坂内 正夫 君

2012年度功績賞受賞者の紹介

坂内 正夫 君 (さかうち まさお)

 本会正会員坂内正夫君(フェロー)は,永年にわたり,マルチメディア情報処理システムの研究に携わるとともに,国立情報学研究所所長として学術情報基盤の整備に主導的な役割を果たしてこられました.

 1975年に東京大学工学部の教職につかれ,その後横浜国立大学を経て東京大学生産技術研究所に移られましたが,一貫してマルチメディア情報処理システムの研究開発に当たってこられました.画像や映像のセマンティクスにかかわる新しい処理手法を幅広く研究され,映像情報からの対象物認識や高次記述に関して先駆的な研究を行うとともに,監視カメラ映像による交通事故自動検出システムの開発など,実用性の高い研究でも成果を挙げ,ITS(次世代交通システム)の普及発展活動にも尽力されました.さらに近年は,国立情報学研究所所長として我が国の大学等の学術情報基盤の整備を主導し,学術ネットワークの開発や電子コンテンツの流通などの体制を大きく発展させることにより,我が国の高等教育や研究の基盤強化に貢献されました.

 このような業績から,2010年にエリクソン・テレコミュニケーション・アワード,2012年にはフランス共和国レジオン・ドヌール勲章(シュバリエ)などの表彰を受けております.本会においては,電子化への貢献等が評価され,2009年度には本会フェローの称号を授与されています.また,電子情報通信学会では論文誌編集委員長等を務められ,さらに総務省情報通信審議会会長代行,ITSジャパン副会長,日本学術会議情報学委員会委員長などを歴任されております.

 以上のように,同君が,国内外の情報処理分野ならびに本会の活動の発展に尽くした功績は,まことに顕著であります.