2017年度コンピュータサイエンス領域奨励賞受賞者詳細

コンピュータサイエンス領域奨励賞は,コンピュータサイエンス領域に所属する研究会および研究会主催シンポジウムにおける研究発表のうちから特に優秀な研究発表を行った若手会員に贈呈されます.本賞の選考は,CS領域奨励賞表彰規程,CS領域奨励賞受賞者選定手続およびCS領域奨励賞受賞者推薦内規に基づき,領域委員会が選定委員会となって行います.本年度は10研究会の主査から推薦された計17編の優れた論文に対し,慎重な審議を行い,決定しました.本年度の受賞者は下記17君で,各研究発表会およびシンポジウムの席上で表彰状,賞金が授与されます.

●投薬歴の構築と医師の多様性を考慮した投薬パターンマイニング
 [DEIM Forum 2017(2017/3/7)](データベースシステム研究会)

森田 祐司  君 (正会員)

発表時所属:京都大学大学院 情報学研究科 社会情報学専攻 修士2回生
受賞時所属:西日本高速道路株式会社 阪奈高速事務所 施設第1課
[推薦理由]
本論文では,電子カルテデータの二次利用による臨床判断支援タスクにおいて,より優れた投薬歴を抽出する手法を提案している。少数の医師が多数回用いた投薬歴がバイアスを与えてしまう問題に対して,医師ごとの投薬歴の多様性の指標を導入し,抽出された投薬歴が検査値を改善する度合いという観点での評価を行い,既存手法よりも優れた投薬歴が得られるという結果を示している.系列パターンマイニングの研究という観点で,現場に即したデータから新たな研究課題を発見し,その課題を解くアプローチを提案し,さらに実践的な評価を行っていることが高い評価に値する.CS領域をさらに発展させる上ではニーズベースで本質的な研究課題を発見する取り組みが重要であることから,CS領域奨励賞にふさわしい論文として推薦する.
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●答えを先読みする文書検索手法の提案
 [DEIM Forum 2017(2017/3/7)](データベースシステム研究会)

大塚 淳史  君 (正会員)

発表時所属:日本電信電話株式会社 NTTメディアインテリジェンス研究所
受賞時所属:日本電信電話株式会社 NTTメディアインテリジェンス研究所
[推薦理由]
本論文では,マニュアル等の文書に対して検索 (FAQ検索) を行う際には,検索質問とユーザが回答として満足する内容間には意味的な類似性がある場合が少ないため,従来から取り組まれていた手法では高精度検索を実現できないと主張している.そのため,質問と回答という性質の異なる二文書間の関係性をあらかじめ学習し,質問に対する回答内容を先読みすることで,質問を解決するための最適な解を検索する手法を提案している.これにより,従来のword2vecベースのFAQ検索と比較して検索精度を向上させることができたことは,本分野における新しいアプローチを実現できたという意味で大きな意義がある.よって,CS領域奨励賞にふさわしい論文として推薦する.
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●動的記号実行と探索的テストによる高カバレッジの結合テスト向けテストデータ自動生成手法
 [SES2016(2016/9/2)](ソフトウェア工学研究会)

倉林 利行  君 (正会員)

発表時所属:日本電信電話株式会社
受賞時所属:日本電信電話株式会社 サービスイノベーション総合研究所 ソフトウェアイノベーションセンタ ソフトウェア開発技術プロジェクト
[推薦理由]
ソフトウェア保守・進化における回帰テストでは,以前のソフトウェアと同等の機能を満たすことを検査するための結合テストが必須である.本研究では,動的記号実行と探索的テストを組み合わせることで,より実用性の高い結合テスト手法を提案している.具体的には,まず動的記号実行により実行パスの網羅を試みる.その上で,外部プロセスの実行などにより実行パスの条件が実用的な時間で確定できない場合,探索的テストを適用する.評価実験では,2つのテスト手法を単独で適用した結合テストに比べて,2つを組み合わせた提案手法でより高い網羅率を実用的な実行時間で達成できることが示されており,今後の結合テストにおける実用が大いに期待できる.以上より,CS領域研究賞にふさわしい論文である.
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実行トレース抽象化を目的とした参照関係・アクセス解析によるコアオブジェクト特定
  [2017-SE-195(2017/3/12)](ソフトウェア工学研究会)

