木村  泉 君

2011年度功績賞受賞者の紹介

木村  泉 君 (きむら いずみ)

 本会正会員木村泉君(フェロー)は,永年にわたりプログラミング,ヒューマンファクタ,情報処理教育カリキュラム等の分野で研究に携わってこられました.

 1971年に東京工業大学での教職につかれましたが,そこで精力的に研究・教育に従事され,その傍ら,「プログラム書法」「ソフトウェア作法」などの翻訳書を世に出されています.特に後者は,自らの研究室で開発を指揮した日本語処理システムにより編纂した,我が国最初のコンピュータ組版による日本語書籍であるという先進性を持つのみならず,発刊から40年以上を経た今日でも書店で入手可能なベストセラーであり,「よいプログラムを書く」という概念を広く知らしめた功績は卓越したものです.同様に,「ライトついてますか」をはじめとするG. M. ワインバーグの一群の著述の翻訳,著書「算法表現論」(米澤明憲君と共著),「ワープロ徹底入門」などでは,情報システムの仕様や問題解決の難しさ,プログラムの表現の多様な側面,情報機器との接し方やヒューマンファクタについての知見を世の中に広められました.この間,本会においては,理事(1985年度~1986年度),ソフトウェア工学研究会主査(1981年度~1984年度),文書処理とヒューマンインタフェース研究会主査(1987年度~1988年度),ヒューマンインタフェース研究会主査(1989年度~1990年度)を務められ,学会の発展に貢献されました.一方で,情報処理教育カリキュラムの開発にも深い造詣を示され,ACMカリキュラム90の翻訳を会誌に掲載するとともに,大学等における情報処理教育検討委員会委員(1989年~1990年),情報処理教育カリキュラム調査委員会委員(1991年~1998年)として我が国の大学におけるコンピュータサイエンス教育に対する提言とりまとめに貢献されました.

 以上のように,同君が,我が国の情報処理分野ならびに本会の活動の発展に尽くした功績は,まことに顕著であります.