「Twitterにおけるユーザの興味と話題の時間発展を考慮したオンライン学習可能なトピックモデルの提案」

2014年度論文賞受賞者の紹介

Twitterにおけるユーザの興味と話題の時間発展を考慮したオンライン学習可能なトピックモデルの提案

[情報処理学会論文誌 数理モデル化と応用 Vol.7, No.1, pp.53-60]
[論文概要]

 本論文では,Twitterに適したトピックモデルを提案した.トピックモデルは,文書の生成過程をモデル化する手法として有効であるが,Twitter上の記事は一般的な文書と比較して異なる特徴を持つため,それらを捉えたモデル化が必要である.提案手法は,ユーザの投稿する記事が非常に短い,リアルタイム性が高い,ユーザの興味や主要な話題が時間と共に大きく変化するといったTwitterの特徴を捉えた仮定を置くことで,適切なモデル化を行った.また,日々大量に生成される記事に対して逐次学習を行うため,効率的であるという特徴を持つ.実験により,提案手法が従来よりも適切にモデル化できることを確認した.

[推薦理由]

 本論文では,Twitterに適したオンライン学習可能なトピックモデルと提案しており,既存のLatent Dirichlet Allocation (LDA) を効果的に改良し,オンライン学習可能な手法を提案している。本論文は査読の過程において,3名の査読者ともに1回で「採録」と判定されるなど,論文の質も高く,応用面での実用性も考慮し,論文賞として推薦するものである。なお,本論文と連動して研究会発表を行った研究会講演について,平成26年度山下記念賞を受賞している。

佐々木謙太朗 君

 2013年3月名古屋大学工学部電気電子・情報工学科卒業.同年4月,同大学大学院工学研究科博士課程前期課程計算理工学専攻に入学.2015年3月同大学院修了.同年4月,株式会社デンソーウェーブに入社.現在に至る.学生時代は主として自然言語処理に関する研究に従事.

吉川大弘 君

 1997年名古屋大学大学院博士課程修了.同年カリフォルニア大学バークレー校ソフトコンピューティング研究所客員研究員.1998年三重大学工学部助手.2005年名古屋大学大学院工学研究科COE特任准教授.2006年10月同研究科准教授.現在に至る.ソフトコンピューティングに関する研究に従事.IEEE,情報処理学会,電子情報通信学会,日本知能情報ファジィ学会,進化計算学会各会員.

古橋武 君

 昭和60年名古屋大学大学院工学研究科博士後期課程電気系専攻修了.工学博士.平成16年名古屋大学大学院工学研究科計算理工学専攻教授.現在に至る.ソフトコンピューティング,感性工学に関する研究に従事. 平成8年日本ファジィ学会論文賞受賞.IEEE,日本知能情報ファジィ学会,電気学会等の会員.