デジタルプラクティス論文賞

概要 デジタルプラクティスの目的は,ICT実務の現場での実践やそこから生み出される知見を広く社会全体で公開共有し再利用することである.この目的に最もかなう論文を1年に1編選び表彰する.デジタルプラクティスアワード2014まではローカルアワード.
選考者 デジタルプラクティス編集委員会委員
選考方法

選考委員会は当該年の 1月~12 月に発行された DPに掲載された全論文 (招待,一般を問わない) の中からベストプラクティスが十分に記述されていること,論文として内容・構成が優れていることという観点から,特に優秀と認められる論文を選定する.

表彰等

当該年の翌年に開催されるソフトウェアジャパンにて表彰する.
授賞論文の著者に賞状および賞金を贈呈する.


2016年2015年2014年2013年2012年2011年2010年

2016年

  浪江町におけるタブレットを利用したきずな再生・強化事業-住民参加型の課題定義から開発プロセスまで-
情報処理学会デジタルプラクティス Vol.7 No.2(通巻第26号)
 
【論文概要】
福島県浪江町では,東日本大震災及び福島第一原子力発電所の事故の影響で,長期および広範囲にわたる全町民の一時避難生活という前例のない状況におかれている.自治体として提供すべき情報発信ツールの在り方を検討し開発を行うにあたり,ユーザーインタビューによるペルソナ作成や.アイデアソン/ハッカソンイベントの開催による住民参加型のプロトタイピングを実施.プロトタイピング以降の調達仕様の作成や調達,プロジェクトマネジメントも行う必要があった.浪江町で行った「町民中心設計」のプロセスを元に,課題当事者と共に要求開発を行い,そこから実際のシステムの開発までを解説する.

関 治之 殿
「テクノロジーで,地域をより住みやすく」をテーマに,会社の枠を超えてさまざまなコミュニティで積極的に活動する.東日本震災時に情報ボランティア活動を行ったことをきっかけに,住民コミュニティとテクノロジーの力で地域課題を解決することの可能性を感じ,2013年に一般社団法人コード・フォー・ジャパン社を設立.

2015年

  「データ分析と意思決定の狭間」とそれを埋める力
情報処理学会デジタルプラクティス Vol.6 No.3(通巻第23号)
 
【論文概要】
本稿では,企業の中で分析専門家として歩んできた15年間の経験をもとに,データ分析を単なる分析で終わらせずにビジネスに貢献するに至るには,分析力やIT力に加えて具備すべき能力があることを述べる.具体的には,意思決定の解決につながるような分析問題を設定する力,意思決定者が納得する解を導く力,また,人間の思考力と分析結果を融合させる環境を作る力が必要であるという持論を体系的にまとめた.筆者が経験してきた失敗談をケーススタディとして取り上げることで,読者に実感と納得感を持ってもらえるよう論述した.

河本 薫 殿
1991年,京都大学大学院工学研究科応用システム科学専攻修了.大阪ガス入社.1998年から2年間,米国ローレンスバークレー国立研究所にてエネルギー消費データ分析に従事.現在,大阪ガスのビジネスアナリシスセンター所長として,9名の分析者を率いる.大阪大学招聘教授を兼任.博士(工学,経済学).近著に,「会社を変える分析の力」(講談社).

2014年

 北九州スマートコミュニティ創造事業
   ─ 日本初の本格的ダイナミックプライシング社会実証 ─    

情報処理学会デジタルプラクティス Vol.5 No.3(通巻第19号)
 
【論文概要】
国の次世代エネルギー・社会システム実証である北九州スマートコミュニティ創造事業では,2010年度から5年間の計画でマスタープランを作成し,各種実証環境の整備を開始した.そして,2012年度からは実電力契約に基づき多段階のクリティカルピークプライシング(CPP)を中心としてダイナミックに電気料金を変動させる日本発の本格的ダイナミックプライシング社会実験を行なってきた.料金変動に対する需要家の行動変化によるピークカット効果の検証を行うとともに,社会制度への実装に向けた新たな課題について考察を行った.

荒牧 敬次 殿
技術研究組合北九州スマートコミュニティ推進機構専務理事.日本アイ・ビー・エム(株)パートナー事業西日本事業部長などを経て,2011年に北九州市環境局へ出向し,北九州スマートコミュニティ創造事業のプロジェクトエグゼクティブとして,2013年からは現職にて事業に従事.
岩野 和生 殿
1975年日本IBM入社.東京基礎研究所所長,ワトソン研究所勤務,先進事業担当,大和SW開発研究所所長,未来価値創造事業担当などを歴任.2012年より三菱商事(株),技術研究組合北九州スマートコミュニティ推進機構,東京工業大学客員教授などを兼任,現在に至る.Ph.D.(Princeton大学).

2013年

 地域医療連携ネットワークの構築と運用継続性の追求─長崎:あじさいネットを事例とした社会基盤サービスの構築─

情報処理学会デジタルプラクティス Vol.4 No.3(通巻15号)

【論文概要】
「病院完結型から地域完結型の医療へ」の政策の下,地域医療連携ネットワーク構築などの取組が広まっている.地域医師会などの協力のもとに基幹的な病院の多くは,電子カルテなどのICT化を積極的に進め,急性期の患者を回復期病院や開業医へ紹介することで,地域の中で完結する医療体制を確立させようとしている.しかし,これまでのICTを活用した医療連携ネットワークでは,構築や運用における課題が多く,運用の継続が困難になる事例が多く見られた.本稿では,長崎あじさいネットの実践経験をもとに,社会基盤システムの観点から運用継続性を追求するプラクティスを紹介する.

