第1回:クラウド基盤技術の最新動向

日時:2015年6月18日(木)
会場:化学会館7F(本会場) 受付開始時間:9:00~
   大阪大学中之島センター7F 講義室702(遠隔会場) 受付開始時間:9:00~

クラウドコンピューティングを支える基盤技術については、オープンクラウドの流れが定着し、コモディティー化しつつある部分もありますが、一方でコンテナ技術やインタークラウドなど新たな技術も急速に発展しつつあります。本セミナーにおいては、OpenStackなどオープンソースによるクラウド管理ソフトウェアからOpen Compute Projectに代表されるハードウェアのオープン化にわたるオープンクラウドの最新動向について紹介するとともに、SDN(Software Defined Network)やSDDC(Software Defined Data Center)、Dockerなどのコンテナ技術、クラウド間の連携を実現するインタークラウドなど、クラウド基盤を支える最新の技術動向について紹介し、今後に向けた展望を議論します。

棟朝 雅晴様 コーディネータ:棟朝 雅晴(北海道大学 情報基盤センター 副センター長・教授)
【略歴】1996年北海道大学大学院工学研究科博士課程修了。北海道大学工学部助手,イリノイ大学基礎工学部客員研究員,北海道大学情報メディア教育研究総合センター助教授,同大情報基盤センター助教授,准教授を経て2012年より現職。クラウドコンピューティング,並列分散処理,最適化アルゴリズム,進化計算,メタヒューリスティクス,機械学習等に関する研究に従事。国内最大規模の学術クラウド「北海道大学アカデミッククラウド」を設計するとともに,学術クラウド全般にわたる普及活動を推進している。大学ICT推進協議会クラウド部会主査,7大学情報基盤センタークラウドコンピューティング研究会主査, クラウド利用促進機構総合アドバイザー,日本MSP(Managed Service Provider)協会顧問。

OPENING 09:30~09:45

コーディネータ:棟朝 雅晴(北海道大学 情報基盤センター 副センター長・教授)

セッション1 09:45~10:45

クラウドを支える基盤技術「OpenStack」と周辺技術の最新動向

急速な発展を遂げているクラウド技術・市場であるが、その強力な牽引要素の1つとしてOpenStackが挙げられる。OpenStackはサービスプロバイダーやネット系企業に留まらず、製造業や金融での活用が進み始め、まさに産業の基盤を支える技術へと成長を遂げつつある。そして今日、OpenStackの発展に合わせるように、クラウドという新しい領域で、これまでにないコンセプトやアイデアに基づいたソフトウェアが次々と誕生し始めている。本セッションでは、OpenStackの現状と最新動向を紹介するとともに、クラウドならではの周辺技術として、OpenStack上で「クラウドネイティブ」なシステムを実現するアプローチについての一例を取り上げ、その原理の解説と実際の動作デモを行う。

中島 倫明様 講師:中島 倫明(伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 クラウドイノベーションセンター)
【略歴】日本OpenStackユーザ会 会長、一般社団法人クラウド利用促進機構 技術アドバイザーを務めつつ、国内でのOpenStack/クラウドの普及・啓蒙・人材育成を行う。普段は伊藤忠テクノソリューションズに勤務し、OSSを中心としたクラウド技術の企画・開発を主な業務としながら、国立情報学研究所(トップエスイー)/東京大学にて非常勤講師としてクラウド基盤に関する講義を行っている。

セッション2 11:00~12:00

Open Compute Projectによるクラウド基盤の変革

2011年4月、フェイスブック社が中心となりOpen Compute Project(OCP)を開始しました。これはデータセンタで使用するサーバ、ストレージ、ネットワーク、ラック、そして、データセンタの構造などに関するハードウエアの仕様書、設計図をオープンソースとして公開し業界全体で共有するオープン・ハードウエアのプロジェクトです。ここでは、OCPの概要、サーバ、ストレージの技術的側面から見た特徴、そして、Rack Scale Architecture、Silicon Photonicsなどの技術を交えた新たなアーキテクチャによるサーバ技術を共有すると共に、OCPに参加・賛同するサービス事業者の動向と今後の展望を考察します。