野田 訓広 君 (学生会員)

発表時所属:東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 情報工学コース  博士後期課程1年
受賞時所属:東京工業大学 情報理工学院 情報工学系 情報工学コース  博士後期課程2年
[推薦理由]
オブジェクト指向システムにおけるプログラム理解では,プログラムの実行履歴を解析し,シーケンス図などで可視化することが有効である.しかしながら,実行履歴に含まれる情報をそのまま可視化すると巨大なシーケンス図が生成され,プログラム理解において実用的であるとはいえない.本研究では,プログラム実行中に現れるオブジェクトの参照関係およびアクセス頻度の特徴に基づき,各オブジェクトに重要度を付与する.その上で,重要度の高いオブジェクトを中心としたグループ化を行うことで,シーケンス図の規模の縮小を達成している.設計理解に貢献するクラスのオブジェクトを残しているかどうかという観点での評価実験の結果より,高い実用性を実現した手法であることがわかる.以上より,CS領域研究賞にふさわしい論文である.
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●アウトオブオーダ命令実行の依存グラフ表現に関する考察
 [2016-ARC-221(2016/8/8)](システム・アーキテクチャ研究会)

谷本 輝夫 君 (学生会員)

発表時所属:九州大学 システム情報科学府 情報知能工学専攻 博士後期課程 2年
受賞時所属:九州大学 システム情報科学府 情報知能工学専攻 博士後期課程 2年
[推薦理由]
本論文は,アウトオブオーダプロセッサの依存グラフ表現を用いたクリティカルパス解析に着目し,既存手法の解析精度を大幅に改善する新しいグラフ生成技術を提案している.既存手法は近年のプロセッサ構成法を正確にモデル化できていないことを解析的に発見し,各原因をプロセッサ構成要素と対応付けて新たなグラフ表現モデルを導入した.これにより,既存手法と比べて CPI (Clock cycles Per Instructions) の推定誤差を 90% 削減できることを示した.複雑化が進むプロセッサの詳細な性能解析は,プロセッサ設計の改善だけでなく,プログラムのチューニングにも有用であり,それを実現する手法の確立は計算機の高性能化に大きく貢献する技術として評価できる.よって,CS領域奨励賞にふさわしい論文として推薦する.
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●ホストOSファイルシステムにおけるVMイメージファイルの非連続配置による仮想化環境におけるHadoop I/O性能の向上
  [2016-OS-137(2016/5/30)] (システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会)

中島 健司 君 (学生会員)

発表時所属:工学院大学大学院 工学研究科 電気・電子工学専攻 修士1年
受賞時所属:工学院大学大学院 工学研究科 電気・電子工学専攻 修士2年
[推薦理由]
本論文では,仮想化環境においてHDDを複数VMで共有する状況を想定して,各VMのディスクI/Oを高速化する方式を提案している.通常,VMのイメージファイルのサイズは巨大であるため,集約されているVMがディスクアクセスを行うと,イメージファイルをスキップするようなディスクアクセスが生じ,シーク時間が長くなる.そこで,イメージファイルを非連続的に配置することで,各VM上で生じたディスクアクセスに伴うシーク時間の削減を狙っている.実際にHadoop上のアプリケーションの性能改善に成功しており,今後の最適化に向けた議論も展開され,研究として質が高い.よって,CS領域奨励賞に推薦する.
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●I/O Viewの一貫性を保証する高速ストレージ向けチェックポインティング
  [ComSys2016(2016/11/28)] (システムソフトウェアとオペレーティング・システム研究会)

小林 直登 君 (正会員)

