第5回:IoTが未来を創る:データ駆動型経済の夜明け

日時:2015年11月24日(火)
会場:化学会館7F(本会場) 受付開始時間:9:00~
   大阪大学中之島センター7F 講義室702(遠隔会場) 受付開始時間:9:00~

社会を支える基盤として「データ」の価値が認識されつつあります。OECDにおいても、新たな成長の源泉として「データ」の価値が議論されています。インターネットや携帯電話は既に広く普及したものの、社会の変革という視点ではまだまだ初期的な段階にいるにすぎません。都市、交通、農業、医療、介護、バリアフリー、環境、教育、労働などのそれぞれの産業にIoT(Internet of Things)が適用されてこそ、産業構造、経済構造、社会構造の大きな変革につながります。本セミナーでは、データ駆動型経済の実現に向けIoTが果たすべき役割を実例を示しながら明らかにするとともに、IoTプラットフォームからセキュリティまでIoTの飛躍に必要となる事項について議論します。

森川 博之様 コーディネータ:森川 博之(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)
【略歴】1987年東京大学工学部電子工学科卒業。1992年同大学院博士課程修了。現在、同大学・先端科学技術研究センター・教授・工博。1997年から1998年コロンビア大学客員研究員。2002年から2006年情報通信研究機構モバイルネットワークグループリーダ兼務。ユビキタスネットワーク、センサネットワーク、ビッグデータ/M2M/モノのインターネット、無線通信システムなどの研究に従事。情報処理学会論文賞、電子情報通信学会論文賞(3回)、ドコモモバイルサイエンス賞、総務大臣表彰、志田林三郎賞等受賞。新世代M2Mコンソーシアム会長、OECD/CDEP副議長、総務省情報通信審議会委員等。

セッション1 09:30~10:30

データ駆動型経済

ブロードバンドや携帯電話の普及など、情報通信技術(ICT)は社会のあり方に大きな変化を与えてきた。しかしながら、ICTは蒸気機関や電気と並ぶ「汎用技術(General Purpose Technology)」であり、ICTが真に社会に溶け込み産業構造、経済構造、社会構造までをも変革するには、さらに数10年を要する。この社会変革を推進する起爆剤がIoTである。本講演では、まず、IoTのデータ自身が価値を産み出すデータ駆動型経済の時代に突入していることを示す。次いで、IoTが果たすべき役割として、土木、医療・ヘルスケア、まち、農業、工場などを含むすべての産業領域に新たな価値を与える「社会基盤としてのIoT」を示す。あわせて、IoTが業界構造や研究開発の「再定義」を促していることを実例を示しながら示し、競争戦略や業務運営に及ぼす意味合いを探る。最後に、データ駆動型経済の実現に向けて、システムのシステム(System of Systems)、フィールド指向、デザイン能力、知識ベース資産への投資が重要となることを示す。

森川 博之様 講師:森川 博之(東京大学 先端科学技術研究センター 教授)
【略歴】1987年東京大学工学部電子工学科卒業。1992年同大学院博士課程修了。現在、同大学・先端科学技術研究センター・教授・工博。1997年から1998年コロンビア大学客員研究員。2002年から2006年情報通信研究機構モバイルネットワークグループリーダ兼務。ユビキタスネットワーク、センサネットワーク、ビッグデータ/M2M/モノのインターネット、無線通信システムなどの研究に従事。情報処理学会論文賞、電子情報通信学会論文賞(3回)、ドコモモバイルサイエンス賞、総務大臣表彰、志田林三郎賞等受賞。新世代M2Mコンソーシアム会長、OECD/CDEP副議長、総務省情報通信審議会委員等。

セッション2 10:45~11:45

IoT/M2M技術標準化、業界アライアンス動向

データがビジネスを支配する時代となり、IoT/M2Mの技術進化が著しい。また水平型プラットフォーム技術の標準化と共に、業種分野毎のVerticalなエコシステムや協業アライアアンス、コンソーシアムも進化している。欧米を中心とする先進各国では、産業・製造業の再躍進を目的とする国家およびグローバルレベルの戦略的取り組みが始まっており、米国ではインダストリアル・インターネット(IIC)、ドイツではインダストリー4.0と称し、第4次産業革命と位置づけています。M2M(Machine to Machine)/IoT(Internet of Things)を活用してビッグデータを分析し、様々な分野に革新をもたらそうとするものです。本講演では、乱立する水平技術標準化の動向と、業種分野毎に乱戦模様の業界アライアンス動向を俯瞰的に整理すると共に、各分野のIoT/M2Mの戦略と今後の課題について概説します。

