デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会新設のお知らせ

デジタルコンテンツクリエーション(DCC)研究会新設のお知らせ

目的

  インターネットや携帯電話の急速な普及とブロードバンド化、本年7月のアナログテレビ放送からデジタルテレビ放送への移行完了(一部地域を除く)などを背景に、デジタルコンテンツ産業が我が国の主要産業として今後さらに成長することが見込まれている。前世紀の産業成長時代には、漫画、アニメ、ゲームなどのコンテンツ産業が、政策的な後押しの少ない中で予想外に骨太に成長し、アキバやオタクなどともいわれる特異なキャラクター、コンテンツ文化が国内において形成された。その後徐々に世界に誇る日本文化の一つとして各国に浸透するに至り、現状、我が国はコンテンツ産業において世界に一歩先んじた独自の優位な地位にある。携帯電話の文化においても「ガラパゴス」といわれる独自の進化形態が揶揄され、端末の世界競争力がないことは残念な事実ではあるが、一方で着メロ、着うた、ネット小説やケータイブログなどの新たなモバイルコンテンツ産業が大きく進化していることの反面である。いずれにせよ我が国のデジタルコンテンツ産業は独自の成長と進化を遂げ、今でも新たな方向に向けて進みつつある。

  一般にデジタルコンテンツとは、映像、ホームページ、ゲーム、音声、音楽、テキスト、コミック、アニメ、写真、アート、CG、キャラクターなどのことをいうが、前述の通り、現時点では国内独自の発展をベースに産業の急成長が見込まれる。その一方、アニメ、漫画、音楽、映像などのコンテンツ制作現場の低賃金、重労働という悲惨な状況や著作権の管理をはじめとする社会的問題が重要視されるようになっている。国境のないインターネット社会、Web2.0にみられるようにコンシューマ化が進むインターネット社会において、利用環境は絶えず変化しつつあり、さまざまな問題が複雑化している。デジタルコンテンツの制作、流通、利用において新たな技術や新たなルールが必要とされている。

  本研究会では、このようなデジタルコンテンツの制作、流通、利活用を促進し、健全な社会利用を推進するために、デジタルコンテンツクリエータを支援するための制作技術,管理技術およびそれに関わる利用技術に関する研究を産学問わず広く対象とするとともに,コンテンツ自体のアート・エンターテインメント性の観点からの表現技術も含め,デジタルコンテンツに関する技術者の相互情報交換の場を提供することを目指す.

  本研究会の対象とする分野は,産業界の研究者、開発者だけでなくコンテンツ制作者、個人のコンテンツ利用者にも興味ある内容となることが予想され,産業、民生からの学会活動活性化にも繋がる可能性がある.今回の設立に関し,将来のデジタルコンテンツに必要となる幅広い分野からの発起人にお集まりいただいた.今後,学際的な研究者の情報交換の場として有用な存在となるよう運営していきたい。

デジタルコンテンツクリエーション研究会Webページhttp://www.ipsj.or.jp/sig/dcc/

 

主な研究分野

  • コンピュータアニメーションコンテンツ、CGコンテンツ、3Dコンテンツ
  • インタラクティブデザイン、Webデザイン、広告
  • デジタル漫画、ホームページ、ケータイ小説、ネットゲーム、電子書籍
  • コンテンツビジネス論、コンテンツビジネス戦略、コンテンツビジネス経済/経営、コンテンツビジネスマーケティング
  • デジタルコンテンツ制作、コンテンツ流通、コンテンツ利活用、コンテンツ管理、コンテンツ教育
  • CGM、UGC、MAD(ムービー)
  • メディアアート、インタラクティブアート、インタラクティブメディア
  • デジタルコンテンツ符号化、放送型情報サービス、マルチメディア情報配信
  • コンテンツアプライアンス、コンテンツ著作権管理、電子透かし、サイトライセンス、Pay-per-view
     

提案者(五十音順)

有木康雄(神戸大学)、石田 亨(京都大学)、大村皓一(宝塚大学)、岡田謙一(慶應義塾大学)、喜連川優(東京大学)、串山久美子(首都大学東京)、楠 房子(多摩美術大学)、坂根巌夫(IAMAS)、椎尾一郎(お茶の水女子大学)、杉山知之(デジタルハリウッド)、角 薫(はこだて未来大学)、角 康之(はこだて未来大学)、末永康仁(愛知工業大学)、塚本昌彦(神戸大学)、土佐尚子(アーティスト・京都大学)、中島秀之(はこだて未来大学)、西尾章治郎(大阪大学)、長谷川亨(KDDI研究所)、平田圭二(はこだて未来大学)、水野忠則(愛知工業大学)、宮部義幸(パナソニック)、暦本純一(東京大学)、安島 諭(福井工業大学)、山口 泰(東京大学)、横山清子(名古屋市立大学)