発表時所属:東京農工大学大学院 工学府 情報工学専攻 博士前期課程 2学年
受賞時所属:NTTデータ先端技術株式会社 企画部 人事育成担当
[推薦理由]
本論文では,近年登場しているPCIeフラッシュやPCM,ReRAM,MRAMなどの不揮発メモリによる高速ストレージを活用したチェックポイント手法を提案している.ファイルおよびネットワークのI/O View一貫性を保証し,アプリケーション透過にチェックポイント手法を実現している.本手法をLinuxに実装し,MySQLやmemcachedなどの実用アプリケーションを対象にエミュレーションによる評価を実施している.チェックポイント手法の実現は古典的な問題であるが,高速ストレージの活用により新たな可能性を開いている点,また,さまざまな問題や最適化に関して網羅的に検討されており,実用近くまで完成度が高められている点を評価する.よって,本論文をCS領域奨励賞に推薦する.
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●リードソロモン符号に基づいたマルチレベルセル不揮発性メモリ書き込み削減
 [DAシンポジウム2016(2016/9/16)] (システムとLSIの設計技術研究会) 

多和田雅師 君 (正会員)

発表時所属:早稲田大学 基幹理工学部 情報通信学科
受賞時所属:早稲田大学 基幹理工学部 情報通信学科
[推薦理由]
本論文は,マルチレベルセル不揮発性メモリに対し,書き込み回数を削減することにより,書き込み耐久性が低いマルチレベルセル不揮発性メモリの欠点を回避する手法を提案している.論文では,リードソロモン誤り訂正符号が持つ冗長性を利用し,従来のビット単位ではなく,シンボル単位で書き込み削減を行なうことを実現している.結果として,符号化を利用していないセルと比較して3.5%,また,従来手法による符号化と比較して,1.5%の書き込み回数削減を確認しており,非常に有意義なものである.また,論文構成,及び,発表内容も非常に優れていた.以上より,本論文をCS領域奨励賞受賞論文として強く推薦するものである.
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●ロジック部およびメモリ部の独立電圧制御によるプロセッサの消費エネルギー最小化
 [2017-SLDM-179(2017/3/9)] (システムとLSIの設計技術研究会)

塩見  準 君 (学生会員)

発表時所属:京都大学大学院 情報学研究科 通信情報システム専攻 小野寺研究室
受賞時所属:京都大学大学院 情報学研究科 通信情報システム専攻 小野寺研究室
[推薦理由]
本論文は,プロセッサの要求動作速度に応じた電源電圧およびしきい値電圧の調整による消費エネルギーの削減と,ロジック部とメモリ部の電源電圧およびしきい値電圧で独立した制御による消費エネルギーの削減を実現する手法を提案している.前者では,従来のDVFS制御に比べて最大32%の消費エネルギーが削減でき,後者では,さらに16%の消費エネルギーの削減が実現できることを65nm DF-SOIプロセスで製造されたRISCプロセッサにより確認した.本論文はプロセッサの消費エネルギー削減の手法を提案しており,非常に有意義なものとなっている.また,論文構成,及び,発表内容とも非常に優れていた.以上より,本論文をCS領域奨励賞受賞論文として強く推薦するものである.
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●CPUとDRAMへの電力バジェット配分を考慮したGraph500の性能評価
 [2016-HPC-155(2016/8/9)] (ハイパフォーマンスコンピューティング研究会)

垣深 悠太 君 (学生会員)

発表時所属:九州大学大学院 システム情報科学府 情報知能工学専攻 修士課程1年
受賞時所属:九州大学大学院 システム情報科学府 情報知能工学専攻 修士課程2年
[推薦理由]
大規模計算機クラスタの構成設計では,アプリケーションの実効消費電力に基づいて,システムの最大電力値を設定することが検討されている.このためには,アプリケーションの電力特性を知る必要がある.本研究では,アプリケーションの一つとて,大規模グラフ解析における幅優先探索を取り上げ,実機を用いた電力特性解析を行った.CPUとDRAMへの電力資源配分と幅優先探索処理の実効性能に与える影響を調べ,計算機ノードへの電力資源配分について検討したものである.今後,消費電力がますます増大する大規模計算機クラスタシステムの構成法に関して,本研究はひとつの方向性を与えるものと考えられ,ハイパフォーマンスコンピューティング分野において有用な知見である.よって,コンピュータサイエンス(CS)領域奨励賞に推薦するものである.
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●ディープラーニングのデータ並列学習における少精度浮動小数点数を用いた通信量の削減
  [2017-HPC-158(2017/3/10)] (ハイパフォーマンスコンピューティング研究会)

