第110回CH研究発表会

第110回CH研究発表会

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開催案内

◆第110回 人文科学とコンピュータ研究会発表会
 
主査:  松村敦
幹事:  亀田尭宙、鹿内菜穂、土山玄、山田太造
共催:  筑波大学 図書館情報メディア研究科
 
【会場情報】
日時 2016年5月14日(土)
会場 筑波大学筑波キャンパス春日エリア 情報メディアユニオン
 
【参加費(聴講)】
研究会登録会員:無料
学会正会員:1500円
学会会員学生:500円
学会非会員学生:1000円
非会員:2500円
  詳しい情報は下記URLをご覧ください.
  http://www.ipsj.or.jp/kenkyukai/sanka.html
 
【懇親会】
発表会終了後そのまま会場で行います
参加費(予定)
一般:3000円程度
学生:無料
 
【プログラム】
9:55-10:00 オープニング
 
10:00-10:25 ロング1
(01) 共同作業のための画像タグ付けシステムの開発
松田 訓典(国文学研究資料館)
山本 和明(国文学研究資料館)
永崎 研宣(人文情報学研究所)
 
 現在国文学資料館とSAT大蔵経テキストデータベース研究会では共同で画像へのタグ付けシステムを開発している。このシステムはweb interfaceを通じて誰もが容易に対象となる画像範囲を切り出しアノテーションを付与できるようにするためのものである。本発表では、本システムの概要、およびその構築の背景にある「日本語の歴史的典籍の国際共同ネットワーク構築計画」およびSATデータベースでの役割について報告したい。
 
10:25-10:50 ロング2
(02) 人社系オープンデータの利活用:国文研古典籍データセットを手がかりとして
永崎 研宣(一般財団法人人文情報学研究所)
 
 2015年、国文学研究資料館「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」により、「国文研古典籍データセット(第0.1版)」がオープンデータとして公開された。デジタル化された古典籍350点分と一部のタグと本文データからなるこのデータセットは各方面に期待をもって受け止められた。発表者は、この一連のデータを活用するための一例として、国文研データセット簡易Web閲覧(http://www2.dhii.jp/nijl_opendata/openimages.php)というサイトを構築し、OpenSeaDragon、IIIF、D3.js等の近年比較的枯れてきたWeb技術を適用する事例を提示した。本発表では、これについての解説を行いつつ、参加者の皆様とさらなる活用の可能性について議論したい。
 
10:50-11:05 休憩
 
11:05-11:30 ロング3
(03) Conditions of Bon Odori Dances Belonging to Akita Prefecture's Nanshu-Odori System in the Era of Sugae Masumi
Takeshi Miura(Akita University)
Takaaki Kaiga(Warabi-za Co., Ltd.)
Takeshi Shibata(Muroran Institute of Technology)
Hiroaki Katsura(Akita University)
Madoka Uemura(Akita University)
Daizo Sasaki(Akita Industrial Technology Center)
Katsubumi Tajima(Akita University)
Hideo Tamamoto(Tohoku University of Community Service and Science)
 
    In this study, we focus on an investigation into the Bon Odori dances belonging to Akita Prefecture's Nanshu-Odori System in the era of Sugae Masumi, a travelogue writer in the later Edo period. To examine the relationship between the depictions of the old dances in Sugae's travelogue and the current situation, we use motion-capture data of the Bon Odori dances currently existing in the Nanshu area. As a result of investigation, a corresponding relationship was suggested between the dancing poses illustrated in the travelogue and the keyposes extracted from the motion-capture data. This information is expected to serve as an important material to examine the historical transition of the dances.
 
11:30-11:50 ショート1
(04) VuFindを利用した異種情報統合検索システムの構築—昭和音楽大学オペラ研究所デジタル・アーカイブの事例—
岩崎 陽一(日本学術振興会)
吉原 潤(昭和音楽大学)
根木 昭(昭和音楽大学)
 
 デジタル・アーカイブを利用者に提供する場合、独自にデータベースと検索システムを開発すればコストがかかり、DSpaceやOmeka等をCMSとして用いれば検索利便性が損なわれる。昭和音楽大学オペラ研究所では、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業として所蔵資料のデジタル・アーカイブを作成するにあたり、資料への到達可能性を重視した。そのために資料と公演DB、作品DBを関連づけたデータを作成し、それら性質の異なる情報を包括的に検索できるシステムとして、多様な情報の包括的管理に長けたオープンソースのディスカバリー・システムであるVuFindを利用し、サービスを開発した。本発表では、本事例を紹介し、またこの試みを通して見出された課題を報告する。
 