石黒 満久 殿
株式会社NTTデータ 公共システム事業本部所属.システムエンジニアとして金融分野,法人分野などの経験を経て,救急医療,災害医療,小児,周産期,離島医療支援などのネットワークシステムの構築.2008年からオンデマンドVPN接続サービスの企画・サービス化を実施.以降地域医療連携プラットフォームの構築などを担当.鹿児島県徳之島出身.

 

2012年

 京都市動物園での情報通信技術活用への取り組み〜動物園に適したインフラと動物コンテンツの活用〜

情報処理学会デジタルプラクティス Vol.3 No.4(通巻第12号)
 
【論文概要】
我々は,京都市動物園における情報通信技術活用への取り組みとして,無線を中心とした園内メッシュネットワークと,飼育動物の習性や利用形態に合わせたネットワークカメラの整備を行い,動物園で映像等のコンテンツを活用するためのインフラを実現した.あわせて,来園者が動物や自然をより理解するためのスマートフォンアプリケーションの整備も行った.インフラで収集した映像は,動物園内外でのライブ配信や,飼育動物の観察・記録,アプリケーションのコンテンツなどに継続的に活用されている.本論文では,これらのインフラやアプリケーションの概要と活用状況について述べる.

吉田 信明 殿
京都高度技術研究所副主任研究員.2000年京都大学大学院理学研究科博士課程退学.修士(理学).同年より京都高度技術研究所にてネットワークを利用したシステムやアプリケーションの研究開発等に従事.日本ソフトウェア科学会他会員.1999年日本ソフトウェア科学会高橋奨励賞.
和田 晴太郎 殿
1992年北里大学獣医畜産学部獣医学科卒業.1996年京都市役所に採用され,京都市動物園飼育課に配属.
伊藤 英之 殿
2002年岐阜大学農学部獣医学科卒,2003年京都市役所に採用され,保健福祉局等を経て,2008年京都市動物園飼育課に配属.
澤田 砂織 殿
2002年大阪工業大学大学院情報科学研究科博士前期過程修了.同年,京都高度技術研究所に入所.研究員を経て現在情報事業部にて,Webやスマートデバイスアプリケーションの開発等に取り組む.
 
山内 英之 殿
1984年神戸大学工学部システム工学科卒,同年日本アイ・ビー・エム株式会社入社.藤沢研究所,製造システム事業部を経て公共事業部門にて,総務省を中心とした実証実験事業を担当.2009年より財団法人京都高度技術研究所.事業開発,営業を担当.
 

 

2011年

 Gauche の開発戦略-小規模プロジェクトこそ国際化を考えよう-

情報処理学会デジタルプラクティス Vol.2 No.2(通巻第6 号)
 
【論文概要】
小規模で開発リソースも少ないオープンソースプロジェクトにとって,日本国外への展開は重要には思えないかもしれない.しかしニッチなターゲットを相手とするソフトウェアならば,むしろ当初から国際展開を意識することで,プロジェクトの持続に必要なユーザを広い範囲から集めることができる.本論文では,オープンソースScheme処理系であるGaucheの10年間にわたる開発経験から,少ないリソースで国内外にユーザを得るための維持可能な戦略について論じた.特にドキュメントの工夫,複数言語コミュニティの特質について考察している.

川合 史朗 殿
プログラマ,役者.1996年よりSquare USA Inc.にてCG映画,ビデオゲームの製作と技術研究開発に従事.2002年,Scheme Arts LLCを設立.動的プログラミング言語を用いて,コンテンツの創作過程を支援する技術のコンサルティングを行っている.
 
 
 

2010年

 サービスサイエンスの実践による顧客満足度と生産性の向上

情報処理学会デジタルプラクティス Vol.1 No.1(通巻第1 号)
 
【論文概要】
顧客満足度や生産性の向上はサービス業においても大きな経営課題である.一方でサービス業の現場では,経験,直感によるマネージメントが主流をなしている実態がある.本論文では,保守サービス企業に勤める筆者が,顧客満足度と生産性の向上を目的とした業務改革を,サービスサイエンスの考え方を導入した手法で実践し,ロジカルなマネージメントによって効果的な成果を挙げた事例を解説する.お客様の事前期待の把握に始まり,目標を実現する業務プロセスの設計,運用までの流れを6つのステップに分けて述べ,この取組みによって,顧客苦情を1/10に,技術員の生産性を約2倍に向上させた成果を紹介する.

関戸 隆明 殿
オムロンフィールドエンジニアリング株式会社取締役企画本部長.業務改革プロジェクトプロジェクトリーダーとして、コールセンター改革,サービス体制改革を担当.西部カスタマサポート部長,東部カスタマサポート部長,経営企画部長を経て,2009年より現職.2004年度コンタクトセンターアワード・プロセス賞受賞.
 
 

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