2012年度喜安記念業績賞の表彰

◆ペアリング暗号解読の世界記録達成および安全な次世代暗号の選定

     [推薦理由] 
次世代の暗号技術として, 機密情報を保護したままデータの利活用ができるなど, 従来にない幅広い応用に期待が集まっている「ペアリング暗号」について, 従来は解読に数十万年かかり安全とされてきた278桁長の暗号を, 独自に開発した新攻撃理論をベースとすることで, 148.2日で解読することに成功し, 暗号解読の世界記録を樹立した. 更に本成果から, 最新の理論・最高性能のスパコンを使ったとしても解読されない暗号の桁長が導かれたことは, 次世代暗号の安全な利用へと繋がり, わが国の電子政府や暗号の国際標準化を通じて, 情報産業分野の未来を築くことに貢献する業績である. 
  
高木

高木 剛 君(正会員)

1993年名古屋大学理学部数学科卒業, 1995年同大学大学院理学研究科修士課程修了, 同年日本電信電話株式会社入社, 2001年Dr.rer.nat.(ダルムシュタット工科大学), その後,ダルムシュタット工科大学情報科学部助教授を経て, 2005年公立はこだて未来大学システム情報科学部准教授, 2010年九州大学大学院数理学研究院教授, 2011年九州大学マス・フォア・インダストリ研究所教授, 現在に至る. 2009年より電子政府推奨暗号評価プロジェクトCRYPTREC暗号方式委員会委員. 第8回船井情報科学振興賞受賞. 暗号および情報セキュリティに関する研究に従事. 電子情報通信学会, 日本数学会, 日本応用数理学会各会員. 

林

林  卓也 君(正会員)

2008年公立はこだて未来大学システム情報科学部卒業, 2010年同大学大学院システム情報科学研究科博士(前期)課程修了, 2010年より日本学術振興会特別研究員DC1, 2013年九州大学大学院数理学府博士後期課程修了,博士(機能数理学), 現在, 九州大学マス・フォア・インダストリ研究所博士研究員. 情報処理学会コンピュータセキュリティシンポジウムCSS2009学生論文賞受賞. 公開鍵暗号の安全性解析に関する研究に従事. 電子情報通信学会, IACR各会員. 

篠原

篠原 直行 君

2002年九州大学理学部数学科卒業, 2004年同大学大学院数理学府修士課程修了, 2007年同大学大学院数理学府博士後期課程満期退学, 2007年より(独)科学技術振興機構 CREST 研究員, 2008年博士(数理学,九州大学), 2009年立教大学理学部 博士研究員, 2009年情報通信研究機構研究員,現在に至る. 日本数式処理学会 2008年度奨励賞受賞. 計算機代数学及び公開鍵暗号の安全性解析に関する研究に従事. 日本数式処理学会, 電子情報通信学会, 日本応用数理学会各会員. 

下山 下山 武司 君

1991年横浜市立大学大学院修士課程修了, 同年(株)富士通研究所入社, 現在富士通研究所主任研究員, 2000年中央大学大学院工学部博士課程修了,博士(工学). 1997年SCIS論文賞,2007年IWSEC2007 Best Paper Award, 2007年電気科学技術奨励賞,2007年情報処理学会喜安記念業績賞, 2012年SCISイノベーション論文賞, 各受賞. 2006年一般数体篩法による素因数分解世界記録達成. 著書「情報セキュリティ事典(共立出版)」 「情報セキュリティ暗号・認証・倫理まで(昭晃堂)」 「気付力が夢を叶える!(日刊工業新聞社)」. 

 

◆隠れマルコフモデルに基づいた次世代音声合成方式の確立

   [推薦理由]

次世代の音声合成方式「隠れマルコフモデルに基づいた音声合成(HMM音声合成)」を提案し, 研究成果をオープンソースのソフトウェアツールキットHTSとして公開した. 本方式は, 声に感情を与える, 声を真似る, 声を混ぜる等, これまでの手法では実現が困難であった多様性を容易に実現でき, 更に言語依存性の低さやフットプリントの軽さなどの利点をもつことから, 次世代の音声合成方式として, 携帯電話, スマートフォン, カーナビゲーションシステム等で実用化され, 急速に普及しつつある. 
  
徳田

徳田 恵一 (正会員)

東京工業大学大学院総合理工学研究科博士後期課程修了. 工学博士. 現在, 名古屋工業大学大学院工学研究科教授. 名古屋工業大学国際音声技術研究所代表. 2001年~2002年カーネギーメロン大学言語技術研究所客員研究員. 人間のように話すことのできる新しい音声合成方式「HMM音声合成」の研究開発をリードしてきた. 文部科学大臣表彰科学技術賞他受賞. 現在、音声技術の普及にブレークスルーをもたらす方法論について模索中. 

戸田

戸田 智基 君

1999年名古屋大学工学部電気電子・情報工学科卒. 2003年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科博士課程了. 2003年日本学術振興会特別研究員-PD. 2005年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助手. 2007年同助教. 2011年より同准教授. 2003年10月~2004年9月カーネギーメロン大学客員研究員. 2008年3月~8月ケンブリッジ大学客員研究員. 工学博士. 音声情報処理の研究に従事. IEEE SPS 2009 Young AuthorBest Paper Award等受賞. 

全

全  炳河 君(正会員)

1999年鈴鹿工業高等専門学校電子情報工学科卒. 2006年名古屋工業大学情報工学専攻博士課程了修了. 2004年6月~2005年5月IBMワトソン研究所Intern/Co-op Researcher.2008年7月~2011年7月東芝ケンブリッジ研究所Research Engineer. 2011年6月よりGoogle, Research Scientist. 工学博士. 音声情報処理の研究に従事. 