11:50-13:45 昼休憩
 
13:45-15:45 学生ポスターセッション(JSIKポスターセッションと合同)
(13:45-14:00 ショートプレゼンテーション)
 
(05) くずし字解読学習支援アプリケーションの開発
橋本 雄太(京都大学文学研究科)
久田 行雄(大阪大学文学研究科)
有澤 知世(大阪大学文学研究科)
小林ベター ダニエル(大阪大学文学研究科)
飯倉 洋一(大阪大学文学研究科)
 
 近年のデジタル化事業の進展により、日本語古典籍の原資料へのアクセスは格段に向上した。Web上で利用可能になったこれらの画像資料を活用し、国際共同研究や異分野融合型研究を実現する機運が高まっている。他方で、前近代日本語資料の読解には「くずし字」の解読能力が不可欠であり、その習得にかかるコストは古典籍活用の最大の障害となっている。発表者らは、くずし字学習の支援モバイルアプリケーションである「KuLA」を開発し、2016年2月から公開している。公開後2週間ですでにKuLAは5,000人以上のユーザーに利用されており、国外の日本古語教育の現場でも実用に供されている。本発表では、KuLAの開発背景と設計指針について、実際のアプリケーションのデモを交えながら紹介する。
 
(06)IDSデータとHDIC原本画像・翻刻テキストとを利用した古辞書の漢字字体研究について—『大広益会玉篇』を中心に—
李 媛(北海道大学大学院文学研究科言語文学専攻)
 
本研究はIDSデータと平安時代漢字字書総合データベースHDICに収録された古辞書掲出字原本画像・翻刻テキストとを利用して、部品レベルで古辞書の字体状況を調査・考察するものである。近時、IDSを利用する漢字の部品レベルで写本・版本の字体の相違を考察する視点が生まれる。そのアプローチの研究成果として、守岡知彦氏はCHISEの多粒度漢字構造モデルに基づき、漢字字体規範データベースHNGに収録された標準文献の字体を整理した。古辞書は漢字字体の多様なバリエーションを網羅的に収録する。部品レベルで古辞書の漢字字体を整理することは新たな課題となっている。IDSは部品レベルで漢字を記述する方法であり、CHISEでは、Unicode統合漢字の約7万字のIDSデータが公開されている。本研究はそのIDSデータを取り込み、HDICの掲出字原本画像・翻刻テキストに基づいて、部品レベルで古辞書における漢字字体のバリエーションを考察する。具体的には、字体が翻刻する際に用いる康熙字典体に近い、版本である『大広益会玉篇』を取り上げ、その調査の詳細を報告する。
 
(07) GUIによるグリフ画像コーパス編集用ソフトウェアの開発
王 一凡(東京大学大学院人文社会系研究科)
永崎 研宣(一般財団法人人文情報学研究所)
下田 正弘(東京大学大学院人文社会系研究科)
 
 複層的な伝承経路に由来する膨大な活字種を内包した『大正新脩大藏經』所収「一切経音義」「続一切経音義」本文の分析にあたり、版面画像から各グリフ画像を自動的に切り出して全文コーパスに対応づけるシステムに加え、画像を手動で適切に分類・修正するためのクロスプラットフォームなGUI環境を開発した。これによりコーパスの継続的な保守が可能になるばかりでなく、一連の手法は他の活字化仏典をはじめ戦前期和文活字本のコーパス構築に広く応用できると考えられる。
 
(08) 歴史的商取引叙述のためのTEI拡張モデルに基づくマネーフロー可視化と多言語史料分析のためのインタフェース構築〜レイ・オズボーン艦隊事件を手がかりに〜
小風 尚樹(東京大学大学院人文社会系研究科)
永崎 研宣(人文情報学研究所)
下田 正弘(東京大学大学院人文社会系研究科)
Albert Charles Muller(東京大学大学院人文社会系研究科)
 
