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最終更新日:2008年7月10日
   
   
 2008年7月23日(水) 9:30−17:00
 東京電機大学神田キャンパス 7号館1F 丹羽ホール
  IPv6は,基本仕様が発行されてから今年で10年目を迎える.当初は,それまでIPv4が抱えている様々な問題を解決する素晴らしいプロトコルであると言われ,その普及が期待されていた.しかし,現時点では目覚しく普及しているとは決して言えない.これは何故なのか? また本当に普及させるためには何をしなければならないのか? WIDEプロジェクトは,IPv6の標準化と普及を初期の頃から現在に至るまで常に世界の最前線で活動してきた.本セミナーでは,IPv6を取り巻く現状を把握して頂き,IPv6をさらに普及させるために,これから何が必要で,何をすれば良いのかについて考える機会を提供する. 
 
 坂根 昌一 横河電機(株) 技術開発本部 ユビキタス研究所 研究員
略歴 横河電機株式会社技術開発本部ユビキタス研究所勤務.主に工業ネットワークのセキュリティに関する技術の研究開発に従事.工業用無線ネットワーク規格ISA100の標準化を推進している.IPv6の開発と普及を目的としたKAMEプロジェクト発足時のメンバーであり,特にIPsecとIKEの標準化と普及に貢献.IETFにおけるセキュリティの分野において現在も標準化活動を続けている.
 
9:30-9:35
 オープニング

セッション1

9:40

11:10
 IPv6を基盤にした新世代インターネットの方向性

   江崎 浩 (東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授)
 

講演概要 IPv6技術は,IPv4アドレスの枯渇が目前に迫り,現実論として戦略的な導入策が計画・実行されなかればならない状況を迎えている. 本講演では,IPv6技術のIETFにおける標準化の経過とその後の展開を,技術面から振り返り,さらに,IPv6技術そのものではなく,IPv6技術を用いた新世代インターネットの役割と,そのアーキテクチャの研究開発の方向性を議論する.

略歴 1987年 九州大学工学部電子工学科修士課程修了.同年4月 (株)東芝 入社 総合研究所にて ATMネットワーク制御技術の研究に従事.1990年より2年間 米国ニュージャージ州 ベルコア社,1994年より2年間 米国ニューヨーク市 コロンビア大学にて客員研究員.1994年ラベルスイッチ技術のもととなるセルスイッチルータ技術を IETFに提案し,1998年10月より東京大学大型計算機センター助教授,2001年4月より東京大学 情報理工学系研究科 助教授.2005年4月より現職(東京大学 情報理工学系研究科 教授).WIDEプロジェクトボードメンバー. MPLS-JAPAN代表,IPv6普及・高度化推進協議会専務理事,JPNIC副理事長,ISOC(Internet Society)理事(Board of Trustee).工学博士(東京大学).
11:10-11:20
 休憩


セッション2

11:20

12:20

 IPv6の現状

  鈴木 伸介 (アラクサラネットワークス(株) 営業本部 技師) 

講演概要 WIDE Projectは,IPv6基本仕様発行とほぼ並行して,IPv6関連の研究開発・標準化・普及活動を進めてきた.しかしながら,今日IPv6が目覚しく普及しているとは言えない状況である.その一方で,2010年前後にIPv4アドレス枯渇が見込まれることから,IPv6対応が世界的なホットトピックになりはじめている.本講演では,現時点のIPv6普及状況や最新動向を紹介し,IPv6に対するニーズとシーズのずれがどのようなところにあるかを概観する.

略歴 1997年日立製作所に入社.IPv6経路制御技術の研究開発に従事し,同社ルータGR/GSシリーズのIPv6経路制御・マルチキャスト関連開発,IPv6普及啓蒙活動に携わる.2005年5月よりアラクサラネットワークス(株)に出向し,ルータ・スイッチ関連のテクニカルマーケティング業務に従事.2000年4月より,産学協同でIPv6対応TCP/IPスタックを開発するプロジェクト「KAMEプロジェクト」に参画.
12:20-13:30
 お昼休み

セッション3

13:30

14:50
 From IPv4 only To v4/v6 Dual Stack
  宮川 晋 (NTTコミュニケーションズ(株)
         先端IPアーキテクチャセンタ ネットワークプロジェクト 担当部長)

講演概要 現在,2010年頃にIPv4アドレス空間の割当が飽和し,新規にアドレスを取得することが非常に困難になることが予想されている.この時点においてもインターネットを健全に発展させるためには,ISPにおけるキャリアグレードNATと呼ばれる新技術によるIPv4提供の延命と,IPv6提供の一般化が必要となると考えている.本講演では,このような新技術導入のインパクト,と,特にリッチアプリケーションに対する制限などを解説し,極近未来のインターネットの姿を明らかにする.

略歴 1995年東京工業大学にて博士学位取得ののち日本電信電話株式会社入社.1997年3月から2002年4月までシリコンバレーのNTT Multimedia Communications Laboratories勤務.2002年4月からNTTコミュニケーションズ社.一貫してインターネット技術に関する研究開発と実用化に従事.IPv6に関するRFCなど.慶應義塾大学SFC研究所上席訪問研究員.東京工業大学非常勤講師.
14:50-15:00
 休憩

セッション4

15:00

15:50
 IPv6のウソ・ホント

  山本 和彦 ((株)インターネットイニシアティブ 技術研究所 主幹研究員) 

講演概要 こと IPv6 には誤解が多い.その理由としては,IPv6 の推進派が初期に語った夢が,実現の可能性がなくなった今も一人歩きしていることが挙げられるだろう.また,否定派の感情的な反応や,評論家による根拠に乏しい批判も原因だろう.このセッションでは,さまざまな IPv6 の神話を取り上げ,客観的な理由ともにその誤解を解いていく.

略歴 1994年 九州大学大学院 工学研究科 情報工学専攻 修士課程 修了後,奈良先端科学技術大学院大学の助手に着任.1998年 株式会社インターネットイニシアティブに入社.1999年 九州大学より博士号(情報科学)を取得.KAME プロジェクト ではテクニカルリーダを務めた.メールリーダ Mew の作者.
15:50-16:00
 休憩

セッション5

16:00

17:00
 IPv6の使い途

  許 先明 ((株)ブロードバンドセキュリティ 研究開発室 室長)

講演概要 現在のインターネットはIPv4で動いている.ユーザーにとってはIPのバージョンが何であっても実際には困ることはないが,サービス提供者からすると,情報管理や分析など,IPv6を利用することで実際には楽になる可能性のある領域が存在する.本セッションでは,センサーネットワークや組み込みを含めた,生活に密接に関係するサービスを考えることで,IPv6を利用した方が「楽になる」「対象範囲を大きくとれる」可能性があるような領域に関して紹介する.

略歴 1995年 (株)インターリンク入社.ISPサービス立ち上げ及びネットワーク関連業務を行う.1996年 WIDE Project加入. 1997年 (株)インターネット総合研究所入社.1999年 IPv6インストール大会開催,IETF IPng WG Interim Meetingにて発表.2002年 (株)インターネット C&O 出向.2004年 (株)株式会社IRI Communications転籍.運用・監視サービス責任者.2006年 (株)ブロードバンドセキュリティに社名変更.セキュリティサービス立ち上げ.