高等学校教科「情報」の英文表記について

2017年4月18日
一般社団法人 情報処理学会
会 長  富田 達夫

 現在,高等学校教科「情報」の英訳は ‘Information’ となっています[1]。しかし,他の教科はおおむねその学問分野の英語名称として相応しいものになっているのに対し,‘Information’ は学問分野を表すとは言えません。
 2016年3月に日本学術会議が「大学教育の分野別質保証のための教育課程編成上の参照基準情報学分野」を策定しました(以下,情報学の参照基準)[2]。情報学の参照基準は,次の5つに情報学の中核部分を体系化しています。

 ア  情報一般の原理
 イ  コンピュータで処理される情報の原理
 ウ  情報を扱う機械および機構を設計し実現するための技術
 エ  情報を扱う人間社会に関する理解
 オ  社会において情報を扱うシステムを構築し活用するための技術・制度・組織

これに対して,次期学習指導要領における共通必履修科目「情報I」では,

 (1) 情報社会の問題解決
 (2) コミュニケーションと情報デザイン
 (3) コンピュータとプログラミング
 (4) 情報通信ネットワークとデータの利用

がその内容となり,また,その発展的な内容の選択科目である「情報II」では,

 (1) 情報社会の進展と情報技術
 (2) コミュニケーションと情報コンテンツ
 (3) 情報とデータサイエンス
 (4) 情報システムとプログラミング
 ○ 課題研究

となっています[3]。

 これらを対比すればわかるように,情報学の参照基準は,大学の学部教育における情報学の教育課程の編成のためのものですが,高等学校教科「情報」の親学問として位置付けられ,高等学校の教育課程からの連続性も十分に考慮されたものとなっています。
 この「情報学」の英訳は ‘Informatics’ が適切であり[4],然るに,高等学校教科「情報」の英訳も,‘Informatics’ にするべきだと提言します。


参考文献
[1] 文部科学省:高等学校学習指導要領英訳版(仮訳)
   http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/eiyaku/1298353.htm
[2] 日本学術会議 情報学委員会 情報科学技術教育分科会:大学教育の分野別質保証のための
   教育課程編成上の参照基準 情報学分野
   http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-23-h160323-2.pdf
[3] 中央教育審議会:幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の
   改善及び必要な方策等について(答申)(中教審第197号),
   http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/1380731.htm
[4] Masami Hagiya: Defining Informatics across Bun-kei and Ri-kei, Journal of Information
   Processing, Vol.23, No.4, pp.525-530 (2015).
   http://doi.org/10.2197/ipsjjip.23.525
以 上

 

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