ヒューマンインタフェースという研究領域は、HCI(Human Computer Interaction)とも呼ばれ、コンピュータを利用した対話型機器やシステムとユーザである人間との接点となる場に焦点をあてている。そこからは、実世界指向、拡張現実感、仮想現実感、ウェアラブルコンピューティングなどの技術が生みだされ、生活や業務、エンタテイメントなどに関連した分野で様々な機器が提案されるに至っている。ただし、そこで重要なことは、ユーザである人間の諸特性や多様な利用状況に適合し、さらに彼らの必要性に適合していることである。その点については、ユーザビリティ工学やUX(User Experience)デザインといった立場があるのだが、HCIの新技術とは必ずしも適切な形での連携がなされているとは言えない。本セミナーでは、インタフェース技術開発、人間中心設計、そしてその基礎となる心理学の専門家をお招きして、現状と今後の課題を明らかにしたい。
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コーディネータ:黒須 正明(放送大学 教養学部情報コース 教授)
【略歴】1978年早稲田大学文学研究科博士課程単位取得満期退学、日立製作所に入社し、中央研究所で日本語入力方式やLISPプログラミング支援環境などの研究開発に従事。1988年同社デザイン研究所に移り、インタラクションデザイン、ユーザビリティ評価の研究に従事する。1996年に静岡大学情報学部情報科学科教授、2001年文部科学省メディア教育開発センター(2005年4月より独立行政法人、2009年4月に放送大学に併合)教授。現在は、放送大学教授。ユーザ工学の立場から人間と人工物の適切な関係のあり方というテーマに取り組んでいる。 |