2014年10月06日版:加藤 由花(会誌/出版担当理事)

  • 2014年10月06日版

    「会誌「情報処理」の進化

    加藤 由花(会誌/出版担当理事)

     私が会誌・出版担当理事を拝命してから1年数ヶ月が経ちました。毎月手元に会誌「情報処理」が届くたびに、無事に発刊できたことにホッとする一方、皆さまに楽しんでもらえているかなと、少々どきどきしながら中身を確認しています。さて、この会誌、現在絶賛進化中です。どんな点が?ということを今日は少し紹介してみたいと思います。

     まず1つ目は、配布形態に関する進化です。会員の皆さまには毎月自動的に届く会誌ですが、会誌自体を単体で入手するにはいくつかの方法があります。これまで、冊子版をAmazonまたはオーム社で購入する、電子版を情報学広場またはFujisan(http://www.fujisan.co.jp/product/1377/)で購入する、特集別刷(紙版)をAmazonで購入するという方法がありました。これらに加えて、10月号から、Apple Newsstandで電子版の定期購読が行えるようになったのです(https://www.ipsj.or.jp/magazine/topics/Newsstand.html)。NewstandはiOSにプリインストールされている本棚で、この本棚に無料のアプリをダウンロードすることで、iPad、iPhoneなどのiOS端末で会誌の購読(年間購読のほか、月単位での購読も可能)が行えます。私自身は、毎月冊子版が手元に届くのが楽しみなタイプなのですが、紙の本はすべて自炊しスマートフォンで閲覧するという人も多い時代です。より多くの選択肢が、会誌記事の読者層を広げてくれることを期待し、スマートフォン向けにNewsstandでの配布を行うことになりました。実際、とても読みやすい誌面になっています。購入前に立ち読みもできるので、ぜひいちどお試し頂けると幸いです。なお、会誌の完全オンライン化については、検討を進めながらも、当面は冊子体がメインになる予定です。現在、情報処理学会が発行している定期刊行物(会誌、論文誌、研究報告、デジタルプラクティス)は、会誌をのぞきすべて電子版のみの発行になっています。時代の流れは紙版廃止なのかもしれませんが、会誌に関しては、他学会でも紙版を残しているところが大部分で、最後の砦となっているのでしょう。一方、動画や音声、プログラムのソースコード等を含む記事のマルチメディア化は必須事項です。電子版と連携したマルチメディア化の推進は、近い将来の実現を目指して検討を進めており、これが次の進化の方向性になると考えられます。

     もう1つは、内容に関する進化です。会誌の記事については、今年の4月に塚本昌彦新編集長が就任し、進化をさらに加速させています。これまで、「面白く、読んでもらえる会誌」「季節感のある特集」「特集+連載の2本立て」という方針に基づき、会誌の編集が行われてきました。現在、これらの方針を踏襲しながらも、新たな企画がどんどんと実現しています。たとえば、速報性を重視した「特別解説」のコーナーが新設されました。これは、最短期間で旬のニュースに関する解説記事を専門家に執筆してもらうもので、これまで、ビットコイン、Swift、チューリングテスト合格システムなどに関する記事が掲載されています。当然、執筆者、エディタ、編集を行う事務局と皆がぎりぎりのスケジュールで作業を行うことになり、苦労も多いのですが、その甲斐あってインパクトのある記事に仕上がっているのではないかと思います。また、女性編集委員が増えたことから、持ち回りでコラムを執筆するコーナー「編集委員会女子部」も立ち上がりました。こちらについては、9月に筑波大学で開催されたFIT2014で関連イベントを開催するまでに発展し、活動を活発化させています。今後の注目記事としては、論文誌編集長、デジタルプラクティス編集長、会誌編集長の3編集長による鼎談が企画されていたり、ますますのパワーアップが期待されます。

     これらの会誌企画・編集を支えているのが、会誌編集委員の皆さんです。会誌を定期的に発刊するために、月に一度の編集委員会で企画を持ち寄り、どうしたら読まれる会誌になるのかを真剣に議論し、記事の進捗を確認し、閲読を行い、執筆者とやりとりし、時には督促を行い、スケジュールを調整し、本当にさまざまな作業を経た後に、やっと1冊の会誌が完成します。このように、会誌編集は大変な作業なのですが、編集委員会はとても活気に満ちており、おもしろい企画がどんどん提案されています。

     さて、この編集委員会の様子を皆さまにも伝えたい、会誌に対する意見も伺いたい、ということで、2015年3月に京都大学で開催される全国大会のイベントとして、「公開編集委員会」を行うことになりました。いつも化学会館で行っている会誌編集委員会を公開で行うという試みです。2015年3月17日(火)9時30分から、第4イベント会場で開催予定です。皆さま、ぜひ会場に足を運び、斬新な企画をご提案ください!