 

山岸 山岸 順一 君(正会員)

2002年東京工業大学工学部情報工学科卒. 2006年同大学院博士課程修了. 2004年~2007年日本学術振興会特別研究員-DC1およびPD. 2006年~2007年英国エジンバラ大学客員研究員. 2007年~2011年同大学Senior Research Fellow. 2011年~2013年同大学EPSRC Career Acceleration Fellow. 2013年より同大学講師および国立情報学研究所(NII)准教授. 工学博士. 音声情報処理の研究に従事. 2007年手島博士論文賞、2010年日本音響学会板倉記念研究賞等. 2013年よりIEEE SPS Speech & Language Technical Committee. 
大浦 大浦圭一郎 君(正会員)

2010年名古屋工業大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程修了. 博士(工学).2007年9月~2007年12月ATR音声言語コミュニケーション 研究所有期補助員.2008年4月~2009年11月EC FP7 EMIMEプロジェクト研 究員.2009年12月~2012年3月総務省SCOPEプロジェクト研究員.2010年 4月から名古屋工業大学特任助教.統計的パラメトリックな音声認識・音 声合成に関する研究に従事.2010年ISCSLP2008最優秀学生論文賞受賞, 2012年情報処理学会山下記念研究賞受賞,2013年日本音響学会独創研究 奨励賞板倉記念受賞. 

 

◆音声エージェントサービス「しゃべってコンシェル」の開発

[推薦理由]

音声エージェントサービス「しゃべってコンシェル」は, ユーザの自然な発話にもとづき意図を汲み取り, 最適な回答を提示するサービスである. 当該サービスを実現するために, NTTドコモとNTTのグループは, 1)ユーザの自由な発話を認識するための大語彙に対応した音声認識の実現, 2)自然言語に よる発話内容を解析し, ユーザの求める機能・サービスを推定する意図解釈技術の開発, 3)ユーザの質問に対し回答を探索・推定する質問応答技術の開発を行った. 本サービスのインストール数は1000万人を超え, 産業分野へ大きく貢献した. 
 

 

吉村

吉村 健 (正会員)

1999年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了. 2008年同大学院にて博士(工学)を取得. 1999年エヌ・ティ・ティ移動通信網(株)に入社. モバイルネットワーク技術の研究開発に従事し, IETFや3GPPの標準化に参画. 2007年よりデータマイニングの研究開発を開始し, 検索サービスや自然言語処理関連のシステム開発に従事. 情報処理学会, 電子情報処理学会各会員. 博士(工学). 

内田

内田 渉 君(正会員)

2004年大阪大学大学院情報科学研究科博士後期課程修了. 同年, (株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社. 以来, モバイル環境におけるデータ活用型サービスの研究開発に従事. 情報科学博士. 情報処理学会, 電子情報通信学会, 日本データベース学会の各会員. 

飯塚

飯塚 真也 君

2005年九州芸術工科大学大学院芸術工学研究科修士課程修了. 同年, (株)エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社. 以来, 音声メディア処理を用いたサービスの開発に従事. 

 
辻野 辻野 孝輔 君

2002年京都大学工学部電気電子工学科卒業. 2004年同大学院情報学研究科通信情報システム専攻博士前期課程修了. 2007年同専攻博士後期課程修了. 同年(株)NTTドコモ入社. MPEG 音声音響符号化の標準化活動を経て, 現在音声認識および自然言語処理を用いたサービスの研究開発に従事. 博士(情報学). 
東中

東中竜一郎 君(正会員) 

1999 年に慶應義塾大学環境情報学部卒業, 2001 年に同大学大学院政策・メディア研究科修士課程, 2008 年に後期博士課程修了. 博士(学術). 2001 年に日本電信電話株式会社入社. 現在, NTTメディアインテリジェンス研究所にて勤務. 音声言語メディアプロジェクトにて, 質問応答システム, 音声対話システムの研究に従事. 人工知能学会, 言語処理学会, 各会員. 2004 年11月より2006 年3月までシェフィールド大学客員研究員. 

 


◆質問応答技術の研究開発とその実用化

[推薦理由] 

2011年にWatsonが米国のクイズ番組Jeopardy!で人間に勝利したのは, 1997年にDeep Blueがチェスの世界チャンピオンに勝利して以来の人工知能研究の快挙である. チェスのように形式的な探索問題として扱える課題と異なり, 自然言語で記述された非定型のテキストから知識を取り出しておき, 質問に対して正しい答を適切かつ高速に検索する課題には様々な技術を総合的に駆使する必要がある. Watsonの開発にはIBMを中心として米国の多くの主要大学がたずさわっているが, 今回, 自然言語処理の分野で日本から武田浩一氏, 金山博氏の貢献があったことは, 我々にとっても非常に喜ばしいことである.

 

武田

武田 浩一 (正会員)

1983年京都大学院工学研究科修士課程修了. 同年日本アイ・ビー・エム(株)入社. 以後, 東京基礎研究所において英日機械翻訳システムやテキストマイニング・ツールの研究開発に従事. 2007年12月より質問応答システムWatsonプロジェクトに参加. 現在同社技術理事. 1987-1989年カーネギーメロン大学客員研究員. 2008-2009年度情報処理学会会誌担当理事. 2011年より国立情報学研究所客員教授. 博士(情報学).情報処理学会フェロー. 

金山

金山  博 君(正会員)

日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所リサーチ・スタッフ・メンバー. 2000年入社以降, 構文解析, 意味解析などの自然言語処理の基礎技術, および自動翻訳, 評判分析, 文書校正などへの応用に関する研究に従事している. 2008年よりWatsonプロジェクトに参加し、テキスト文書から語句の型や性別といった解答の根拠となる情報を自動抽出する部分を担当。博士(情報理工学). 

 


 

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