大山 洋介 君 (学生会員)

発表時所属:東京工業大学 情報理工学院 数理・計算科学系 修士1年
受賞時所属:東京工業大学 情報理工学院 数理・計算科学系 修士2年
[推薦理由]
ディープラーニングにおける機械学習を並列計算する場合には,ネットワークの計算量や学習に使用するデータ量が多いことから,GPUクラスタを用いても長時間が必要である.また,パラメータ数が多いネットワークでは,十分な並列度を確保できない場合がある.本研究は,単精度よりもビット数が少ない浮動小数点数型データ表現を用い,レイヤー毎に動的に浮動小数点数の表現範囲を調整することにより,高速かつ単精度と同等の認識精度を確保する通信量の削減手法を提案したものである.実機での評価により,認識精度を損なわずに約2-3倍の高速化を達成した. ディープラーニングは,今後益々重要な分野であると考えられ,本手法は極めて有用な方法と認め,コンピュータサイエンス(CS)領域奨励賞に推薦するものである.
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●定理証明器Coqの効率的な有限ドメイン関数ライブラリ
  [PRO-2016-1(2016/6/10)] (プログラミング研究会)

坂口 和彦 君 (学生会員)

発表時所属:筑波大学大学院 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻 博士前期課程2年
受賞時所属:筑波大学大学院 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻 博士後期課程1年
[推薦理由]
対話的定理証明器Coqにおいて,有限ドメイン関数をサポートするライブラリのfintypeとfinfunのデータに対する証明から抽出されたプログラムには,多くの場合に効率が悪いという問題がある.本発表はfintypeやfinfunを改善したライブラリとその実装を紹介し,それを用いて作成した証明から抽出したコードが既存の場合と比べて高速であること,既存ライブラリを用いた証明を改善したライブラリを用いた証明にほとんど変更することなく利用できることを,実例を用いて示した.本成果は証明の再利用を可能にするライブラリの改善法の一例として有意義である.よって,CS領域奨励賞を授与するにふさわしいと考える.
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●ライブプログラミングのためのデータ構造の可視化と対話機能
  [PRO-2016-5(2017/3/4)] (プログラミング研究会)

岡  明央 君 (学生会員)

発表時所属:東京工業大学 理学部 情報科学科
受賞時所属:東京工業大学大学院 情報理工学院 数理・計算科学系 数理・計算科学コース 修士過程1年
[推薦理由]
プログラムの編集に従い自動的にその実行結果を表示する「ライブプログラミング」は,これまで主に画像処理などで利用されてきた.本発表は,より広い応用を目指し,ヒープ上のデータ構造を可視化できるライブプログラミング環境Kanonを提案した.Kanonは,指定された命令が起こす変更を表示する機能や,逆に指定されたポインタ・オブジェクトを生成した命令をハイライトする機能など,ライブプログラミングに有用な機能を実現している.実用に直結する重要な課題に取り組み,また実際にシステムを作り上げつつある点は高く評価できる.発表でも,このKanonによるデモを駆使し,その有用性と課題を明確に伝えていた.以上の理由から,本発表をコンピュータ科学領域奨励賞にふさわしいものとして推薦する.
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●On the Maximum Weight Minimal Separator
 [2016-AL-158(2016/6/25)] (アルゴリズム研究会)

土中 哲秀 君 (学生会員)

