2020年度受賞者

2020年度情報環境領域功績賞受賞者

情報環境(IE)領域功績賞は,本領域の研究会分野において,優秀な研究・技術開発,人材育成,および研究会・研究会運営に貢献したなど,顕著な功績のあったものに贈呈されます.本賞の選考は,IE領域功績賞表彰規程およびIE領域功績賞受賞者選定手続に基づき,本領域委員会が選定委員会となって行います.本年度は7研究会の主査から推薦された下記7件の功績に対し,本領域委員会(2021年3月3日)で慎重な審議を行い決定しました.各研究経由で表彰状が授与されます.

岡村耕二  君 (マルチメディア通信と分散処理研究会)
[推薦理由]
岡村氏は長きに渡ってマルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO)シンポジウムの公式Webサーバの運用管理を担当され、特にdicomo.orgのドメイン管理を含む運用を通じて、シンポジウム運営に必須の情報配信において多大な貢献があった。参加者やシンポジウムに関心のある全ての利用者にサービスを提供する情報インフラを利用可能にし、情報環境領域を構成する10研究会共催の400名規模の大型シンポジウムの運営に貢献頂いてきた。
DICOMOシンポジウムは今年度で24回の開催を重ねている。岡村氏は1998年から本シンポジウムに参加され、DICOMO2001より実行委員として運営に関わられた。DICOMOシンポジウムが参加者数や共催研究会数において規模を増し、論文発表件数が増える過程でインターネットでの情報発信が重要な役割を持つに至った。それまでFAXやメールで賄われていた情報提供手段に公式サイトが加わったのは2000年であった。多くの利用者に親しまれているドメイン名であるdicomo.orgは2000年11月30日に岡村先生によって取得されている。インターネット情報発信インフラの設置にあたりボランティアとしてこの活動を担当され、それ以降の安定したインフラの運用は岡村氏の努力に依るところが大きい。岡村先生はこの活動についてDICOMOシンポジウムから活動功労賞を2013年に受賞されており、このことは岡村氏の貢献の大きさを示すものである。
DICOMOシンポジウム運営委員会は岡村氏の支援を得ながら今年度から公式サイトを含むインターネット情報発信インフラの運用体制を改めつつある。上記のとおり岡村先生の活動によって受益した本会会員は数えきれず、この機会に岡村先生をIE領域功績賞に推薦することとしたい。
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志築文太郎 君 (ヒューマンコンピュータインタラクション研究会)
[推薦理由]
志築文太郎氏は,2003年からHCI研究会の委員,および幹事を担当し,HCI研究会の運営・発展に大いに寄与してこられた.同2003年から,HCI研究会が共催するシンポジウムであるインタラクションの実行委員を,インタラクション2020ではPC委員長を担当した.志築氏は,本学会論文誌ジャーナル編集委員会の論文賞選定ワーキンググループ委員や,論文誌特集号の編集委員・幹事,本学会の全国大会・FITの実行委員としても活躍されており,IE領域のみならず,情報処理学会全体の発展に寄与してこられた.
研究面では,ヒューマンコンピュータインタラクションに関する様々な研究を国内外のトップカンファレンスや論文誌に多く発表され,情報処理学会でも論文誌特選論文を3度も受賞されている.HCI研究会では,毎年多くの研究をコンスタントに発表されており,また年5回の研究会のほとんどに出席し,議論の活発化や,他の研究者へのアドバイストにご尽力いただいている.
以上の点から,志築文太郎氏は,IE 領域功績賞受賞候補者としてふさわしいと考え,ここに推薦いたします.