木下 泰三様 講師:木下 泰三(株式会社日立製作所 情報・通信システム社 IoT ビジネス推進統括本部 事業主管)
【略歴】1981年 日立製作所 中央研究所入社
2002年 中央研究所 企画室長、マルチメディア研究部長
2004年 ワイヤレスインフォベンチャーカンパニー長
2013年 通信ネットワーク事業部 事業主管
2015年 IoT ビジネス推進統括本部 事業主管

お昼休憩 11:45~13:15

セッション3 13:15~14:15

IoTを支えるネットワーク基盤技術

M2MからIoTへとモノの通信がシフトしていく中で、これらの通信を支えるネットワークにおいても求められる要件・技術が変化してくることが予想されます。M2Mにおけるセンサー/デバイスからの情報を収集・蓄積・活用するという形態だけではなく、今後のIoTサービスの進展に向けては、自動車通信や映像通信(映像監視等)などの例にも見られるように、よりリアルタイムな通信・制御がICTインフラには必要となってきてそれらを支えるネットワークにおいては、高速、低遅延、高帯域を提供できる技術要素が付加価値創出のキーポイントになると考えています。本講演では、これからのIoTサービスを実現していくネットワーク基盤技術として求められるものについて説明します。

佐藤 崇様 講師:佐藤 崇(日本電気株式会社 キャリアサービス事業部 部長)
【略歴】1993年NEC入社。入社以来、局用交換機の呼制御ソフトウェア開発に従事し、その後VoIPシステム/SIPサーバの製品事業を経験。2007年からネットワークサービス事業の企画・開発を経て、2014年よりIoT/M2M事業を担当しCONNEXIVEプラットフォームを中心としたIoT/M2Mネットワーク事業に従事。新世代M2Mコンソーシアム理事。       

セッション4 14:30~15:30

IoTにおける脅威と脆弱性検討のポイント

組込みシステムセキュリティは、内閣官房NISCの研究開発戦略(2014年6月)において、連携機能による高度化が顕著な家電や自動車といった生活機器の領域に取組みを広げる方針が掲げられた。本講演では、急速な増加が見込まれる生活機器を中心に組込みセキュリティに関する脅威事例を紹介しながら、過去から現在に至る脅威のトレンドについて考察する。次に、IPAより発行されている「自動車の情報セキュリティへの取組みガイド」をもとに組込み機器における脆弱性検討のポイントを解説する。特に、脅威分析において、情報セキュリティにおける脅威分析手法(CVSS)を適用した場合の考慮ポイントについて解説する。

荻野 司様 講師:荻野 司(重要生活機器連携セキュリティ協議会 代表理事)
【略歴】1986年キヤノン(株)入社。中央研究所を経て、ハードウェア及びソフトウェア設計等、新製品の開発に携わる。2003年9月(株)ユビテック代表取締役社長に就任。クラウドとネットを利用したカーソリューション事業や省エネ事業を展開。2014年9月からはユビテックの社長を退任、重要生活機器連携セキュリティ協議会を立ち上げ、代表理事として組込みセキュリティに関する基盤技術開発を推進している。また、京都大学特任教授として、最先端技術の産業応用に向けた活動も行っている。

セッション5 15:45~16:45

デジタル化社会の到来と産業変革の最新動向~IoTからIoEへ

近年、IoTを取り巻く環境は急速に発展し、あらゆる産業分野を巻き込みながらビジネスと社会の大変革をさせはじめています。更にモノに加えて、人、データ、プロセスの全てがつながるInternet of Everything(IoE)の到来によるデジタル化は、あらゆるものがつながることで生まれる新しいビジネスチャンスをもたらしています。このセッションでは、最新のIoTビジネス動向、「データ」の活用によるKiller Appの事例紹介、業界を越えたエコシステム形成動向などビジネス面にフォーカスしたグローバルの視点でみたIoTが与えはじめたインパクト、産業モデルの変遷、ソフトウエア・情報処理分野に対する期待などのお話をさせていただきます。

木下 剛様 講師:木下 剛(一般財団法人 インターネット協会 副理事長)
【略歴】シスコシステムズ合同会社において専務執行役員として、戦略事業開発並びにIoEイノベーションセンターを担当。現在、インターネット協会(IAjapan)副理事長、FIMコンソーシアム副理事長、新経済連盟IoT価値創造ワーキンググループの主査を務めるなど、積極的な社外活動を通じたインターネットの発展へ業界のメンバーとともに取り組んでいます。

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