第2回:ものづくりとICTの新たな統合~Industrie4.0を切る~

日時:2015年7月2日(木)
会場:化学会館7F(本会場) 受付開始時間:9:00~
   大阪大学中之島センター7F 講義室702(遠隔会場) 受付開始時間:9:00~

製造業の実力と輸出で世界から一目おかれるドイツが第四次産業革命を政策に掲げた「インダストリー4.0」を打ち出してから早や4年、日本では昨年あたりから経済界のドイツをみる目が変ってきた。産業の現場を舞台としたソフトウェアに自信を持つドイツは、その情報技術と得意の製造技術を結合して、ポストIT時代における産業や社会の在り方を構想し、そのために求められる企業(経営と製造の両面)、産業界、教育、社会の運営システムの革新を目指して、政府、産業界、学界が一体となった取り組みを始めている。本セミナーでは、我が国の専門家とドイツの関連企業より講師を招き、ドイツの「インダストリー4.0」について、その発想、政策立案と産業界の関係、技術面での挑戦と課題、標準化の進展、我が国へのインパクトなどについて、「インダストリー4.0」の持つ歴史的意義について、議論を深めることとしたい。

永野博様 コーディネータ:永野 博(国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター 特任フェロー)
【略歴】慶應義塾大学工学部及び法学部卒。科学技術庁(現・文部科学省)に入り、ミュンヘン大学に留学後、政策の分析・立案、国際関係、若手研究者支援などの仕事を担当。在西独大使館、鹿島建設㈱、政策研究大学院大学などにも勤務。昨年5月、文部科学省技術参与に就任。国際活動としてはOECD(経済協力 開発機構)グローバルサイエンスフォーラム議長を務める。近著に「世界が競う次世代リーダーの養成」(近代科学社)

セッション1 09:30~10:10

Industrie4.0のチャレンジ - 狙い、課題、インパクト -

Industrie4.0はドイツ政府の政策としては特異なものである。発想の原点が産業界にあり、いわばボトムアップで成立した政策であること、また、関係者による幅広い議論を通して、政策立案の前提として将来ビジョンを構築していること、さらには世界に対しても挑発的な第4次産業革命というネイミングを与えていること、どれをとってもこれまでのドイツの政策とは異なる特徴を有している。それだからこそ、我が国では日ごろは関心の薄いドイツの政策に対して、珍しく大きな関心をよんでいるのであろう。そこで、セミナーのスタートにあたり、Industrie4.0にかかわるドイツの産学官の発想の原点、狙い、アイデア具現化の方法、これからの課題を概説するとともに、我が国の政策立案に欠けるものは何かを考えていく。

永野博様 講師:永野 博(国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター 特任フェロー)
【略歴】慶應義塾大学工学部及び法学部卒。科学技術庁(現・文部科学省)に入り、ミュンヘン大学に留学後、政策の分析・立案、国際関係、若手研究者支援な どの仕事を担当。在西独大使館、鹿島建設㈱、政策研究大学院大学などにも勤務。昨年5月、文部科学省技術参与に就任。国際活動としてはOECD(経済協力 開発機構)グローバルサイエンスフォーラム議長を務める。近著に「世界が競う次世代リーダーの養成」(近代科学社)

セッション2 10:20~11:00

Industrie4.0に続くドイツ提言,その背景と戦略

1990年代の低迷期から欧州で一人勝ちの現状となったドイツにおけるイノベーション戦略Industrie4.0およびその次の戦略であるスマートサービスベルト(スマートサービス世界)の概要、提言の背景、日本としてどう見るかを考察する。IoT応用や自動化による製造業強化の背景にある、労使の構造を変え、産官学の構造を変え、経済の規制を変え、世の中の仕組みそのものを変えて国際競争力をつけ、次の成長を貪欲に志向するドイツのイノベーション戦略は、日本が置かれた環境と成長戦略課題に重なるところが多い。そして、各産業、労使、産官学、個人と組織、それぞれが内包している制約や知識をグローバルオープンにして世の中として新たなパラダイムを作っていく部分と、その中でグローバルコンペティティブネスをどう作っていくかがこれからの戦いである。この戦略を日本としてどうとるべきかを議論する。

