[14:55-15:55]
予測市場(Prediction Markets)とは、未来を予測するためのマーケットで、情報市場(Information Markets)、事象先物(Event Futures)などとも呼ばれています。具体的には、予測したい物事の未来の状態に応じて事後的に価値が定まる仮想の証券(予測証券)を発行し、それを多くの参加者に仮想の市場で自由に売買してもらいます。そして、その過程で現れてくる証券価格の推移に基づいて、予測対象の未来の状態に関する動的な予測を得るというものです。これによって、不特定多数の市場参加者の頭の中に存在する、予測や意思決定に役立つ情報を効率的に収集することが可能になります。予測市場は、これまでに、選挙予測や娯楽目的のほか、市場調査、疫学調査などにも応用されてきました。また、それらの成功が呼び水になって、特に欧米では、企業等の組織内でも活発に利用されるようになってきています。本講演では、予測市場を機能させるための仕組みや予測市場の応用例について紹介します。 

講師:
水山 元(青山学院大学 理工学部 経営システム工学科 准教授)
【略歴】1992年京都大学大学院精密工学専攻修士課程修了。住友金属工業(株)数理技術室勤務、京都大学助手、講師を経て、2011年より青山学院大学理工学部経営システム工学科准教授。博士(工学)。生産システムをGoods、Service、Ideaを組織的に生み出す系として広く捉え、その設計、分析、改善、支援等の研究に従事。最近は、予測市場などの集合知メカニズムとその応用に興味を持つ。