 本発表では、歴史上の商取引をマークアップする目的でKathryn Tomasek, Syd Baumanらによって提言されたTEI拡張モデル'Transactionography'の応用可能性を検討するべく、1860年代に英清間で行われた商取引を事例に、商取引情報のリンク付けの方法論やマークアップによって得られるメリットについて、実践例を交えながら議論する。具体的には、1863年にイギリス政府と清朝政府との間で行われた、軍艦売買に関する商取引を扱う。この商取引は、清朝中国に対し、イギリス海軍が旧式の軍艦を輸出することで、海賊鎮圧や中国国内の太平天国軍の鎮定など、中国海域の秩序維持に寄与させることを目的としたものである。本事例は、オンラインで閲覧可能なイギリス議会文書 the House of Commons Parliamentary Papersと、中国海事史料『海防档・甲 購買船砲』の双方に記録が残されている。これに対し発表者は、領収書や帳簿といったような、商品やサービスの交換の履歴が情報として記されたあらゆる形式の財務記録史料をマークアップするための、TEIの拡張モデルである 'Transactionography'というマークアップ手法に即し、この商取引のマークアップを試みる。本発表の目的は2点ある。すなわち、マクロなレベルにある商取引への「取引叙述法」の応用可能性の検討と、多言語史料間での「取引叙述法」への挑戦である。第一の点に関して言えば、Tomasek氏は論文の中で、個人の生活に関するミクロな商取引に焦点を当てた。しかし、商取引は当然のことながら個人間だけでなく、国家間でも行われる貿易なども含むものである。こうしたマクロなレベルでの商取引をマークアップする際の、その取引の主体となる国家や政府などのタグ付けの方法論については、現状の課題として依然残されている。第二の点については、英語と中国語という異なる言語史料間における「取引叙述法」の適用可能性を探り、それらのマークアップ間のリンク付けに関するモデルを実際に例示することができる。発表では、こうした論点に基づき、マークアップによって得られるメリットを、実践例とともに議論する。
 
(09) 『大字典』和訓データベース構築の現状と課題
劉 冠偉(北海道大学文学研究科言語文学専攻)
 
 『大字典』(上田万年ら、初版1917年)は、約18,000字の親字を収録する漢和辞典であり、全親字中6,103字にゴシック体の和訓が品詞名付きで10,515個付される。日本語史研究の観点から、これらの和訓や典拠を分析するために『大字典』和訓データベースを構築している。本報告では、オープンソースフレームワークLaravelによるウェブインターフェースを開発することで当データベースの検索・照合・編集システムを実現する試みを紹介する。また、データの精度を上げるために、北海道大学池田証壽研究室で開発・整備している各種のデータベースと照合しながら点検を行う。
 
(10) 翻デジにおけるマイクロタスク活用の試み
池田 光雪(筑波大学大学院図書館情報メディア研究科)
林 亮太(筑波大学大学院図書館情報メディア研究科)
永崎 研宣(一般財団法人人文情報学研究所)
森嶋 厚行(筑波大学図書館情報メディア系)
 
 近年,刊行された資料のデジタル化,及び公開が盛んに行われており.例えば国立国会図書館デジタルコレクションには我が国において明治期以降に刊行された図書・雑誌のデジタル化資料が多数収録されている.しかし,国立国会図書館デジタルコレクションの資料も含め多くの資料は未だ画像形式でしか提供されておらず,解析や検索による利用が困難である.一方,デジタル化された資料を用い翻刻を行うシステムはこれまでに多数提案されてきたが,いずれも人手による入力や修正に非常にコストがかかるという問題があった.「翻デジ」は,そのような背景の下,クラウドソーシングによって国立国会図書館デジタルコレクションのデジタル翻刻を実際に行うプロジェクトである.本稿では,様々な形態でのクラウドソーシングによるマイクロタスク型クラウドソーシングを用いたデジタル翻刻を行う手法を提案し,これまでの「翻デジ」の経験に基づいた議論を行う.我々の知る限り,本稿は,マイクロタスク型クラウドソーシングを利用したデジタル翻刻の実プロジェクトとその経験に基づく知見を示した初めての論文である.
 
(11) 日本舞踊の”狂い”動作が鑑賞者に与える心理効果の定量的分析
雜賀 玲衣(早稲田大学人間科学研究科)
松居 辰則(早稲田大学人間科学学術院)
 
 本研究では日本舞踊演目『鷺娘』を取り上げ,熟達者へのインタビューから選定した「身体のある特定の部分を強調する動作」「柔軟性を示す動作」「高速回転」「上下への不規則的で急速的な切り替え動作」の4種類の“狂い”動作が鑑賞者にどのような心理効果を及ぼすかを定量的に分析した.結果,共感性高低により“狂い”動作への印象評価が変化することがわかった.
 