野中 洋一様 講師:野中 洋一(株式会社日立製作所 研究開発グループ テクノロジーイノベーション統括本部 生産イノベーションセンタ 生産システム研究部 主管研究員)
【略歴】1991年3月東北大学大学院工学研究科修士課程終了。株式会社日立製作所 生産技術研究所に入社、現在に至る。2000年~2001年米MIT 客員研究員。2007年CIRP-MS Royal Academy of Engineering、Best Paper Award、2008年日本電機工業会電気工業技術功績者優良賞、2010年精密工学会高城賞、2011年ファナックFAロボット財団論文賞。自動制御、生産制御システム、SCMなどの研究に従事。CIRP、精密工学会などの会員。IEC市場戦略会議 Factory of the futureプロジェクト 国際エキスパート。工学博士。

セッション3 11:10~11:50

Industry 4.0 - Smart Manufacturingの国際標準化動向

ドイツ政府が主導するIndustrie 4.0においては、工場や会社が「つながる」ことによる連携が重視されており、その結果として「標準化およびフレームワークの共有」が最優先課題の一つに位置付けられている。国際標準化機関の一つであるIECにおいては、ドイツからの提案を契機としてSmart Manufacturingのための機能モデルやアーキテクチャフレームワークの検討を行うことを目的としたStrategic Group 8(SG8)が2014年7月に設置され、活発な議論が行われている。SG8では、対象とするスコープや参照モデルとするフレームワークについてほぼ合意しており、これからはその合意に基づいた詳細化を行い、2016年中をめどにIECの規格全体を統括する標準管理評議会SMB(Standardization Management Board)に対しての勧告をまとめる予定としている。発表者は、このSG8に日本代表委員として参加しており、本発表ではSG8の現時点での状況および今後の方向性について紹介する。

小田 信二様 講師:小田 信二(横河電機株式会社 マーケティング本部 知財・標準化戦略センター センター長)
【略歴】1986年横河北辰電機(現横河電機)に入社。横河電機の主力製品の一つである分散制御システムのソフトウェアの開発に従事。以来、製品開発のプロジェクトリーダーを務めるとともに、2002年から2005年まで米国開発センター長および2009年から2014年までシンガポール開発センター長として海外での製品開発にも従事する。2014年からIAMKテクノロジーマーケティング室長として、IA(Industrial Automation)分野における標準化活動を担当。2015年から知財・標準化戦略センター長を務める。標準化活動においては、2008年から2009年まで日本OPC協議会代表幹事を務め、現在は、IEC/SMB/SG8日本委員およびIEC/TC65日本国内委員会諮問委員を務める。

お昼休憩 11:50~13:20

セッション4 13:20~14:00

Industrial Internet of Things (IIoT)への挑戦
-グローバルエコシステム構築に向けた Industrial Internet Consortium(IIC)の活用-


IoT(Internet of Things)ということばを最近良く耳にされると思います。IoTとは、ネットワークにあらゆるモノがつながり、モノから様々な情報を入手し、分析することにより得られる新たな情報が様々な場所で活用されることを指します。IoTの実現に向けた世界的に注目されている大きな活動が2つあります。1つはIndustry 4.0、もう一つがIndustrial Internet Consortium (IIC)です。本セミナーでは、Industrial Internet Consortium (IIC)の設立主旨、参加企業、組織構成など、IICの概要とIICの中で議論されているユースケース、リファレンス・アーキテクチャー、テストベッド等、IICの活動状況や現状等をご紹介します。また、当社が何故IICに参加したか等、IICに当社が参加した狙い・目的を具体的な活動事例などをとおしてご紹介するとともに、当社が考えるIoTについてご紹介します。

天満 尚二様 講師:天満 尚二(富士通株式会社 ネットワークサービス事業本部 プリンシパルアーキテクト)
【略歴】1983年広島大学大学院工学研究科博士課程前期修了。同年より富士通株式会社に入社。メインフレーム向け通信制御装置(CCP)、高信頼コミュニケー ションサーバSURE SYSTEMの開発に従事。2001年より暗号製品の開発を経て、セキュリティやロードバンス行うネットワークサーバIPCOMシリーズの製品企画・開発 に従事。現在、セキュリティやIOT分野への適用を含めたSDN/NFVのアーキテクチャ開発、製品企画を推進。