発表時所属:九州大学大学院 経済学府 経済工学専攻 博士後期課程2年
受賞時所属:九州大学大学院 経済学府 経済工学専攻 博士後期課程3年
[推薦理由]
本研究では,点重み付きの無向連結グラフ G = (V, E) に対する最大重み極小セパレータ問題について,その計算複雑さと乱択アルゴリズムを考察している.ここで,グラフ中の2点 s, t が与えられたときに,s と t を分離するような点部分集合が s-t セパレータであり,その中で特に,任意の真部分集合が s-t セパレータではないものが極小 s-t セパレータである.本研究では,重み最大の極小 s-t セパレータを求める問題について,NP 困難性を示している.さらに,木幅が tw 以下のグラフに対して,O^*(g^{tw} W)-時間で重み W の極小 s-t セパレータが存在するかどうかを判定する乱択アルゴリズムを提案しており,CS領域奨励賞にふさわしいものとして推薦する.
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●遺伝的アルゴリズムを用いたQWOPの運動学習の一手法
 [2016-MPS-110(2016/9/16)](数理モデル化と問題解決研究会)

小山ちひろ 君 (学生会員)

発表時所属:奈良女子大学大学院 人間文化研究科 博士前期課程
受賞時所属:奈良女子大学大学院 人間文化研究科 情報科学専攻
[推薦理由]
本研究論文は,遺伝的アルゴリズムを用いて"QWOP"と呼ばれるゲームの操作手法を機械に獲得させるための試みである.QWOPはビデオゲームの一種で,キーボードの"Q","W","O","P"を操作して,ゲーム画面中のランナーを操作し,ゴールまで走破させることを目的としている.本研究は,ゲームのルールや攻略法を与えず自動的にルールを学習し,上達することができる成長型ゲームAI開発の一試行とみなすことができる.本研究では,専用のエミュレータを用意せずプレイ画面情報のみでゲームを学習しており,画面情報より得られたスコアのみを学習に用いている.このようなゲームAIの試みは近年多くの分野で試行されつつあるが,遺伝的アルゴリズムを用いて実現された報告例はあまりない.この試みは大変チャレンジングであるとともに,今後の研究が期待できる.また,このような試みはMPS研究会の会員にとって大変刺激になるだけでなく,多くの研究者がMPS研究会自体に興味を持ってもらうための契機になると考えられる.以上の理由からCS領域研究奨励賞の受賞候補として推薦するものである.
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●ノーマリオフ知的バス停における電源管理機能評価
 [2017-EMB-44(2017/3/10)] (組込みシステム研究会)

阿部 稿作 君 (正会員)

発表時所属:公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科 博士前期課程2学年
受賞時所属:富士アイティ株式会社 業務部総務グループ
[推薦理由]
本論文では,自立電源で動作する利用者がいるときのみ動作が要求されるオンデマンドバスシステム向けの知的バス停において,自立電源による動作の実現のために人感センサ,画像処理など負荷の異なる機能を組み合わせて用いてノーマリオフ動作をさせ消費電力を低減する際の,処理方式による電力消費量の違いを調べた.路線バスを補完するオンデマンドバスシステムにとって,電源の制約の少ない設置の容易な知的バス停は重要であるため,本論文は実用的な自立電源バス停システムの実現に向けた検討として有用である.また,外部電源の無いセンサ端末の応用発展に資するケーススタディとしても評価できる.以上より本論文をCS領域奨励賞に推薦する.
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●モデルベース開発におけるマルチ・メニーコア向け自動並列化
 [2017-EMB-44(2017/3/10)] (組込みシステム研究会)

鍾  兆前 君 (学生会員)

発表時所属:名古屋大学大学院 情報学研究科 情報システム学専攻 博士課程後期課程2年
受賞時所属:名古屋大学大学院 情報学研究科 情報システム学専攻 博士課程後期課程2年
[推薦理由]
本論文は,モデルベース開発における制御ソフトウェアを対象とし,制御モデルの特徴を踏まえた並列化を行うためのコア割り当て手法を提案した.提案手法では,段階的にクラスタリングを行い,段階毎に異なる基準でコア割り当てを行うことで,一括コード生成による最適化対象,同一周期,同一機能の機能ブロック,同一メモリの読み書き箇所,制御順序や制御モデルの始終点といったこれまで同時に扱うことが難しかった性質を考慮したコア割り当てを可能としている.本成果は,複雑する制御ソフトウェアにおいて不可欠となるモデルベース開発を用いたシステムの性能向上を支える技術として大変有用である.以上より本論文をCS領域奨励賞に推薦する.
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