第6回:アナリティクス適用事例

日時:2014年12月1日(月)
会場:化学会館7F(本会場) 受付開始時間:9:30~
   大阪大学中之島センター5F 講義室507(遠隔会場) 受付開始時間:9:30~

ビッグデータに注目が集まっていますが、データをどのようにビジネスに活かすかについては、まだまだ試行錯誤であることが多いようです。データ分析(アナリティクス)は、システム化の効果が予測できる一般のシステム構築とは異なり、何が見つかるかわからない探索的な作業になるからです。本セミナーでは、アナリティクスをビジネスに活かすためにどのような点に気を付けたらよいのか、サービス業と製造業における実際の適用事例を含めながら、その本質を探ります。

丸山 宏様コーディネータ:丸山 宏 (情報・システム研究機構 統計数理研究所 副所長・教授)
【略歴】1983年東京工業大学理工学研究科情報科学専攻修士課程修了。同年日本アイ・ビー・エム株式会社入社、ジャパン・サイエンス・インスティチュート(後の東京基礎研究所)に配属。自然言語処理、セキュリティなど様々な分野のソフトウェアの研究に従事。2006年から2009年にかけて、同社東京基礎研究所所長。2011年から現職。工学博士。

OPENING 10:00~10:10

コーディネータ:丸山 宏(情報・システム研究機構  統計数理研究所  副所長・教授)

セッション1:アナリティクス技術の産業応用事例

[10:10-11:10]
膨大なデータが生み出される現代において、アナリティックス技術の進歩が、拡大するコンピューティングパワーとの相乗効果により、いわゆるビッグデータ分析のエリアで実際に活用されるようになってきた。アナリティックス技術の扱う領域は、マーケティング、人間の行動モデリング、スマーターシティ、アセット保全・異常検知、工場プロセス最適化、トラジェクトリ解析、顧客の声の分析、質問応答等々、非常に幅広いエリアで活用されるようになっている。本講演では、それらの様々なエリアでのアナリティックスの産業応用事例を紹介する。

渡辺 日出雄様 講師:渡辺 日出雄(日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所)
【略歴】1986年京都大学工学部電気工学第二学科修士課程修了。工学博士(1996年)。1986年日本アイ・ビー・エム株式会社入社、現東京基礎研究所に配属。以来、自然言語処理の研究に従事し、特に機械翻訳やテキストマイニングの研究を行う。2012年よりレジリエンス工学、2013年より数理科学のチームのマネージャーに就任し、自然災害からの早期の復興をもたらすIT技術の研究やビッグデータ分析の研究のチームをリードしている。2010年人工知能学会より「現場イノベーション賞(金賞)」を受賞、2012年には文部科学省より「文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)」を授与された。

セッション2:マイクロマーケティング高度化のためのビッグデータの解析

[11:25-12:25]
マーケティング分野では、他分野と同様にビッグデータの蓄積が進んでおり、特にマイクロマーケティングを意識したビッグデータの高度活用が企業の大きな課題となっている。マイクロマーケティングとは、個人、個別時点、個別エリアといった様々な”個”に焦点を当てたマーケティング活動である。その点を踏まえた場合、データマイニング技法のように全探索性能に優れたデータ活用法だけでは不十分であり、特に「消費者の異質性」や「時間的異質性」といった情報を抽出できる技術開発が非常に重要である。本発表では、マイクロマーケティングでの活用を意識した、ベイジアンモデリングによるビッグデータの解析事例を紹介する。具体的には、マイクロマーケティングにおけるモデリングの考え方とID付POSデータを用いた実際の情報抽出事例を紹介する。

佐藤 忠彦様講師:佐藤 忠彦(筑波大学 大学院ビジネス科学研究科経営システム科学専攻 教授)
【略歴】2004年総合研究大学院大学数物科学研究科統計科学専攻修了。博士(学術)。2005年より筑波大学大学院ビジネス科学研究科勤務。現在筑波大学ビジネス・サイエンス系教授。マーケティングにおけるベイジアンモデリングの研究に従事。著書として「ビッグデータ時代のマーケティング」(講談社)、「現代マーケティングリサーチャ-市場を読み解くデータ分析」(有斐閣)(いずれも共著)