セッション5 14:10~14:50

Industrie4.0に参画するドイツのミッテルシュタント、Beckhoff Automationの取り組み

制御機器メーカとしてIndustrie 4.0に参画するベッコフオートメーションはオープンスタンダードを採用・推進することで持続的に成長しているドイツの中堅企業(ミッテルシュタント)の一社です。2014年には「ドイツのミッテルシュタント100選」の第6位に選出され、Industrie 4.0への注目が高まるとともにその取組が日本でも取り上げられることが増えてきました。本講演ではベッコフが属しているクラスター「IT’s OWL」での取り組みを紹介し、Industrie 4.0への参画を通じて推進している国際標準規格のネットワーク技術であるEtherCAT/OPC-UAの紹介を行い、クラスター活動の成果としても注目されている無配線高速搬送システムXTSのご紹介をします。中堅企業がグローバルに成長していくためにベッコフが注力しているオープン戦略の位置付けとIndustrie 4.0が与える業界への意味合いについてもご紹介します。

川野 俊充様 講師:川野 俊充(ベッコフオートメーション株式会社 代表取締役社長)
【略歴】1998年 東京大学理学部 物理学科 卒業。 1998年 日本ヒューレット・パッカード株式会社入社。(半導体計測機開発エンジニア)、 2003年 カリフォルニア大学バークレー校 ハース経営大学院経営学修士。 2004年 日本ナショナルインスツルメンツ株式会社入社。(プロダクト事業部事業部長)、 2007年より慶應義塾大学SFC研究所 上席所員(訪問)、 2011年よりベッコフオートメーション株式会社 代表取締役社長。 現在「EtherCAT」開発元のベッコフオートメーションにて、ソフトウェアPLC/NC/RCのTwinCATによるPC制御ソリューションの普及に努めています。

セッション6 15:00~15:40

シーメンスPLMソフトウェアが提唱する更なる先へ「Industrie 4.0」

新しい日本のものづくりを目指した改革が始まっています。その方向性は、ドイツが提唱するIndustry4.0が示唆しており、シーメンスインダストリソフトウェアでは、ものづくりを支援するIT基盤であるPLM(Product Lifecycle management)ソリューションを開発・提供しています。従来日本では、優秀な熟練者がものづくりの現場を支えてきましたが、グローバル化や高齢化という課題に直面しています。一方、自動車を始め工業製品は機械設計と組込ソフト設計を高度に融合させる事が商品競争力となっており、かつ、品質問題の原因にもなっています。まさにメカトロニクスを同時にシミュレーションし実験検証していくPLMソリューションが求められています。本講演では、Indstry4.0とIT基盤であるPLMがどのように連携し、ものづくりを支援していくのか、最新の技術動向と事例についてご紹介します。

堀田 邦彦様 講師:堀田 邦彦(シーメンスインダストリーソフトウェア株式会社 代表取締役社長)
【略歴】84年九大機械工学修了後、日本鋼管(現JFE)に入社。89年から始まった次世代三次元CAD開発のため3年間米国赴任。帰国後は、販売・マーケティングも担当。一方、慶応大学MBA社会人向け講座で経営の基礎を学ぶ。02年にフランスに本社のあるダッソーシステムズへ転職。08年にベルギーに本社があるLMSジャパン(現シーメンスインダストリソフトウェアS&T)の社長に就任。13年1月のシーメンスへの吸収合併を経て現職。

パネル・ディスカッション 15:50~16:50

パネル討論「ドイツと日本の向かう方向」

【討論概要】ドイツと日本は製造業、ものづくりでは、ともに世界をリードする位置にある。また、情報通信技術においてもそれぞれ強みがある。グローバル化する世界の中で、中長期的に経済面、技術面での競争力が問われる今、ドイツと日本はどのような将来構想を描き、構想実現のための戦略、政策を編み出そうとしているのか、講演の内容を踏まえ議論する。