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神沼靖子 君 (情報システムと社会環境研究会)
[推薦理由]
神沼靖子氏は、情報環境領域における研究・技術開発、人材育成、および研究会・研究会運営の面で、下記のような功績がある。
研究・技術開発においては、「大学における情報システムの教育体系」を確立する活動に取組み、主体的にまとめた論文は40件以上に及んでいる。情報処理学会や情報システム学会で報告した研究・開発として、例えば「マルチメディアによる口述教材データベースの開発」などがある。また、「知的障害者の自立訓練のためのコンピュータ利活用」、「現場検証支援システムに関する研究」、「教育支援システムの研究・開発」、「人間中心の情報システムに関する研究」、「マルチメディアによる口述教材データベースの開発」、「マルチメディアによる教材共有における情報システム環境の整備」など、システム開発に関わる幅広いテーマに取り組んでいる。さらに、「図書の貸出・返却システムの研究・開発」、「目次情報データベースの研究・開発」など大学図書館の情報システム化にも主体的に関わっている。
人材育成面でも、多くの功績があるが、特に、情報システム教育コンテスト(ISECON)については立ち上げから中心的な立場で尽力し、第2回から第12回まで大会委員長を務めるなど、情報システム教育の発展に多大な貢献がある。これに加えて、情報システム教育委員会委員長、情報システム領域(J07-IS)委員会の委員長、情報専門学科カリキュラム標準J07の委員長を歴任し、情報システム教育のカリキュラム策定などに関わっている。
研究会運営の面では、情報システムと社会環境研究会(IS研究会)の主査を務め、多くの研究者が集い、活発な議論がなされる研究会運営の礎を築いた。また、研究会が主体となって企画しているIS特集号については、最初の編集委員長を務め、情報処理学会におけるIS論文の必要性・重要性を内外に向けて示した。
これらの功績は、顕著でかつ継続的なものであることから、情報環境領域功績賞にふさわしいと考え、神沼靖子氏を同賞に推薦する次第である。
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 (株)日立製作所 研究開発グループ 横浜研究所 君 (コンピュータセキュリティ研究会)
[推薦理由]
コンピュータセキュリティ(CSEC)研究会が設立された1998年から現在までの20年以上にわたり,(株)日立製作所 研究開発グループ 横浜研究所のWebサーバならびに,MLインフラ管理部門の皆様に,CSEC研究会のWebサイトならびに,研究会活動に欠かせないメーリングリストを運用・管理に尽力をいただきました.今日のように多くの会員が参加するCSEC研究会に発展するにあたり,研究会の立上げ当初の情報インフラ支援はもとより,以降20年以上に渡りインシデントもなく,CSEC研究会の活動を支える安定的な情報インフラをご提供いただいた候補者の貢献は極めて大きいと考えます.
上記のように,(株)日立製作所 研究開発グループ 横浜研究所のWebサーバならびに,MLインフラ管理部門の皆様は,長年にわたり,CSECの運営や発展に多大な貢献をされていることは明らかであり,情報環境領域功績賞は,学会活動のバックエンドを支える方々にも目を向けるべきと考え,本功績賞に推薦いたします.
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島岡政基 君 (セキュリティ心理学とトラスト研究会)
[推薦理由]
島岡氏はSPT研究会に関連する研究分野の振興やコミュニティ拡大などさまざまな活動で継続的に貢献をされてきた。特に島岡氏が主催する「トラスト勉強会」は、H30年科研費で特設分野研究として「情報社会におけるトラスト」が掲げられたものに先立つものであり、いち早くその重要性をとらえて活動を開始しこの分野の振興に大きな貢献をした。さらに、論文誌ジャーナル「ユーザブルセキュリティ」特集における幹事、CSEC研究会主催SPT研究会共催のコンピュータセキュリティシンポジウム(CSS)での2016、2017、2018と3年にわたるSPT研究会リエゾンとしての実行委員、2017年に立ち上げられたユーザブルセキュリティワークショップ(UWS)での4年間の実行委員など、分野への貢献は多大である。よって、IE領域功績賞にふさわしい方として島岡氏を推薦する。
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高橋秀幸 君 (コンシューマ・デバイス&システム研究会)
[推薦理由]
