「科学研究費助成事業(科研費)審査システム改革2018」に対する意見

「科学研究費助成事業(科研費)審査システム改革2018」に対する意見

2016年5月19日
一般社団法人 情報処理学会
会 長  富田 達夫

以下のとおり,2016年5月19日付で意見書を提出しましたので,ご報告いたします.
(協力:エンタテインメントコンピューティング(EC)研究会)



2016年5月19日
文部科学省研究振興局学術研究助成課 御中
一般社団法人 情報処理学会
会 長  富田 達夫

 情報処理学会は「科学研究費助成事業(科研費)審査システム改革2018」に関する意見募集について学会内で意見を募りました.本意見については、新システム成案策定のご参考になれば幸いです。

 科研費に対する近年の応募動向や、審査システムの大幅な改革に対して、情報処理学会は大いに賛同し、学術界、産業界の両面から「国力の源」である学術研究の推進に貢献していく所存です。しかしながら、以下に挙げる審査区分については、最新の研究動向と照らし合わせると、重要項目の漏れ、内容の重複があるようにも読み取れます。

 ○ 小区分62040(エンタテインメントおよびゲーム情報学関連)について
  • 「体験デザイン」「エンタテインメント評価」「エンタテインメントの社会応用」という重要項目がキーワードから抜けています。追加いただくことを検討願います。
  • 「メディアアート」「インタラクティブアート」のキーワードは研究領域が大きく重複しております。「メディアアート」へ統合することを提案いたします。
  • 「ディジタルアーカイブス」「情報文化」というキーワードは、小区分「エンタテインメントおよびゲーム情報学関連」とは整合しないと考えます。本小区分からは廃止し、別の区分へ移行することを検討願います。
  • 「ゲームプログラミング」「3Dコンテンツ」というキーワードは、最新の研究動向、社会情勢に鑑みると、それぞれ「ゲームAI」「VRコンテンツ」の方が適切と考えます。それぞれ改定の検討を願います。
  • 「音楽情報処理」というキーワードは、音楽情報科学の研究に取り組んでいる者にとって最も整合するキーワードですが、その小分類がエンタテインメントの区分にあるため、エンタテインメントおよびゲーム以外に関わる音楽情報科学の研究に取り組んでいる者にとっては応募しにくい状況となっております。よりふさわしい区分、 小区分61010(知覚情報処理関連)に、「音楽情報処理」を移動していただき、かわって、「音楽インタフェース」等のキーワードを配置いただくよう検討を願います。移動がかなわない場合は、このまま「音楽情報処理」を残していただければ幸いです。
 ○ 小区分61010(知覚情報処理関連)について
  • 現状では、9個のキーワード(「パターン認識」「画像処理」「コンピュータビジョン」「視覚メディア処理」「音メディア処理」「メディア編集、」「ディアデータベース」「センシング」「センサ融合」)とありますが、画像、視覚に関するキーワードが3個であるのに対して音楽、音声に関するキーワードは1個しかありません。領域の広がりを考慮して「音メディア処理」を「音声メディア処理」「音楽メディア処理」に置き換えることを検討願います。両研究は異なる研究コミュニティで行われており、研究者の重複も大きくありません。
以上、ご査収の程、何卒よろしくお願い申し上げます。