藤田 龍太郎様 講師:藤田 龍太郎(ネットワンシステムズ株式会社 市場開発本部 ソリューション営業部 シニアエキスパート)
【略歴】1988年 ネットワンシステムズ株式会社入社。日本におけるインターネット黎明期からその構築に携わる。2013年 オープンコンピュートプロジェクトジャパン(OCP-J)座長、2014年 会津大学特認教授、2015年 市場開発本部ソリューション営業部所属、クラウドサービス開発を担当。

お昼休憩 12:00~13:15

セッション3 13:15~14:15

クラウドにおけるネットワークインフラの課題と将来展望

クラウドが普及するにつれ、その重要なインフラであるネットワークの課題が明らかになってきており、それに対応するための技術としてOpen Flowやオーバレイなどを含む様々なSDNソリューションが各ベンダーや業界団体から提供されつつあります。このセッションでは、様々課題の整理、各ソリューションの技術的なアプローチについて紹介・説明しつつ、クラウドの重要な基礎技術としてのネットワークのあり方、実際に導入の進んでいる技術、将来展望についてお話します。

水島 勇人様 講師:水島 勇人(シスコシステムズ合同会社 データセンターバーチャライゼーション事業 テクニカル ソリューション アーキテクト)
【略歴】データセンター・クラウド向けSDN製品のアーキテクトとしてACI・Nexus 9000を担当。Ciscoの製品技術にかぎらず、SDNやクラウド技術全般に知悉し、実際の導入に向けたコンサルティング、技術支援とNexusシリーズ、ACIのマーケティング・販売戦略の策定などに携わりSDNの促進、立ち上げに携わる。それ以前はシスコ製品のチャネル戦略の担当エンジニアとして、クラウド関連製品の立ち上げ、技術支援などに従事。前職では米系通信キャリアにおいてネットワークエンジニアとしてキャリアをスタートし、データ系ネットワークのコンサル、アーキテクトなどに携わる。

セッション4 14:30~15:30

"Docker is NOT Container." ~Dockerとコンテナ技術、PaaSの関係を理解する

コンテナ技術を活用した管理ツールとして注目を集める「Docker」は、次世代のPaaSを実現するエンジンとして誕生したことをご存じでしょうか?Dockerは、単なるコンテナ管理ツールではありません。Dockerが目指す「ポータビリティのあるアプリケーション実行環境」とは何か、そのためになぜコンテナ技術が必要だったのか?その真相をDockerの生い立ちから紐解いていきます。コンテナのオーケストレーションツールとして開発が進められている「Kubernetes」についても、実機デモを交えてご紹介いたします。

中井 悦司様 講師:中井 悦司(レッドハット株式会社 グローバルサービス本部 Senior Solution Architect & Cloud Evangelist)
【略歴】1971年大阪生まれ。予備校講師から転身、外資系ベンダーでLinux/OSSを中心とするプロジェクト、問題解決をリードするかたわら、多数のテクニカルガイド、雑誌記事などを執筆。その後、レッドハットに移り、エバンジェリストとして企業システムにおけるLinux/OSS活用の促進に注力。

セッション5 15:45~16:45

クラウドを束ねるインタークラウド技術

近年、大学や研究機関等の学術分野においてもクラウドコンピューティングに対する期待が高まり、大学によるプライベートクラウドやコミュニティクラウドの運用、学内サーバのパブリッククラウドへの移行等の事例が増えている。今後、クラウドの利用はさらに進むことが予想され、様々なクラウドを活用することにより高度な研究教育基盤を整備することが重要となる。このような状況の中、複数のクラウド基盤を連携させて一体的に利用するためのインタークラウド技術が注目されている。本講演では、主に学術分野におけるインタークラウドへの期待について述べるとともに、インタークラウドを実現するための要素技術や研究の最新動向を紹介する。

合田 憲人様 講師:合田 憲人(国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 教授)
【略歴】1996年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程単位取得退学。1997年博士(工学)(早稲田大学)取得。早稲田大学情報科学研究教育センター助手、東京工業大学大学院情報理工学研究科数理・計算科学専攻助手、同大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻講師、同大学院総合理工学研究科物理情報システム専攻助教授を経て、現在、国立情報学研究所アーキテクチャ科学研究系教授。

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