2017年01月05日版:大場 みち子(事業担当理事)

  • 2017年01月05日版

    「FIT(情報科学技術フォーラム):FIT2016開催の舞台裏を覗く」

    大場 みち子(事業担当理事)

     私の担当する事業担当理事は情報処理学会の主要イベントを事業として運営するという役割です。主要イベントとは毎年3月開催の全国大会と秋期開催のFIT(情報科学技術フォーラム)の2つです。今回はこの9月に実施したFIT2016開催の舞台裏についてご紹介します。

     FITは電子情報通信学会の情報・システムソサエティとヒューマンコニュニケーショングループとの共催で実施される千数百名の研究者や実務者が集まるイベントで、各分野の専門家と分野を超えた交流やディスカッションができる場です。

     FIT2016は2016年9月に富山大学で開催され、講演598件は過去5年間で2番目、イベント企画19件は過去5年間で最高の実施件数になりました。FIT2016船井業績賞受賞記念講演「初音ミクは、なぜ世界で支持されるのか」(伊藤博之氏、クリプトン・フューチャー・メディア)は立ち見がでるほどの超満員で過去に例がないほどの大盛況でした。イベントでは「ここから始める情報処理 〜画像、音声、テキスト、検索、学習、一気にまとめてチュートリアル〜」「Real Estate Tech:不動産×IT 〜ITが拓く不動産の未来〜」「ダイバーシティ社会に向けたワークプレースを考える」「助教が吼える! 各界の若手研究者大集合」など魅力的でトレンディなテーマが目白押しで、大いに集客力アップに寄与しました。

     FITは幹事会、運営委員会、実行委員会、プログラム委員会、現地実行委員会、研究会担当委員、座長、査読者、事務スタッフなど多数の関係者の尽力で企画・運営されています。今回、私はプログラム委員長を担当しました。実行委員長を筆頭に上記の関係者とともに最も注力したことは収支を黒字にすること、端的には参加者数を増やすことでした。今回は特につぎの3つに力をいれました。それぞれの概要を紹介します。

      (1)魅力的な企画イベントにより集客を増やす
      (2)講演件数や参加者数を増やす
      (3)船井業績賞の受賞記念講演での集客を増やす

     (1)のイベント企画は毎回つぎの3種類の提案を募り、今回は特に②のタイプの提案を各種委員会に強力にお願いしました。

      ①研究会提案型(研究会からの公募企画)
      ②委員会提案型(FIT各種委員会、両学会各種委員会の企画)
      ③現地提案型(地方色を活かした現地実行委員会からの企画)

     (2)の活動としてはつぎのような宣伝活動、集客・収益向上の活動を試みました。
    • ポスター配布:従来のルートのほか、開催校の富山大学および富山県立大学、北陸先端科学技術大学院大学、福井大学など近隣大学へのポスター配布に注力しました。
    • 事前PR:情報処理学会全国大会(3月、慶應義塾大学)、電子情報通信学会総合大会(3月、九州大学)などの会場にチラシを置いたり、懇親会でのスピーチでFIT2016の開催アピールをしたりしました。
    • FacebookやTwitterなどのSNSでタイムリーな情報の提供を実施し、理事のみなさんにシェアやリツイートの協力もいただきました。
    • FIT2016の前後に近隣で研究会等のイベントを誘致する活動を実施したり、出店企業の募集では地元企業のほか、事前のイベントへの参加企業へ声がけしたりする活動を積極的に実施しました。
     (3)船井業績賞受賞記念講演での集客は、初音ミクで有名な伊藤博之氏の知名度を最大限活かすことです。まずは、Webページ開設時から伊藤氏の特別講演のインフォメーションをトップページで掲載しました。伊藤氏のご厚意により、FIT2016初音ミクオリジナルステッカーをご提供いただけることになり大いにPRに利用させていただくことに。まず、参加者全員に配布することをSNSで事前PRした上で実物は開催当日までシークレットにするなどの工夫をしました。

     FIT2016は上記のような関係者の尽力のお陰で、FITの理念にある「従来の大会の形式にとらわれずに、新しい発表形式を導入し、タイムリーな情報発信、議論・討論の活性化、他領域研究者との交流等の実現」が実施でき、当初予定に近い参加者数となり参加者のみなさんにもご満足いただけたことと思います。関係者のみなさんと参加者のみなさんに心より感謝します。

     つぎは情報処理学会第79回全国大会(2017年3月、名古屋大学)です。このイベントの舞台裏はどのようだったんだろうと想像しながら参加してみてはいかがでしょう。そして、このような学会イベントに発表者としてだけでなく、関係者としても参加してほしいと思っています。発表者以外の参加も大歓迎です。無料イベントもありますので、ぜひ足を運んでください。