語の設計および実装の研究に従事.現在,同研究所シニア・テクニカル・スタッフ・メンバー.第41回(平成2年後期)全国大会学術奨励賞,平成7年度山下記念研究賞,各受賞.理学博士.日本ソフトウェア科学会,ACM,各会員.

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