高橋秀幸氏は,東日本大震災の翌月,2011年度に発足したCDS研究会の運営委員,「情報処理学会論文誌:コンシューマ・デバイス&システム(CDS)」の編集委員,そして,CDS研究会の幹事(任期4年)をこれまでに2度担当するなど,本研究会の運営と発展に大きく貢献されました.同君は,2012年3月に名古屋工業大学で開催された情報処理学会第74回全国大会において,CDS研究会として初の企画セッション「産業界からの学会活動活性化に向けて~コンシューマ・デバイス&システム研究会の取り組みと期待される今後の活動~」の企画・運営,翌年の2012年5月には,被災地の東北大学電気通信研究所で第4回CDS研究発表会を開催し大盛況を博すなど,自ら被災しながらも2011年度からCDS研究会の運営に積極的に関わり,CDS研究会発足当初から歴代の主査および研究会幹事のサポート役を務めてきました.また,同氏は, CDS研究会が企画開催する国際会議IEEE Global Conference on Consumer Electronics (GCCE)の企画セッション,IEEE Annual Computers, Software, and Applications Conference (COMPSAC)のワークショップ,CDS研究会が協賛するInternational Workshop on Smart Technologies for Energy, Information and Communication (IW-STEIC)の企画・運営,開催に携わり,CDS研究会の国際活動の活性化にも多大に貢献されました.さらに,情報処理学会 情報環境領域(IEプロジェクト)の支援をうけて,2013年度からMBL研究会と実施している学生スマートフォンアプリコンテストの企画・運営にも携わり,本会のジュニア会員の増加,若い世代の学生と本会をつなぐ架け橋としての役割を担うために様々な企画・立案,そして運営に力を注いでいます.
そして,2014年度から2017年度,そして,再び2019年度からCDS研究会幹事を務めており,CDS研究会発足後,同君による貢献がなければ,現在のCDS研究会の運営・発展に繋がっていないといえます.特に,同君は,CDS研究会として前例のない本会の企画・運営に携わることが多く,CDS研究会の安定した運営活動基盤は,同君の惜しみない協力と努力によって確立できたといって過言ではありません.さらに,本会情報環境領域に関わるシンポジウム・インタラクションやDPSワークショップをはじめとする実行委員,合同研究発表会などをはじめ,CDS研究会のみならず本会情報環境領域の活動において多方面でも大きな貢献を与えているといえます.
以上のように,同君が本会情報環境領域において,CDS研究会だけでなく本会を支える様々な活動に関する継続的な功績は誠に顕著であるため,情報環境功績賞受賞候補者として推薦します.
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竹林洋一 君 (高齢社会デザイン研究会)
[推薦理由]
 2014年に日本は世界に先駆けて4人に一人が65歳以上の国になった。本研究会は情報学の観点から人類未踏の高齢社会をデザインする研究に取り組むことを目的に2015年度4月に発足した。研究会を新たに設置するときはワーキンググループなどを経て行うのが通例である。しかし、本研究の緊急性に鑑み、竹林洋一氏が当時の喜連川会長とも相談し、その後押しもあり、直接、研究会から開始することを主導した。
本研究会では日本が高齢化で世界を先導する「実験国家」であるととらえ、高齢社会の諸問題を明確化し、情報の研究者を始めとした異分野の研究者や行政関係者などの交流を促進することによって、高齢社会の問題解決を目指した。さらに、高齢化社会の進むべき方向性を見出すことによって、高齢化社会の新たな意味付け(デザイン)することを志向した。すなわち、これまでは医学、看護学、介護学、薬学、心理学、社会学、経営学、建築学、交通工学、電子工学、ロボット、福祉工学などが、高齢者支援や高齢社会構築の研究に関わってきた。しかし、「専門」という壁によって分野間の交流が不足し、高齢社会が直面する問題に対して、有機的に連携して取り組むことが困難であった。本研究会は多くの学問分野、産業分野ばかりでなく地方自治体等との関わりを深め、情報処理や情報学以外の分野の研究者や実務家にも有益な内容となるように、また、本学会の新たな分野への進出に貢献できるように活動を重ねてきた。
これらの新しいコンセプトに基づく、従来にない研究会の位置づけや役割を、定義づけることを可能にしたのは、ひとえに竹林氏の斬新な構想力と力強いリーダシップによるところが極めて大である。以上の理由から、竹林洋一氏を功績賞受賞候補者として推薦する。
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