永野 博様 司会永野 博(国立研究開発法人 科学技術振興機構 研究開発戦略センター 特任フェロー)
【略歴】慶應義塾大学工学部及び法学部卒。科学技術庁(現・文部科学省)に入り、ミュンヘン大学に留学後、政策の分析・立案、国際関係、若手研究者支援などの仕事 を担当。在西独大使館、鹿島建設㈱、政策研究大学院大学などにも勤務。昨年5月、文部科学省技術参与に就任。国際活動としてはOECD(経済協力開発機 構)グローバルサイエンスフォーラム議長を務める。近著に「世界が競う次世代リーダーの養成」(近代科学社)
野中 洋一様 パネリスト野中 洋一(株式会社日立製作所 研究開発グループ テクノロジーイノベーション統括本部 生産イノベーションセンタ 生産システム研究部 主管研究員)
【略歴】1991年3月東北大学大学院工学研究科修士課程終了。株式会社日立製作所 生産技術研究所に入社、現在に至る。2000年~2001年米MIT 客員研究員。2007年CIRP-MS Royal Academy of Engineering、Best Paper Award、2008年日本電機工業会電気工業技術功績者優良賞、2010年精密工学会高城賞、2011年ファナックFAロボット財団論文賞。自動制御、生産制御システム、SCMなどの研究に従事。CIRP、精密工学会などの会員。IEC市場戦略会議 Factory of the futureプロジェクト 国際エキスパート。工学博士。
小田 信二様 パネリスト小田 信二(横河電機株式会社 マーケティング本部 知財・標準化戦略センター センター長)
【略歴】1986年横河北辰電機(現横河電機)に入社。横河電機の主力製品の一つである 分散制御システムのソフトウェアの開発に従事。以来、製品開発のプロジェクトリーダーを務めるとともに、2002年から2005年まで米国開発センター長 および2009年から2014年までシンガポール開発センター長として海外での製品開発にも従事する。2014年からIAMKテクノロジーマーケティング 室長として、IA(Industrial Automation)分野における標準化活動を担当。2015年から知財・標準化戦略センター長を務める。標準化活動においては、2008年から 2009年まで日本OPC協議会代表幹事を務め、現在は、IEC/SMB/SG8日本委員およびIEC/TC65日本国内委員会諮問委員を務める。      
天満 尚二様 パネリスト天満 尚二(富士通株式会社 ネットワークサービス事業本部 プリンシパルアーキテクト)
【略歴】1983年広島大学大学院工学研究科博士課程前期修了。同年より富士通株式会社に入社。メインフレーム向け通信制御装置(CCP)、高信頼コミュニケー ションサーバSURE SYSTEMの開発に従事。2001年より暗号製品の開発を経て、セキュリティやロードバンス行うネットワークサーバIPCOMシリーズの製品企画・開発 に従事。現在、セキュリティやIOT分野への適用を含めたSDN/NFVのアーキテクチャ開発、製品企画を推進。     
川野 俊充様 パネリスト川野 俊充(ベッコフオートメーション株式会社 代表取締役社長)
【略歴】1998年 東京大学理学部 物理学科 卒業。1998年 日本ヒューレット・パッカード株式会社入社。(半導体計測機開発エンジニア)、2003年 カリフォルニア大学バークレー校 ハース経営大学院経営学修士。2004年 日本ナショナルインスツルメンツ株式会社入社。(プロダクト事業部事業部長)、2007年より慶應義塾大学SFC研究所 上席所員。(訪問)、2011年よりベッコフオートメーション株式会社 代表取締役社長。現在「EtherCAT」開発元のベッコフオートメーションにて、ソフトウェアPLC/NC/RCのTwinCATによるPC制御ソリューションの普及に努めています。
堀田 邦彦様 パネリスト堀田 邦彦(シーメンスインダストリーソフトウェア株式会社 代表取締役社長)
【略歴】84年九大機械工学修了後、日本鋼管(現JFE)に入社。89年から始まった次世代三次元CAD開発のため3年間米国赴任。帰国後は、販売・マーケティングも担当。一方、慶応大学MBA社会人向け講座で経営の基礎を学ぶ。02年にフランスに本社のあるダッソーシステムズへ転職。08年にベルギーに本社があるLMSジャパン(現シーメンスインダストリソフトウェアS&T)の社長に就任。13年1月のシーメンスへの吸収合併を経て現職。

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