(JSIK) ソーシャル絵本推薦システムにおける自動推薦機能導入の試み
松村 敦(筑波大学 図書館情報メディア系)
濱沖 肯志郎(筑波大学 情報学群 知識情報・図書館学類)
榎本 祐季(筑波大学 情報学群 知識情報・図書館学類)
三島 悠希(筑波大学 情報学群 知識情報・図書館学類)
 
(JSIK) 博物資料情報に対するDOI付与の意義と展望
堀井 洋(合同会社AMANE)
林 正治(一橋大学)
堀井 美里(合同会社AMANE)
上田 啓未(合同会社AMANE)
山地 一禎(国立情報学研究所)
高田 良宏(金沢大学)
 
(JSIK) 大学図書館におけるデータベース利用案内と利用教育の実態調査
榎本 翔(筑波大学情報学群知識情報・図書館学類)
 
(JSIK) 認知診断モデルの解析のための支援スクリプト作成‐Rを用いたMplus分析コードの自動生成関数の開発‐
山口 一大(東京大学大学院教育学研究科)
 
(JSIK) メタ認知と感情に着目した対話による情報検索支援
青山 優里彩(筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科)
松村 敦(筑波大学 図書館情報メディア系)
宇陀 則彦(筑波大学 図書館情報メディア系)
 
(JSIK) 動画における字幕デザインのパーソナライズ要素の検討
稲垣 洸雄(筑波大学大学院 図書館情報メディア研究科)
松村 敦(筑波大学 図書館情報メディア系)
宇陀 則彦(筑波大学 図書館情報メディア系)
 
15:45-15:50 休憩
 
15:50-17:00 情報知識学会年次大会+情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会 合同企画セッション
テーマ「情報実践研究の最新動向」
 
 <セッション企画概要>
図書館情報学の領域のひとつとして構成されてきた情報探索行動の研究などを基礎として、それらをより広い領域に拡張し、これを情報実践(information practice)といった名称で位置づける動きがある。
また一方で、モバイル環境やライフログ、IoTなど、情報環境の進展にあわせて、より豊富な情報と行動とを取り入れた研究が盛んになっている。これらのツール群や環境などが急速に安価に普及するにつれて、情報行動のデータ収集とそのための方法もまた転換点を迎えつつある。
今回の合同企画セッションでは、これらの動きを解説しながら、これまでの研究の特徴や新しい研究動向を紹介し、今後の展開をさぐる。
 
 ・講演1   「情報行動から情報実践へ」
  講演者:松林 麻実子(筑波大学図書館情報メディア系)
これまでの情報行動研究の発展の経緯を踏まえつつ、「日常的情報実践(everyday life information practices)」研究の理論的基盤や方法論を紹介することで、「情報プラクティス研究」の最新動向を概説する。
 
 ・講演2  「ライフログテストコレクション」
  講演者:上保 秀夫(筑波大学図書館情報メディア系)
現在構築されているライフログテストコレクションの解説を中心に、コモディティ化が進むウェアラブルデバイスを用いたデータ収集の実際と研究事例について紹介していただく。
 
 ・講演3  「ビーコン技術を用いた図書館における利用者行動の実態調査」
  講演者:小野 永貴(千葉大学アカデミック・リンク・センター)
iBeaconを元に位置情報を介してひとの行動を取り出すための方法論や研究について、大学図書館の場を対象とした事例を紹介していただく。
 
17:00-17:10 クロージング
 
17:30-19:30 CH懇親会&JSIK情報交流会
 

発表募集

主査:  松村敦

幹事:  亀田尭宙、鹿内菜穂、土山玄、山田太造
◆第110回 人文科学とコンピュータ研究会発表会

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日時 2016年5月14日(土)
会場 筑波大学筑波キャンパス春日エリア 
発表申込締切 2016年3月14日 (月) 
原稿提出締切 2016年4月18日 (月)
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(1)募集内容
  ●学生ポスターセッション 6~8件
  学生ポスターセッションの中で優秀な発表には、「奨励賞」が授与されます。
  学生のみなさま、奮ってご参加ください。

●一般口頭発表 3~4件
ショート:15~20分程度の持ち時間(質疑を含む)
ロング:20分~25分程度の持ち時間(質疑を含む) 
※ロング/ショートでも2p~8pの予稿は必要となります。 (この範囲であれば枚数は自由です)

(2)申込方法
申込書のページ( https://ipsj1.i-product.biz/ipsjsig/CH/ )をご利用ください。 
(なお、原稿提出はこちらのページから行っていただきます) 
「研究会への連絡事項」欄に「一般(ロング)」か「一般(ショート)」か「学生ポスターセッション」か、必ずご記入ください。 
* 投稿システムで申込後、「講演 申込完了のお知らせ」という件名のメールが自動配信されます。
* 担当幹事より、「講演申込受理 のお知らせ」という件名のメールで、整理番号とパスワード、
原稿執筆の詳細が届き、正式受理となります。正式受理の連絡がない場合は照会先までご連絡くだ さい。 
*先着順にて、定足数に達し次第、締め切りとさせていただきます。 
*お申込み後、原稿提出時の発表ご辞退はお控えいただくようにお願いします。