• ホーム > 
  • 表彰 > 
  • 論文賞 > 
  • 「Computer Simulation of Color Confusion for Dichromats in Video Device Gamut under Proportionality Law」

2016年度論文賞受賞者の紹介

Computer Simulation of Color Confusion for Dichromats in Video Device Gamut under Proportionality Law

[IPSJ Transactions on Computer Vision and Applications Vol.7 pp.41-49]
[論文概要]

 画像の色を二色覚者の見る色に変換する色覚シミュレーションには変換できない色があることが知られている。この欠点を克服するために,画像の色を二色覚者が見る色ではなく区別できない色,混同色に変換する混同色シミュレーションを提案する。ディスプレィが発色する全ての色が変換できることを要請すると,sRGBを含む殆どのディスプレィに対して,変換前後の色の明るさの関係が保存され,同じ色が異なる色に変換される事がないという意味で矛盾のないアルゴリズムが唯一つ可能なこと示す。sRGBディスプレィに対して,このアルゴリズムを実装し,二色覚者を被験者として混同色シミュレーションを実証した。

[推薦理由]

 本論文は,人間の視覚において,3種類の視細胞のうち、どれか一つが欠けている人,つまり,二色型色覚者が色を混同してしまう状況を,画像を提示するディスプレィの持つ色域によらずシミュレーション可能な方式について検討したものである.シミュレーションの原理として,変換前後の色が比例則を満たすということを制約条件に基づき「比例則を満たすシミュレーションは,LMS空間で混同色方向に垂直な平面へのディスプレィの色域の射影が6面体であれば,ユニークに決まること」を証明し,標準ディスプレィ,sRGBディスプレィに対して,この定理に基づくシミュレーションが正しいことを示している.
 本論文は,画像表示という本質的に重要な問題を扱っており,提案している手法はしっかりとした数学的議論に基づいており,それが実際のディスプレィでも成立することを実証しており,ここで示されている新しい知見は,コンピュータビジョン・コンピュータグラフィクス分野に学際的なインパクトを与えている.実用的にも,色覚に障害がある人たちに正しく視覚的情報を伝えるための応用は当然のことながら,画像表示に関係する多くの幅広い応用に結びつくことが期待でき,受賞論文に相応しいものである.
また,本論文のトピックはコンピュータビジョンが扱う主流の問題ではないが,このような論文に賞を与えることも,本論文誌が扱うスコープが広いということを国内外にも示すために重要であると考えている.以上のような理由により,本論文を選定した.

福田 宏 君

 1984年電気通信大学電気通信学部卒業,1986年電気通信大学大学院電気通信学研究科修士課程修了,1989年筑波大学大学院工学研究科博士課程修了(工学博士).1989年理化学研究所基礎科学特別研究員,1991年静岡県立大学経営情報学部助手,2008年北里大学一般教育部准教授. 専門は3体問題の数理と数値計算,図形・画像・色彩の情報処理.

原 伸太郎 君

 2010年北里大学医療衛生学部卒業. 2012年北里大学大学院医療系研究科修士課程修了. 2016年東京大学大学院医学系研究科博士課程修了.博士(医学). 同年 東京大学大学院医学系研究科生体機能制御学分野 特任研究員. 現在に至る 人工臓器・医療機器デバイスの研究に従事.

浅川 賢 君

 2010年、北里大学大学院医療系研究科博士課程修了。医学博士。現在、北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科視覚機能療法学専攻・大学院医療系研究科視覚情報科学専任講師。ヒトおよび家兎における網膜光受容器の機能評価と形態観察に関する研究に従事。

石川 均 君

 1988年北里大学医学部卒業,1988年北里大学眼科入局,1994年北里大学大学院修了,1994年オハイオ州立大学薬理学教室留学,1996年北里大学医学部眼科講師,2002年国際医療福祉大学眼科助教授,2005年北里大学医療衛生学部視覚機能療法学教授,北里大学大学院医療系研究科視覚情報科学教授.眼科専門医,医学博士.

野城 眞理 君

 昭和44年東京大学工学部電気工学科卒業、富士通(株)入社。昭和47年東京医科歯科大学医用器材研究所入所、平成7年北里大学医療衛生学部医療工学科臨床工学専攻教授、平成24年北里大学名誉教授。昭和56~57年英国ストラスクライド大学生体工学研究施設に留学。生体医工学、主に呼吸系の計測と制御、インピーダンスを用いた生体情報解析の研究に従事。

勝矢 光昭 君

 1967年広島大学理学部物理学科卒業.1969年広島大学大学院理学研究科修士課程修了.1973年北海道大学大学院理学研究科博士課程修了.1975年静岡女子大学助手,1979年アイオワ州立大学客員教授,1983年スタンフォード大学客員教授,1987年静岡県立大学講師,1991年静岡県立大学助教授,1993年静岡県立大学教授,2008年松蔭大学教授等を経て現在静岡県立大学名誉教授,博士(理学).

論文誌ジャーナル/JIP担当へお問い合わせフォーム