お昼休憩 12:25~13:40

セッション3:Web広告におけるデータ分析と最適化~アドテクノロジーの進化

[13:40-14:40]
データを活用したリアルタイム取引は、その中核となる基盤技術(RTB = Real Time Budding)を介し相互接続することで、インプレッション単位で都度売買が可能となり、Web広告のビジネス・ルールを様変わりさせた。RTBは、欧米では2008年頃から、日本では2011年ごろから、一気に普及した最新テクノロジーで、複雑な作業を効率化することで取引を大きく成長させてきた。これらには実に様々なアナリティクス技術やアルゴリズムで支えられている。RTBにおけるオークションを効率的に活用するための入札ロジック、リアルタイムに送られてくるインプレッション評価(スコア化)、限られた予算を効率的に運用するための最適化(ROI)など、分析結果に基づき自動的に運用されている。また、昨今では機械学習などによる自動化だけではなく、独自の視点でアナリティクス技術を活用した運用型ソリューションも注目されている。本講演では、アドテクノロジー領域におけるアナリティクス技術の活用事例を紹介しつつ、アドの領域を超え、次にステージ(マーケティングのデジタル化)に向かって重要となるアナリティクス技術(自動化と意思決定支援)の活用法やアナリストに求められるリテラシーについて解説します。

講師:磯崎 直樹(ソネット・メディア・ネットワークス株式会社 商品企画部 部長 兼 データマイニング部 シニアアナリスト)
【略歴】マーケティング・エージェンシーにて、外資系企業を中心に定性リサーチをベースにした意思決定をサポート。2000年以降、マーケティングデータを活用したCRM戦略や顧客分析・ログ解析・データマイニングシステムの導入などに携わり、ソネット・メディア・ネットワークスでは、アドテクノロジーの一端を担うデータの収集・分析・BIの設計、顧客の反応モデルや最適化モデルの構築などに従事。

セッション4:技術開発・製品開発のための統計解析

[14:55-15:55]
本講演では、技術開発・製品開発に必要とされる統計解析を解説します。主な内容は回帰分析、統計的品質管理、実験計画法およびロバストパラメータ設計です。一般に、品質改善ないしばらつき低減のための対策は、(1)原因そのものの除去(2)原因の影響を減衰のうちどちらかであるといわれています。(1)はばらつきの原因を見つけ、その原因を制御することで特性のばらつきを低減することです。伝統的な統計的品質管理は、問題解決型QCストーリーによる原因そのもの発見および除去を目的とします。これに対し、(2)は原因が変動しても特性が変動しないという緩衝機構を与えることにより、設計開発段階におけるばらつきの低減を行う実験的な方法です。これはロバストパラメータ設計(タグチメソッド)として知られています。本講演では、特に「変動要因解析のための回帰分析」および「統計モデルによるロバストパラメータ設計」を解説します。

河村 敏彦 様講師:河村 敏彦(情報・システム研究機構 統計数理研究所 助教)
【略歴】1975年広島県に生まれる。2004年広島大学大学院工学研究科複雑システム工学専攻博士後期課程修了、博士(工学)。2006年統計数理研究所入所。2011年ジョージア工科大学産業システム工学科(Georgia Institute of TechnologyIndustrial & Systems Engineering)客員研究員(2012年3月まで)。現在、統計数理研究所データ科学研究系・助教、サービス科学研究センター、総合研究大学院大学複合科学研究科統計科学専攻(兼)。専攻は統計的品質管理、品質工学。

セッション5:データに基づく意思決定

[16:10-17:10]
ビッグデータがブームになっている。ITベンダーはここぞとばかりに巨大な並列サーバーやデータ分析ソフトを売り込んでいる。データさえ大量にあれば、自動的にイノベーションが起きると言わんばかりである。しかし、何のためのデータか、という本質を見失ってはならない。データはあくまでも意思決定のための材料である。意思決定者に、データの意味を見抜く力がなければ、結局は役に立たない。どのようなデータがあれば、どのような意思決定ができるのか、を想像した上でデータを集め始めるべきである。この講演では、機械学習やデータ同化などの最新の技術動向を織り込みつつ、データをどのように意思決定に結びつけるか、意思決定者に必要なリテラシーについて議論する。

丸山 宏様講師:丸山 宏 (情報・システム研究機構 統計数理研究所 副所長・教授)
【略歴】1983年東京工業大学理工学研究科情報科学専攻修士課程修了。同年日本アイ・ビー・エム株式会社入社、ジャパン・サイエンス・インスティチュート(後の東京基礎研究所)に配属。自然言語処理、セキュリティなど様々な分野のソフトウェアの研究に従事。2006年から2009年にかけて、同社東京基礎研究所所長。2011年から現職。工学博士。

情報処理学会では、産業界(実務家)の視点から、関心度の高いテーマ、注目のテーマ、技術の先進性に富んだテーマを取り上げて、その最前線で活躍されている方を講師に招き、年数回にわたってセミナーを開催しています。

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